大久保 智弘 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します - Part 8

大久保 智弘

不登校解決のポイントは子どもの本当の悩みに寄り添うこと

「あ~あ、好きなオーディション番組が終わってしまった。去年のほうがよかったな。JO1の方がなんか、自分のオシもいたから見ていて楽しかった。っていうか、今楽しみがないんだよね。だって、現場もないし、コンサートって言ってもオンラインでしょ。オンラインのコンサートってYoutube見ているの変わらないから、ちょーつまんないの。」

不登校の高校生のカウンセリングの一部。正確に言うともう彼女は不登校ではなく、引きこもり気味なだけ。勉強の話は一切出てこない。中学時代は1年の後半から学校にほとんど登校することはなかったが、通信高校に入った。

不登校の子を持つ親にとっての悩みの一つが勉強。中学時代にまったく勉強しなかったが、彼女は高校生になって勉強するようになった。理由の一つは、高校を卒業するためだそうだ。分からないなりに自分で調べて与えられた課題をこなしている。

順調に見える彼女の高校生活にも大きな問題がある。それは進路だ。

不登校の子をもつ親にとって勉強は悩みの種だ。特に、中学2年や高校2年の後半、中学3年、高校3年など受験に関わってくる時期に不登校が始まってしまうと、このままどうなってしまうのか非常に不安だ。

学校側は担任も、スクールカウンセラーも口をそろえて、「今はゆっくり休んで、無理に登校させたり、勉強のプレッシャーをかけないように」という待ちのアドバイス。

親の不安には寄り添ってくれない。そんななか、子どもの進路、受験のことが頭をよぎる。こっちはこのままこの子がどうなってしまうのか、社会に適応できないんじゃないか。不安はどんどん増すばかり。

生徒にとっては学校に行くこと、ひいては朝起きることすらままならないのに、受験勉強なんか考えることは辛いこと。確かに、余りプレッシャーをかけたくはない。話題として敬遠しがちでもある。

しかし、本人も親も、次の進路を決めるこの時期に、悠長には構えていられない。現実問題として「進路をどうするか」が突き付けられる。

本人も何も考えていないわけではない。

むしろ、しっかり考えているからこそ悩んでいるという見方もできる。

進路の悩みはある一つの葛藤でもある。

周りの期待に応えるべきか。

自分の本心を貫くべきか。

この2つだ。この葛藤がうまく言葉にできず「何をしたいか分からない」という表現になる。

本当にやりたいことと親をはじめとした周りの期待のずれが苦しみになってしまう。

この本音は親が聞き出すことは至難の業である。

親に自分の本音を言うと、反対される。そしてその反対は自分の存在否定になる。

第三者が必要になるのは、先入観なく聴ける人が必要だからだ。

不登校の生徒が進路について全く考えていないということはない。

むしろ、毎日元気に学校に行って、クラブをして友達と遊んでいる子の方が将来について真剣に考える機会を逸しているとも考えることができる。

進路を考えるのが苦しい。

うまく言葉にできず、やり場のない気持ちが自責の念を強める。

死にたいという言葉を吐く不登校生もいる。

彼らは自分の将来に希望を持てないでいる。

不登校の解決の肝はここにある。

つまり、将来への希望である。

これさえ言葉にできれば、学校に行く行かないは別として、不登校は解決したと考えても良い。

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不登校になり始めると罪悪感でいっぱいになる

不登校の原因は、不登校になった本人にもよくわからないことがあります。なぜだか分からないけど、朝起きられない、学校の準備をして家を出るけど、途中でおなかが痛くなる、夜は「明日は行こう」と思うが、朝になると気分が重い。身体症状がたくさんでて、本当は行きたい、行かないといけないと思っているけど休まざるを得ない。

そんな中、家にいて時計を眺めながら、「今は体育だな」とか「今日英語の単語テストだったんだよな」とか学校での授業をイメージする。そういう中で、

何で自分は学校に行けないんだろう

学校に行かない自分はだめだ

このまま引きこもってしまうかもしれない

親に迷惑をかける

友達に心配される、もしかしたら嫌われるかもしれない

勉強の遅れをどうやって取り戻そう

こんな不安とが学校に行かない間ぐるぐると、頭をめぐります。そして、こんな自分はダメだという責めが始まります。この自分を責める言葉が、不登校の生徒のエネルギーをどんどん奪っていきます。不登校になり始めてだんだん元気がなくなるのはこの自分を責める気持ちです。

この責める気持ちから解放されていくことが、不登校の解決にとって重要なポイントです。とはいえ、これを取り去る方法はまだ明確には分かっていません。そんな中で最も効果的なのが「認知」を変えることです。自分一人で考えていると同じものの見方しかできません。しかし、他人と話をすることで、自分にはないものの見方が見えてきます。

人と話したり、話を聴いたりして認知の枠組みを変えていくことで、気持ちが楽になります。自分の責めから解放されると、不登校という状態に何らかの変化が現れます。これは必ずしも学校に戻るということではありません。何かの役に立ちたい、自分にもできることがある、という気づきが起きてくるのです。そこを考えていくことができれば、一つの解決となります。

不登校の初めにある罪悪感はあるいみ、幻でしかありません。その幻に支配されている状態が続くと心が苦しくなり、不登校が長引く恐れがあります。

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不登校で心療内科に行くと薬を処方された

不登校している生徒さんの中には何らかの精神疾患を抱えていることがあります。うつ病であったり、気分障害のようなものであったり、解離性障害、パーソナリティ障害、適応障害。診断名はたくさんありますし、診断が下りることで、対処の仕方が分かり、改善に向かうケースもあります。

しかし、中には薬に対して抵抗を感じる人もいらっしゃるようです。特に保護者の方が、診断名や薬の処方にショックを受けることがおありのようでもあります。それほど重症なのか?と思われたり、長引くのではないかと不安になられたりする方もいらっしゃいます。

薬物療法については良しあしがあります。心の病に出される薬は体に合うのに時間がかかる場合があり、「様子を見ましょう」という状況がしばらく続いたりもします。そういった意味では、長くなる恐れというのは可能性としてあります。一方で、薬を使うことで、心が安定してきて、生活のリズムを取り戻し学校に復帰できることもあります。

確かに薬は合うあわないがありますし、投薬に対する不安な面もありますが、効果が全くないということはないはずです。また、状況によって、薬の種類を変えていき、やがては無しでも生活できるようにすることを目指しています。薬に頼ることは悪いことでも恥ずかしいことでもありません。

薬物療法に抵抗があるのであれば使わないという方法もあります。徹底的にカウンセリングを受ける、くらいしか対処の方法はありません。親御さんだけで解決できる場合もありますが、やはり何らかの形で第三者の力を借りることをお勧めします。というのは、不登校している本人より先に親御さんが参ってしまうケースもあるからです。また、子どもの不登校が解決すると、それまで抑えてきたストレスがグッとのしかかってきて、親御さんの心が不調になるというケースもありました。

いずれにしろ、親子の心が健全であるようになれば、薬を使っても使わなくてもよいのです。不登校自体の解決と、心の健康を切り分けて考えることをお勧めします。…

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不登校中は友達に会ってはいけないの?

不登校をしていると、周りの目が気になります。特に、同級生であったり、同じ学校に通っている人にどう思われているか、気になり、見かけるだけでも嫌な気分になったりもします。

相手にどう思われているかというのはたいていは、「ネガティブ」な思い込みではありますが、「学校や住んでるくせに」とか「本当は仮病じゃないのか?」とか、実際に言われていないのに、言われているような気がしてしまい、気分は落ち込みがちです。

友達に会ってはいけないというよりも、むしろ会いたくないという時期の人もいるかもしれません。

しかし、実際に会ってみると、心配してくれていたり、学校に出てくるのを楽しみにしていてくれる人もいます。

不登校をしているからといって友達に会ってはいけないというルールはありませんが、それは、不登校をしている生徒自身の心の状態にもよります。友達に良く思われていないだろうなという思いがある以上は無理に会う必要もありません。一方で、会いたいなと思って連絡を取ること自体は悪いことではありません。友達から連絡がないのは、変に連絡してプレッシャーに感じられたらいやだからという気遣いからかもしれません。ですから、会いたいと思えば会えばよいし、そう思わないのであれば、無理に会わない、避けることも必要です。

大切なのは不登校している生徒自身の心のありようにプラスになるかどうかです。友達に会うことで、気持ちが前に向くのであれば会うことはプラスです。しかし、相手に傷つけられたり、こちらが気を遣ったり、会うことで気後れしたりプレッシャーを感じるのであれば、それは心に対してマイナスに作用します。

自分の気持ちと相談して、負担でない範囲であれば、学校に行くいかない関係なく、人間同士のつながりとして会うことは決して悪いことではありません。…

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不登校の克服にどれくらい時間がかかるのか?

不登校のお子さんをもつ親御さんの心配の一つが、いつまでこの状況が続くのかということです。

学校の先生と話をして、「しばらくは様子を見ましょう」となりますが、実際は様子を見ていても何も変わった様子はなかったりします。むしろ、ちょっと元気になっていて「こんなに元気なら学校に行けるのではないか?」とさえ思ったりもします。

しかし、そのことを問うと、お子さんは黙ったり、機嫌が悪くなったりします。学校に行くからOKで学校に行かない自分はダメだという思いをお子さんが持っている可能性があります。

普段一緒に生活していると、心の変化は見えにくいところがあります。この変化は近しい存在に見て取ることは難しいところがあります。

たとえば、一緒に住んんでいる親が、子どもの身長が伸びたり、顔つきが徐々に大人びてきていることには気づかず、久しぶりに会った親せきなんかが「大きくなったね」とか「大人っぽくなったね」と変化を見ることができるようなもので、第三者の介入がないとできません。

不登校の対応で一番よくないのが「焦り」です。それはお子さんを焦らせることも問題ですが、お子さんに、学校のことや将来のことを尋ねることが難しい、親御さんの方が抱えやすいです。

不登校のお子さん自身も不安を抱えていますが、実は、親御さんの不安の方が大きく、その不安を敏感に感じ取って、子ども自身がさらにプレッシャー受けるという悪循環を生み出すことさえあります。

焦って解決することが、不登校の期間を短くすることはあまり考えられません。一時的に復帰したとしても、また不登校にならないとも言い切れないのです。

いつまで続くかという不安を解消することも大切ですが、「いつまで続いても大丈夫」と心の根をしっかり持つことをお勧めします。…

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不登校の兆候としてみられる10個の項目

不登校はある日突然

不登校はある日突然始まります。まさかうちの子が、とショックを受けられるかもしれませんが、誰にでも起こりうる可能性があるものです。

不登校の兆候は確実にあります。不登校になりそうなお子さんの特徴は、朝起きるのが遅くなること、学校に行ってやたらとくたびれて帰ってくること、学校のことをあまり話さなくなるなどが挙げられます。

初めから不登校をしたい子どもはいません。親や先生、または学校の友達から「サボり」と思われることを最も恐れます。

不登校になるときはエネルギーがありません。それこそ、勉強を頑張ったり、部活を頑張ったりすることはおろか、人と話をすることすらめんどくさいと感じるくらい、エネルギーがなくなります。

そのないエネルギーを振り絞って学校に行くのですが、ある日とうとう起きられなくなり、遅刻したり、欠席するところから始まっていきます。

うちの子が不登校かもしれない!と思ったら次の10個の項目を確認してみてください。

1 朝起きる時間が遅くなっている。または起こした時の反応が弱くなっている。

2 髪型や服装に清潔感がない。

3 忘れ物をする。

4 家に帰ってきたときに会話がない。

5 食事の時の表情で視線がした向きがち。

6 時折ぼーっと何かを考えているときがある。

7 深夜まで起きている。

8 ため息の数がふえた。

9 休みの日に出かけない。

10 成績が著しく低下している。

これら10個の項目は、普段と比べてというところではありますので、当然個人差はあります。しかし、6つ以上当てはまるという場合は、不登校の兆しがあると判断しても良いかもしれません。8個以上ある場合は、休ませてあげたほうが良い場合が多いです。

そういう時に、親が「学校でなんかあったの?」と話しかけてもまともには答えてくれません。本人の様子は意識しつつも、まずは学校の先生に報告してみてください。変わった様子がないか、友達関係はどうか、授業態度はどうかというところです。

学校側でも気になることがあれば報告してくれます。そういうところで、上手にフォローしてくれる先生がいればうまく立ち直ることができますが、それは稀なケースです。

学校はあくまで、登校している生徒に対応することが専門であり、不登校が専門ということはありません。先生方が特別な勉強をしているということもすくなく、経験値でお話しされますので、なまじ不登校の生徒へのかかわりの経験があると、前例を持ち出されて対応されるケースが少なくありません。しかし、不登校は、個別に関わらないといけないものであり、前例がそのまま当てはめられるケースは非常に少ないのです。

不登校の兆しが見えた時点で、スクールカウンセラーをはじめとした専門家に相談することをお勧めします。

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ありのままでいいは「何もしなくていい」ではない

「ありのままでいい」「ありのままの自分を認める」ということがアナと雪の女王のLet it GO が流行って以降、かなり言われるようになりました。

これは、自己受容という自分を知って、その自分を受け容れるということです。自己受容をすると、人と比べて卑屈になったり、無理に自分をよく見せようとしなくなったりします。その結果、心は楽になります。「がんばるべき」とか「良い人であるべき」という、自分を縛る「べき思考」からの解放にもなります。

ところが、ありのままの自分が嫌いな人はとてもじゃないけど受け容れられないことであります。

ありのままだと、何もしなくなるという恐怖があります。カウンセリングをしていても、 「ありのままのでいいと言われると、何もしなくなるんじゃないの?」 と疑問をいただかれる方がいます。

しかし、これは全く逆です。

ありのままの自分を認めると何かがしたくなるのです。

それは、ありのままの自分、この自分でOKという思いが、自己受容によって深まることで、「あ、これでいいんだな」と、フッと自分の力みがとれるのです。それまでは、他人と比べたり、自分が思い描いている理想の自分と程遠いことから、「どうせ無理」とか「自分には才能がないからできない」などと自分に対して内面で語られていた、否定的な言葉が消えていきます。

その結果、自分で自分に課していたリミットが外れるのです。

ありのままの自分を認め、自己受容が深まることで、それまでよりも楽に生きられるようになったという話はあります。しかし、堕落した生活になったというのは聴いたことがありません。ありのままの自分を認めることは、自分自身をダメにすることは決してありません。むしろ、自分らしく楽しく生きることができるようになるのです。

ありのままの自分を認めて、何もしなくなった、さらに堕落したという話はありえないことでもあります。

「ありのままの自分を受け入れたとき、初めて自分を変えることができるとはなんと興味深いパラドックス(逆説)だろうか?」と現代カウンセリングの祖のカール・ロジャーズも語っています。

ありのままの自分を認めること以上に自分を内面から変容させる方法は今のところないと言っても過言ではないくらい、この自己受容の世界というのは深いのです。

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生きてる意味ってあるんだろうか?―不登校しながら考えていませんか?

不登校の中で苦しくなる問い―生きる意味があるのか?

生きる意味があるのだろうか?

こんなことを自分に問いかけたことありますか?

この問いの答えはなかなか出すことが難しいです。そして、問いかけたことで頭は考え続けますが、ネガティブなところに行きついてしまいます。そして苦しい気持ちになります。不登校していてただでさえ苦しいのに、こんなことまで考えてしまう自分はおかしいと思うことさえあるのではないでしょうか?

この問いかけをしてしまう心の中には

生きている意味がない生きている意味が分からなくなった生きているのが辛い死にたい

こういった思いがあるのではないでしょうか。

いずれにしても、一人でこの問いを考えることは苦しいことです。

それは、答えが出ない、そして誰も教えてくれない問いに一人で立ち向かわなければならないからです。不登校している中学生や高校生、場合によっては小学生も自問している可能性があります。

そして、自分でもうすうす分かっているのは、「生きている意味があるのか?」と自分に問うた時の答えはかならず「意味がある」なのです。「意味があるんだ」と答えたいのです。でも、その答えに納得できない、自身が持てないのです。

それは生きている意味がある理由を明確に答えられないからです。「勉強ができる」「クラスで人気がある」「スポーツが得意」「絵がうまい」「歌声がきれい」など何かしら目に見える根拠となる理由が欲しいのです。

ところが、この自分に生きる意味を問いかけるときというのは心の調子が絶不調の時なのです。

「勉強したくない」「学校に行きたくない」「人に会いたくない」「何もしたくない」

それまで楽しいと思っていたことや、充実していると感じていた日々が突然、色あせてしまい、自分にとって距離のあるものに思われるのです。世界からの疎外感を感じてしまうのです。「精神的な孤独」状態に陥って、唯一無二の存在である自分自身と向き合う。そのときに「私って生きている意味があるのだろうか?」と問いかけることが始まります。

この問いと向き合うことは苦しいです。でもそんなことを自分で考えているなんて人には言えません。「精神的な孤独」状態を知らない人にとってはどうでもいいことなのです。でも、この問いにハマってしまう人にとってはとても辛い自問の日々が始まります。

そして、自分が生きる意味を証明するために、何かを頑張ろうとするのです。そして、ある程度のところまで行くと「虚しさ」を覚えます。自分が生きている意味はこれじゃない。これじゃ証明できないと。自分を責めることが始まり再び問いと向き合います。

不登校をしたり、引きこもったりしている人の多くがこの問いと向き合い、もがき苦しんでいます。

生きる意味を求める問からの解放

不登校をして、うつになった中学生。彼女は約3か月の間いと向き合いました。学校に行かない、勉強はしない、かといってこれと言って打ち込める何かがあるわけでもなく、ネットで動画をみたり、ゲームをしたり、見ず知らずの人とチャットをしたりしながら過ごす日々。こんな人生に何の意味があるのだろうかと悩み苦しんでいました。

時には「私は生きる意味がない」と自殺しようとして試みたこともあります。でも、「ここで死んだらもったいないな」と思ったそうです。その時は何がもったいないのかはわかりませんでした。

その間、私ができたのは話を聴くだけ。時には「ねえ、どうしたらいいの?」と迫られることもありました。そして、とうとうセッションにも現れなくなりました。どうしているのかなと思っていましたが、約1か月のブランクの後、連絡がありました。生きる意味を求める問から抜けていました。

何があったのかと話を聴くと一言「馬鹿らしくなった」と。

「別に意味なんかなくたって、楽しいことがあればそれでいいやと思ったんです。だって、自分の人生なんだから、意味はあってもなくてもどっちでもいい。それよりも楽しい時間がたくさんあればそれで充実しているから気にしないことにした。というより気にならなくなった。もし、意味がないとしても、こうして生まれてきたんだから仕方ないじゃんかと思うようになったんです」

「意味があるかないかにこだわって何もしないよりも自分が楽しいと思うことをやっていればそれでいいので、この夏は思いっきり遊ぶことにしました」

それが彼女の答えだった。今でも彼女とのセッションは続いている。でも、もう自分の生きる意味を問いかけて苦しい状況の時とはまるで違う。

生きている意味があるかないか。それを考えることも時には必要なのかもしれません。でも、その問いに縛られて苦しむことにあまり意味はないのかもしれない。

最近「生きる意味があるのか?」を自問して苦しんでいる人からの相談が多いので、感じるところを書いてみました。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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プラスからプラスの考え方

「プラスからプラスの考え方なんてできるの?」と私もこの考え方に初めてであった時思いました。普通はありえないし、そんなにうまくいかないと思ってしまいます。でも、やっぱり物事はプラスからプラスと考えたほうがうまくいくような気がしています。これは、自分の生き方もそうだし、人への接し方、自分に起こるいろいろな出来事についてもそう思ってしまいます。

今の世の中マイナスからプラス発想でものごとをとらえます。これが普通ですし、学校でもこういう考え方を学んでしまうわけです。

マイナスからプラス発想というのはたとえば

数学が苦手だから塾に行こう。英語が話せないから英会話に行こう。運動が苦手だから運動部に入ろう。

こういう弱点克服型の努力をすることです。これ自体が悪いわけではないと思います。自分の弱点を知っていることは大切なことです。

自分にはこういう弱点があるから克服している。

今の状況が不満だから、より良い状況になるために頑張る。

それは確かに短期的には持つことだ。

思いますが、長期的つまり長い人生を考える上では、

その発想だと疲れてしまうんですね。 なぜかというと、マイナスからプラスをもたらした瞬間にそのプラスのところでのマイナスが始まる

つまりこれは減点法的な物事の見方

悪いところを探してそこを良くしようという見方です。これだと悪いところにばかり目が行って、良いところに目が行きません。その結果、

自己否定感が強くなる自分に自信が持てなくなるどうせ自分は大した人間ではないからとあきらめてしまう

自分のことを低く見積もることはとてももったいないことなんです。

進学校に行った結果の浪人

私自身がそうでした。高校時代は地域でトップの進学校に行きました。しかし、勉強よりもクラブ活動に惹かれてその高校に進学したので、クラブに対してはとても熱心に打ち込みましたが、勉強に関してはしないのが普通でした。

勉強しない→授業が分からない→宿題が分からない→自分で勉強しない→テストの点が悪い→嫌いになる→勉強しない・・・

という負のサイクルのなかにいました。それが自分だと思っていました。成績に対して「劣等感」だけをもっていました。

そんなわけでまったく勉強しないので浪人することになりました。今思えば自業自得なのですが、当時の私にしてみれば、最後ちょっと頑張れば大学くらい受かると思っていましたが、まったくもってどこにも合格しませんでした。滑り止めの専門学校ですら合格できませんでした。

そういうわけで浪人をするわけです。大学入試に失敗するわけですね。

浪人生活で得たもの

今思うと、単に勉強しなかったことも大学入試がうまくいかなかった原因ではありますが、それ以上に私の勉強や成績に対する「劣等感」が良くなかったと思います。できないからやらないのです。これはマイナスからプラスよりもさらによくない「マイナスからマイナス」の状態です。頑張っても結果が出なければ人は頑張ることすらやらなくなるのです。

そんな状態で浪人生活に入るわけです。高校時代に勉強していなかったので、一から、そして基礎から教えてもらえるのがありがたく、成績は上がり始めました。もちろん勉強に対する姿勢が変わったのもありますが、実は変わったのは目標でした。それまでは自分の能力はこのくらいだろうと、低く見積もっていて、それなりの目標しか掲げていませんでしたが、浪人して、チューターと面談する中で、もっと上を目指しても良いということに気が付きました。そして自分の今の成績はさておいて、本当に行きたい大学を志望するように心がけたのです。すると、モチベーションが変わりました。

これは私の場合ですが、成績が上がったから自信がついたのでありません。大会目標を設定してもいいと自分に言い聞かせたことで、勉強に対する姿勢が変わり、成績があがりました。

つまり、当時の自分ー浪人している自分もプラスととらえたことで、より高いプラスの目標を設定することができたのです。高校時代はぎゃくで自分をマイナスととらえていたので、高い目標は設定できなかったのです。

余談ですが、私の仲の良い友人というのは浪人時代の友達です。これも浪人時代に得たものです。

私は浪人したことをその時点では浪人したことは失敗だなよくないなと思ってましたけど。思うと浪人してよかったなと思うことはたくさんある。(浪人を積極的にお勧めすることはしませんが・・・)

つまりマイナスだと捉えればとことんマイナスに捉えられる。同じで、どんなこともプラスに捉えると、プラスに捉える方法があるわけです。

そしてプラスに捉えるっていうことをたくさんしていくと、自然と今こういう自分ラッキーだな、こういう自分恵まれてるなこういうことが当たり前にできてくれたけど感謝だなという視点がたくさん生まれてくるんですね。 そういうことを味わっていくと、人生楽しくなる。

今、老後の資金が2000万円必要だというニュースが話題になっています。確かに老後のことをニュースになると心配のこともあります。でも、実際にどんな時代になるのか分からない老後に向けていまから一生懸命働いて、そのためだけに2000万貯金するのはちょっと寂しすぎる気がします。

老後のために働くことで失うのは、今という時間です。その損失は2000万以上だと私は思います。

こういう先行きが不透明な時代だからこそ、私は今をプラスにとらえる「プラスからプラス」の考え方が必要だと思っております。

今日は最後まで読んでくださってありがとうございました。…

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逆効果?!ほめるときにやって欲しくないこと。

ほめるときにやってはいけないのは、比較することです。ありがちなのが、下をほめるために、上を比較対象とすることです。たとえば、

兄弟間での比較です。

「お兄ちゃんより上手だね」「お姉ちゃんより早く覚えたね」

など、特に、下の子どもが頑張っているときについ、上の子と比較してほめてしまいますが、これは逆効果です。その時は良いかもしれませんが、下の子が上の子をバカにするようになります。特に年齢が近いと、余計にライバル心を持って頑張ります。かわいそうなのは上の子です。下が頑張ってほめられているのをみて、余計に頑張ればまだいいほうで、やる気をなくしたり、卑屈になったりして「どーせ僕なんて」とか「私より妹の方がかわいいんでしょ」とか拗ねてしまいます。

これは、職場や学校でも同じです。新人や後輩をほめるために、上司や先輩を比較対象にする。実はこれ、ほめられたほうも気分がよくないのです。自分が敬意を払うべき相手より、上に用いられるのはあまり気分がよくないのです。この場合受け取りづらいほめ言葉になってしまうのです。

他にも比較はあります。

それは友達との比較です。

「○○くんよりすごい」など特に名指しで比較するのはやってはいけないことです。友達のことをよく思っていなければ、そのままバカにするような態度を促してしまいますし、一方で比べた友達のことが好きであれば、これも居心地が悪く、あまり良い気分がしません。

そして、もっともやってはいけないのが、

親との比較です。

「お母さんよりできるじゃない」とか「お父さんよりも頭がいい」などと、子どもの成長うれしさに、親自身が自分と比較して子どもをほめることはやってはいけません。それは、子どもにとって親はもっとも尊敬する大人、大切な大人である存在です。その存在よりも優れているというのを子どもはどう受け取るでしょうか?

1つの受け取り方は、親を見下すようになる。また別の受け取り方は「自分をいい気分にさせるために言っているな」と疑う。また、もう一つの可能性としては、親を超えたからもう頑張らなくていいと思う。です。いずれにしろ、子ども自身がよい受け止め方をすることは考えにくいです。

そもそも比較から出てきたほめ言葉はほめではありません。

何かと比べないと良いところが見つからないようであれば、ほめない方がよっぽどましなのです。

ほめるうえで大切なのは、その人自身への関心です。唯一比較すべきなのは相手の過去との比較です。前より上手になった、昔に比べて早くできるようになったなど、その人の成長が分かるからです。

そもそも、誰かと比べなくても、必ず、その人自身の良いところ、優れているところはほめポイントとしてあります。例えば、性格をほめる、ファッションセンスをほめる、知識をほめる、考え方をほめる、努力をほめるなど、相手に関心さえあれば必ず見つかります。

比較のほめ言葉から脱して、相手の存在に向けたほめ言葉が世の中に増えていくことを切に願っています。

最後までお読みくださりありがとうございます。…

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勉強するやる気をなくしてしまう、使ってはいけない3つの言葉

中学生 高校生が勉強するやる気をなくしてしまう、使ってはいけない3つの言葉 勉強しないといけないという焦りから出てくるネガティブな言葉

勉強しないといけないという思い中学生、高校生であれば多くの人がもっています。中間テストや期末テストの答案が返却されて、思ったほど点数が取れていないとき「よし、次こそはやるぞ」とそのときにはやる気になります。

家に帰るまでの道のりで、勉強の対策を立てる。そして、いよいよ勉強ができる環境が整うと、急にやる気がなくなってしまう。机に向かって問題集を開く代わりにスマホを触ってしまう。

勉強に取り掛かろうとしてもなかなか行動できない。

やる気にはなるし、やらないと分かっている。でも行動できない。

これは実は普段つかっている言葉の中に原因があります。

ここでは行動力をあげるために使うのをやめることをお勧める3つの言葉を紹介します。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉その1 面倒くさい

英語の宿題が面倒くさい

学校に行くのが面倒くさい

部活めんどくさい

結構いろんな場面でこの言葉に触れているはずです。「面倒くさい」という言葉を1日使わずに過ごすことはあるでしょうか?言葉にしないまでも、心の中でつぶやいていたりする可能性もあります。意識しないレベルでの心のつぶやきです。

面倒くさいという言葉を放ったあと、自分がやるべきことに行動が向くでしょうか?勉強しないといけないと思って家に帰っても、この言葉が出てきた瞬間に、「まあいいや」とか「後でやろう」ということになり、マンガ本を読んだり、スマホを触ったり、テレビを見たりしてしまいます。

面倒くさいという言葉の扱いはかなり面倒くさいです。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉その2 無理 ムリ

わたしには無理

それ無理

マジ無理

これは教師時代の経験ですが、勉強の仕方に関するアドバイスを求めてくる生徒がいました。しかし、どんなアドバイスをしても「それ無理」「ムリムリ」と言われました。「そんなに無理って言われたら、アドバイスのしようがないよ」というと「え~、無理~」と・・・

とにかく何をいっても「無理」と言ってくる。そこで「難しい」とか「なんとかなりそう」とか「ここまではできるけど、残りは後にする」など、断ったり、譲歩したりする言葉はあります。でも「無理」の一言で全否定すると、そのあとの可能性がすべてゼロになってしまいます。

「無理」という言葉は自分の可能性を否定するだけでなく、思考もストップしてしまいます。つまり、この言葉を使った時点で、考えることすら放棄してしまいます。

勉強しようと思っていても心の中に「やっぱ無理」という言葉が出てきて、そのあと勉強する気持ちを起こすには結構な手間と時間がかかります。「無理」という言葉を使うことは控えましょう。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉 その3「どーせ・・・」

どーせ私なんて、どーせオレなんて

どーせ無理、どーせできないし

頑張ったってどーせうまくいかないし

「どーせ○○」というのは自分のことを自分以下に見ている言葉です。とてももったいないです。若い人は可能性を秘めています。確かに今の自分はできないこともあるかもしれません。でも、これからが勝負なのです。私はアラフォーですが、アラフォーのおじさんと10代の若い人、そりゃ知識や経験はおじさんの方があります。でも可能性に関しては、10代には絶対に勝てないんです。でも、残念ながら、進路の相談にしろ、勉強の相談にしろ、話をしていると、なかなか素敵な考え方や将来を考えているにもかかわらずどこかで「でも、どーせ私が頑張っても・・・」とか「どーせ、うまくいかないからやらない」という言葉を聞くことがあります。もったいないことです。

まだまだ未来のある若い人には、ちょっとオーバーなくらいご自身の可能性を認めて、前に進んでもらいたいものです。

だからこそ使ってほしくない言葉が「どーせ」ということです。

日常使っている言葉は私たちの気持ちや行動に影響を及ぼします。つらいとき、しんどいときは、つらくなる言葉や、しんどくなる言葉を使いがちです。気持ちや行動を変えるには言葉を変えることも一つの手段です。

私たちの心の中は絶えず、何らかの言葉が発せられています。意識しないレベルでの言葉のやり取りもあります。それをセルフトークと言います。このセルフトークを変えていくことができれば、やる気に満ちた行動力を得ることができます。ただ、これは一朝一夕ではできるものではなく、ある程度、自分の言葉の癖を知る必要があります。

今回紹介した「面倒くさい」「無理」「どーせ○○」という言葉はいずれも、中学生や高校生と接していて、よく耳にする言葉でした。そして、これらの言葉から引き出されるのは積極的な行動ではないのです。

使うのをやめることが一つの目標ではありますが、実際にはそれは難しいことです。自分のセルフトークからこれらの言葉を無くすことは不可能に近いです。しかし、言葉として口から発しないように意識することはできます。

その最初のプロセスが「あっ、言ってしまった」という気づきです。最初の気づきが大きな一歩となり、セルフトークの変化につながります。

やる気をなくしてしまう言葉、気を付けてみてください。

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不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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教育界が注目している自己肯定感。成績だけじゃない、自己肯定感がが高い人が得していることは??

自己肯定感とは?高い人と低い人の違い

自己肯定感とは、自分で自分のことを「良い」と存在や価値を認められる力です。この能力は近年、教育の分野で注目されている力の一つです。

それは、日本だけでなく世界で活躍する、実業家、スポーツ選手、芸術家の多くが自己肯定感が高いということも一つの証拠です。

例えば、野球選手で二刀流といえば大谷翔平選手。彼が日本だけではなく、メジャーでも二刀流を貫き、活躍できているのは彼の自己肯定感の高さだと言われています。今まで誰もなしえなかったことをなしているわけです。当然、先輩や著名な野球OBからの批判もありました。しかし、そういう批判があるのを知りながらも自分の道を貫く強さの秘訣は、やはり「自分はこれでいい」と認めている自己肯定感に他ならないのです。

では、自己肯定感と成績の関係はどうでしょうか?実は、自己肯定感が高いから必ず成績がよいというわけではいです。ただ、成績が上位の人には自己肯定感が高い人が多いということが「全国学力テスト」の分析からも証明されているようです。

教育現場にいた私の実感として、成績が高くても自己肯定感が低い生徒はいました。成績トップのクラスで高得点を取る、宿題もきちんと出す、でも自己肯定感が低いのです。その理由は、成績が悪いと親に叱られるから、いつもおびえているのです。その生徒が期末試験で95点を取りました。学年の最高点でした。しかし、彼は喜びませんでした。「あ~、あと5点」とボヤいていました。私が「学年最高点だよ。今回はちょっと難しかったから平均点も63点だから、かなり良いよ」と言っても「いや、ミスですね」というのです。

自己肯定感が低いとほめ言葉が入らない。そして、失敗をずっと引きずるのです。ですから彼の成績は安定しませんでした。

一方で、授業中、いつも楽しそうにしていて、成績の良い生徒というのが何人かいました。彼らのことを思いながら、自己肯定感高いと成績が良い理由を考えてみました。

それは、好奇心、友達関係、レジリエンス(気持ちが落ち込んだ時の回復力)にあります。

自己肯定感が高い人が得していること その1

子どもは好奇心が旺盛です。自己肯定感が高いとその好奇心が勉強に向かいます。その結果自ら学ぼうとします。授業中も気になることがあったら質問してきます。「もっと知りたい」という思いが強いのです。そして、恐れがないので、どんどん前に進みます。だから、先生の指示を待たずに次々と勉強していきます。そして、学校では教えないような内容まで頭に入れていることもあります。今ではすぐにネットで調べたりしています。

そして、自己肯定感が高い彼らが得なのは、知っていることを話しても、イヤミったらしい自慢に聞こえないのです。それは、自分の優越感のためにやっているのではなく、人に教えることを楽しんでいるからでてくるものなので、聴いているほうも嫌な気がしないのです。

自己肯定感が高い人が得していること その2

自己肯定感が高い子どもは自己肯定感が高い子どもと仲良くなる傾向にあります。そして、互いに刺激しあいます。自己肯定感が高い人同士が仲良くなると、非常によい信頼関係を築けます。たんにまじめな話だけでなく、フランクな話ができます。意見の対立があっても、基本的に仲がよいので、「なんでも言える仲が良い友達」ができます。嫌なことがあっても、不満があっても何でも話せるわけですから、立ち直りが早い。結果、余計な心配はないわけです。すると、授業への集中、自宅で勉強しているときの集中が全然違うわけです。

中学生、高校生が勉強できない理由の一つは「心配事」です。目の前に問題集を開いていても、頭の中では違うことを考えてしまっているのです。その違うことというのは、友達に言われた一言だったり、好きな人から視線を外されたことだったり、友達どうしがけんかして、その仲裁に入っているけど、どうふるまって良いかわからなかったり・・・結構、人間関係が問題の種になっていることがあります。

自己肯定感が高ければ、こんな煩わしい人間関係から全く解放されてしまいます。というのは言いすぎですが、自己否定感が強い人よりは、余計な心配事で時間と気を遣って疲れることはありません。

勉強するときは勉強するという集中が生まれる背景には、普段の人間関係がごちゃごちゃしていないというのが大切です。そして人間関係をよくするうえで大事なのが自己肯定感なのです。

ちなみにテンションが高いのと自己肯定感が高いは別物です。

自己肯定感が高い人が得していること  その3

自己肯定感が高い人は落ち込んでも立ち直りが早いです。 嫌なことが起きた時に気持ちを回復する力をレジリエンスと言ったりします。

自己肯定感が高いからと言って運が良くて、なんでも思い通りに物事がうまくいくわけではありません。嫌なこと、落ち込むこと、まさかと思うような事態に合うことだってあります。

テストで悪い点をとることだってあるのです。さて、その時にどうとらえるかが、違うのです。

自己肯定感が高い人は、できたところを見る、できていなかったところは次への糧にする。今回の勉強のどこが良くなかったのかをきちんと反省して、次に生かそうとうする。

自己否定感が強い人は、できていないところを見る、問題が悪いと文句を言う、自分より点数の低い人を見て安心する。逆に良い点を取った人にひがむ気持ちを持つ。

自己否定感が高いと頭の中で自然と「ピンチをチャンスととらえる」思考が働きます。ですから、自分にとって思わしくない状況を受け入れて、次にどう活かすかを考えるのです。つまり、次につながる行動がそこから始まっていきます。実は、この行動が、回復のために必要なことなのです。

現状が大変でも何をやればよいのかが分かれば、そこから気持ちが回復していくのです。

まとめ

自己肯定感が高い人は自分の内面も、人との関係も、自然と健全な状態を保とうとします。嫌なことがあれば立ち直る、人とトラブルになれば、解決に向かう。そこで、話しあったり、謝ったりできるわけです。余計な心配がないから、目の前のやるべき勉強に集中できるし、難しい問題も「どうせ無理」と投げ出そうとせず、「どうやったらできるか?」を考えて学び続けられるのです。

そして、自己肯定感には自分の可能性を肯定する側面もあります。ですから、新しいこと、やりたいことにどんどんチャレンジして自分の将来を拓いていく力の源にもなります。自己肯定感を高めて損をすることは一つもないのです。…

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AIが発達しても仕事がなくなるわけではない。そんな心配をするよりも大切なことがある。

Googleの検索に「AI  仕事」と入れると「奪う」とか「なくなる」と出てくる一方で「増える」とか「活用」という言葉も出てきます。

AIの技術が発達することはとても喜ばしいことです。これまで手間のかかっていたことが、全部自動化できるようになるわけですから、とても楽になるはずなのです。

AIには「ディープラーニング」で、たくさんのデータを学ばせます。それこそ人間が記憶できないくらいの大量のデータを学ばせるわけです。しかも短時間で。それらの情報を用いて、必要な判断をするようにプログラムをしていく。そうすると、人間ではとても時間のかかることを一瞬のうちに成してくれるわけです。

発達は、喜ばしいことであるはずなのですが、どうも危機感をあおるような面もあります。

「AIに負けない」とか「AIに奪われない仕事」なんていう記事や広告をよく見かけます。

確かに、AIが発達することで、今の産業の構造は変化していくことはまちがいありません。なくなる仕事、職業がでてくることも間違いありません。

しかし、AI関連の仕事が増えていきます。それがどんな仕事なのかはわかりません。ただ、私が大学生になったころも、インターネットが世に広まり始めたころで、「インターネットが仕事を奪う」ということがさんざん言われていました。しかし、インターネット関係の仕事はかなり増えたのです。ホームページを作る、集客をする、サーバの管理やネットワーク回線の配置などです。今ではエンジニアやウェブデザイナー、ライターが取り合いになり、人がいなくて困っているくらいに求人があります。

さらに歴史をさかのぼってみれば、蒸気機関、電気が発明され、工場で機会がモノを作るようになりました。大量生産ができるようになりましたが、その分労働力も必要になりました。

つまり、AIの発達は仕事が奪われる(なくなる仕事がある)というのは一つの側面にすぎません。これは技術革新であり、現代における産業革命なのです。

AIは人間に扱われるものであって、私たちの生活を脅かすものではありません。

世の中が便利になることで、その便利さを支えるために必ず人の手が必要になります。さらには、AIがあることで今では想像できないような素晴らしいサービスやプロダクトが生まれてくるのです。

今の中学生、高校生が活きる時代は、AIをはじめとした新たな技術に飲み込まれるのではなく、発達し続ける新しいテクノロジーをいかに活用するかを考えて、用いていく必要があるのです。

AIが発達しても仕事がなくなるわけではありません。そんな心配をする時間があるなら、自分は何をしたいのか、将来を描くことにその力と時間を費やしてほしいのです。

「この仕事はAIが発達してもなくならないから」と、そんな消極的な思いで就いた仕事が人生を満足させるものになる可能性は極めて低いのです。

大切なのは自分軸で将来を考えることです。技術革新が起こっても、今ある仕事がすぐになくなるわけではないですし、あなたがその仕事をどうしてもやりたいのであれば、工夫次第でいくらでも生き残ることができます。そのための考え方、前向きな心の持ちようこそが、教育の中で身につけてほしいことなのです。…

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中学生になって不登校 勉強嫌いの息子が勉強に目覚めた理由とは

中学生になって不登校 勉強嫌いの息子が勉強に目覚めた理由とは

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。 今回は、不登校になり勉強嫌いになった中学生の息子が、どのようにして再び勉強に向き合うようになったのか、その理由とプロセスについてお話しします。

不登校になると、多くの子どもが勉強に対して興味を失ってしまいます。 それまで真面目に取り組んでいた子でも、突然やる気をなくしてしまうことがあります。 親としては、「やればできるのにもったいない」と感じることでしょう。

 

しかし、不登校の子どもたちは、日々を生きることに精一杯で、先のことを考える余裕がないのです。 それでも、心の奥底では「高校に行きたい」「勉強しなければ」という思いを抱えていることが多いのです。

中学生が勉強嫌いになる原因 学校の勉強が難しくなる

小学校までは授業についていけていた子も、中学校の英語や数学の難しさに直面し、苦手意識を持つようになります。 特に、英語の文法や数学の抽象的な概念に戸惑い、勉強が嫌いになることがあります。

授業のスピードについていけない

中学校では授業時間が長くなり、進むスピードも速くなります。 小学校のように丁寧な繰り返しが少なくなり、理解が追いつかないまま進んでしまうことが、勉強への苦手意識につながります。

勉強の仕方がわからない

中学生になると、自分に合った勉強法を見つけることが求められます。 しかし、多くの子どもはその方法がわからず、成果が出ないことでますます勉強が嫌いになります。

クラブ活動に熱中しすぎる

クラブ活動に夢中になるあまり、勉強に意識が向かなくなることもあります。 体力的にも時間的にも余裕がなくなり、勉強を後回しにしてしまうのです。

勉強する意味がわからない

 

「なぜ勉強しなければならないのか」という疑問が生まれ、勉強に対する意欲を失ってしまうことがあります。 この疑問が深まると、自分の存在意義にまで考えが及び、勉強どころではなくなってしまいます。

勉強嫌いから抜け出すために 勉強を強制しない

勉強嫌いな子どもに無理やり勉強させても、逆効果になることがあります。 強制されることで、ますます勉強に対する抵抗感が強くなり、やる気を失ってしまいます。

将来に目を向けさせる

勉強の意義を見出すためには、将来について考える時間を持つことが大切です。 「将来の夢を叶えるために、今の勉強が必要なんだ」と気づくことで、勉強への意欲が湧いてきます。

雑談の力を活用する

勉強や学校とは関係のない雑談が、子どもの心を開くきっかけになります。 何気ない会話の中で、子どもが自分の気持ちを話しやすくなり、勉強への興味を取り戻すことがあります。

ここに見出しテキストを追加

不登校や勉強嫌いの子どもに対して、無理に勉強をさせるのではなく、将来の目標や夢について話し合うことが大切です。 また、日常の雑談を通じて、子どもの心を開き、勉強への意欲を引き出すことができます。 子どもが自分のペースで前に進めるよう、温かく見守っていきましょう。

ビジョナリーキャリアアカデミー カウンセラー大久保智弘

これまで、数百人の中学生・高校生の不登校をサポートしてきました。お子さんの不登校や勉強に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

コラムを最後までお読みいただき、ありがとうございました。 お子さんの不登校や勉強に関するお悩みがありましたら、無料でご相談を承っております。 お気軽に

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本連載は、子どもの「しんどさ」を「生物・心理・社会」の三つの視点で読み解きます。

基本となる考え方(生物心理社会モデル)の解説は→ https://visionary-career-academy.com/archives/4178

「食べる」「食べない」に隠された心の叫び

思春期になると、「太りたくない」「食べるのがこわい」「食べたら吐きたい」と訴える子がいます。夜になると過食が止まらず、罪悪感から吐いてしまう子もいます。

食べることは生きるための基本的な行動ですが、摂食障害(Eating Disorders)は単なる食の問題ではなく、心・体・社会のバランスが崩れたときに起こる心身症状です。

生物・心理・社会 ― 三つの視点で整えていく 生物(Biological)― 命を脅かす「飢餓」のメカニズム

摂食障害は、圧倒的に女性に多い疾患です。厚生労働省の調査(2020年「思春期・青年期の摂食障害実態調査」)によると、日本の女性の約0.5〜1%が一生のうちに神経性やせ症(Anorexia Nervosa)を経験し、男性の約10倍の発症率とされています。

食べない状態が続くと、体は「飢餓モード」に入り、心拍・代謝・体温が低下します。極端な場合は体重が30kgを下回り、心不全や電解質異常によって命を落とすこともあります。

さらに、本人は「やせすぎ」と指摘されても、自分を「太っている」と感じる――。これは、**身体像のゆがみ(Body Image Distortion)**と呼ばれる特徴です。

この段階では、脳そのものが飢餓状態に支配され、判断力や感情制御が低下し、「まだ足りない」「もっと減らせる」という思考が止まらなくなります。つまり、意志や性格ではなく、脳が飢餓に支配されているのです。

心理(Psychological)― 「やせることで自分を保つ」

摂食障害の多くの背景には、完璧主義・負けず嫌い・強いべき思考があります。

・何事もきちんとやらなければならない・失敗してはいけない・他の人より劣ってはいけない

こうした強い自己要求が、「体重」という客観的な数値に置き換わります。

「この数字なら私は大丈夫」「この数字であの人より細い」

やせていることは、他者より「優位である証拠」になり、周囲の女性より細いことで安心感と優越感を得る。

ジムの鏡に映る自分の細い体や、温泉で他人が驚いた表情を見た瞬間に「勝った」と感じる――。この小さな“勝利感”が、脳の報酬系を刺激し、さらにやせようという衝動を強化していきます。

やがて、体重計を常に持ち歩き、一日に何度も測るなど、体重への強迫的執着が生じます。

また、摂食障害の方の中には、**リストカットやオーバードーズ(過量服薬)**を併発することもあります。「完璧でいられない自分」を罰するかのように、身体的な痛みで心の苦しさを和らげようとするのです。

社会(Social)― SNSがつくる「比較と劣等感の時代」

現代のSNSは、情報を共有するツールであると同時に、他人との比較や劣等感を刺激する装置になっています。

タイムラインには「理想の体型」「完璧な生活」「映える食事」が並び、「自分はまだ足りない」「もっと頑張らなきゃ」という思考が強化されていきます。

SNSは、私たちの脳の報酬系を刺激するように設計されており、「誰かより上でありたい」という競争心を無意識に掻き立てます。その中で、「やせている=優れている」という文化的な価値観が強化され、子どもたちはそこに“居場所”を見出してしまうのです。

家庭や学校でも、「ちゃんと食べなさい」「太った?」といった何気ない言葉が本人にとっては「否定」や「監視」として響くことがあります。

食の話題を避け、安心できる日常会話を増やすこと。それが家庭でできる最初の支援です。

医療と治療の必要性

摂食障害は、医療介入が欠かせない精神疾患です。放置すると身体合併症や自殺リスクが高まり、早期治療が必要です。

DSM-5では、主に次の3タイプに分類されます。

神経性やせ症(Anorexia Nervosa)

神経性過食症(Bulimia Nervosa)

過食性障害(Binge Eating Disorder)

治療では、体と心の回復を同時に進めることが基本です。

栄養管理と内科的治療

認知行動療法(CBT)

家族療法・心理教育

特に認知行動療法は、摂食障害の根にある完璧主義や「〜すべき」思考をやわらげ、「体重=価値」ではない自己評価を育てていく方法として有効です。

日本では、国立病院機構久里浜医療センターをはじめ、摂食障害専門外来を設ける医療機関が増えています。適切な治療によって回復できる病気であることを、まず知ることが大切です。

家庭でできる支援

・体重や見た目の話題を避ける・「食べた?」「太った?」ではなく、「今日はどう過ごせた?」と聞く・「食べてほしい」より「一緒に過ごしたい」と伝える・医療機関やスクールカウンセラーに早めに相談する・家族自身も心理的サポートを受ける

親の育て方の問題ではありません

摂食障害は「親のせい」ではありません。まじめで努力家な性格が極端な方向に働いた結果として、心と体のバランスが崩れてしまったのです。

しかし希望があります。専門的支援を受けた多くの人が、数年をかけて健康な体と自己肯定感を取り戻しています。焦らず、時間をかけて回復を見守ることが、何よりの支えになります。

参考・参照

・厚生労働省(2020)「思春期・青年期の摂食障害実態調査」・American Psychiatric Association (2022).…

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友達とのトラブルを解決できるアサーション

アサーションというのは自分も相手も大切にする話し方です。そのポイントとは?

アサーションというのは、自分の言いたいことは伝えるけれども、相手にも配慮した伝え方をするというものです。

アサーションのポイントは怒りを伝えるのではなくて、素直な「気持ち」や「お願い」したいことを伝えます。

大事なことは文字ではなく言葉で伝えてほしいのです。

アサーションで自分の気持ちを伝えたり、お願いをすることで、自分の中に不快な感情、怒りをため込むことも防げますし、友達との関係をより深めるきっかけにもなります。

確かに、言いたいことを言うことは勇気がいります。しかし、言いたいことを言える関係こそが、本当の友達です。学校におけるストレスはいろいろあります。

勉強、クラブ、先生のことなどありますが、頭の中に多くある悩みは友達や彼氏・彼女のことではないでしょうか?

友達関係のもやもやが解消することは、学校でのストレスを減らすだけでなく、勉強やクラブ活動などへの集中力や意欲を高めることにもつながります。

トラブルはアサーションで解決!

例えば、毎晩の10時過ぎにLINEが来る友達がいたとします。その時間あなたは勉強の真っ最中で、LINEが来ると、勉強に集中できないからスマートフォンの電源を切っていた。すると、次の日、朝起きるとともだちからLINEが来て「何で返信くれないの?」ととても怒ったメッセージが残っていて嫌な気分で学校に行くことになりました。この時どのように対処したらよいと思いますか?

確かに夜何も言わないで、受信できないようにしたことは詫びたほうがよいとおもいます。その後何て言うかです。「なんであの時間に毎日LINEをくれるの?」と言ってしまうと、これは怒りを伝えていることになります。そうではなくって、「あの時間は私勉強しているからLINEの返信がすぐにできない」とか、「メッセージを送られても読むことができないんだ」というふうに伝えることもできますね。また、「LINEは21時までに送ってもらえれば返すことはできる」と言うこともできます。

アサーションは怒りを伝えるのではないけれども、こちらの言いたいことはちゃんと伝えるということです。ただし、もう一つ重要な点があります。それは、相手がそれで納得するかどうかは別の問題だということです。

「10時以降のLINEは送らないでほしい」という伝え方もアサーションです。

しかし、こう伝えてしまうとあいては「私のこと嫌いなの?」とか「私って迷惑なの?」と言ってくることも考えられます。

さて、アサーションで伝えても、トラブルになるじゃないかと思われたかもしれませんが、単に言いたいことを伝えるだけではまだ70点くらいです。大切なのは「何のために私が、あなたにお願いをしているか?」を伝えることです。

仲の良い友達になかなか言えないことを伝えるのは、その友達との関係を今後も続けていきたい、より仲良くなりたいからではないでしょうか?

そのこともきちんと言葉で伝えないといけません。

つまり、アサーションで伝えていることの目的も伝えるのです。「あなたとこれからも仲の良い友達でいたいから伝えているんだ」ということを言われて悪い気分になることは少ないと思います。

さらに、「もし、今伝えていなかったら、だんだんあなたのことが嫌になると思ったから、それだけは避けたかった」と言わないことのデメリットも伝えるとなお良いです。

そもそも友達とのトラブルの原因は「言えない」こと

友達との関係においてトラブルの原因は「言いたいことが言えない」ということです。言いたいことを言うと相手を怒らせてしまう、今の関係が壊れてしまうという恐れがあります。しかし、アサーションを使ってコミュニケーションをすれば、言いたいことを言えるだけでなく、よりよい関係に発展させていくことができます。

しかしながら、私たちはイラッとしたときに、つい怒りをぶつけてしまいます。

「何でこんなことするの?」とか、「どうしてそんな言い方をするわけ?」と、文字で見ると疑問文ではありますが、この言葉は相手を責める言い方です。(これをあなたメッセージとかやっつけメッセージといいます。)

これは、言葉をつたえるというよりも「怒り」を伝えてしまいます。その結果、けんかになってしまうのです。

しかも今はコミュニケーションの仕方が複雑になっています。LINE、Twitter、Instagram、Facebook、など、SNSがいっぱいあります。

基本的にSNS文字でのコミュニケーションになるわけです。

文字のコミュニケーションは表情や声のトーン、大きさなどがとても伝わりにくいものです。

これらを非言語コミュニケーションと言うんですけれども文字だけのコミュニケーションではくみ取れない情報があるので誤解を招きやすいのです。

SNSで起きた誤解を実際のコミュニケーションで解いていくという面倒なことをしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

互いに不快な状況からコミュニケーションが始まるので、けんかにもなりやすいですし、できれば避けたいトラブルになるわけです。

アサーションを身につけるための最初の一歩は?

アサーション、分かった!よし、あの子に言いにくかったことを言おう!

といきなり問題解決に行くと失敗する可能性が大きいです。

言いにくいことを相手に伝えるのは本番です。本番に向けては練習が必要です。

その練習として、身近な人に言いやすくアサーションをするのです。

自分の気持ちを言葉で伝える、自分がお願いしたいことを、相手の反応も踏まえてお願いするのです。

そうやって、「うまくいく感覚」をつかんでいくことです。

これが繰り返されていくと、気になるあの人になんて伝えたらいいかを、あれこれ言葉を選んで考えられるようになります。

そのころにはアサーションが身に付いているといえるでしょう。…

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受験勉強をしていて集中力が続かず、気が散るあなたへ。実はやる気はコントロールできる。

1 受験勉強をしていて気が散るとき

勉強しようと思ったタイミングで「勉強しなさい」と母親に言われたから余計にやる気がなくなったり、さてようやく机に向かって鞄を開いて問題集を取り出し、筆箱からペンを取り出そうとした瞬間、LINEのメッセージが来て気が散ってしまう。やる気がそがれる要素はたくさんあります。

やる気がなくなると人のせいにしてしまいます。確かに、親や友達によってやる気がそがれます。しかし、やる気が出てこないことは他人のせいだけにはできません。実は、やる気は自分でコントロールできるのです。やる気を引き出すには小さな行動が必要だといわれます。それは、脳を刺激することでやる気が出てくるわけです。でもこれってなんか変な感じしませんか?やる気がないから行動できないでこまっているのです。

2やる気は自分でコントロールできる

勉強しないといけないと分かっていても、机に向かわないのはやる気がないから。

3小さな行動をすると脳が刺激される

では、やる気を自分で出す方法というのは何かというとそれは?それは小さな行動です。勉強を例に考えると、教科書を開くとか、問題集を眺めるとか、机を片付けるという準備をするだけでも効果があるのです。それを1分~3分やっていると、自然と手が動き始めます。そこまでくると大丈夫です。やり始めると集中している状態を自然とつくることもできます。

なぜ、小さな行動がやる気と関係しているのか?実はこれは脳の仕組みなのです。やる気をつかさどる淡蒼球という部位。ここを刺激する一つの方法が行動だからです。しかもそれは、行動の量や質ではなく、単にやったかどうか。動いているかどうか、によるのです。動いているとやる気がでるのです。学校帰りに今日は家に帰ってあれをやろう、これをやろうと、頭の中でプランを立てることがあると思います。家についてから、そのプラン通りに行動できるでしょうか?なかなか難しいと思います。まず、体が疲れています。荷物を置いて、制服を着替えて、リビングのソファーに座って、テレビをぼーっと眺める。家に帰っているときの行動からすればかなり、脳への刺激は減ってしまうわけです。そして、夕食を食べて、お風呂に入る。体は眠りにむかって準備を整えていきます。

やる気をだす行動からは程遠くなってしまうのです。そこにいきなり「今から2時間は勉強するぞ」というのは余計にプレッシャーをかけることになり、逆に行動を遠ざける可能性すらあるのです。まず、初めは準備程度の小さな行動で十分なので、少し動いてみることが重要になります。やる気は初めからある必要はありません。形からでもいいのでやってみることです。

実はスマホに時間を取られてしまうのも同じことなのです。何気なく手にしているうちにSNSやインターネットの情報に触れ、そこでの行動に対してやる気がでてしまっているわけです。やる気がでてくると、ある程度気が済むまで行動は止まりません。これが勉強であっても同じです。何気なく眺めているうちにやろうかなという気になってしまいます。手が動き出すとかなり有効で、ある程度区切りがくるまでやり切ってしまいます。

4やる気とごほうびの関係

人がやる気を出してくれるという考えは間違いです。

テストで平均80点以上とれたら新しいゲームソフトを買ってもらえる。とか、クラスで10番以内に入ったらディズニーランドに連れて行ってもらえるとか、ごほうびを設定されることもあります。人を頼らないと得られないごほうびには一時的な効果しかありません。

ご褒美を設定すること自体は間違いではないんです。それは、自分で自分にしてあげることのできるごほうびならやる気の源になります。平均80点以上取れて新しいゲームソフトを買うとしても自分のお小遣いで買うことにしていれば、かなりよいご褒美になりますし、やる気も刺激されます。何より、自分で設定したゴールを達成したという事実が、自信をもたらします。ただ、できれば、ごほうびも一回で終わってしまうよりも、続けられるごほうびがよいですね。大きな結果に大きなごほうびではなく、小さな努力に小さなごほうびをちょっとずつあげていくほうが、継続することが必要な努力(受験勉強のように時間をかけるもの)には有効です。

5やる気を継続させるためには?

やる気を出すには小さな行動を起こす、形から入ることが有効だと述べてきましたが、じゃあ、その最初の小さな行動はどうやってやるのか?ということです。やる気を引き出す、最初の行動をどうやって起こすのか?ということが一つ課題となるわけです。そこで必要になるのが、努力の意味です。目標・目的になるのです。この努力は何のためにやっているのか。努力の先にどんな達成があるのか?

そこがなかったり、漠然としていると、いくらやる気を出そうと行動しても、長続きしません。ごほうびを設定してもむなしいだけなのです。

行動の前に必要な目標。その目標を支える目的。ここが自分自信のやる気を続かせる力の源になるのです。

・やる気は行動で引き出される

・最初の小さな行動は形だけでもいい

・人に設定されたごほうびではなく、自分で決めたごほうびの方が効果的

・小さなやる気、行動にたいして小さなごほうびをあげる

・やる気の力の源は目標と目的。この二つがあることで、やる気があってもなくても行動を起こすことができる

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進路相談によくある誤解!受験勉強のやる気がアップする活用法とは?

進路相談ってされたことありますか?もしかしたら、そんなことを相談できることがあることを知らないという方もいらっしゃるかもしれません。学校であれば、担任の先生、進路指導の先生がいますが、それ以外にも、塾や予備校の先生、外部のカウンセラーを活用する方法があります。進路の相談に乗ってくれる大人は結構いるのですが、実は、活用されていないのが実情です。将来のことを決めるだいじなことなのになぜ、進路相談に行かないのか。そこには進路相談に対する誤解があるからです。

誤解1 進路相談をすると否定されるかもしれないという怖さがある

 進路の相談をして親に反対されたり、厳しいことを言われた経験があるのではないでしょうか?この経験が将来のことを話すと否定されるという思い込みをつくってしまいます。進路相談は、鼻からかあなたの可能性を否定することはありません。 第三者の大人だからこそ、先入観なく、あなたの将来の話を肯定的に受け止めることができます。あなたが描く将来の話を今の自分にできることを考えます。

 親はこれまでのあなたのことを最も近くで見ている大人ですから、良いところも悪いところもわかっています。そして何より、大切な我が子の将来ですから心配するのは当然なのです。最終的に進路の話を親抜きで進めることは難しいです。なぜなら経済的な面でお世話になるのは親だからです。ただ、進路の相談は親に相談するのとは違います。もしかしたら、すでに親の反対を受けている場合もあるかもしれません。でも、将来を真剣に考えて、どうやったら自分の夢が実現するのか、その筋道を立てて、今やるべきことを努力しさえすれば、「そこまで考えているのであれば頑張りなさい」と親も応援してくれる存在になります。

自分の考えをしっかりさせ、将来に向けた行動を引き出すためのだ一歩が進路相談なのです。

誤解2 進路の相談は恥ずかしい

 夢はあるんだけどそれを人に言うのが恥ずかしいという場合もあります。俳優や声優、芸人、それからアイドルになりたいとか。他にもミュージシャン、画家になりたい、詩人になりたい、実はプロのサッカー選手を目指している、ユーチューバーになりたい・・・などなど。テレビやネットで見える仕事にあこがれることはあっても、本気で自分がそれになりたいというと、周りには「え~!それマジで言ってるの?」という反応が返ってきます。学校の先生もなかなか取り合ってくれないところであります。

 自分の中でも「こんなことを言ったら笑われるだろうな」と思ってなかなか口にすることがありません。そして、誰かに相談する前に諦めてしまうわけです。しかし、これはとてももったいないことなのです。実際になれるかどうかは、これからのあなたの頑張り次第なわけです。誰かに相談できないから、または相談しても「やめておけ」とか「それは難しいよ」と言われたから目指すのをやめるというのはもったいないのです。

 否定的なことを言う人の特徴はその職業のなり方が分からないからです。たとえば、学校の先生に「プロ野球選手になりたい」と話すと「そんな、プロで活躍できるなんてほんの一握りなんだぞ。やめておけ。」と言われます。でもプロ野球選手に「プロ野球選手になりたいです」というと「君には無理だから」と頭ごなしに否定されることはまずありません。きっと応援してくれるはずです。

 実は進路相談で自分の将来を話すことが恥ずかしいというのは、もしかしたらどうやったら自分のやりたい仕事に就けるのかわからないからかもしれません。これからの何を頑張ったら良いのか分かれば、もっと堂々と人に自分の夢を語れるようになります。そして、人に話をしていくうちに、アイディアが生まれます。応援してくれる人も増え、情報が集まってくるのです。進路の相談は夢実現のスタートになります。

まだ若い10代の若者が「恥ずかしい」という理由だけで将来の夢をあきらめるのはもったいなさすぎます。ぜひとも、相談に来てください。

誤解3 進路について考えがまとまっていないから相談に行けないと思っている

 考えがまとまっていないから相談に行けないというのも多い誤解の一つです。考えがまとまらないから相談に行くのです。将来のことは何から話していいかわからないですし、考えること自体が面倒くさかったりします。

中学→高校→大学→就職→結婚・・・と平成の初めのころまではこのスタイルが一般的でした。同世代、同級生ならみんなが同じライフステージにいたわけです。ある程度の方向性さえ決めておけば、社会の流れに乗って、人生を歩むことができました。しかし、時代は変わり、自分の将来について自分で考えていかないといけなくなりました。転職する人も多い、脱サラして起業する人もいる。大学卒業してもすぐに働かなかったり、学生時代に留学したり、仕事をいったんやめて大学院に入ったりと多様な選択をする人も増えています。しかも、情報量も多いわけですから、何をもとに自分の将来を考えてよいのかがわからないのです。

そんな時代だからこそ、自分の進むべき方向性、生き方の軸をもつ必要があるのです。

実は進路相談に一番に来てほしいのは、「自分の進路について全く考えがまとまっていない人」なのです。だからこそ、悩みを言葉にして、自分の将来に向き合う必要があるのです。

進路が決まると受験勉強にもやる気が出る

受験勉強というのは大学に合格するためにやるものです。その大学の先には自分が思い描く将来の働きがあります。今の勉強が、将来の自分とつながっているから、本気になるわけです。つまり目の前の頑張りが将来の結果を創ることあ明確になるからこそ、受験勉強に意味が見いだせてやる気が出るだけではなく、やる気が続く状態になるのです。

高校生になり「受験勉強しないといけない」と思って、教材を買ったり、予備校に行ったりして、勉強する環境は整えても、「何のために勉強するのか?」が不明確であれば、勉強に身が入らないのです。勉強の計画を立てて、毎日やるぞと思っても、うまく勉強できないのは、自分の進路に納得していないからかもしれません。

進路相談をして、自分の進路に納得し、自信が持てれば、勉強する目的ができます。そうなれば、苦手な教科、難しい問題にも立ち向かうことができます。

進路は最終的には自分で決定するものです。その手助けをするのが進路相談です。自分が描いた進路に初めから自信満々の人はいません。だからこそ、自信をもって考え、そして行動する必要があります。自分が行きたい道に進めるよう自信を持ちたい方はぜひとも進路相談にお越しください。

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高校生におススメ!進路相談を上手に活用するための3つのポイント

進路の悩みの問題の一つは、相談相手がいないということです。先生は忙しい、場合によっては、関係があまりよくなく「相談したくない」と思っている場合があります。親も確かに相談相手ですが、いきなり結論を求めてきたり「そりゃ無理だろう」などと話を聴ききってくれる前に否定されたりします。でも、一人で考えていてもなかなか答えが出ない。そんなときに進路相談カウンセラーを活用してもらいたいと思います。

 1 自分の考えがうまくまとまっていなくても、相談しに行く 〇ある程度まとまってからじゃないといけないことはない

進路の悩みを考えるのは難しいことなんです。なぜなら、答えが決まっていないからです。テストの問題のように正解が定められていません。しかも、その答えは自分自身で出さないといけないのです。そして、考えるための方法も材料も不足しています。一方で今は、いろんなことがインターネットですぐに調べられます。情報が非常に多い時代ですので、分からないからと調べれば調べるほど混乱します。進路の悩みに対して、まとまった考えがないのに相談に行くのは恥ずかしいと考える人もいるかもしれません。しかし、考えがまとまらないから相談に行くのです。

 〇進路のことを考えるときに最初に聴かれる(考える)質問は・・・

「将来、どんな仕事をしたいんだろうか?」

「自分が学びたいこと、身に着けたいことって何だろう?」

「何のために進学するんだろう?」

 といった自分への問いかけが進路についての最初の問いです。この問いは結構、漠然としていて、考えるのが難しいです。答えが出ないまま、同じ問いをどんどん繰り返していくと、だんだん自分を責めているような感覚に襲われてきます。進路の相談をするとその状態から抜け出すことができます。

 たとえば、「将来、どんな仕事をしたいんだろう?」と問いかけると同時に「どんな仕事をしたくないだろう?」と考えてみる。または、「どんな仕事があるだろう?」とか「どんな仕事に興味があるだろう?」と相談相手が問いをいろいろと言い換えてくれます。すると、考え方も違ってきたりします。 

考えていても、なかなか答えらしいものにたどり着かなくても、小さいころに好きだった遊びだとか、これまで出会った大人であこがれたり、かっこいいなと思った人の話とか、を相談相手に語っているうちに、「ハッ」と何かが閃いたりもします。考えがまとまらないのは当然のこと、だから何でもいいし「将来のことって言われても、ピンとこないし、よくわからないんですが・・・」と相談をスタートすることも、進路相談としては大歓迎です。 

2 進路の相談をする相手は選ぶ

誰に相談するかで、自分の考えも変わってきます。進路について相談に行ったのに「それは難しい」とか、「君にはあまり向いていないと思うよ」なんて否定的なことを言われると気持ちがなえてしまいます。もちろん、そういう意見も貴重ですが、進路相談の入り口としてはNGです。否定的な人は避けましょう。相談相手として一番適当なのは、変にほめてくれる人でも、否定する人でもなく、的確な問いを投げかけて、じっくりと話を聴いてくれる人です。そういう相手に大胆に自分の夢を語ります。そうすると、自分が背伸びしていたり、考えが甘かったりするところが見えてきます。

 親や先生も相談相手としては悪くありません。最終的には相談に行って、結論を伝えないといけない相手であることは間違いありませんが、現実的なコメントをされたり、頭ごなしに否定されることもあります。親や学校の先生に否定されると、思いのほかへこんでしまいます。特に両親は、子どもを愛するあまり、いろんなことを言ってきます。一番応援してくれる存在ですし、経済的な面では親に支援してもらわないと普通は進学できません。最終的に相談して、味方になってもらいたい存在です。ですが、あまり考えがまとまらない間に相談すると、関係がこじれることがあります。考えがまとまらないうちは、第三に相談しましょう。

 3 早いうちに相談に行く

進路について悩んでいるのに、相談しても、しなくても結論を出さないといけない期日はどんどん迫ってきます。期日が迫ってくると当然焦ってきて、投げやりな答えを出しかねません。「まだ、自分は進路について考えるのは時期が早い」という人は誰もいません。進路については期限が決まっています。

 

進路のことは高校3年生になってから考えるのでは遅いです。できるだけ早いうちに相談に行くことをお勧めします。その理由は3つあります。

①答えを出すのに時間がかかる

進路の結論は、すぐに決められるものではありません。特にやりたいことがない場合は、それを考えたり、見つけたりしないといけません。考えるのに自分自身のこれまでの経験や、考えと、社会の動き、それに加えて、自分が選択可能な選択肢がどれだけあるかも検討しないといけません。オープンキャンパスに行ったり、資料を取り寄せたりということも必要になります。しかも、今は情報が多い時代です。調べ方が以前に比べて容易になりました。その分、時間がかかるようになったとも言えます。

②期限が迫ってくると焦ってしまい、自分を納得させる答えが出しにくくなる

高校3年生になって場当たり的に進路を決める人がいます。しかし、うまくいかなかったケースをいくつか知っています。そのうちの一つです。

 高校3年生の2学期、ようやく進路を考え始めた男子生徒がいました。その時の成績をもとに、行けそうな大学に志望校を決めました。彼はその大学の経済学部に進学しました。しかし、実際に自分のやりたいことかどうか分からないまま、大学生活を続けていましたが、大学2年の春ごろに「なんか違う」と思うようになり、大学に行かなくなりました。結局2年休学したのちに、中退しました。

 これは進路考えるタイミングが遅すぎた結果と言えます。もし、後1年、半年はやく考え始めていれば、もっといろいろな選択肢を検討する時間、自分が進みたい大学がどんな学問をするところなのかを知ることができました。彼が進路を決める決定的なものは「時間がなかったから知っている大学にした」というものです。つまり、焦っていたのです。

 ③自分で答えを出さないといけない。

進路についての結論は自分で出さないといけないものです。誰も答えを出してくれないのです。実はこれが最大の難関でもあります。自分を納得させる必要があります。自分中で1回は結論を出して、親や学校の先生にも相談して、決定したとしても、「本当にこれでよかったのか?」と悩みが再びぶり返してくることさえあるのです。

 

まとめ

進路というのは自分ひとりで思い悩んで考えるものではありません。いろいろな情報を検討しつつ、人に相談しつつ考えるものです。また、将来のことを話すことは決して恥ずかしいことではありません。やりたいことがあるのに、恥ずかしくて相談できないというのはもったいないことです。人に話せばそれだけ、確かなものが見えてきます。進路の相談はあなたの可能性を広げるものになります。

●進路相談カウンセリング●

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受験勉強で集中力が切れたときにおすすめ!3分でリフレッシュするプチ瞑想法

受験勉強をしていると当然、頭は疲れます。

勉強に集中したいけど、できない

集中力がすぐに切れてしまう

勉強しようと机に向かってはいるものの頭は違ったことを考えている

受験勉強は問題と戦うと同時に時間との戦いでもあります。できるだけ長く勉強するために何をしたらよいのか。このコラムでは短時間でできる効果的なリフレッシュな方法をお伝えいたします。

集中力が切れたあと、どうやってリフレッシュしていますか?

スマホでSNSをチェックする

ゲームをする

リビングにいってテレビを見る

マンガを読む

仮眠をとる

おやつを食べる、などなどいろいろあると思います。

しかし、これらの方法は勉強に戻りにくいという問題があります。

リフレッシュの目的は頭を休めて、勉強に戻ることです。勉強から逃げることではありません。。そのためには移動もせず、時間もかけないでできるリフレッシュ方法が必要です。

そこでおすすめなのが、「プチ瞑想法」です。一言で言うと、ぼーっとするということです。

ポイントは3つです ①楽な姿勢で座る(手には何も持たない) ②どこか1点を見つめて、鼻だけで呼吸する ③3分経ったら深呼吸をする

なんだそれはと思われるかもしれませんが、非常に効果があります。机に向かったまま、できます。スマホを触ったり、テレビを見るよりも集中力の回復は大きいです。一種の瞑想でもあります。

せっかくここまで読んでくださったのですから、ぜひ試してみてください。今から1分間ぼーっとしてみてください。近くにあるものや、壁なんかどこでもいいので1点を見つめてみてください。やることはそれだけです。

 いかがだったでしょうか?頭の中にいろんなことが浮かんできませんでしたか?あれをやらないといけないとか、そういえばこんなことがあったとか・・・ぼーっとしていても頭は動いています。そして、いろんな記憶をランダムに引き出してきます。実は、その時間は頭は入ってきた情報を整理しているのです。

 脳が疲れると言う言い方もありますが、脳は疲れません。脳が疲れたのではなく、頭の中が整理できていない状態、脳が片づけをできていないでフリーズ気味なのです。パソコンでも、同時にいくつもファイルを開いていろんな作業をやっていると止まってしまいます。それと似ています。集中力が切れ始めた時、実は脳はぼーっとするように命令を出しています。自然とぼーっとしてしまいますが、それを意図的にやることで、より効果を高めることができます。

 頭の中に散らかっている情報を、片付ける必要があるのです。そのために必要なのが、ぼーっとすることなのです。

 勉強するというのは頭にかなりの刺激を与えていることになります。しかも、インプットすることのほうが圧倒的に多い。ですから入ってくる情報を整理する時間が必要になります。しかし、勉強し続けていると、その情報を整理する前に、次々と情報が入ってくるので整理できないのです。頭の中の情報を整理するのに良い行動の一つが睡眠です。そしてもう一つがぼーっとすることなのです。

 まじめに勉強している人にとってはぼーっとするなんて、時間の無駄だと思われるかもしれませんが、効率の上がらない勉強を続けているほうが、時間の無駄なのです。なんか集中できないと感じた時はあえて「ぼーっ」とする時間を取ってみてください。だいたい目安は10分くらいです。時間がないときは3分くらいでもいいです。そうすると、かなり頭がスッキリします。このスッキリ感があると、再び勉強しても集中力が発揮されます。理解も暗記も進みます。

試験中でも応用が利く⁉

ぼーっとして最後に深呼吸をして勉強に戻る方法を体が覚えてくると、試験中にも集中力を回復できます。本番の入試となると、それまでの模擬試験以上に緊張するのは当然です。緊張すると、いつもできていることができていなかったりします。しかも、1日で何教科も問題を解く上に、周りには知らない人ばかりですから、ストレスも大きいです。特に、現役高校生は浪人生がすごく勉強しているやつに見えてしまい、それだけでもプレッシャーを感じてしまいます。

いつもより緊張感が高いうえに、この試験で合否が決まるとなると気持ちも落ち着きません。緊張感が高まると、不測の事態が起こります。たとえば、英文が頭に入ってこない、周りの音が異様にきになってしまう、簡単な公式をど忘れしてしまう、問題を読み間違えてなかなか答えを出せない(誤っているものを選びなさいなのに、正しいものを選んでしまうとか) などなど・・・

私の場合ですが、手が震えてマークシートを上手に塗れないという事態に陥ったこともありました。そうなってくると、焦ります。焦ると緊張感を高めます。そうするとさらにパフォーマンスが落ちるわけです。そうなった時にぼーっとして深呼吸をやるのです。30秒でも10秒でもいいので鉛筆を置いて、部屋の中または手元にある時計を見つめる。秒針や秒を刻んでいるデジタルのところを見つめて、1、2、3・・・と数を数えます。そして10秒経ったら深呼吸をして、ゆっくり鉛筆をもって再び問題に向かってみてください。それまでとは全く違う集中力を発揮できるようになっています。

 ただしこの方法は、普段の勉強や模擬試験なんかで、「ぼーっとして深呼吸」をやって、集中力の回復を実感したことがなければあまり効果はありません。試験本番で、突然ためしても、「効果がないじゃないか」と余計に腹をたてて集中力をそぐどころが、怒りの感情が湧いてくることさえあります。ちなみに「怒り」は緊張感の極地みたいな感情なので、集中力を発揮する方向とは真逆の方に振れてしまうので、決して試験本番で感じてほしくない感情の一つです。

 大切なのは「ぼーっとして深呼吸をしたら集中力が回復する」ことを体が覚えていることです。試してみて効果があったから、本番でもうまくいくと信じて取り組むことができます。

最後までお読みくださりありがとうございます。自信をもって勉強に取り組み、ぜひとも合格を勝ち取ってください!!…

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