不登校している子どもが抱く罪悪感
不登校している子どもの心の中
不登校している子どもの多くは、心の中で自分を責めています。学校に行けない自分をダメな奴だと責めていると同時に、情けない思いがあります。特に、不登校し始めたころは、学校に行かないことで得られる安心感よりも、行けない自分がこれからどうなるのか、不安でいっぱいになります。
そして、「どうしてこうなったんだ?」と自分への問いを繰り返します。この問いが本人を苦しめます。それは答えがなかなかでないというのもありますが、よくないことばかりが想起されてしまうからです。
不登校している子のさえない表情、顔色の原因は主にこれにあります。ただ、これは無意識的に繰り返されるので、言語化されていないことが多いです。言葉で説明できないから「わからない」「別に」「どうでもいい」といったぶっきらぼうな応答が返ってきてしまうのです。
ゲームとネットは現実逃避
不登校しているお子さんが、罪悪感に苛まれているからと言って、勉強したり、規則正しい生活ができたりするわけではありません。私が相談を受けるお子さんの多くは昼夜逆転を経験します。その時間は、ゲームをしているかネットをしているか、ということです。
この様子を見ていて、腹立たしい気持ちになる親御さんも少なくないと思います。
あるとき、あまりにも生活の乱れがひどいので、スマホを取り上げられた高校生がいました。するとその子は、食事すらとらないで、トイレ以外はベッドから出ないということになり、余計に元気がなくなりました。それまで数回実施できていたオンラインでのカウンセリングもできなくなってしまいました。
現実の辛さを逃避するすべを失ったことでよけいにつらい気持ちが増して、苦しくなったようです。その後、彼は夜の11時以降はスマホをリビングに戻すことを条件に、スマホを返してもらい、昼夜逆転も治り、徐々に元気を取り戻しました。
子どもの罪悪感を取り除くには
子どもが自分を責めていることに気が付く必要があります。そして、自分がどういう思いでいるかを言語化していくことです。
しかしながら、ここまで一足飛びに行くことは稀です。時間がかかりますし、その間、ゲームやネットに依存する時期があったり、親と口をきかない時期があったり、生活が乱れたり、無気力になって「死にたい」とか「生きている意味がない」という発言をしたりします。
これに対応するのは、いくら大人でも大変です。一緒に生活している親であれば何もなくても心配な気持ちが余計に増してしまいます。しかし、そこで、子どもの行動、言動に一喜一憂せずに、「これはプロセスだ」という思いで過ごすことが肝要です。
見守るというのが一番のストレス
とはいえ、、子どもが学校に行かずに、反抗的で生活も乱れているとなると、それを「大丈夫」とおもって見守れる親はそうおられません。あるとき「この見守るっていうのが一番のストレスなんです」と言われたお母さまがいらっしゃいました。ごもっともだと思います。この「本音」を吐き出す場が大事です。毎月子どもの愚痴を吐きに来られるお母さま、不登校の親の会で、互いに状況を語り合うご夫婦など、さまざまいらっしゃいます。
子どもの本音、しかも本人が気が付いていない本音を言葉にするのは、容易ではありません。しかし、親御さん自身が本音を言葉にする機会を多く持ちさえすれば、その心のゆるみやゆとりが、お子さんにも影響して徐々に、気持ちが緩んできます。
子どもの罪悪感を引き起こしているものの一つが、「緊張感」です。この緊張感を緩めることが、不登校のお子さんを持つ親御さんにできる「見守り」であると私は考えます。
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不登校やキャリア教育に関するコラム
勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス
📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス
こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?
不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。
中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。
変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと
ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。
でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。
雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽
きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。
でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。
勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ
「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。
「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。
まとめとひとこと
勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。
💬 今日のひとこと(格言)
「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」
― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)
文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話
親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話
2025年4月21日配信
新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?
春の始まり、親の心は揺れやすい
新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、
「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。
距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し
そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。
「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、
本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。
でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。
子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。
だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。
まずは自分の「心配」をやさしく見つめる
カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、
“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。
私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。
特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。
近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。
そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。
今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、
まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。
不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。
ちょうどいい距離は、自分の中にある
近づきすぎず、離れすぎず。
親子の距離は「正解」があるわけではありません。
でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。
そして、こんな言葉もあります。
“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。”
― 小児科医・毛利子来
文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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