不登校する子どもが持っている誤った考え方?
不登校する子どもは視野が狭い?
「どうせ俺は頭が悪い」
「だれも自分と友達にはなってくれない」
「私はブスだから女子の仲間でもバカにされている」
不登校しているお子さんが不登校の理由を尋ねられた時にこういった自分を卑下する言葉が出てくることは少なくありません。
実際にそういう対応を学校でとられてしまったということはあると思います。
しかし、それが全てではないのは周りが見れば明らかですが、本人にとってはそれが全てです。
実際に言葉にしない人も自分のことを悪く思っているという確信があります。
この誤った確信を壊していくのがカウンセリングの役割でもあります。
誤った信念―イラショナルビリーフ
イラショナルビリーフとは論理療法(アルバート・エリスが提唱)の概念です。「非合理的な 信念」というのが訳語です。極端な思い込みや、一部の事例で全てを解釈するような過度な一般化などが当てはまります。自分を卑下する言葉もこのイラショナルビリーフからくるものです。
論理療法では「頭が悪いを証明する根拠」を問うたり、「あなたにとって友達とはどういう人か?」など言葉を使って本人の思い込みを緩めていきます。これが功を奏する場合もありますが、子どもにしてみれば揚げ足取りをされているように思われて、あんまりづけづけと質問されても気持ちが穏やかにはなりません。
イラショナルビリーフを崩していく方法
非合理であれ、誤ったものであれ、本人にとっては「信念」として確固たるものがあります。それを安易に間違っていると言われるとそこで心を閉ざしてしまいます。
そこで私が使うのは自己矛盾への気づきを促します。
そのためには本人に自分のことをいろいろと語ってもらいます。
たとえば「頭が悪い」という場合は、好きなことを語らせます。ゲームでも鉄道でもアイドルでも良いです。好きなことを延々と語っていくと非常に盛り上がります。そうして、「そんなの良く知っているね」とか「そんなところまで覚えているんだね」ということを伝えていきます。そこには情報を調べること、取捨選択すること、覚えている記憶力があります。
そういったことをちょっとずつ伝えていくと、頭が悪くないという話になります。
キャリア教育が有効になる
ここまで話しても頑固な場合は「これは学校のテストで点を取るのには役に立たない」という反論が来ます。
でも、ここまでくればほぼ大丈夫です。学校のテストだけが頭の良し悪しではないこと、好きなことを言葉にすることがどれだけ大事か、社会に出た時に情報を得たり、吟味する力がどれだけ必要とされるかを伝えます。ここでキャリア教育の視点を入れると効果的です。
こうやっていくうちに自分の信念が誤っていたというよりも広い視座に立って自分を見つめることができるようになるのです。
登校すること、学校での勉強、そこでの人間関係だけという狭い世界の中で考えれば不登校は落伍者のごとく思われますが、社会全体と本人の人生から見ればほんのワンシーズンでしかありません。出口のないトンネルがないように、必ず光明が見える日がやってきます。