大久保 智弘 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します - Part 6

大久保 智弘

不登校のまま中学3年生の冬休みどうする?

不登校のまま中学3年の冬休み どうする? 長期休みはちょっと気持ちは楽になる

お正月が苦手だという話を前回書きました。ただ、長期休みというのは学校も休みなので「明日は学校行こう」とか「今頃学校では体育やってるな~」とか学校のことを考えないで休めることは気持ち的に楽な面もあります。ただしこれほんの束の間で、受験を控えた中学3年生は進路についてプレッシャーを感じています。

もうすぐ卒業、進路はどうする?

学校に通っている中学3年生は高校受験を控えて冬期講習に通っています。学校や塾での進路相談があり、志望校も決まり、どういう対策をして受験に臨むのか、具体的な対策が決まっています。

しかし、不登校しているとそういう情報が入ってきません。自分で調べに行かないといけないのです。高校は義務教育ではないとはいえ、高校卒業していないことが将来的にプラスに転じるということはありません。

就職にしろ、進学にしろ高卒資格があることは大事です。留学についても、ある程度の学歴がないとビザがおりません。

とにかく高校進学を考える

まず選択肢として浮かんでくるのが、通信制高校です。これはクラスの輪に入ることが難しい、人間関係がいや、学校行事にも消極的な場合は有効です。

「自分には全日は無理だ」という決めつけもあるかもしれませんが、通信高校という選択肢は不登校した人が選択肢としてとるものです。

通信高校からも就職も進学も可能です。

全日制に行きたい場合も、通信制を併設しているところをお勧めします。切り替えができるので、仮に全日に通うのが難しければ通信に帰ることができます。

冬休みに考え始めるのは遅い?

進路の決定基準はどこに行きたいかよりも3年間続くのかです。卒業してナンボのところがあります。まずは学校の情報とカリキュラムを見て、続けられそうかをお子さんとよく話し合うことです。そして、どこの高校にするかをお子さん自身が決めることが辞めないための原動力になります。

今お子さんが、中学3年生で不登校、高校どうしようという状態で冬休みを迎えているのは、実は失策です。通信高校の情報は遅くとも夏休みくらいには出回り始めて、秋口には願書が配布されます。ただ、この失策は親御さんの責任と言うよりも、学校の責任でもあります。進路指導をしていないとも取れます。ただ、安心してほしいことは、通信高校は4月くらいまで募集しているところが多いです。授業開始が5月の連休明けというところもあります。遅いからと言ってすべてが閉ざされたわけではありません。

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不登校とお正月

不登校とお正月 冬休みは不登校しているお子さんにとってどんな季節なのか?

冬休みは、クリスマス、大晦日、お正月と何かとにぎやかな時期です。不登校しているお子さんが苦手な時期でもあります。不登校は学校に行っていない「普通とは違う」状態です。その状態を、親せきなんかに知られることや、そのことで気を遣われることはかなりの負担になります。とくにお正月の親戚のあつまりは辛いものになります。

親せきには会いたくない

お正月に親せきと会いたがらない不登校のお子さんは多いです。事情を知らない親せきから「学校はどうだ?」とか「高校どうするんだ?」なんて聞かれるのが辛いです。

また、同世代のいとこなんかがいると、「同い年の○○ちゃんは、クラブで全国大会に出た」とか「○○大学に合格した」とか、聴いているだけで自分がみじめになるような話題が飛び交います。その場に居たくないというのが正直なところですし、そもそもそういう集まりの場には顔を出さないです。

お年玉もうれしくない?

実際に親せきに会わなかったとしてもお年玉をもらうことはかなり微妙な気持ちになります。お金をもらえること自体はうれしいものの、自分と言う存在を忘れておいてほしいという思い、この1年学校をさぼっていたのにお年玉をもらうような存在ではないという自己否定感もあります。

真面目であればあるほどこういう気持ちが強いです。

不登校生の心の中でおきていること

世間の盛り上がりの外にいる自分を感じます。年末年始の、「この一年も良い一年だった」と言う雰囲気と「新たな一年への希望」もないのです。この一年を振り返ってもとくに何もしていない、そして次の一年についても特にこういうことがしたいという希望を持つことが難しいです。そういう雰囲気とは無関係な状態でいたいというのが本音です。

できれば放っておいてほしい。ただし、ちょっとだけ気にかけてほしいので、「たぶん、親せきの集まりにはいかないだろうな」と思っていても、声をかける。そして「いかない」という応答をもらうというところが肝要です。

普段家で一人で暮らすことが平安な状態なのです。心理的にはその状態がベストです。本人の意思を尊重したうえで、親せきの集まりや家族での旅行や外出に無理に連れて行かないことが大切になります。

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不登校対応で一番やってはいけないこと

不登校対応で一番やってはいけないこと 「あなたの育て方が悪い」とカウンセラーに言われた

お嬢様が小学校の高学年から学校に行かなくなったというお母さまからの相談。

これまで、スクールカウンセラーや医者に行っても改善せず、不登校の親の会で紹介されたカウンセラーのところに行きました。有名な先生で数か月待ってのカウンセリングだったそうです。

そこで言われたのが「あなたの育て方が悪い」ということでした。お母さまはこの言葉にショックを受けてしばらく落ち込んでいらっしゃいました。私と出会ったのはそのきついことを言われたカウンセリングから半年後でした。

その時に、このカウンセリングで話されたことを同じように話してくださいました。比較的裕福な家庭で、都心にしまれている方です。お子さんも優秀で、塾に通い、中学受験目前というところでの不登校だったそうです。その経緯を伺いながら私は「なるほど。そのカウンセラー先生がおっしゃられることも一理あるな」と思いました。

やってはいけないことは「比較」

それはお子さんを、比べていたことです。学校のクラスメイト、塾での点数、受験する学校、あらゆるところに比較の視点がありました。しかも、お嬢さんがどれだけ良い成績をとっても「さらに上の人がいる」というような言葉がけでした。お母さまとしては鼓舞するつもりだったそうです。

さて、もうお分かりだと思いますが、やってはいけないことは「比較」なのです。他人と比べる成績や学校での役割、受賞や資格、運動能力、音楽や美術の能力、コミュニケーション能力、身長、体重・・・

比べる視点は子育ての段階でかなりたくさんあります。親は鼓舞するつもりでも子どもには「ダメだしされている」ようにしか聞こえません。

比較が生み出す自責

さらに、不登校しているお子さんはどうでしょうか?

学校に行っていない自分、勉強していない自分、友達付き合いのない自分、

親に迷惑をかけている自分、親に言われる前に自分と他人(同世代のこどもたち)を比べているのです。そしてそれは自分を責めることにつながります。比較することが行けない理由は「自分を責める」という状況に陥ってしまうからです。その状況を作らないためにも、他人との比較はやめていただきたいところです。

とはいえ、「あなたの育て方が悪い」と断言するカウンセラーもちょっと考えものですね。

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不登校をしている中高生が得ていること

不登校している中高生が得ていること 不登校で得ているものはたくさんある

1自分という存在の確立

2精神的な強さ

3これからの生き方への真剣な問い

4自分と向き合う力です。

学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、次から次へのタスクをこなしているだけで、自分と向き合う暇がありません。

そして卒業が近づいてくると、突然、進路について考えるように言われます。そこで指標となるのが学力です。ただこれは試験をパスするための一つの要素にすぎません。大切なのは何のための進路選択なのか。自分にとってどういう意味があるのか?を明確にしておくことです。ここがあいまいな考えのまま、学力、偏差値だけをみて進路を選ぶことは、不登校するよりもリスクが高いと私は考えております。

1つずつを見ていきます。

1 自分という存在の確立

これが何を意味するかというと、他人の評価を気にしない、顔色を窺わないとうことです。自分の判断で自分の行く先を決めていくことが大事になります。そのためには、自分が自分であっていいという肯定感が必要です。

「自己肯定感」という言葉が最近よく用いられますが、不登校は自己肯定感が下がっているように見えますが、よくよく話を伺うとこれは違います。学校に行かない選択をした自分を認めたい気持ちが強いのです。その一方で学校に行かないことで自分が否定されているのではないか?という思いをもっています。そして、何よりも自分自身が自分を責めています。この自責はとても辛いです。ここを通らずに不登校をすることはほぼありません。ただ、このプロセスが自分が自分であっていいという自分の存在に対する肯定感をもたらしてくれます。この辺りは丁寧に話を聴くことで解きほぐすことができます。解きほぐされた先にあるのは、自分を認めたいという強い自己肯定に対する願望です。ここに気づけたらネガティブな雰囲気を払しょくすることができます。

2 精神的な強さ

上記の項目にも書きましたが、不登校しているお子さんは自責の念が強いです。まじめで、本当は学校に行くべきなのに、それができない自分、みんなが当たり前にできていることができていない自分を無能な人間だと勘違いしています。

決してそんなことはないのですが、他人の言うこと以上に、学校に行っていないという事実が自信を責めさせます。これを毎日やっています。学校に行くと、忙しさにかまけてこんなに自分を責めることはありません。

毎日自分を責めてはへこみ、疲れるという日々を過ごします。時に死にたい気持ちにもなります。そういうことを夢想しだすとより暗い気持ちになってしまいます。

ここに他人の視点を加えます。医者や学校の先生、カウンセラーなどが入ってきて、全く違う考え方をすると目が開かれたように責めることを辞めてしまうことさえあります。または、卒業する、退学するなど「不登校」という状況を何らかの形で終えるとこの日々は終わります。この自責の日々を通り抜けたお子さんの精神力は強く、タフなメンタルを創ります。同時に、自責をもたらしそうな状況を回避する知恵も身につきます。自責はいつか終わります。その時に鍛えられた精神力を得ています。

3 これからの生き方への真剣な問い

不登校して得られる最大のプラス要因がこれです。自分の人生を問うのです。

生きている意味、自分の存在価値、これからの生き方・・・答えの出ないこの問いは誰も答えてくれず、一人で悩むしかない。そして、一人で答えを出すにはあまりにも材料が少なすぎる。そういう中で自責のサイクルに入っていきます。

ただ、生き方を考えているとその問いに対して考える機会が増えるので、アンテナが張られます。結果として自分の興味関心や生き方に影響する情報をキャッチする力が鋭くなります。逆に「これは違う」と棄却できる力も身につきます。自己が確立され、精神的にタフになるとこの真剣な問いにも向き合うことができます。

不登校のお子さんの最大の悩みは進路のことだというのは私の経験から出ていることです。ここさえ解決する、つまり本人が進みたい道を見いだしてくれれば、学力も受験も頑張れます。1人で見いだすことができる場合もありますが、ここでの寄り添いこそ、必要なことでカウンセラーの力が必要になるところであると確信しています。

4 自分と向き合う力

不登校していると話し相手がいません。声には出さなくても人は会話をしています。それが自分自身です。話し相手がいないと自ずと自分と会話する時間が増えます。これが自分と向かう力です。上述の1~3を経ることで意図せずに身につくる力です。

自分と向き合う力は自分をメタ化してとらえる力となります。これはリフレクションする力とも言い換えられます。リフレクションは自分の良いところ、悪いところを改めて見直すことで、次の成長に活かすことができます。この力は客観的で、理性的なものの見方を育みます。特に不登校しているお子さんは感受性が強く、このあたりの感性がするどく、大人が驚くような本質的な話をすることもあります。

ただ、不登校しているお子さんが一人で考えているとネガティブな面にばかり目が行きます。これが過ぎると、うつ病になる恐れもあります。ですから、別の視点を入れて、思考の方向性を変えていく作用が必要になります。

不登校は損ばかりしているわけではない

不登校で得ているものは、社会に出て働く際に、求められる精神力につながるものばかりです。同時に、学校での勉強だけでは得難い、人に対する視点を多用に持つ機会でもあります。不登校しないとこれらが得られないわけではありません。ただ、不登校しているお子さんに関わってきた結果、こういう力をもって、私のもとを巣立っているということを感じています。ここで必要なのは、第三者の介入です。詳しい事情を知らない第三者が話をすることで、今の自分が置かれている状況を冷静に見つめることから始まります。親御さんでもできますが、多くの場合は一緒にネガティブになっている場合がおおく、子どもに関わる心のゆとりがないという場合も珍しくありません。

不登校を親御さんだけで解決するのは荷が重いことであると思います。人の手を借りることで解決に向かうことはたくさんあります。親御さんが抱えている重荷を引き受けるのが私の仕事だと考えております。

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不登校で得られなくなる4つの経験

不登校で得られなくなる4つの経験 不登校をすることで何ができなくなってしまうのか?

子どもさんが学校に行かないという選択をしたことで得られなくなってしまうことがあります。1.勉強 2.友達との交流 3.行事等の共有体験 4.外出しないこと。

この4つです。これら一つずつについて考えていきたいと思います。

1 勉強

多くの保護者の方が一番心配するのがここです。学校に行かないことで遅れてしまいます。中学生、高校生が進路選択をするうえで、一番必要になるのが学力です。その学力を身につける機会が減ることは確かに心配です。ただ、4つの課題点のうち、個人の力で一番何とかなるのが学力です。また、進路選択をすることができれば明確な目標ができます。すると、それまで何もしなかった子どもが、徐々に勉強し始めます。ペースもつかめてきます。もちろん、傍で見ていると全然足りないということも親御さんは感じられるかもしれません。そこをグッとこらえて、本人のペースを守ってあげることができれば、遅れを取り戻す、または受験に必要な学力を備えるための行動がとれるようになります。

2 友達との交流

学校に行かないと友達と会いません。クラブにも行きづらくなります。そうすると友達と会う機会が減ります。特に、不登校を恥ずかしいこと、やってはいけないことという自覚強い生徒さんは交流をしたがりません。SNSやオンラインゲームで連絡とり合うことはあっても、なかなか対面で人に会うというのは不登校しているお子さんにとってはハードルが高い。一方で、友達との関係(時に恋愛)が原因で学校に行かないという選択をしているのであれば、友達付き合いがなくなることで心の調子が整ってきます。これに関しては無理にすすめたり、質問したりしないことが良いです。勉強については実際に取り組むかどうかは別として「やらないといけない」というのは分かっていますが、友達付き合いに関しては、どうしてよいか分からないことも多く、悩んでいるケースが見受けられます。不登校していなくても、中高生にとっては勉強以上に触れてほしくないところでもあります。

3 行事等の共有体験

不登校で失うものとして大きなものがこの共有体験です。これはあとからもう一回というわけにはいきません。運動会、文化祭、郊外研修、修学旅行などです。この経験をしないことは学校での思い出を棄てているといっても過言ではありません。しかし、これは学校に行かせたい側の人間の想いです。実際に不登校しているお子さんにとっては学校行事は面倒臭いものでしかありません。通信制高校などはこれらの行事が任意での参加(参加しない人は別途課題がだされる)などもあります。実際に私が関わっている高校生はコロナで修学旅行がなくなって喜んでさえいました。

同級生との共有体験がないというのは大人から見ればさみしいことではありますが、本人にしてみれば、周りと合わせるストレスから解放されていて意外とスッキリしていることもあります。

不登校しているお子さんの多くは感受性が強く、他人の気持ちが分かります。学校行事は子どもたちだけで企画・準備を進めます。そこでの取り組み方の差に辟易している可能性もあります。行事後に不登校になる生徒さんもいらっしゃるくらいです。本人が出たいという気持ちがあれば良いですが、そうでなければ無理強いする必要はありません。

不登校生が嫌う言葉の一つに「みんなやっているんだから」というのがあります。すでに「みんな」がやっている学校に行くということをしていないお子さんにとっては心に刺さる辛い言葉になります。この点はお気をつけていただきたい点です。

4 外出

不登校をすると、不登校していることを見られたくないので外出が減ります。

親せきや近所の人にも会いたがりません。散髪や歯医者なども行きたがらない。自分の部屋から出てくることも少なくなったりもします。特に不登校の初期段階では人に見られるのが恥ずかしい、学校に行っていないことがばれたら嫌だという思いから外出したがりません。

最近の学校には教室に入りづらい生徒さん向けの教室なども用意されていたりもしますが、登校する時間が違ったり、クラスメイトに会うのが嫌だからなかなか登校しません。ただ、徐々に外出ができるようになってきます。それは本人が自分は不登校であるということを受け入れてきた結果です。もちろん、勉強しないといけない、学校に行くべきだという思いはあるかもしれませんが、「不登校している自分、それでいい」となると外出を厭わなくなります。外出できるかどうかが、不登校の回復の一つのバロメーターになります。

不登校の中では失っているばかりではない

ここまで4つについて考えてきました。ちょっと暗い話になってしまいました。失っているばかりではありません。不登校しているお子さんはこれら4つを棄てでも自分を守ろうと思ったのです。そして、得ているものが確実にあります。

それは1自分という存在の確立、2精神的な強さ、3これからの生き方への真剣な問い、4自分と向き合う力です。学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、進路を突き付けられるのです。あいまいな考えのもとの進路選択の方が不登校よりもリスクが高いと私は考えております。

この4つは今の世界を生きていく上でとても重要な力です。この4つについては別のコラムで解説します。

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不登校している中学生の進路選択 通信制高校で大丈夫か?

不登校している中学生の進路選択通信制高校で大丈夫か? 不登校する子どもの奥には進路の悩みが

不登校をすると、学校に行くのがやっとで、将来のことを考えるということが難しいと思われます。その話題に触れることすらなかなか難しく、子どもが何を考えているか分からないという声を保護者の方から伺います。ただ、多くの保護者の方が察している通り何を考えているかは分からないのですが、まったく何も考えていないというわけではありません。むしろ、そこを深く考えているから気分が沈んでいるということも珍しくないのです。

不登校している中学3年生はどうしたらよい?

中学3年生になると進路のことを考え始めます。公立中の場合は高校受験があります。また、公立・私立問わず、一貫校であっても、進学の規定に引っかかったり、在籍していても高校生になって通いだせるような状態でなければ進路選択に迫られます。

不登校の原因が人間関係であれば、全日制の高校に進学することも可能かもしれませんが、原因はよくわからない、または自己肯定感の低下や集団が苦手などの理由であればすぐに全日制に入って、勉強もクラブ活動もというのは難しいと思います。そうなってくると進学先が通信制になることが多いですし、実際にその選択をする人はけっこういらっしゃいます。

通信制高校の特徴

通信制高校の特徴は日常的に通学する必要がない点です。家に居て、与えられた授業(多くの場合は動画)を受けて、決められた期日までに課題を提出する。そして学期の区切りに、期末のレポート、考査を受けて単位認定をされるということになります。

通学する必要がないとはいえ、年に数日(学校によってさまざま)はスクーリングといって学校に通わなければなりません。場合によっては合宿のような形で実施している学校もあります。これは文部科学省の規定で決まっているので、スクーリングが全くない高校というのはありません。

担任の先生は必ず付きます。勉強の進め方、進路相談、その他学校生活における悩み事や相談事は話しあうことができます。課題が出てない場合は催促してくれます。不登校をしているお子さんを多く預かる通信制高校の先生は基本的に優しく受容的です。

 

通信制高校のその先は?

信制高校は学校に通学しないというだけで、普通の高校です。卒業後は就職も進学も可能です。ただ、通信制高校は高校卒業認定のための単位取得を目指しています。大学進学となると、必要な単位を自分で多めに取得したり、大学受験対策の講座を追加で取る必要があります。

今年も通信制高校に通いながら大学に合格した生徒を何人か知っています。文学部や経営学部、中には薬学部に合格した生徒もいます。今の時点(11月上旬)では総合型選抜(旧AO)入試の結果しか出ていませんが、一般入試でも合格している生徒も例年おります。

また、就職に関しても、通信高校にも求人はあるのでそこで調べて就職試験を受けることができます。最近は通信制高校も増えてきており、学校ごとに特色を出しています。お子さんの特徴にあった学校を見つけるためには結構な下調べが必要になりますが、選択肢が多い分、選ぶことができるとも考えられます。

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不登校からの大学合格

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スクールカウンセラーには何をしてもらうと良いか?

スクールカウンセラーには何をしてもらうと良いか? 不登校の対策にはカウンセリングは有効です 

不登校のことを学校に相談すると、ほとんどの場合、スクールカウンセラーとの面談を提案されます。間違った対応ではありません。まずはスクールカウンセラーに相談して、保護者の方が抱える不安や、悩みを言葉にすることは有効です。お子さんの状況を共有したうえで、専門性のもと、病院や専門の期間の紹介を受けるといいうことも良いことです。

はじめは保護者の方がカウンセリングを受けることになります。あとでも触れますが、まず本人がカウンセリングに出向くというのは稀です。

ただ、カウンセリングも良し悪しで、ただ聴くだけのカウンセリングは最初は良いですが、結果として解決に結びつきません。他にもいくつか効果の薄いものや逆効果の対応がありますので、それを紹介いたします。

1 「様子を見ましょう」と言われたとき

カウンセラーに相談して「しばらく様子を見ましょう」と言われることがあります。これに効果があるとしたら、様子を見るべきポイントがある時です。これまでと違った行動をとり始めた(たとえば、勉強しだした、家の手伝いを始めた、学校に登校するようになったなど)時には、様子を見つつ、言動や表情、行動などを観察する意味はあります。そこで、無理をしていないか、何か心変わりするきっかけがあったのかを見定めていきます。しかし、目的もなく様子を見ることは、あまり意味を成しません。もし、スクールカウンセラーにこのように言われたら、具体的に何の様子を見たらよいか尋ねてください。

2 具体的なアクションがないとき

不登校の面談でスクールカウンセラーにつながって一安心ではあります。しかし、具体的な方策がないカウンセリングに意味はありません。カウンセリングの基本は傾聴です。傾聴のないカウンセリングというのはあり得ませんが、傾聴の目的は相手のことを理解し、信頼関係を築くためのものです。そして、その信頼関係の上に、解決策を一緒に考えていくプロセスがあります。信頼関係があるから、言われっぱなしにならない、対話ができるのです。

具体的な解決の方策は人に寄ってい違います。カウンセラーが考えた方策が必ずしも当たるわけではないですし、すぐに効果は表れなくても、あとあと「あのときに○○してくれたのがよかった」なんていうこともあります。「聴くだけカウンセラー」遭遇したら、方策をたずねてみてください。それが「様子を見ましょう」であったら、具体的に何を見るか尋ねることです。

3 無理に子どもを連れて行かない

スクールカウンセラーに最初から会いに行く不登校の生徒はなかなかいません。特に中学生はほぼ無理だと思っていたほうが良いです。まずは保護者があって様子を伝えることです。その繰り返しの上に子どもがカウンセリングあらわれたりします。促しは必要ですが、首根っこつかんでカウンセラーに合わせることは逆効果です。

カウンセラーはスクールカウンセラー以外にもいます。最初に連れて行かれたカウンセラーで苦い思いをすると二度とそういうところに行きたくないと思います。

子どもがカウンセリングに行かなくても、不登校は解決することもあります。

学校のカウンセラーと合わない、ちょっとそのやり方に疑問があるという方はぜひこちらに音言わせください。 お問合せはこちらから…

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不登校のお子さんが最も親にかけてほしい言葉

不登校のお子さんが最も親にかけてほしい言葉 1 「なんと言葉をかけていいのか・・・」

「中学2年の息子がいます。学校に行かなくなって、3か月。今では昼夜逆転で、動画を見てあとはゲームばかりしている。自分の部屋からほとんど出てこないし、話しかけてもほとんど応答がありません。なんと言葉をかけていいのか・・・」

男子のお母さまから頂く相談の冒頭はこのようなことが多いです。

学校に戻ってほしいという思いもありますが、不登校が長引いてくると過程でコミュニケーションをとることすら難しくなります。解決の糸口として、親子で話しあう必要があることは分かっていつつも、話しあうどころか、あいさつもろくにできないという状況が生まれたりしています。

さて、このような場合にどういう言葉がけが有効なのでしょうか?まずは、不登校している子どもの心理を見ていきます。

2 中学生男子の心理

中学生の男の子は不登校していようがしていまいが、親と話をするのを「うっとうしい」と思っています。小学生のときとは別人だと考えてもらったほうが良いです。

一つの理由は反抗期です。自我が芽生え、人からあれこれ指示されることに対してはいら立ちを覚えます。特に不登校している場合、学校に行っていない負い目があります。あいさつの次に何を言われるかということをびくびくしています。

子どもは子どもなりに、不安を抱えていますし、不登校してゲームばかりしている環境が良いものとは思っていません。ただ、親と話をするなんてことは照れくさくてやっていられないのです。

それをはねのける術として、無愛想にふるまったり、無視したりしています。これは親が嫌いだからではなく、それ以上自分に関わってほしくないという思いから来ています。(言葉では嫌いと言うかもしれませんが、多くはそれは本心ではありません)

3 有効な言葉がけとは?

親のことを何でもかんでも良くないと思っていながら、全く親から言葉を掛けられないのも嫌なのです。その理由は「反抗したい」という無意識の欲求があるからです。

あいさつをする、食事を促す、洗濯ものを出すように伝える、など日々の生活するうえで当然の言葉がけが実は子どもには有効なのです。

不登校をしている場合、自分はいてはいけない存在と自分のことを責めています。しかし、母親から、学校に行っているときと同じように「ご飯食べなさい」「部屋の掃除をしなさい」「髪を切りに行ったら?」なんてお節介に関われることは、表面的にはうっとうしいと言いながらも、内面では喜んでいることなのです。

変にほめたり、おだてたりせず、ごくごく普通の言葉がけが、学校に行っていない負い目を軽くしてくれます。もちろん、それにたいしてはぶっきらぼうな態度をとります。しかし、それはそれで順調なのです。

自分の存在が認められ、もっともやりたい反抗もさせてもらえているからです。

4 お母さんのメンタルのケアが重要

いくら、日常的に接するようにと言われても、学校には行かない、態度は悪い、ぶっきらぼう、その上、勉強せずにゲームばかりしているわけです。親の言うことを、まったく聞き入れてくれない状況協には、親の方が参ってしまいます。

ある意味根競べ的なところもあります。そこに根負けしないだけのメンタルが必要です。そこに、仕事のこと、家庭のこと、夫婦のこと、他の兄弟のことや自分の親の介護などが入ってくるととてもじゃないですけど背負いきれません。

不登校のお子さんを抱えた、お母さんのほうが参ってしまうケースもあります。この大事な時期に、お母さんが倒れてしまうと、子どもはますます自分を責めます。「自分が不登校になったせいで、お母さんに無理をさせてしまった・・・」と。

そうなる前に、お母さん自身のしっかりした心の芯をケアしておく必要があります。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

 

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中学不登校の高校生が大学進学を目指したわけ

中学不登校の通信高校生が大学受験をしようと思ったワケ 中学に通ったのは1年生の1学期だけ

小学校時代、学校でも習い事でもトップで、周りからも慕われる小学生でした。クラスでもリーダー的な存在となりました。中学になり、さらに頑張ろうと、小学生時代から続けていた体操に加えて、卓球部にも入りました。成績も優秀な彼女は、そういう自分を保つために必死でした。そして迎えた中学最初の定期テスト・・・そこで彼女は力尽きてしまい不登校になりました。

現実逃避のためのアイドルの追っかけ

私のところにやってきたときは、不登校をはじめて一年以上が経っていました。そのころ彼女は、アイドルオタクとして、学校に行く代わりに「現場」に良く出かけていました。コンサートや舞台があるとなると、北海道、仙台、大阪、名古屋と奔走しました。テレビ出演の予定も入手して、出待ちするために、何時間も寒空のもとにいるということもありました。

学校に戻ること、勉強すること、将来の自分を考えることを一切せず、時間と労力とお金を使いまくって遊んでいた。

とりあえず高校には行く

中学には通わず、卒業することだけは決まる。しかし彼女の進路は決まっていない。学校には相談することはなかった。とりあえず高校は行くとは言いながらも全日制には行くことはできないということ。彼女の母親が集めてきた通信制の高校の資料から説明会に出向いてある高校に行くことを決めた。とにかく楽に、とにかく手を抜いて卒業できる・・・彼女が高校を選ぶ時の基準はそんなものだった。

高校生の自覚はない

通信制の高校に進学するが、「高校生」という実感はない。コロナのまん延もあり、自粛で社会全体が家にいることになった。彼女が好きなアイドルの活動もほとんどなくなり家にいる。これが功を奏した。アイドルオタク(ある種の中毒)から抜け出すきっかけになった。

しかし、高校卒業後にどうしたいという思いもなく、ただ課題をこなす日々。それも適当に。

親御さんも、カウンセラーの私も進学をきっかけに何か変わるかと思ていたが、それは期待外れだった。この先どうするのかという問いを彼女がなかなか受け付けない。アルバイトを始めても続かない。彼女の中で「ダメな自分」が再構築されていく日々にただ寄り添っていくしかなかった。

きっかけは適当に聴いていた動画の授業

ある日、いつものようにけだるい感じで高校の授業を視聴していた。「よく生きるには?」という倫理の授業だった。彼女はこの授業を聴きながら自分が肯定された思いになった。

生きる意味を問い、自分の存在価値を問い、苦しみ、そこから逃れるためにアイドルを追いかけていた日々が肯定されたような感じがした。

自分も生きていていいんだということを初めて実感した。そしてもっと人と話をしたい、自分が味わったこの肯定される感じを他の人にも味わってほしい。そうして彼女の大学への挑戦が始まった。

自分を肯定したくても、肯定できない。肯定する材料がない彼女にとっては、カウンセラーの言葉は遠く、その時そのときはなんとなく前向きになれても、うまく自信を持つことができなかった。それが授業を通じて前を向き、大学進学を志すようになる。

周りの促しがなかったかと言われると、まったくないわけではないと思う。家では大学に行くことが話題になっていたこともあるようだ。ただ大事なのは、周りの顔色を窺ったり、親を喜ばせるためだったりではなく、自分が学びたいと思うまで彼女の変容を辛抱したことにあると思う。家族を含めて、どんなに道を外れても見守ってくれる大人がいたことが功を奏したのである。

カウンセリングが何か役に立ったというよりも、家族以外の大人との関係性が薄い彼女にとって、第三者的な大人に考えたこと、気持ち、今の自分の状況を話せる環境が必要だったのかもしれない。学校に行っている子は学校の先生、塾の先生、習い事なんかの指導者などいろんな大人がいるが、不登校している子どもにはそういった働きかけは少ない。特に自分自身の存在を問うているような状態の子に、何かを身に着けたり上達するように指導するような場は酷である。カウンセラーの必要性を感じつつ、大学受験する彼女の背中を軽く支えているのが今の私の仕事である。

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不登校は数日休むと回復する?

不登校する中高生がカウンセリングを受ける最適なタイミング 1 不登校の多くはメンタル不調

不登校の多くはメンタル不調が原因です。学校の人間関係トラブル、成績不振や宿題・テストの忌避、自己肯定感の低さなどです。もちろん、体力的疲れているから休むというのもあると思います。

不登校の初期は原因が何か分かりません。数日休んで、気持ちを切り替えて学校に行けるお子さんもいます。休むことも効果的です。しかし、これがいつまでも続くとなると、対処が必要です。初期の対応としては学校に行くように促すのはやっても良いと思います。その時にどう反応するのかで、その後の対応が分かれます。

不登校の対応としてカウンセリングをすすめられることは多いと思いますが、実は最適なタイミングがあります。

2 「学校に行きたくないと」言葉で言えるか?

不登校しているお子さんの表情はさえない表情をしています。中学生や高校生のハツラツとした印象とは程遠く、どんよりしていて、目にも力がない感じです。それでも学校に行こうと準備をするお子さんはいます。遅刻してでも、教室に入れなくても登校しようという意志を持って行動するのです。本人がそうしたいのであれば、親としてはそれをサポートしてあげたほうが良いでしょう。

ただ、注意点としては、「学校に行きたくない」と言葉で伝えてきた場合は、登校の促しは控えた方が良いです。それは、言いにくいことを伝えること自体に勇気がいるのに、それを否定されてしまっては、心の中にエネルギーがまったくなくなってしまうからです。

3 学校に行きたくないと言ってからの対応が分かれ目

「学校に行きたくない」という言葉は意思表示です。その意思を尊重することは、お子さんの人格を肯定することにつながります。

初期の対応の分かれ目はここにあります。学校に行きたくないという意思表示をしたあとにも学校に行くように促すのか、その意思を尊重して登校にはふれず休ませるのか。後者をとってもらうと、登校するしないは別として、表情が明るくなるのは早いです。

行きたくないと言ったのに行くように促すと、反発を生み、結果として家族とも話さず引きこもる可能性が高まります。

4 意思表示があってからの対応でも遅くはない

不登校の初期対応としては、休ませること、そして登校の意思確認が重要です。行きたいのに行けないのか、行きたくないのか、よくわからないのか。いずれにしても、学校に行かない現実はおなじですが、本人が何か意思表示をしてからでも対応を考えてよいと思います。

特に私のような外部のカウンセラーに引き合わせるのは、本人にも相当な覚悟が必要です。「カウンセラーに会わせる」という言い方で親御さんや学校の先生から依頼を受けますが、そういう場合はなかなか心を開いてくれません。本人が意思表示をしたら、「じゃあ対応を考えようか」ということが可能になります。

本人の登校への意思表示があった場合はカウンセリングを受けることで有効にメンタル不調を回復することができます。

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不登校の対処になぜカウンセリングが効果的なのか?

不登校の対応にカウンセリングが効果的である3つの理由 不登校の対応を学校にお願いするとまずはスクールカウンセラーが紹介されることがほとんどです。医者に行ってもカウンセリングをすすめられます。風邪をひいたら風邪薬と睡眠をすすめられるように、不登校と言うと何の疑いもなくカウンセリングを受けるように勧められます。実際どんな効果があるのか?実はあまりそのことが伝わらないままカウンセリングに来られる方がいらっしゃいます。このコラムでは、カウンセリングがどういう役割を果たすのかそして、その効果が何かをお伝えいたします。 カウンセリングの役割

カウンセリングの役割は、第三者の考えを入れることにあります。客観的な情報を伝えることで、これまでと違った視点を得ることができます。

家庭にいると親と子だけで話をします。お互いに価値観も似通っており、同じような考え方のもとに会話が続きます。そうすると良いものと悪いものが常に同じなのです。

たとえば「学校の勉強が大事だ」という価値観が親にも子にもあったとします。そうなった場合、学校に行かないことはこの価値観に反することになり、「学校に戻ること」を軸に解決策を考えようとします。ところがここに違う視点が入ったらどうでしょうか?「学校じゃなくても勉強はできる」という視点を入れた場合、学校には行かないけど、それ以外のところで学ぶ方法を考えることになります。すると可能性が広がります。もちろん学校に戻るという選択肢も残すことができます。

これはほんの一例ですが、話をしていくことでこういう視点がどんどん増えていき、考え方が変容していきます。

1人で考えていると・・・

同じ価値観、同じ考えのもと考えることになり、いつも同じ結論に達します。これは親子で話をしても同じようなところに行くのは他の視点が入らないからです。

結論に納得しないなかで考えを続けると、気持ちがネガティブになります。不登校のお子さんが何も話さなくなるのはこの思考が何度も繰り返された結果とも言えます。

対話をすると・・・

対話によってカウンセラーという第三者の視点が入ります。すると、自分とは違った考えに出会うことができます。それを元にまた考えを入れます。

また、言葉にすることで自分自身の考えを客観的に見ることができ気づきがあります。話をするだけで効果があるのはここに由来します。

しかも、カウンセラーは聴くプロであり、また同じようなケースをいくつも知っている場合もあります。専門的な視点からのコメントは、時にたった一言で気持ちを前向きにさすることもあります。

話をするだけで何か解決するの?

カウンセリングにおけるカウンセラーの役割が傾聴、つまり話を聴くということです。これにどんな効果があるのか?です。よく質問されるのが、「話をするだけでなんか解決するんですか?」というものです。この問いには「はい、意味があります」と明確に回答しています。

カウンセリングと普通の会話は全然違います。カウンセラーは自分の話をしません。あくまでも不登校しているお子さんやその保護者の方の話が続きます。一方、通常の会話は、お互いが話したいことを話します。あまり聴くことが重視されていません。実は、自分の話をひたすら聴いてもらう経験ってほとんどの人がしたことないんです。

そして、自分の話をひたすら聴いてもらっていると三つのことが起きてきます。それは

1自分の心を言語化することで、心が軽くなります。

2自分のことを分かってもらったという受容体験

3カウンセラーに対する信頼からくる安心感 ちょっと詳しく紹介しますね。

カウンセリングがもたらす3つの効果 1 言語化が心を軽くする

自分の内面にとどまっているものを言葉にしてそとに出すだけで心が軽くなります。この軽くなったゆとりが、今の悩みに立ち向かうためのパワーとなります。問題が解決に向かわないのは、解決方法が分からないのではなく、その解決方法を実施する力がないからです。カウンセリングはその力を蓄えてもらう場でもあります。

2 分かってもらった受容体験

1人で悩んでいる時間も大切ですが、自分1人だと同じ考えがグルグルと回って辛くなります。そこにカウンセラーという聴き手のプロが入ることによって、今までと違う、視点や考え、物の見方ができるようになります。

3他者に対する信頼と安心感

カウンセラーと関係ができると、心の安全基地ができます。常に対話ができなくても「困ったら相談に乗ってくれる人がいる」という安心感が日々の生活の心理的安全性の維持につながります。

なぜVCAのカウンセリングは選ばれるのか? 不登校の解決はお子さんの自立とキャリア形成 ★ カウンセリングのトレーニングを十分に受けた公認心理師がカウンセリング★学校教育、進路指導、受験について精通している。★ キャリアコンサルタント保持者がメンタルだけでなく将来の進路も一緒に考えることができる。

VCAのカウンセリングがが選ばれるのは、単なるメンタルケアにとどまらないからです。

VCAでは不登校の解決を、子どもの自立とキャリア形成に置いています。

そのための関わり方ができます。これまで3000件を超える中高生の相談を受けてきて見えてきたことは、結局は進路の問題が解決すれば子どもは前を向いてくれるということです。

しかし、不登校しているお子さんにいきなり「将来何がしたい?」と尋ねても何も答えられません。不登校のお子さんが自身のキャリアについて考えれるまでには十分なケアと信頼関係の構築があります。

メンタルヘルスだけでなく、学校教育、進路指導、受験、キャリア形成全てに対してケアができるのがVCA最大の強みです。

カウンセリングをご希望される方はこちらからお気軽にお問合せください お問合せはこちらから 不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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2学期を目前にしての不登校対策

2学期スタートは要注意

多くの学校が8月下旬ごろから2学期が始まります。長期休みを経ての新学期。中にはなかなか生活のリズムがつかめないまま夏休みを終えつつあるかもしれません。この長期休み後に不登校になる人は少なくありません。

休むことに身体が慣れてしまったことや、別に学校に行かなくてもいいんじゃないかと思うにようになることが引き金になります。

まさかうちの子が、不登校!?という事態に遭遇したら下記をお読みください。

不登校の原因は不透明

なぜ不登校になるかはよくわかっていません。本人も理由が分からないということ自体が困りごとなのです。

そこになんで休むの?

どうやったら学校行くの?

と親から問い詰められると余計に混乱して苦しくなります。しかも、原因が分かったところで学校に行くわけでもありません。

また、余り問い詰めると、適当な理由をでっちあげる場合もあります。

人間関係を原因に挙げる場合もあります。もちろん、友達の不仲やいじめが実際にある場合もあるのですべてが嘘だとはいえません。ただ、中にはとりあえず問い詰められる事態から逃れるために友達からの嫌がらせを話すこともあります。

そして学校に伝える。学校は対応するが事実がないということもあります。

原因追及よりも、心休まる方法を考えていくほうが必要です。

不登校の兆候があったら慎重な対応を

朝起きてなんとなく憂うつな気持ちになり、それが腹痛や頭痛、吐き気などの身体症状に現れます。

口数も減り食欲もない。

理由は分からなくてもそういう見て取れる症状が出たら、ひとまず休ませる必要があります。

2学期がスタートする9月、ゴールデンウイーク明けの5月は子どもの自殺が多い時期でもあります。無理解な対応は、取り返しのつかない事態を招く恐れもあります。

長く休んだからといって精神面が回復するわけではない。

1学期の後半あたりから不登校気味になった親御さんが期待するのが、夏休みにしっかり休めば2学期から行けるかもしれないという期待です。

この期待は半分外れます。休むことで体力は回復しますが、精神面のストレスは身体を休めても、回復することは少ないです。

子どもとしては「これだけ休んだから」という思いで1日、2日は頑張るかもしれませんが、その後、休みがちになることも珍しくありません。

精神面のエネルギーは休息よりも「理解」です。

どうして学校に行きたくないのかという気持ちを理解してあげる必要があります。

お困りの場合は下記の無料相談までお問い合わせください。

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不登校の原因がいじめだった・・・

不登校の原因が「いじめ」であるケースは珍しくありません。

今は学校自体が「いじめ」に敏感であり、ときに過剰反応をされます。

だから、子ども自身もなかなか「いじめ」を言い出しにくい場合があります。

特に中学生くらいの年齢だと、反抗期であることも重なって、親や先生に助けるなんてかっこ悪くてできないのです。

また、いじめられていることを大人に相談して、介入されてしまうと、あとから報復が来るということを怖がってしまうケースもあります。

いじめについては、学校はアンケートをしたり定期的な面談をしたりして、早期に発見しようとしますが、なかなか見つからないというのが現状です。

傍から見ると明らかに、「いじめ」という場合でも、いじめられている本人が「仲間」とか「友達」と思っていて、そのグループにいるための手段としていじめられるということを選択しているケースもあるのです。

嫌な奴がいて意地悪をしてくるというケースであれば、比較的解決の方法は見いだしやすいです。

本人が認めない場合や、巧妙に隠されている場合はなかなか見つかりにくい。本人もなかなかそのことを相談しません。

言葉にできない代わりに不登校をするという場合がいじめが原因の場合です。

無理に学校に行かせると実は辛いかもしれない

ということを念頭において「学校に行きたくない」と言ったときは様子を見る必要もあります。

「いじめ」があるかどうかは、やはり学校に相談すべきです。ただし、学校側が把握できていない場合も多々あります。

不登校になったのは「いじめではないか」と仮説をもちつつも、お子さんの交友関係について尋ねるほうがよいと思います。

「いじめ」が原因である。ということが分かった場合は、不登校の解決は早いかもしれません。

というのは原因が取り除かれる可能性が出てくるからです。

確かに報復は怖いです。でも実際には「いじめ」で生徒指導の対象になった場合、該当生徒どうしが接触する機会は極力少なくするように学校側が配慮します。学校としても「いじめ」の再発は何としても避けたいからです。

しかし、いじめが原因と思っていて、それが解決しても不登校が続く場合もあります。

実は本当は別のところに理由がある場合もあります。いじめはきっかけにすぎず、不登校原因が自身の内面世界にあるのです。

これは嘘をついているわけではなく、本人もいじめが原因であるということは認めていてその解決を願っています。

しかし、それが解決されも自分の精神的な不調が改善されないということがあります。

この場合は、いじめ以外の原因を探っていく必要があります。

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カウンセリングが怖い・・・!?

以前、高校でスクールカウンセラーをしているときの話です。高校2年生の男子が相談室にやってきました。入ってくる様子でおびえている様子が分かりました。その生徒は、友達とトラブルを起こしてしまい、謹慎中でした。学校に出てくるのも久しぶりということで怖がっているのだろうと思いました。

今回のトラブルの経緯を話してもらいながら彼の精神的な安定を目指していくことがそのカウンセリングの目的でした。

話をするうちに徐々に緊張は緩み、時折笑顔も見せてくれました。そして、カウンセリングの最後には「今日、カウンセリングに来るのは怖かったのかな?」と尋ねると「はい。めちゃくちゃ怖かったです」というのです。

彼が言うには、中学生の時に、学校で一番のワルだった生徒が、カウンセリングに行くとその後は落ち着いて授業を受けていたそうです。その様子を見ていた彼は「あいつがあんなに黙ってしまうんだからカウンセリングってのはよっぽど怖い指導を受けるところなんだろうな」と思ったそうです。そのイメージがあったから、「今日はめちゃくちゃ怒られる」と思って部屋に入ってきたそうです。

幸い、彼がもっていたカウンセリングのイメージは払拭されました。

人は未知なるものにはどちらかと言うとネガティブなイメージを持ってしまいがちです。

安全なのだろうか、だまされていないだろうか、効果があるのだろうか・・・

ネガティブな思いが先行しすぎると、未知なものに飛び込むということはできません。

やはりそこにはリスクをとる勇気がどうしても必要になります。

ただし、未知なるものに飛び込むリスクをとらないということも、今の状態を続けるというリスクであることも事実です

変化に向けたチャレンジも、チャレンジせずにとどまることも、実はリスクなのです。

スクールカウンセリングの場合は、学校の制度なので半強制的にカウンセリングに連れてこられてしまいます。しかし、社会に出てしまえば一歩踏み出す勇気は自身の決断によるところが大きくなります。

最初の恐れや緊張感。これを乗り越えてでも自分が変わりたいという思いがあれば、その選択は正しい方向に作用します。

実はこのコラムを読んでくださっていること自体も変化の一歩目を歩み始めている証拠ですね。

最後までお読みくださりありがとうございました。…

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支配的なカウンセラーに要注意

カウンセリングの目的は?

不登校、ひきこもりに限らずカウンセリングの目的はクライエントさんの行動の変容です。「変容」というのは全く異なったものになると言います。そのプロセスで、発せられる言葉、これまでと違う行動などの小さな変化があります。このフィードバックを繰り返していきながら、気づいたらカウンセリングを始めたころと全く違う自分になっている。これが変容です。そしてその変容がクライエント自身の自立―特に精神的な自立―に結びついていることが重要です。

依存かケアか

カウンセリングの手法は様々ではありますが、私がこれまで見てきてまずいなともうケースは、依存的なカウンセリングです。カウンセラーとクライエントが共依存になっている状態です。カウンセリングのプロセスで一時的に依存的になることはあるかも入れませんが、これがずっと続くと、自立から遠のくことになります。

カウンセラーが持っている支配性

日本では「心理カウンセラー」を誰もが名乗ることができます。臨床心理士や公認心理師など代表的な資格を持っていなくてもカウンセリングを行うことができます。それを仕事にしている人もいます。無資格でも凄腕のカウンセラーはたくさんいます。私もお世話になったことがあります。しかし、中には特別なトレーニングは受けたことがなく、かつて自分自身が心病んだ経験があるということを土台としてカウンセリングを行っている人もいます。こういうカウンセラーさんの場合、支配性が強い場合があります。

感情転移ー本来親や養育者に向けるべき感情(怒り、好意など)を他人ぶつけてしまう。というのが精神分析の世界では言われています。支配性が出てしまうのは、感情転移が起きた時です。

感受性が豊かなゆえに、共感力が高い分、感情転移を起こしやすい、そしてそれが支配性となり、共依存を創り出してしまうのです。

また、悪質な場合は、この依存的な状態を保つことで、利益を得るということもあります。…

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将来の肯定感を今からつくる

日々を無駄に過ごしていると思っていませんか?

不登校しているお子さんは、家に居て勉強するわけでも家の手伝いをするわけでもなく、1日中何もしないで過ごしていることがあります。

そういう日々を過ごしていると、1日1日の意味や価値が見いだせません。具体的に何を下とか覚えていません。

おそらく、部屋にこもってベッドの上でゴロゴロしている中で、この先どうなるのか、学校行かなくてこれでいいのかなど、いろんな自問自答があるはずです。(そのせいでネガティブになることがあるのでカウンセリング必要だとも考えています)

仮に具体的なアクションがなかったとしても、その日1日を生きたということは間違いない事実です。そしてそんな1日にも意味を見出しておくことをお勧めします。

2 振り返りが効果的な二つの理由

1つの理由としては、1日を振り返って今日がどんな日であったか、どんなことを考えたかということに思いを巡らせることで、自分を客観的に見ることができます。不登校のお子さんは自身をダメだと決めつけて、自分を責め、そして余計に行動するエネルギーが損なわれてしまいます。こういうネガティブなサイクルから抜け出すためにも、自身を客観的に見る目を養う必要があります。

2つ目の理由は、将来への肯定感です。不登していなくても、過去を振り返って「あの時もっと頑張っていればよかった」と思うことは誰にでもあります。不登校していると、その日々を思い出すことさえできなくなります。中高生時代の不登校の時期を自分で「無意味」と価値づけしてしまうと、自己肯定感が低くなります。将来の肯定感を今つくる、というためにもふりかえることは大切なことなのです。

日記をつけると自己肯定感が上がる

振り返りで最も効果的なのは日記をつけることです。1日中部屋にとじこもって何もしなかったとしても、その中で考えたこと、感じたことを記録しておくのです。日記と言っても、本格的なものでなくてもよくて、その日1日を振り返った感想を1~2文書くところからはじめても十分ですし、単語で記録していても良いです。

今日明日に効果が出るものではありませんが、長い目で子どもさんの成長につながります。

不登校している日々に意味を見いだすことができれば、この経験が将来の糧になることは間違いありません。少しずつでも、とぎれとぎれでも始めていくことをおすすめします。…

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不登校になるのは親の愛情不足?

不登校のカウンセリングでこんなこと言われたりしませんでしたか?

不登校の原因をお親の愛情不足と決めつける人がいます。両親が共働きで、幼少期に満足にかかわる時間が少なかった。だから今構ってもらうために家にいる、そのためには不登校するしかない、そういうわけで家絵にいる。だから、しっかり関わってあげなさい。

カウンセリングだったり学校の先生なんかにこんなことを言われた経験がありませんか?

幼少期に得られなかったものを今得ようとしている。しかも、自分がもっと関わってあげれば良かった、何ていうことが心のうちにあると余計に刺さります。でも、これは短絡的な考え方です。もちろん親に甘えたい気持ちがないわけではありませんが、これは不登校になるお子さんに限ったことではありません。

 

愛情不足と言われても打つ手がない

愛情不足と言われても打つ手がありません。過去に戻ってかまってあげることなんかもできませんし、今更小さい子をあやすようによしよしとするのも違います。

愛情不足は原因でもないし、解決策にもなりません。

ましてや、愛情不足だから申し訳なかったと子どもに謝ることは禁物です。もし、愛情不足で子どもに謝るようにという助言を受けても決して謝る必要はありません。

理由は二つあります。

1つは子どもに謝ったところで何も効果がないからです。子どもとしても「何を言っているんだろうか?」と白けた感じになります。もうもう一つの理由は、愛情不足を謝られた子どもは「あなたの子育ては失敗でした」というメッセージを受け取ってしまいますます傷ついてしまうからです。

実は愛情のかけすぎの方が危険だったりする

一方で余りにも手をかけすぎると、それはそれで不登校になる可能性が出てくるのです。

過保護に子どもを育てると子どもの自尊心が育ちません。それは自分で考えたり、決めたりしなくても親がすべてしてくれるからです。そして、このほうが「愛情不足」より長期の引きこもりを引き起こす可能性が大きいと考えています。

子どものためと思って親があれこれ手を出す。危ないからと思ってやらせない。将来役立つからと塾や習い事をたくさんさせる。これを子どもが望んでやっているのであれば問題ありません。しかし、親の「不安」や「子育てに対する自信のなさ」から子どもに何かを「させる」と子どもは受け身になり、なされるがまま、誰かがやってくれるということで、進路決定や就職などの局面で前に進むことができなかったりもします。

親の愛情不足で不登校になるわけではない

愛情不足が不登校の決定的な理由ではありません。そもそもこの「愛情」というのが何なのかあまり具体的ではありません。

一緒にいる時間を長くすること、子どもの要求に応えること、将来を見据えて習い事に通わせること・・・確かに愛情ということで言えば形になって目に見えているので、「私は子どもに愛情をかけた」と思えるかもしれません。子どものためを思っていろいろとして挙げることは大事です。衣食住を守ってあげることも大事な要素の一つです。

しかし、愛情というのがすべて目に見えるか分かりません。さらに親は愛情を注いでいるつもりでも、子どもがそれを愛情として受け止めているかは子ども次第のところがあります。

よく、お兄ちゃんと同じように育てたのにお兄ちゃんは優秀だけど、弟は問題が多い、なんていうことを話されますが、同じ親から生まれた兄弟でも全然違います。同じように育てるということは、子どもの個性をないがしろにしてしまうのです。

愛情は子どもの受け取り方にも左右されます。これが愛情として伝わっているかどうかを考えながら子どもに接してもうまくいきません。むしろ、その時その時で自分にできる精一杯の子育てをしていくということで十分なのです。

 

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どうして親がカウンセリングを受けると子どもの不登校が改善するのか?

不登校の問い合わせの多くは親御さん、それもお母さまからがほとんどです。そして「娘のカウンセリングをお願いします」とか「息子に会ってもらえますか?」と言われます。

もちろん、こちらも不登校している本人に会えるのであれば喜んで日程を決めてセッティングします。

しかし、多くの場合は、そんなにうまくいきません。まあ、見知らぬおっさんが突然あらわれて「あなたの悩みを話してごらん」と言われてもまあ話さないです。

ですから、まずはお問合せくださった親御さん(多くはお母さま)のカウンセリングをお勧めします。

これはお母さまにどこか悪いところがあるからカウンセリングをする必要があるというのではありません。不登校のお子さんを持つことはかなりの精神的な負担があるからです。子どもを育てるというのは特に問題がなくても、大変なものです。

それが学校に行かないとなると「なんでうちの子が」というショックがあり、「私の育て方が悪かった」という自責の念もつのってきます。そんな状況で、仕事や家事、家族の世話をしているわけです。そして学校に行ってさえいてくれれば何とかなる子ども教育や進路を考え、場合によっては通院も必要になってと負担が一気に増します。

それを引き受けていて平気でいられる方がちょっと怖いです。

また、お母さまにカウンセリングをすすめる理由はお母さまの精神的な負担を解消するだけではありません。お子様への関わり方についても考えることができるからです。

不登校に限らず、精神的な不調は関係性の病と捉えることができます。親子の関係の在り方を変容させると改善していくことが予想できます。カウンセリングを通じて日々の何気ないかかわりが変化していくと、とうぜんその先に居るお子様や他の家族にも良い影響を及ぼしていきます。

不登校している娘のためなら何でもします、という思いでカウンセラーを探されている場合、まずはご自身のカウンセリングを設定することを強くお勧めします。

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不登校の相談をしたのに「様子を見ましょう」と言われてしまったら・・・

子どもが不登校になったら初めに相談するのは担任の初めとした学校の先生。そしてそこで登場するのがスクールカウンセラー。

多くの学校ではスクールカウンセラー(以下SC)は非常勤です。いつでも相談ができるわけではなく日時を伝えて学校に行きます。

おそらく、担任の先生から前情報が伝わっていますが、詳しいことは親御さんが話すことになります。

学校の時程に合わせて枠が設けられるので1回50分程度の時間での相談となります。

問題はそのSCが話を聴いてどう応答するかです。

たいていの場合は「様子を見ましょう」となります。

スクールカウンセラーに話を聴いてもらって親御さんとしてもんか心が軽くなります。そして、話をしているうちに、「何とかなるかな」と前向きな気持ちも出てきたりします。

そういうタイミングで「様子を見ましょう」と言われるとなんとなくそれでよいのかな、とも思ってしまいます。

様子を見るという対応で、生徒自身がなんか変化して学校に戻るケースもあります。

しかし、中には「様子を見る」という対応は、学校に相談に行く前の段階でずっとやってきていて、親御さんや担任の先生の対応だけではうまくいかないから相談に来ているわけです。

「様子を見る」は間違いではないですが、不登校の状況を改善する選択肢の一つでしかありません。

むしろ、すでにやってきているとなると、何かしら具体的なアクションが欲しいところです。

言葉のかかけたや接し方、時間の使い方に対してどう注意して、どこは許容するのか、勉強についてはなにもしなくていいのか、何らかのフォローアップが必要なのか。そしてそもそも、こんなに長いこと学校を休んでいて、今後の進路をどう考えていけばよいのか。

そんなことが思い浮かぶはずです。

学校に相談して「様子を見ましょう」と言われて、状況がよくならないとか、もっと具体的な行動を起こしたいとかお考えの方はぜひとも無料相談にお問合せください。

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