不登校、ひきこもりに限らずカウンセリングの目的はクライエントさんの行動の変容です。「変容」というのは全く異なったものになると言います。そのプロセスで、発せられる言葉、これまでと違う行動などの小さな変化があります。このフィードバックを繰り返していきながら、気づいたらカウンセリングを始めたころと全く違う自分になっている。これが変容です。そしてその変容がクライエント自身の自立―特に精神的な自立―に結びついていることが重要です。
カウンセリングの手法は様々ではありますが、私がこれまで見てきてまずいなともうケースは、依存的なカウンセリングです。カウンセラーとクライエントが共依存になっている状態です。カウンセリングのプロセスで一時的に依存的になることはあるかも入れませんが、これがずっと続くと、自立から遠のくことになります。
日本では「心理カウンセラー」を誰もが名乗ることができます。臨床心理士や公認心理師など代表的な資格を持っていなくてもカウンセリングを行うことができます。それを仕事にしている人もいます。無資格でも凄腕のカウンセラーはたくさんいます。私もお世話になったことがあります。しかし、中には特別なトレーニングは受けたことがなく、かつて自分自身が心病んだ経験があるということを土台としてカウンセリングを行っている人もいます。こういうカウンセラーさんの場合、支配性が強い場合があります。
感情転移ー本来親や養育者に向けるべき感情(怒り、好意など)を他人ぶつけてしまう。というのが精神分析の世界では言われています。支配性が出てしまうのは、感情転移が起きた時です。
感受性が豊かなゆえに、共感力が高い分、感情転移を起こしやすい、そしてそれが支配性となり、共依存を創り出してしまうのです。
また、悪質な場合は、この依存的な状態を保つことで、利益を得るということもあります。