不登校を長期化させてしまう親の態度

子どもさんが不登校になった時、親御さんが抱える不安がたくさんでてきます。そして、どこから手を付けてよいか分からずに困惑してしまうという話もよく伺います。勉強や進路のことなどもありますが、最も大きいのは「このまま不登校が長期化して引きこもったらどうしよう」というものです。しかしながら、そのような不安を抱えているご家庭の中に、不登校を長期化してしまう親の態度が見受けられます。

1 父親の非協力

不登校が長期化する家庭の多くが父親の非協力です。「お前の育て方が悪いからだ!」と奥さんに子どもさんの不登校の責任を負わせて、その話題に触れようとしないことがあります。その上、医療機関や勉強会、カウンセリングなどにも理解を示せない。かといって、子どもに何か言葉をかけたりもしない。不登校の原因というのは子どもさん本人に起因しますが、親の理解のない態度(父親に多い)が余計に問題をこじらせてしまう場合もあります。また、母親一人で対処してしまうと、いろんなストレスを抱え込んでしまいます。子どもさんの問題に加えて、家族の不和を気にしつつ、仕事や家事にも追われる。兄弟がいるのならその世話もしないといけない。すると、いくら医療機関やカウンセリングを受けても、お母さま自体がやるべきことをできない状況が続いてしまうのです。父親の非協力は不登校を悪い状況にしてしまう要素の一つです。

しかしながら、母親だけでなく父親も一緒に解決にあたるようになると、事態がどんどん良くなっていくというケースもありました。それは、両親で解決にあたることで、家庭の中の雰囲気が明るくなります。なにより、それまで一人で対処していたお母さまのストレスがかなり軽くなります。本気で解決を目指すのであれば、ご両親でタッグを組んで当たる必要があります。

2 ○○させる

カウンセリングを受けさせる、心療内科を受診させるの「させる」です。不登校の対応でよくありがちなのが、不登校している本人にカウンセリングや病院を受けさせようとするものです。もちろん、子どもさん本人が望むのであれば、効果的ですが、そうじゃない場合、むりやり何かをさせるのはかえって逆効果です。不登校しているのは元気がないからです。心がつかれているからです。それなのに、あちこち連れまわして、しかも初めての場所に行くわけですから相当なストレスを抱えることになり、返って子どもさんの元気を奪うことになります。しかも、1~2回通って効果がなかったら別のところにいくなど、ドクターショッピング的に回ってしまうと、余計に効果を得られません。カウンセラーが変わるたびに子どもは同じ話をさせられ、同じようなことをさせられるのです。

いずれにしても、本人の意向を待ったく無視して、問題解決にあたっていてもよくなることはほぼありません。本人がカウンセリングを受けたくないのであれば、母親や父親が受けることをお勧めします。というのは、不登校に限らず心の病は関係性の病なのです。関係を改善するためには、本人ではなくても、親自身の意識や不登校に対するとらえ方が変わることで、子どもへの接し方が変わります。その結果、子どもが前向きな思考を取り戻して元気になっていくという筋書きです。

ただし、例外的に無理に医療につなげたほうがよいこともあります。たとえば、 過食嘔吐が激しい、自殺企図があるなど命にかかわる場合です。そのような場合は、本人の意志はいったん脇において、守っていく必要があります。アディクションの場合は本人が悪いことをしている自覚はありつつもそれを人に知られることを恐れます。ですから医療(公的)につながるとこれまでの悪行がばれるという恐れから、受診を拒否します。強い抵抗にあうかもしれません。しかし、後からでも「あなたを守るためにやったのだ」ということ伝えれば、その時の気持ちをなだめることはできます。

3 学校に行くことがよいこと、行かないことは悪いこという思いで接し続ける 

3つ目は親の意識の問題です。無理に学校に行かせようとするのは逆効果ですし、学校に書ないことを責め続けるのもよくありません。一番苦しんでいるのは不登校している子どもさん本人です。しかも、不登校し始めてすぐは、学校に行かない自分はダメな存在だとかなりせめて締まっています。

近年の不登校生への対応は、「様子を見る」です。不登校をする生徒の数は平成25年以降増えています。(図)

なぜ増えたのか?というと社会的な背景とかいろいろな要素がありますが、対応として不登校を無理に学校に引き出さないような対応が多くなされているとも言えます。特に平成21年以降は不登校への対応としてスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置などが推進され、さらには、フリースクール等で過ごした時間も出席扱いや単位認定にもつながるようになるなど、支援が充実してきたこともあります。

文部科学省では不登校に対する認識を下記のように表明しています。

不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって、起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要があること

不登校は誰にでも起こりうるし特別なことではないということも言えます。当然ながら、不登校にならないに越したことはありません。しかしそうなってしまったからと言ってすべてがダメだというわけでもないのです。学校に行かないことで、勉強は遅れ、進路も定まらないということもあります。しかし、それで人生がすべてダメになるというわけでもありません。「学校に行かないことは悪いこと」ではなく、「学校に行かない時期がある」という認識と、不登校自体も成長のプロセスととらえてほしいです。

4 子どもに謝る

「不登校をする子どもは幼少期のさみしい気持ちがある。だから、そのことを子ども詫びなさい」という話を聴いて、思い当たることがあったお母さまは子どもに「さみしい思いをさせてごめんなさい」と謝ったそうです。しかし、事態は改善しませんでした。子どもにしてみれば、こちらの気持ちを理解しないで、自分の都合で詫びをいれて「なんとか学校に行ってください」と聞こえてしまうからです。また、別のお母さまは「私の育て方が悪かった」という謝り方をしたそうです。これはもっとNGです。それは「あなたは失敗作だ」というメッセージになってしまうからです。そしてますます自信を失い、学校から遠ざかってしまいます。家族とも遠ざかってしまうかもしれません。

謝ること自体が不要というわけではありません。しかし、親御さんが「学校に行ってほしい」という気持ちがあるまま、手段として謝ることは逆効果です。相手の気持ちが分かって、これは謝って済まされないかもしれないけど、謝るしかないというときに、要約、心からの謝罪の言葉が出てくるのです。手段として、そして親御さんが子どもさんに対して操作的な意図をもっての謝罪はかえって関係性を悪くします。

不登校への対応に正解はありません。一時的にまずい対応や逆効果なことをしてしまう恐れもあります。そういうプロセスを経るから、よりよい対応、より子どもさんの気持ちに寄り添うことができるとも言えます。不登校が長期化することは確かに避けたいところです。しかし、長期化したから人生そのものがダメになるというわけでもありません。

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