不登校の悩み | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します - Part 2

不登校の悩み

学校に登校しない、または休みがちの子どもにどう向き合うかを考える記事をまとめています。

不登校解決に必要な二つの要素

不登校解決に必要な二つの要素 不登校の原因に決定的なものはない

不登校の原因を知りたい、どうしてそうなったのかが分かれば対応の仕方が分かります。しかし、「原因はこれだ!」と決定的なものが見つかることは珍しいです。実際には複数の要因が重なっているということが多いです。学業不振、友人関係、クラスへの不適応、教員との相性などです。高校や私立の中学校の場合は通学時間なんていうのも関係したりします。いくつかの要因はありますが、どれも決定的ではないし、簡単に取り除けるものではありません。

決定的な原因が分からないとしたらどうするか?

決定的な原因は分からないけど、いくつかの要因は分かったとします。しかし、人間関係や学校の環境などの、外部の要因を変化させるのは実際に難しいです。学年が変わると変化する場合もありますが、一年間はクラスも担任も基本的に変わりません。かといって、何もしないわけにはいきません。そこで次の対策として、不登校しているお子さんに行動するエネルギーと思考を持ってもらう必要があります。不登校している生徒さんは自己否定感が強いです。そして思考に偏りがあることもあります。そこへの介入をします。

行動するエネルギーを得るために

行動するエネルギーを得るための方法として休むことが挙げられます。これは初期対応として必要です。ただ、3~6か月もすればこれはもう不要です。体力的な面は回復します。重要なのは精神面のエネルギーです。これは自分を肯定してもらうことで得られます。

学校に行っていない、家で何もしていない自分を肯定することはなかなかできません。親や先生に言われたとしてもそこには何か勉強させようとか、学校に行かせようという意図があるのではないかと勘繰って素直になれません。(実際にそういう意図がなくても)そこでカウンセラーやフリースクールの先生など外部の大人の力が必要になるわけです。「今は学校に行っていないけど、将来は大丈夫だよ」という思いを持った大人が接していくわけです。今の状態を分かろうとしてくれる存在が、生徒さん本人の心の支えとなり、徐々に力を得ていき自信を回復させます。

思考の偏りを取り除くために

思考の偏りとして多いのが「完璧主義」です。学校に行っていない自分はもっと勉強しないといけない、人一倍頑張らないといけないという思い込みがあります。ただ、現実的にはそれはなかなか難しいです。大事なのは今の状況が自分の成長過程だととらえることです。自分自身が大人になるには不登校するという手段をとらないといけなかったんだということ、そしてこの状況は必ず終わりが来るということを思えるかどうかです。

行動するエネルギーを得ることと、思考の偏りを外すことは不登校から抜けだすための両輪です。これを得ていくと、自分を肯定でき前向きな気持ちになり、そして将来に対しての考えを具体的にすることができます。そうなると自然と行動が生まれます。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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不登校は甘えである

不登校は甘えである 不登校の初期は強い態度で対処しようとしてしまう

不登校を「甘え」と捉えて、学校に行くように強要される親御さんがおられます(特に父親に多い傾向)不登校の初期段階ではそういう解釈になって仕方ありません。身体も元気だし、学校生活にも気になることも見当たらない。なんでうちの子がと思ってしまうわけです。

病気じゃないから、やる気がない、根性がない、わがまま、などと甘えと捉えて、強い態度で臨んで、矯正しようとします。

この対応が間違いだと言い切ることはできませんが、あまり効果的な方法ではありません。

 

甘え=矯正するという考え方が誤り

「甘え」に対して、強い態度で出るのは良くないですが、

不登校は「甘え」なのです。それは、幼少期の子が駄々っ子をこねるような甘えとは違います。

中高生世代の甘えの奥にあるのは「存在の承認」です。

これは幼少期の甘えとは決定的に違います。幼少期の甘えは親にかわいがられることで信頼関係を築くため、その信頼がないと生きていけないところからきています。

中高生世代の甘えは、親の言うことを聞かない自分でも受け入れてくれるか?という自立を前提とした承認欲求からくる甘えです。

思春期の甘えとは?

ちょっと難しいので解説を入れます。中高生世代、思春期は反抗期です。親に反抗することで、自己を確立(自分をみつめる)ということをします。

不登校をしてもしなくても精神的には不安定ですし、身の丈に合わないでかいことを偉そうに語ったりもします。これはある意味、見栄を張っているという見方もできます。

自分自身という存在がこれから人生を歩んでいく上で、自己を確立していって良いか?と反旗を翻しているようなものです。

一方で、自信はありません。だから承認がほしい、その承認を素直にほしいとは親に言えない。

その結果、親に悪態をついて、親を困らせるような行動をします。その一形態が不登校という形をとっています。

不登校にはどんな対応が必要か?

「学校に行きたくない」ということをお子さんが意思表示したら、まずはその理由を尋ねることが大事です。

最初は表面的な理由を言います。対して困っていない人間関係のトラブル気に食わない先生の悪口クラスの雰囲気 などなど

これは本人がその理由をうまく言語化できないために、とりあえずその場しのぎで言っていることが多いです。しかし、その奥には言葉には言い表せないほどの親への承認欲求があります。それをダイレクトに言葉で認めても良いですが、見守りつつ、本人の口から親への感謝や日々の生活のありがたさを言葉にできると良いなと思います。

ただ、不登校している子どもを見守るのはとても忍耐がいる作業です。そういうこともあり、不登校している本人だけでなく、親御さん(特にお母さま)のカウンセリングを私はお勧めしております。

カウンセリングは随時受けつけております。初回は無料です。オンライン、電話、対面など方法も日時も選ぶことができます。ご要望の方このページの一番下の「お問合せ」からご連絡ください。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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不登校生が3学期が苦手な理由

不登校している人が3学期が苦手な理由 冬休みが終わって3学期がスタート

3学期は短く、今の学年の集大成と言うべき時期で、学年末テストや合唱コンクールや球技大会などの行事があります。一方で入試があって高校などは学校が休みも増えます。イレギュラーなシーズンです。不規則なスケジュールは不登校していなくても結構ペースをつかむのが大変です。もし、お子さんに発達の課題がありASD傾向が強ければこういうイレギュラーなスケジュールへの対応は難しいと思います。

3学期のプレッシャー

3学期を終えると新学年になります。そうすると、次の進路のことを具体的に考えていかないといけない思いが強くなります。そしてそれに応えようとすればするほど、自分自身が何もしていない人間に見えて自己肯定感が下がります。

また、スケジュールがイレギュラーなので、たまに登校しようとしても学校行事をしていて会いたくないクラスメイトに会ったり、無理に行事に誘われたりして不安が強まることもあります。3学期に不登校が改善するというのは正直考えにくいです。

学校に行かなくても次の学年に備える

まずは、勉強の遅れを取り戻したいというのが正直なところかもしれません。高校の場合は単位認定や原級留置などとの兼ね合いで補習・補講を受ける必要が出てくると思います。必要であれば通信制高校への転校も考える必要が出てきます。

そして、もう一つの大きな課題が進路です。不登校生の困りごとの大きなものの一つが進路です。これについて考える機会と時間を創ることが必要です。

学校の先生と保護者だけでなく、スクールカウンセラーやフリースクールの先生などといろんな大人と話をすることが大事です。不登校している生徒本人も気づいていないプレッシャーを言語化してそこを緩めることです。

私はここ2~3年は中学3年生、高校3年生のカウンセリングをする機会が増えました。そういう子たちが口にするのは「もっと早くから相談しておけばよかった」ということです。1人で抱えている進路の課題とプレッシャーを支援する人と一緒に考えて軽くしていくことが大事になります。

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不登校とお正月

不登校とお正月 冬休みは不登校しているお子さんにとってどんな季節なのか?

冬休みは、クリスマス、大晦日、お正月と何かとにぎやかな時期です。不登校しているお子さんが苦手な時期でもあります。不登校は学校に行っていない「普通とは違う」状態です。その状態を、親せきなんかに知られることや、そのことで気を遣われることはかなりの負担になります。とくにお正月の親戚のあつまりは辛いものになります。

親せきには会いたくない

お正月に親せきと会いたがらない不登校のお子さんは多いです。事情を知らない親せきから「学校はどうだ?」とか「高校どうするんだ?」なんて聞かれるのが辛いです。

また、同世代のいとこなんかがいると、「同い年の○○ちゃんは、クラブで全国大会に出た」とか「○○大学に合格した」とか、聴いているだけで自分がみじめになるような話題が飛び交います。その場に居たくないというのが正直なところですし、そもそもそういう集まりの場には顔を出さないです。

お年玉もうれしくない?

実際に親せきに会わなかったとしてもお年玉をもらうことはかなり微妙な気持ちになります。お金をもらえること自体はうれしいものの、自分と言う存在を忘れておいてほしいという思い、この1年学校をさぼっていたのにお年玉をもらうような存在ではないという自己否定感もあります。

真面目であればあるほどこういう気持ちが強いです。

不登校生の心の中でおきていること

世間の盛り上がりの外にいる自分を感じます。年末年始の、「この一年も良い一年だった」と言う雰囲気と「新たな一年への希望」もないのです。この一年を振り返ってもとくに何もしていない、そして次の一年についても特にこういうことがしたいという希望を持つことが難しいです。そういう雰囲気とは無関係な状態でいたいというのが本音です。

できれば放っておいてほしい。ただし、ちょっとだけ気にかけてほしいので、「たぶん、親せきの集まりにはいかないだろうな」と思っていても、声をかける。そして「いかない」という応答をもらうというところが肝要です。

普段家で一人で暮らすことが平安な状態なのです。心理的にはその状態がベストです。本人の意思を尊重したうえで、親せきの集まりや家族での旅行や外出に無理に連れて行かないことが大切になります。

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不登校をしている中高生が得ていること

不登校している中高生が得ていること 不登校で得ているものはたくさんある

1自分という存在の確立

2精神的な強さ

3これからの生き方への真剣な問い

4自分と向き合う力です。

学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、次から次へのタスクをこなしているだけで、自分と向き合う暇がありません。

そして卒業が近づいてくると、突然、進路について考えるように言われます。そこで指標となるのが学力です。ただこれは試験をパスするための一つの要素にすぎません。大切なのは何のための進路選択なのか。自分にとってどういう意味があるのか?を明確にしておくことです。ここがあいまいな考えのまま、学力、偏差値だけをみて進路を選ぶことは、不登校するよりもリスクが高いと私は考えております。

1つずつを見ていきます。

1 自分という存在の確立

これが何を意味するかというと、他人の評価を気にしない、顔色を窺わないとうことです。自分の判断で自分の行く先を決めていくことが大事になります。そのためには、自分が自分であっていいという肯定感が必要です。

「自己肯定感」という言葉が最近よく用いられますが、不登校は自己肯定感が下がっているように見えますが、よくよく話を伺うとこれは違います。学校に行かない選択をした自分を認めたい気持ちが強いのです。その一方で学校に行かないことで自分が否定されているのではないか?という思いをもっています。そして、何よりも自分自身が自分を責めています。この自責はとても辛いです。ここを通らずに不登校をすることはほぼありません。ただ、このプロセスが自分が自分であっていいという自分の存在に対する肯定感をもたらしてくれます。この辺りは丁寧に話を聴くことで解きほぐすことができます。解きほぐされた先にあるのは、自分を認めたいという強い自己肯定に対する願望です。ここに気づけたらネガティブな雰囲気を払しょくすることができます。

2 精神的な強さ

上記の項目にも書きましたが、不登校しているお子さんは自責の念が強いです。まじめで、本当は学校に行くべきなのに、それができない自分、みんなが当たり前にできていることができていない自分を無能な人間だと勘違いしています。

決してそんなことはないのですが、他人の言うこと以上に、学校に行っていないという事実が自信を責めさせます。これを毎日やっています。学校に行くと、忙しさにかまけてこんなに自分を責めることはありません。

毎日自分を責めてはへこみ、疲れるという日々を過ごします。時に死にたい気持ちにもなります。そういうことを夢想しだすとより暗い気持ちになってしまいます。

ここに他人の視点を加えます。医者や学校の先生、カウンセラーなどが入ってきて、全く違う考え方をすると目が開かれたように責めることを辞めてしまうことさえあります。または、卒業する、退学するなど「不登校」という状況を何らかの形で終えるとこの日々は終わります。この自責の日々を通り抜けたお子さんの精神力は強く、タフなメンタルを創ります。同時に、自責をもたらしそうな状況を回避する知恵も身につきます。自責はいつか終わります。その時に鍛えられた精神力を得ています。

3 これからの生き方への真剣な問い

不登校して得られる最大のプラス要因がこれです。自分の人生を問うのです。

生きている意味、自分の存在価値、これからの生き方・・・答えの出ないこの問いは誰も答えてくれず、一人で悩むしかない。そして、一人で答えを出すにはあまりにも材料が少なすぎる。そういう中で自責のサイクルに入っていきます。

ただ、生き方を考えているとその問いに対して考える機会が増えるので、アンテナが張られます。結果として自分の興味関心や生き方に影響する情報をキャッチする力が鋭くなります。逆に「これは違う」と棄却できる力も身につきます。自己が確立され、精神的にタフになるとこの真剣な問いにも向き合うことができます。

不登校のお子さんの最大の悩みは進路のことだというのは私の経験から出ていることです。ここさえ解決する、つまり本人が進みたい道を見いだしてくれれば、学力も受験も頑張れます。1人で見いだすことができる場合もありますが、ここでの寄り添いこそ、必要なことでカウンセラーの力が必要になるところであると確信しています。

4 自分と向き合う力

不登校していると話し相手がいません。声には出さなくても人は会話をしています。それが自分自身です。話し相手がいないと自ずと自分と会話する時間が増えます。これが自分と向かう力です。上述の1~3を経ることで意図せずに身につくる力です。

自分と向き合う力は自分をメタ化してとらえる力となります。これはリフレクションする力とも言い換えられます。リフレクションは自分の良いところ、悪いところを改めて見直すことで、次の成長に活かすことができます。この力は客観的で、理性的なものの見方を育みます。特に不登校しているお子さんは感受性が強く、このあたりの感性がするどく、大人が驚くような本質的な話をすることもあります。

ただ、不登校しているお子さんが一人で考えているとネガティブな面にばかり目が行きます。これが過ぎると、うつ病になる恐れもあります。ですから、別の視点を入れて、思考の方向性を変えていく作用が必要になります。

不登校は損ばかりしているわけではない

不登校で得ているものは、社会に出て働く際に、求められる精神力につながるものばかりです。同時に、学校での勉強だけでは得難い、人に対する視点を多用に持つ機会でもあります。不登校しないとこれらが得られないわけではありません。ただ、不登校しているお子さんに関わってきた結果、こういう力をもって、私のもとを巣立っているということを感じています。ここで必要なのは、第三者の介入です。詳しい事情を知らない第三者が話をすることで、今の自分が置かれている状況を冷静に見つめることから始まります。親御さんでもできますが、多くの場合は一緒にネガティブになっている場合がおおく、子どもに関わる心のゆとりがないという場合も珍しくありません。

不登校を親御さんだけで解決するのは荷が重いことであると思います。人の手を借りることで解決に向かうことはたくさんあります。親御さんが抱えている重荷を引き受けるのが私の仕事だと考えております。

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不登校で得られなくなる4つの経験

不登校で得られなくなる4つの経験 不登校をすることで何ができなくなってしまうのか?

子どもさんが学校に行かないという選択をしたことで得られなくなってしまうことがあります。1.勉強 2.友達との交流 3.行事等の共有体験 4.外出しないこと。

この4つです。これら一つずつについて考えていきたいと思います。

1 勉強

多くの保護者の方が一番心配するのがここです。学校に行かないことで遅れてしまいます。中学生、高校生が進路選択をするうえで、一番必要になるのが学力です。その学力を身につける機会が減ることは確かに心配です。ただ、4つの課題点のうち、個人の力で一番何とかなるのが学力です。また、進路選択をすることができれば明確な目標ができます。すると、それまで何もしなかった子どもが、徐々に勉強し始めます。ペースもつかめてきます。もちろん、傍で見ていると全然足りないということも親御さんは感じられるかもしれません。そこをグッとこらえて、本人のペースを守ってあげることができれば、遅れを取り戻す、または受験に必要な学力を備えるための行動がとれるようになります。

2 友達との交流

学校に行かないと友達と会いません。クラブにも行きづらくなります。そうすると友達と会う機会が減ります。特に、不登校を恥ずかしいこと、やってはいけないことという自覚強い生徒さんは交流をしたがりません。SNSやオンラインゲームで連絡とり合うことはあっても、なかなか対面で人に会うというのは不登校しているお子さんにとってはハードルが高い。一方で、友達との関係(時に恋愛)が原因で学校に行かないという選択をしているのであれば、友達付き合いがなくなることで心の調子が整ってきます。これに関しては無理にすすめたり、質問したりしないことが良いです。勉強については実際に取り組むかどうかは別として「やらないといけない」というのは分かっていますが、友達付き合いに関しては、どうしてよいか分からないことも多く、悩んでいるケースが見受けられます。不登校していなくても、中高生にとっては勉強以上に触れてほしくないところでもあります。

3 行事等の共有体験

不登校で失うものとして大きなものがこの共有体験です。これはあとからもう一回というわけにはいきません。運動会、文化祭、郊外研修、修学旅行などです。この経験をしないことは学校での思い出を棄てているといっても過言ではありません。しかし、これは学校に行かせたい側の人間の想いです。実際に不登校しているお子さんにとっては学校行事は面倒臭いものでしかありません。通信制高校などはこれらの行事が任意での参加(参加しない人は別途課題がだされる)などもあります。実際に私が関わっている高校生はコロナで修学旅行がなくなって喜んでさえいました。

同級生との共有体験がないというのは大人から見ればさみしいことではありますが、本人にしてみれば、周りと合わせるストレスから解放されていて意外とスッキリしていることもあります。

不登校しているお子さんの多くは感受性が強く、他人の気持ちが分かります。学校行事は子どもたちだけで企画・準備を進めます。そこでの取り組み方の差に辟易している可能性もあります。行事後に不登校になる生徒さんもいらっしゃるくらいです。本人が出たいという気持ちがあれば良いですが、そうでなければ無理強いする必要はありません。

不登校生が嫌う言葉の一つに「みんなやっているんだから」というのがあります。すでに「みんな」がやっている学校に行くということをしていないお子さんにとっては心に刺さる辛い言葉になります。この点はお気をつけていただきたい点です。

4 外出

不登校をすると、不登校していることを見られたくないので外出が減ります。

親せきや近所の人にも会いたがりません。散髪や歯医者なども行きたがらない。自分の部屋から出てくることも少なくなったりもします。特に不登校の初期段階では人に見られるのが恥ずかしい、学校に行っていないことがばれたら嫌だという思いから外出したがりません。

最近の学校には教室に入りづらい生徒さん向けの教室なども用意されていたりもしますが、登校する時間が違ったり、クラスメイトに会うのが嫌だからなかなか登校しません。ただ、徐々に外出ができるようになってきます。それは本人が自分は不登校であるということを受け入れてきた結果です。もちろん、勉強しないといけない、学校に行くべきだという思いはあるかもしれませんが、「不登校している自分、それでいい」となると外出を厭わなくなります。外出できるかどうかが、不登校の回復の一つのバロメーターになります。

不登校の中では失っているばかりではない

ここまで4つについて考えてきました。ちょっと暗い話になってしまいました。失っているばかりではありません。不登校しているお子さんはこれら4つを棄てでも自分を守ろうと思ったのです。そして、得ているものが確実にあります。

それは1自分という存在の確立、2精神的な強さ、3これからの生き方への真剣な問い、4自分と向き合う力です。学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、進路を突き付けられるのです。あいまいな考えのもとの進路選択の方が不登校よりもリスクが高いと私は考えております。

この4つは今の世界を生きていく上でとても重要な力です。この4つについては別のコラムで解説します。

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不登校は数日休むと回復する?

不登校する中高生がカウンセリングを受ける最適なタイミング 1 不登校の多くはメンタル不調

不登校の多くはメンタル不調が原因です。学校の人間関係トラブル、成績不振や宿題・テストの忌避、自己肯定感の低さなどです。もちろん、体力的疲れているから休むというのもあると思います。

不登校の初期は原因が何か分かりません。数日休んで、気持ちを切り替えて学校に行けるお子さんもいます。休むことも効果的です。しかし、これがいつまでも続くとなると、対処が必要です。初期の対応としては学校に行くように促すのはやっても良いと思います。その時にどう反応するのかで、その後の対応が分かれます。

不登校の対応としてカウンセリングをすすめられることは多いと思いますが、実は最適なタイミングがあります。

2 「学校に行きたくないと」言葉で言えるか?

不登校しているお子さんの表情はさえない表情をしています。中学生や高校生のハツラツとした印象とは程遠く、どんよりしていて、目にも力がない感じです。それでも学校に行こうと準備をするお子さんはいます。遅刻してでも、教室に入れなくても登校しようという意志を持って行動するのです。本人がそうしたいのであれば、親としてはそれをサポートしてあげたほうが良いでしょう。

ただ、注意点としては、「学校に行きたくない」と言葉で伝えてきた場合は、登校の促しは控えた方が良いです。それは、言いにくいことを伝えること自体に勇気がいるのに、それを否定されてしまっては、心の中にエネルギーがまったくなくなってしまうからです。

3 学校に行きたくないと言ってからの対応が分かれ目

「学校に行きたくない」という言葉は意思表示です。その意思を尊重することは、お子さんの人格を肯定することにつながります。

初期の対応の分かれ目はここにあります。学校に行きたくないという意思表示をしたあとにも学校に行くように促すのか、その意思を尊重して登校にはふれず休ませるのか。後者をとってもらうと、登校するしないは別として、表情が明るくなるのは早いです。

行きたくないと言ったのに行くように促すと、反発を生み、結果として家族とも話さず引きこもる可能性が高まります。

4 意思表示があってからの対応でも遅くはない

不登校の初期対応としては、休ませること、そして登校の意思確認が重要です。行きたいのに行けないのか、行きたくないのか、よくわからないのか。いずれにしても、学校に行かない現実はおなじですが、本人が何か意思表示をしてからでも対応を考えてよいと思います。

特に私のような外部のカウンセラーに引き合わせるのは、本人にも相当な覚悟が必要です。「カウンセラーに会わせる」という言い方で親御さんや学校の先生から依頼を受けますが、そういう場合はなかなか心を開いてくれません。本人が意思表示をしたら、「じゃあ対応を考えようか」ということが可能になります。

本人の登校への意思表示があった場合はカウンセリングを受けることで有効にメンタル不調を回復することができます。

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不登校の相談をしたのに「様子を見ましょう」と言われてしまったら・・・

子どもが不登校になったら初めに相談するのは担任の初めとした学校の先生。そしてそこで登場するのがスクールカウンセラー。

多くの学校ではスクールカウンセラー(以下SC)は非常勤です。いつでも相談ができるわけではなく日時を伝えて学校に行きます。

おそらく、担任の先生から前情報が伝わっていますが、詳しいことは親御さんが話すことになります。

学校の時程に合わせて枠が設けられるので1回50分程度の時間での相談となります。

問題はそのSCが話を聴いてどう応答するかです。

たいていの場合は「様子を見ましょう」となります。

スクールカウンセラーに話を聴いてもらって親御さんとしてもんか心が軽くなります。そして、話をしているうちに、「何とかなるかな」と前向きな気持ちも出てきたりします。

そういうタイミングで「様子を見ましょう」と言われるとなんとなくそれでよいのかな、とも思ってしまいます。

様子を見るという対応で、生徒自身がなんか変化して学校に戻るケースもあります。

しかし、中には「様子を見る」という対応は、学校に相談に行く前の段階でずっとやってきていて、親御さんや担任の先生の対応だけではうまくいかないから相談に来ているわけです。

「様子を見る」は間違いではないですが、不登校の状況を改善する選択肢の一つでしかありません。

むしろ、すでにやってきているとなると、何かしら具体的なアクションが欲しいところです。

言葉のかかけたや接し方、時間の使い方に対してどう注意して、どこは許容するのか、勉強についてはなにもしなくていいのか、何らかのフォローアップが必要なのか。そしてそもそも、こんなに長いこと学校を休んでいて、今後の進路をどう考えていけばよいのか。

そんなことが思い浮かぶはずです。

学校に相談して「様子を見ましょう」と言われて、状況がよくならないとか、もっと具体的な行動を起こしたいとかお考えの方はぜひとも無料相談にお問合せください。

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不登校の中学生が学校に行きたくない本当の理由が言葉にならないのはなぜか?

中学生のお子さんが「学校に行きたくない」と言ってきた。理由を尋ねると「頭痛がする」とか「お腹が痛い」と身体症状を訴えることがあります。これが事実であれば回復すれば学校に行きます。不登校の場合も頭痛や腹痛は実際に起きています。ただ、学校を休むことが決まるとその不調は回復することが多いです。

学校に行きたくない本当の理由はなかなか親には言いません。というより、親に言えるくらい明確な理由であれば、対応できます。多くの場合は自分で言葉にできない、なんだかわからない理由から来ています。

だからこそ、不登校をしています。自分でもわからない。でもなんか、学校に行くのは今の自分にとっては違うという思いが、彼ら彼女らの頭の中にあります。3つのポイントで見ていきましょう。

1不登校の理由はあるけど決定的な理由が分からない 2学校に行く意味を考えすぎている 3問いが深すぎて抜け出せなくなっている 1不登校の理由はあるけど決定的な理由が分からない。

不登校の理由は実は本人も良く分かっていない。

親としては、「勉強についていけないのかな?」 「クラスの雰囲気になじめないのかな?」 「実はいじめられているのかもしれない・・・」などなど、いろいろと不安な要素が思いつくが、いまいちどれもあてはまらない。

本人に問い詰めても、はっきりした答えは返ってこない。ただそこにあるのは「なんとなく学校に行きたくない気持ち」そんなことを話しても分かってもらえないから、話をしない。

理由が明確にあれば言葉にすることができる。対処の仕方もある。しかし、理由が不明確なほうが多い。少なくとも私が接してきたケースは理由は分からない。分からないけど、気が付いたら前を向いて、次の進路を見出していく。

むしろ、理由を具体的に言葉にしているときの方が表面的で危うい。

「いやな奴がいる」「○○の授業の先生がこわい」「クラスに仲の良い人がいない」

いじめが明確にある場合は別として。これらの理由は不登校の理由の核心ではないことが多い。かりにこれらの問題を処理しても、学校には行かない。次なる課題を言ってくるだけである。

これは不登校の理由を取り繕って、しばしの休息を得る。その間に自分で何とかしようという思いが子どもの中にはあるからである。

2学校に行く意味を考えすぎている

「なんで学校に行かないの?」

と問いかけても

「なんか分からないけど行きたくない」

というモヤっとした理由が返ってきても、学校を休ませるに十分な理由とは認めることが難しい。

不登校のお子さんを持つ母親のカウンセリングで受ける相談で多いのが「うちの息子(娘)はなんで学校行かなくなったんでしょう?」というもの。そこが分かれば、「それなら仕方ない」と思えるかもしれないし、親としても子ども不登校を受け入れられる。しかし、実際は行きたくない理由は不明確なままです。

そこを追及しても、子どもは苦しくなるばかりで、不登校の解決には向かわない。表面的な理由を取り繕っても、それとは別に本当の理由がある場合もこれと同じだ。

自分でも分からないけど、学校には行きたくない。理由が言葉にできない理由の一つに自分のことを変な奴だと思っているというのが挙げられる。

不登校している中学生が話してくれたのは、意味を問うているということ。

学校に行く意味勉強する意味生きる意味生まれてきた意味

答えの出ない哲学的な問いが頭の中でグルグル回っている。そんな中で、

幸せって何だろう?豊かになるってどういうことだろう?勉強して幸せになれるのか?自分が生きていることで誰かの役に立てるのだろうか?自分って何?個性って何?私にそんなものあるの?

さらに悩みが深まり、一人の頭の中で哲学対話がグルグルと回っているのだ。

思春期の若者にとって答えの出ない問いを考え続けるのはとても苦しいことだ。大人でもしんどい。意味を問うには中学生の思考力や知識ではあまりにも考える要素がすくない。だからその問いに飲み込まれてしまいグルグルと同じところをループする。

そしてこんなことを考えている自分は変だと思っている。だって、学校に行っているクラスメイトたちは、そんなこと考えずに、毎日学校に行けている。ある意味うらやましいけど、なんで疑問を持たないんだろうと不思議にさえ思ってしまう。

言われたことだけをやっていく学校に毎日通って楽しいのだろうかと思う。一方で大人はこれらの答えをみんな持っていて立派だと思ってもいる。自分は変だ、他の子とは違う。でも、そう思われたくないから、とりあえずの理由を繕って休む。

学校に行かない本当の理由はお子さんの内面世界で答えの出ない問いを考え続けているからこそなのです。

3問いが深すぎて抜け出せなくなっている

不登校の理由が明確でない場合は、まさに頭の中の哲学対話から抜け出せない状態だ。ここから抜け出すには、この頭の中で起きている哲学対話をすることは良いことなのだと肯定することが第一にあげられる。

心の成長としても、意味を問うことは健全だ。自立のプロセスでは必要なことなのです。ただその考えを深めすぎて苦しんでいる。

そこに寄り添っていく大人が必要となる。「お母さんも昔、自分がなんで生まれてきたんだろうかとか考えていた」とか「自分って何だろうかなんて、未だに分かっていない」という哲学対話に乗っかっていく必要がある。こちらから話しかける必要ななく、子どもさんがぽろっと「学校行く意味あるのかな?」など意味深な問いを投げてきたときがチャンスととらえて話をする。

ただ、これを一緒に住んでいる親がやるのはリスクもたかい。中学生は大人を疑り深く、繊細な時期だからだ。不登校するくらい感受性が豊かなお子さんであれば「はは~ん、さてはお母さんどっかで誰かに入れ知恵されたな」と感づかれてしまう。

そして、「休んでいいといいながら、結局学校に行かせようとしているんだな」と。当事者同士で、このような疑念が生まれてしまうと、返って関係がぎくしゃくしてコミュニケーションに距離ができてしまう。

 4 意味を問う哲学的なグルグル思考から子どもが脱するために

そこで、第三者であるカウンセラーの出番である。

VCAのカウンセリングの考え方はこちらのコラムへ>>>>

不登校の生徒さんが頭の中で考えている哲学対話の原因は自己否定です。

人と比べて自分を変だとか自分はおかしい、狂っているという思いがあるから、自分自身が意味を問うていることを認めたくないし、人にも話せない。誰でも、意味は問うているし、問わずに生きているとしたら、それこそ心配なことである。その時期が早すぎる、または問いが深すぎるからこそ、精神的に疲れて学校に行くということすらできない状況になる。

哲学対話から抜け出すための着地点は「私は私でいいんだ」という自己肯定の視点を持つこと。この肯定を親でも学校の先生でもない大人からもらうことは、本人の自分に対する責めや、自分はおかしいと思っている認知を変えることができる。そして、これこそが、言葉になかなかできないけど、不登校する中学生たちが求めているもんである。ここが満たされると、不登校は解決に向かっていきます。

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1週間で不登校に対する考え方が変わり、お子さんとの関わり方が改善します

不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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僕が引きこもりにならなかったのは○○があったから

不登校を経験した大人は思いのほかたくさんいます。また、不登校たくても、我慢して学校に生き続けた人もいます。このコラムでは後者に当たる人のお話をします。

彼は、おとなしい性格であり、集団の中にいるのが苦痛でした。それでも学校に通い続けました。一部の気の合う友人と理解ある先生のおかげで、不登校にならずに卒業し、大学まで行きました。しかし、心の中に「なんか違うな」という気持ちはありました。

そして中学3年生の時に本気で学校に行きたくないと思い、数日休みました。しかし、なんか知らないけど家にいても落ち着かないので学校に行くことにしたそうです。

大学卒業後、就職。そのころには心の中にあった「なんか違うな」という感覚はなくなっていました。そして、順調を続けることができていました。

しかし、働き始めて2年が過ぎたあたりで、これまで何でもなかった資料の整理であったり成果報告などができなくなりました。やろうとしても体が動かない、やっとの思いでパソコンに向かっても頭が真っ白になってしまいました。そして、休職。そのまま体調はもどることなく退職となりました。

それは、彼にとってとても衝撃的なことでした。まさか仕事を辞めることになるとは思ってもみなかったのです。社員寮を引き払い自宅に帰る。親になんと言われるだろう、弟にはふがいない兄の姿を見せたくないな。そんな思いがあり家に着きました。

母親が普通に「お帰り」と迎えてくれたそうです。そして、普段と変わらず家族と食卓を囲みました。食後に彼が「仕事を辞めてしまって申し訳ない」と話すと、母親が「仕事をしていてもしていなくてもあなたは私の子なの。謝る必要はないですよ」と言い、続けて父親が「ここはお前の家でもある。だから居ていい」と言いました。

彼はその言葉に救われました。社会人になり、しっかり働いていた会社を辞めても、自分の存在を受け止めてくれる存在。「これがあったから僕は引きこもらなかった」と彼は話してくれました。

その後、彼はアルバイトをはじめ、非常勤の仕事に就きました。正社員への復帰を目指しつつ、励んでいらっしゃいます。

実はこの「自分の存在を受け止めてくれる存在」というのは不登校の回復にも必要なことです。学校に行くいかないではなく、生きているあなたそのものが大切な存在であるという姿勢です。言葉で伝えることも大切ですが、その背後の態度が大切です。…

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不登校していることを友達がサボりだといってバカにしてくる

不登校をしている人の気持ちを、同年代の人に理解してもらうのはなかなか難しいところがあります。中学生くらいだと、自分の考えでしか物事をとらえることができないからです。高校生になると少しできるようになりますが、それでも理解してくれる人は少ないです。

不登校している生徒さんにとって大切なのは味方をつくることです。これまで一緒に学んでいたクラスメイトやクラブの友人は、同じ環境に身をおいているから味方でいてくれたのです。しかし、不登校という彼らとは違う世界に身を置くと、もともとの学校の友達を味方につけるのはなかなか難しいところがあります。

だから、学校の外に味方をつくるこが必要になります。そそれは同世代ではなく大人であっても良いのです。不登校している辛さやうまく言葉にできない気持ちを受け止めて肯定してくれる存在です。

そういう存在がいると友達に何を言われても耐えきれるようになります。平気にもなります。

友達にバカにされるのは確かに嫌です。でもそこで、友達に合わせるために学校にいくことは、あまりためになりません。

不登校はあなた自身が生き方を考える大切な時間なのです。本来行くべき学校に行かず、勉強やクラブ、友達からも離れ一人になる。それはとても辛く孤独な時間です。しかし、その時間を通じて、自分の人生と向き合い、前に進んでいく人のなんと多いことか。

不登校は決してバカにされて良い時間ではありません。ただ、理解されにくいので「ダメなこと」と認識されますが、不登校をプラスに受け止めて歩んでいる人は結構います。活躍している人もたくさんいます。

不登校をしたから人生がためになるわけではありません。友達にバカにされるから自分が間違っているというのでもありません。

むしろ、堂々と不登校をして自分と向き合ってみてください。必ずその先に希望があります!

不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

不登校していることを友達がサボりだといってバカにしてくる Read More »

不登校解決のポイントは子どもの本当の悩みに寄り添うこと

「あ~あ、好きなオーディション番組が終わってしまった。去年のほうがよかったな。JO1の方がなんか、自分のオシもいたから見ていて楽しかった。っていうか、今楽しみがないんだよね。だって、現場もないし、コンサートって言ってもオンラインでしょ。オンラインのコンサートってYoutube見ているの変わらないから、ちょーつまんないの。」

不登校の高校生のカウンセリングの一部。正確に言うともう彼女は不登校ではなく、引きこもり気味なだけ。勉強の話は一切出てこない。中学時代は1年の後半から学校にほとんど登校することはなかったが、通信高校に入った。

不登校の子を持つ親にとっての悩みの一つが勉強。中学時代にまったく勉強しなかったが、彼女は高校生になって勉強するようになった。理由の一つは、高校を卒業するためだそうだ。分からないなりに自分で調べて与えられた課題をこなしている。

順調に見える彼女の高校生活にも大きな問題がある。それは進路だ。

不登校の子をもつ親にとって勉強は悩みの種だ。特に、中学2年や高校2年の後半、中学3年、高校3年など受験に関わってくる時期に不登校が始まってしまうと、このままどうなってしまうのか非常に不安だ。

学校側は担任も、スクールカウンセラーも口をそろえて、「今はゆっくり休んで、無理に登校させたり、勉強のプレッシャーをかけないように」という待ちのアドバイス。

親の不安には寄り添ってくれない。そんななか、子どもの進路、受験のことが頭をよぎる。こっちはこのままこの子がどうなってしまうのか、社会に適応できないんじゃないか。不安はどんどん増すばかり。

生徒にとっては学校に行くこと、ひいては朝起きることすらままならないのに、受験勉強なんか考えることは辛いこと。確かに、余りプレッシャーをかけたくはない。話題として敬遠しがちでもある。

しかし、本人も親も、次の進路を決めるこの時期に、悠長には構えていられない。現実問題として「進路をどうするか」が突き付けられる。

本人も何も考えていないわけではない。

むしろ、しっかり考えているからこそ悩んでいるという見方もできる。

進路の悩みはある一つの葛藤でもある。

周りの期待に応えるべきか。

自分の本心を貫くべきか。

この2つだ。この葛藤がうまく言葉にできず「何をしたいか分からない」という表現になる。

本当にやりたいことと親をはじめとした周りの期待のずれが苦しみになってしまう。

この本音は親が聞き出すことは至難の業である。

親に自分の本音を言うと、反対される。そしてその反対は自分の存在否定になる。

第三者が必要になるのは、先入観なく聴ける人が必要だからだ。

不登校の生徒が進路について全く考えていないということはない。

むしろ、毎日元気に学校に行って、クラブをして友達と遊んでいる子の方が将来について真剣に考える機会を逸しているとも考えることができる。

進路を考えるのが苦しい。

うまく言葉にできず、やり場のない気持ちが自責の念を強める。

死にたいという言葉を吐く不登校生もいる。

彼らは自分の将来に希望を持てないでいる。

不登校の解決の肝はここにある。

つまり、将来への希望である。

これさえ言葉にできれば、学校に行く行かないは別として、不登校は解決したと考えても良い。

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不登校になり始めると罪悪感でいっぱいになる

不登校の原因は、不登校になった本人にもよくわからないことがあります。なぜだか分からないけど、朝起きられない、学校の準備をして家を出るけど、途中でおなかが痛くなる、夜は「明日は行こう」と思うが、朝になると気分が重い。身体症状がたくさんでて、本当は行きたい、行かないといけないと思っているけど休まざるを得ない。

そんな中、家にいて時計を眺めながら、「今は体育だな」とか「今日英語の単語テストだったんだよな」とか学校での授業をイメージする。そういう中で、

何で自分は学校に行けないんだろう

学校に行かない自分はだめだ

このまま引きこもってしまうかもしれない

親に迷惑をかける

友達に心配される、もしかしたら嫌われるかもしれない

勉強の遅れをどうやって取り戻そう

こんな不安とが学校に行かない間ぐるぐると、頭をめぐります。そして、こんな自分はダメだという責めが始まります。この自分を責める言葉が、不登校の生徒のエネルギーをどんどん奪っていきます。不登校になり始めてだんだん元気がなくなるのはこの自分を責める気持ちです。

この責める気持ちから解放されていくことが、不登校の解決にとって重要なポイントです。とはいえ、これを取り去る方法はまだ明確には分かっていません。そんな中で最も効果的なのが「認知」を変えることです。自分一人で考えていると同じものの見方しかできません。しかし、他人と話をすることで、自分にはないものの見方が見えてきます。

人と話したり、話を聴いたりして認知の枠組みを変えていくことで、気持ちが楽になります。自分の責めから解放されると、不登校という状態に何らかの変化が現れます。これは必ずしも学校に戻るということではありません。何かの役に立ちたい、自分にもできることがある、という気づきが起きてくるのです。そこを考えていくことができれば、一つの解決となります。

不登校の初めにある罪悪感はあるいみ、幻でしかありません。その幻に支配されている状態が続くと心が苦しくなり、不登校が長引く恐れがあります。

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不登校中は友達に会ってはいけないの?

不登校をしていると、周りの目が気になります。特に、同級生であったり、同じ学校に通っている人にどう思われているか、気になり、見かけるだけでも嫌な気分になったりもします。

相手にどう思われているかというのはたいていは、「ネガティブ」な思い込みではありますが、「学校や住んでるくせに」とか「本当は仮病じゃないのか?」とか、実際に言われていないのに、言われているような気がしてしまい、気分は落ち込みがちです。

友達に会ってはいけないというよりも、むしろ会いたくないという時期の人もいるかもしれません。

しかし、実際に会ってみると、心配してくれていたり、学校に出てくるのを楽しみにしていてくれる人もいます。

不登校をしているからといって友達に会ってはいけないというルールはありませんが、それは、不登校をしている生徒自身の心の状態にもよります。友達に良く思われていないだろうなという思いがある以上は無理に会う必要もありません。一方で、会いたいなと思って連絡を取ること自体は悪いことではありません。友達から連絡がないのは、変に連絡してプレッシャーに感じられたらいやだからという気遣いからかもしれません。ですから、会いたいと思えば会えばよいし、そう思わないのであれば、無理に会わない、避けることも必要です。

大切なのは不登校している生徒自身の心のありようにプラスになるかどうかです。友達に会うことで、気持ちが前に向くのであれば会うことはプラスです。しかし、相手に傷つけられたり、こちらが気を遣ったり、会うことで気後れしたりプレッシャーを感じるのであれば、それは心に対してマイナスに作用します。

自分の気持ちと相談して、負担でない範囲であれば、学校に行くいかない関係なく、人間同士のつながりとして会うことは決して悪いことではありません。…

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不登校の克服にどれくらい時間がかかるのか?

不登校のお子さんをもつ親御さんの心配の一つが、いつまでこの状況が続くのかということです。

学校の先生と話をして、「しばらくは様子を見ましょう」となりますが、実際は様子を見ていても何も変わった様子はなかったりします。むしろ、ちょっと元気になっていて「こんなに元気なら学校に行けるのではないか?」とさえ思ったりもします。

しかし、そのことを問うと、お子さんは黙ったり、機嫌が悪くなったりします。学校に行くからOKで学校に行かない自分はダメだという思いをお子さんが持っている可能性があります。

普段一緒に生活していると、心の変化は見えにくいところがあります。この変化は近しい存在に見て取ることは難しいところがあります。

たとえば、一緒に住んんでいる親が、子どもの身長が伸びたり、顔つきが徐々に大人びてきていることには気づかず、久しぶりに会った親せきなんかが「大きくなったね」とか「大人っぽくなったね」と変化を見ることができるようなもので、第三者の介入がないとできません。

不登校の対応で一番よくないのが「焦り」です。それはお子さんを焦らせることも問題ですが、お子さんに、学校のことや将来のことを尋ねることが難しい、親御さんの方が抱えやすいです。

不登校のお子さん自身も不安を抱えていますが、実は、親御さんの不安の方が大きく、その不安を敏感に感じ取って、子ども自身がさらにプレッシャー受けるという悪循環を生み出すことさえあります。

焦って解決することが、不登校の期間を短くすることはあまり考えられません。一時的に復帰したとしても、また不登校にならないとも言い切れないのです。

いつまで続くかという不安を解消することも大切ですが、「いつまで続いても大丈夫」と心の根をしっかり持つことをお勧めします。…

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不登校の兆候としてみられる10個の項目

不登校はある日突然

不登校はある日突然始まります。まさかうちの子が、とショックを受けられるかもしれませんが、誰にでも起こりうる可能性があるものです。

不登校の兆候は確実にあります。不登校になりそうなお子さんの特徴は、朝起きるのが遅くなること、学校に行ってやたらとくたびれて帰ってくること、学校のことをあまり話さなくなるなどが挙げられます。

初めから不登校をしたい子どもはいません。親や先生、または学校の友達から「サボり」と思われることを最も恐れます。

不登校になるときはエネルギーがありません。それこそ、勉強を頑張ったり、部活を頑張ったりすることはおろか、人と話をすることすらめんどくさいと感じるくらい、エネルギーがなくなります。

そのないエネルギーを振り絞って学校に行くのですが、ある日とうとう起きられなくなり、遅刻したり、欠席するところから始まっていきます。

うちの子が不登校かもしれない!と思ったら次の10個の項目を確認してみてください。

1 朝起きる時間が遅くなっている。または起こした時の反応が弱くなっている。

2 髪型や服装に清潔感がない。

3 忘れ物をする。

4 家に帰ってきたときに会話がない。

5 食事の時の表情で視線がした向きがち。

6 時折ぼーっと何かを考えているときがある。

7 深夜まで起きている。

8 ため息の数がふえた。

9 休みの日に出かけない。

10 成績が著しく低下している。

これら10個の項目は、普段と比べてというところではありますので、当然個人差はあります。しかし、6つ以上当てはまるという場合は、不登校の兆しがあると判断しても良いかもしれません。8個以上ある場合は、休ませてあげたほうが良い場合が多いです。

そういう時に、親が「学校でなんかあったの?」と話しかけてもまともには答えてくれません。本人の様子は意識しつつも、まずは学校の先生に報告してみてください。変わった様子がないか、友達関係はどうか、授業態度はどうかというところです。

学校側でも気になることがあれば報告してくれます。そういうところで、上手にフォローしてくれる先生がいればうまく立ち直ることができますが、それは稀なケースです。

学校はあくまで、登校している生徒に対応することが専門であり、不登校が専門ということはありません。先生方が特別な勉強をしているということもすくなく、経験値でお話しされますので、なまじ不登校の生徒へのかかわりの経験があると、前例を持ち出されて対応されるケースが少なくありません。しかし、不登校は、個別に関わらないといけないものであり、前例がそのまま当てはめられるケースは非常に少ないのです。

不登校の兆しが見えた時点で、スクールカウンセラーをはじめとした専門家に相談することをお勧めします。

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