カウンセリング | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します - Part 3

カウンセリング

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント

子どもが不登校になってしまった。このまま学校に行かない日々を過ごしたらどうなるだろうか。でも何からしたらよいのだろうか・・・不安は募るばかりです。以下の4つのポイントを気を付けてみてください。

1 学校に行くことがよいこと、行かないことは悪いこという思いで接し続ける 

1つ目は学校に行くことを善として、不登校を悪と捉える考え方です。無理に学校に行かせようとするのは逆効果です。学校に行かないことを責め続けるのもよくありません。一番苦しんでいるのは不登校している子どもさん本人です。不登校し始めてすぐは、学校に行かない自分はダメな存在だと自分を責めています。

近年の不登校生への対応は、「様子を見る」です。不登校をする生徒の数は平成25年以降増えています。(図)

特に平成21年以降は不登校への対応としてスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置などが推進されました。無理に学校に登校させないという対応が一般的になりました。

また、フリースクール等で過ごした時間も出席扱いや単位認定にもつながるようになるなど、支援が充実してきたこともあります。

学校に行かないことで他の同世代の子どもと比べて、勉強は遅れ、進路も定まらないという問題があります。しかし、だからと言ってそれ以降の人生がすべてダメになるというわけでもありません。「学校に行かないことは悪いこと」ではなく、「学校に行かない時期がある」という認識と、不登校自体も成長のプロセスだという認識が必要です。

2 本人の意思を無視して何かをやらせる

カウンセリングを受けさせる、心療内科を受診させるの、家の手伝いをさせる、勉強させるの「させる」が問題になります。

不登校の対応でよくありがちなのが、不登校している本人にカウンセリングや病院を受けさせようとするものです。もちろん、子どもさん本人が望むのであれば、効果的です。しかし、無理にカウンセリングに引きつれていっても成果は出ません。

不登校の初期段階は精神的な疲れがります。そこに、初めての行く場所で初対面の大人に会うのはかなりのハードルです。気を遣って話をすることはあるかもしれませんが、もともとない元気さがなくなってしまうのです。

1~2回通って効果がなかったら別のところにいくなど、ドクターショッピング的に回ってしまうと、子どもは疲弊するばかりです。カウンセラーが変わるたびに子どもは同じ話をさせられ、同じようなことをさせられるのです。

いずれにしても、本人の意向を待ったく無視して、問題解決にあたっていてもよくなることはほぼありません。本人がカウンセリングを受けたくないのであれば、母親や父親が受けることをお勧めします。

不登校に限らず心の課題の多くは関係性のが変わることで改善します。本人ではなくても、親自身の意識や不登校に対するとらえ方が変わることで、子どもへの接し方が変わります。その結果、子どもが前向きな思考を取り戻して元気になっていくという筋書きです。

ただし、中には無理にでも医療につなげたほうがよいこともあります。たとえば、 過食嘔吐が激しい、自殺企図があるなど命にかかわる場合です。そのような場合は、本人の意志はいったん脇において、守っていく必要があります。アディクションの場合は本人が悪いことをしている自覚はありつつもそれを人に知られることを恐れます。ですから医療(公的)につながるとこれまでの悪行がばれるという恐れから、受診を拒否します。強い抵抗にあうかもしれません。

しかし、このような場合は後からでも「あなたを守るためにやったのだ」ということ伝えれば、その時の気持ちをなだめることはできます。

文部科学省では不登校に対する認識を下記のように表明しています。

不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって、起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要があること

不登校は誰にでも起こりうるし特別なことではなありません。当然ながら、不登校にならないに越したことはありません。しかしそうなってしまったからと言ってすべてがダメだというわけでもないのです。

3 父親の接し方は適切だろうか

子どもさんが不登校になったとき、その対処に当たるのはほぼ母親です。私のところに寄せられる問い合わせも、まずはお母さま。そして、本人というのが次に多いです。お父様からの問い合わせというのは非常にまれです。

実は、長期化する家庭の多くが父親の介入が少ないです。「お前の育て方が悪いからだ!」と奥さんに子どもさんの不登校の責任を負わせて、その話題に触れようとしないことがあります。その上、医療機関や勉強会、カウンセリングなどにも理解を示せない。かといって、子どもに何か言葉をかけたりもしない。不登校の原因というのは子どもさん本人に起因しますが、親の理解のない態度が余計に問題をこじらせてしまいます。

また、母親一人で対処してしまうと、母親自身がいろんなストレスを抱え込んでしまいます。子どもさんの問題に加えて、家族の不和を気にしつつ、仕事や家事にも追われる。兄弟がいるのならその世話もしないといけない。すると、いくら医療機関やカウンセリングを受けても、お母さま自体がやるべきことをできない状況が続いてしまうのです。父親の非協力は不登校を悪い状況にしてしまう要素の一つです。

一方で、母親だけでなく父親も一緒に解決にあたるようになると、事態がどんどん良くなっていくというケースもありました。それは、両親で解決にあたることで、家庭の中の雰囲気が明るくなります。なにより、それまで一人で対処していたお母さまのストレスがかなり軽くなります。本気で解決を目指すのであれば、ご両親でタッグを組んで当たる必要があります。

4 子どもに謝るのはNG

「不登校をする子どもは幼少期のさみしい思いが残っている。だから、そのことを子ども詫びなさい」というアドバイスをされることがあります。あるお母さまは思い当たることがあって「さみしい思いをさせてごめんなさい」と謝ったそうです。しかし、事態は改善しませんでした。子どもにしてみれば、こちらの気持ちを理解しないで、自分の都合で詫びをいれて「なんとか学校に行ってください」と聞こえてしまうからです。また、別のお母さまは「私の育て方が悪かった」という謝り方をしたそうです。これはもっとNGです。

それは「あなたは失敗作だ」というメッセージになってしまうからです。そしてますます自信を失い、学校から遠ざかってしまいます。家族とも遠ざかってしまうかもしれません。

謝ること自体が不要というわけではありません。しかし、親御さんが「学校に行ってほしい」という気持ちがあるまま、手段として謝ることはかえって子どもを傷つけてしまいます。相手の気持ちが分かって、これは謝って済まされないかもしれない。でも、謝るしかないというときに、ようやく、心からの謝罪の言葉が出てくるのです。手段として、そして親御さんが子どもさんに対して操作的な意図をもっての謝罪はかえって関係性を悪くします。

さいごに 本人のカウンセリングの前に、親のカウンセリングが必要

不登校への対応に正解はありません。しかしながら、放っておいてよくなるということも稀です。何かしら動いて、情報を集めたり相談すること自体、大切なことです。もちろん、その中に一時的にまずい対応や逆効果なことをしてしまう恐れもあります。ただ、そのようなプロセスも糧にすることで、よりよい対応、より子どもさんの気持ちに寄り添うことができるとも言えます。不登校が長期化することは確かに避けたいところです。

子どもさんが不登校すると、その対処をしている親が参ってしまうことがあります。そうなってしまっては支えられるものも支えられなくなってしまいます。

カウンセリングは困っている人が受けることが最も効果的な成果をあげます。お子さん自身がカウンセリングを受けたがらないのであれば、お母さま自身、お父様自身、またはご夫婦で受けられるというのも、対応としては効果的です。

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「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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不登校カウンセリングの最初の一手

不登校のカウンセリングでよくあるのが、「子どもに受けさせたいのだけれど、受けたくないって言っているんです」という相談です。怪我や病気であれば本人が医者にいって治療すべきですが、カウンセリングの場合は心のケアが中心ですので、本人じゃなくてもよい場合が多いです。「困っている人」が受けることをお勧めします。ですから、不登校の場合は、不登校の生徒さん本人よりも、親御さんに受けてもらうということをお勧めしています。子どもを無理に受けさせないほうがよい理由が2つ、親御さんが受けたほうがよい理由が2つあります。

子どもを無理にカウンセリングを受けさせないほうがよいのは? 1 見ず知らずの人と話すのはこわい

まず、子ども自身はカウンセリングを受けたいとは自ら思いません。見ず知らずの人に自分の内面を根ほり葉ほりきかれるということはこわいことという印象も与えかねません。さらに、心が弱っているときに、知らない人と会って話をすることは、普段以上にエネルギーが必要なことですので、受けたくない、仮に受けても話したくないという状況になります。そもそも、カウンセリングというものがどんなものかというイメージもないので、余計にストレスを感じて縮こまってしまう恐れがあります。

ある高校生はカウンセリングはこっぴどく叱られるという思いを持っていました。それは、クラスでもかなりのトラブルメーカーがカウンセリング受けたあと、すっかりおとなしくなってしまったというのです。「あの○○ですら黙らせるんだからよっぽどひどいことをされるに違いない」と思ったそうです。これは極端な例ですが、カウンセリングに対してあまり良いイメージがないというが実情かと思います。

2 無理矢理子どもにカウンセリングを受けさせることは自尊心を傷つける

カウンセリングの目的は、その人自身が自分を大切な存在と思えるようになり、自発的に行動の変容をもたらすことです。入り口は、親や養育者や先生などからの紹介もあるかと思いますが、そのときにどのような思いでカウンセリングを受けに来ているかが大切です。ちょっとでも受けようかなという気持ちがあればよいのですが、本人が「受けたくない」と言うのに無理やりつれていくと、逆効果になります。それは「自分の気持ちは分かってもらえない」とか「親は自分のことをダメな存在だと思っている」とか「大人は信頼できない」ということさえ起りえます。

かつて、親御さんに無理矢理つれてこられた中学生がいましたが、カウンセリングの時間中、まったく車から降りてきませんでした。他のケースでもカウンセリングルームまで来たものの「別に話すことないっす」ということで15分もせずに帰っていったりしました。当然、どちらのケースも2回目はありませんでした。無理矢理連れて行かれるのは、それがカウンセリングであれ学校であれ「あなたには自分で決める権利はない」というメッセージを暗に送っていることになります。親御さんにそういう意図がなかったとしても、子どもがそう受け取ってしまいます。

カウンセリングに良いイメージを持たないまま連れて行かれると二度目のカウンセリングというのは、カウンセラーを変えたとしても難しいことです。

カウンセリングを受けるのは親御さんがいい理由 1 行動の変容をもたらすのは困っている人の不安を取り除くことから

一方で親御さんが受けるメリットは大きいです。不登校のお子さん最も多くかかわるのが、一緒に生活している親です。どれだけ有能なカウンセラーが子ども関わっても、親御さんの不安があるままで、子どもの不登校が改善するということは考えにくいです。ですから、親御さんがまずカウンセリングをうけて、親としての自信を取り戻す必要があります。不登校になったのは育て方が悪かったわけでは決してありません。これは子どもさん本人が自分の人生と真剣に向き合った結果によるものです。とはいえ、学校に行かない、勉強がおくれる、受験にひびく、進路が決まらないということなど不安は数多くあるはずです。その親御さんの不安を解消していくことが、実は不登校の状況を改善することに非常に役に立つのです。

不登校が長期化すると、子どもがわがままになったり、場合によっては暴れたりすることがあります。それは親御さんが抱える「負い目」とか「不安」があることを察して、そこをついてやってきます。そうならないためにも、親御さん自身が子どもにスキを見せないことが大事です。そのためには「私の子は学校に行っていないけど大丈夫」「私の子育ては完ぺきではないけど、そのときそのとき精いっぱいやってきたんだ」と自信を持つことです。この親御さんの自信が、子どもさんの心を落ち着かせ、結果として何らかの行動変容をもたらします。

不登校対応の最初の一手は親御さんの不安を取り除き、自信を取り戻してもらうところから始まります。

2 子どもに関わる保護者が「大丈夫」という感覚をもって接することが重要

親御さんが大丈夫という感覚をもって子どもに接していくと、子どもにもその感覚は伝わります。不登校するお子さんの多くは感受性が豊かで、気遣いができる人です。ですので、親御さんが抱える内面の変化にはとても敏感です。言葉の上では「学校行かなくてもいいよ」と言っても、内面には「早く行ってほしいなー」という思いがあると、そっちのほうが伝わって「親は嘘をついている」「私のことを信用していない」という思いになります。心の底から「学校行っても行かなくても、あなたは大切な私の子である」という思いがあって初めて、子どもは安心して過ごせます。その安心感があると、カウンセリングを受けてみようとか、勉強してみようとか、学校にちょっと行ってみようとか変容が見られます。

行動変容をもたらすには、子どもだけを変えようとするよりも、親御さんも一緒に変わっていく姿勢が大切です。心の不調は関係性の病と言われています。であれば、関係性を改善することで、状況を変えることも可能なのです。

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不登校のなかで「自分には生きている意味がない」と思う

不登校を始めてある程度の時間が経つと、学校に行かない自分を責める気持ちが強くなります。

学校に行かない自分には価値がないと思いこんで時にカウンセラーに対して

「私は生きている意味がないんです」

とはっきりと言葉にする人もいます。

これまでも、不登校している生徒だけでなく、普通に学校に通っている生徒さんでも、自分自身の生きている意味を見出すことができず、死のうとした人の話を何人も聴いてきました。

橋の上に行って飛び降りようとした

何も持たずに冬の山の中に一人で行った

首を吊ろうと思って、ロープの代わりになるものを探した。

包丁を取り出して自分の胸に突き立てようとした

踏切から線路に侵入して横になった

あと一歩のところで命を落とすような行為をしている生徒さんは実は結構いました。しかし、なぜだか分からないけどやっぱりやめようと思ったといいます。

死ぬのが怖い、家族の顔がよぎった、人に見つかってしまった、死体がぐちゃぐちゃになったら迷惑だろうなと思ったとか、なにがしかの思いとどまらせる気持ちがはたらき、死ぬのを辞めています。

自分にたいして「生きている意味」を問うとき、その答えは必ず「意味がある」なのです。しかし、不登校をしていると特に、学校に行かない、社会に適応できない自分はダメな存在と決めつけてしまっているので、自分には生きている意味がないと決めつけて、自殺を図る。でも死ぬことができなかった・・・

一度自殺を試みて、うまくいかなかった場合に、再び自殺を図ろうと思いがあっても、実行に移すまでには結構な時間がかかります。

そして辛いのことはそこから始まります。それは

死ぬことすらできない自分に何の価値があるのか?

とさらに責める気持ちが強くなるのです。不登校が長く続く場合、この自分を責める気持ちと戦っているため、一日中家で、布団のなかにいたとしても、疲れてしまうのです。自分を責める声が、何をしていても聞こえてくるのです。これほど辛いことはありません。こんな時に、人は前向きに考えたり、何か別のことをしようという思いにはなりません。

では、どうするのがよいのか???

それは、自分を責めている気持ちを認めることです。責めたくなる気持ちに対して自分で共感をしていくことです。そんなことできるわけないと思われるかもしれませんが、生きる意味、生きている意味を問うているときに、下手なプラス思考はかえって危険です。問題の本質から目をそらすだけで、返って辛くなってしまうのです。

だから自分の気持ちをそのまま認める。言葉で書くのは簡単ですが、実はこれが結構難しい。「そんなの無理」と思った方はまず、他人からしてもらうことです。

この生きている意味をとうこと、自分の価値のなさを責めることから解放されることが、実は学校に行くいかない以上に大切なことなのです。ここをクリアすることができれば、学校に行かなくても人生を切り開いていく力を得ることができます。

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社会で役立つ力って何だろう?

何を提供しているのか?

皆さんこんにちは。VCA代表の大久保です。

VCAはどんなことを皆さんに提供しているのかということをよく問われます。

ここは、学習塾ではありません。つまり、問題をたくさん解いて、テストの点数を上げる勉強をするわけではありません。

テストの点を上げる最終的なゴールは、入試に受かることです。高校入試や、大学の入学のための選抜試験をできるだけ良い点を取って、パスするために点数を上げていくといくのが学習塾です。

では、VCAは何をするところなのか?

ここは社会で役立つ力を育んでいくところなんです。

入試の勉強で学んだことが社会に役立つこともありますが、全部が全部皆さんにとって絶対に必要かと言われると、そうではありません。社会人になって、学生時代にもっと勉強しとけばよかったという人は多くいます。

でも、「社会で役に立つ力っていうのは、どんなことなんですか?」と問うたとき、

「受験勉強」と答える人は私の周りにはいなかった。

社会に出て役立つ力、必要となる能力

社会で役に立つ、そして必要なのはコミュニケーション能力だと答えた人が多かった。

どんな職場にも人間関係はあります。私もかつてカウンセラーをしているときに、社会人のカウンセリングで多い悩みは人間関係でした。

上司とうまくいかない後輩が言うことを聞かないです。

実は同僚が仲の良い同僚とケンカしてしまった・・・などなど

やっぱり人間関係での問題が多いわけです。

だから、コミュニケーション能力を身につけるということが大事だと言う人が多かった。

もう一つは、発想する力とかアイディアを思いつく力など「考える力」が重要だという人もいました。

テストのための勉強は「正解が一つ」です。それは○×をつけて、点数化して、合格不合格を判定しないといけないからです。その答えは誰が見ても正解か不正解かが明確にわかるものでないといけません。この勉強で身に付く考える力と、VCAで皆さんに身に付けてほしい考える力は異なります。

社会に出て必要となる「考える力」は、正解が決まっていない問いを解く力のことです。どうやったら売り上げが伸びるか、どうやったら良い商品を開発できるか、どうやったらもっと人に喜んでもらえるサービスができるか・・・こういったものは、正解が分かりません。ですから、たくさんアイディアを出して、実験してみてフィードバックを得て、改善していく必要があります。当然、失敗することもあるし、予想ではあまりうまくかないと思われていた方法が、良い結果をだしたりすることもあります。

社会に出て必要とされる能力の多くは数値化することがとても難しいのです。

コミュニケーション能力一つとっても、分かりません。おしゃべりが上手な人も、相手によっては「うるさい」と不快な印象を与えるかもしれないし、逆に普段は口数が少ない人が、大胆な発言をして周りを驚かせたり。測ることができない力なのです。考える力も同様です。

ましてやAIが発達しているこの時代。

正解が決まっているもの、数値化できるものは、技術が発達すればどんどん、AIに置き換わっていきます。一つの正解をだすスピードは人間よりもはるかに速いし、正確です。だからそこと戦っても仕方がないわけです。

もちろん、知っていることがないと、考えることもできません。覚えたり、記録したりすることは、考える力の土台となる大切な力です。ですから、知識を蓄えることが無駄だとは思いません。むしろ、それはそれで必要なことです。

正解が決まっていない問いに答えることができるのか?ということです。ネットで検索することで分かることもたくさんあります。しかし、知りたい情報を得るために、どんな検索ワードで調べればよいのか?を考えないといけないのです。そしていろいろと言葉を当てはめたりして、やっとたどりつく。または、その情報に詳しい人のサイトに出会う。

さて、そこからどうするか。メールアドレスが公開されていればメールをする。書籍を出版されていたら本を手に取ってみる。ここも考えないといけません。それに加えて判断しないといけません。その人が信頼できるのかどうか。その情報が本当に正しいのか?この人と連絡をとってよいのか。などなど。

この判断も考える力の延長線上にあるものです。考えた結果どうするか?という判断です。

VCAの授業

さて、元の問いに立ち返りますね。

VCAは何をするところなのか?

社会に出て役立つ力 コミュニケーション能力、考える力を例に挙げましたが、ほかにもたくさんあります。

そういった力を育んでいくわけです。

そのために、毎回の授業で2つのことを行います。

1回の授業が80分。その授業の中でディスカッションと自己の振り返りを行います。

前半がディスカッションです。

毎回異なるテーマでディスカッションをします。その目的は自分の考えを言葉にすることです。頭によい考えが浮かんでも否定されたり、おかしいと思われたらいやだという思いに邪魔されて発言できないことがありませんか?それはとてももったいないことなのです。

VCAのディスカッションでは、発言を否定されることはありません。ですから、ここでは安心して自分の考えを表現してほしいのです。将来を考えるうえで、考え付いたことを言葉にすることはとても重要です。なぜなら、進学や就職するときに問われるのは「あなたはどんな考えがあって、この進路を選択されたのですか?」ということだからです。ありきたりな答えや、誰かがの考えをかりた言葉で表現しても、相手に思いは伝わりません。

自分の思いを自分の言葉で表現できる力は自己アピールにも、プレゼンテーションにも、進路選択の先にある「仕事」をしていく際に欠かせない能力の一つです。

このディスカッションがコミュニケーション能力を育んでいくのです。それは、単に話せると聞けるというだけにとどまらないのです。全体の流れをつかむ、空気を読む。人の反応を予想しつつも、恐れずに発言できる力です。聴く力も同様に、相手の話途中で口をはさんだり、反論したりしないで、最後まで落ち着いて聴く。そして相手の言いたいことの趣旨が分かるようになります。そうすると、互いに「分かり合える」ことができます。

コミュニケーション能力を高める真の目的は信頼関係を築く力です。ディスカッションを通して、考え、発言し、他人の発言を受け止め、建設的な議論ができる力が身に付いていきます。

後半が自己の振り返りです。

自己の振り返りをする目的は二つあります。一つは自分で決めたことができたという達成感覚をたくさん味わうためです。達成感覚の積み重ねが「自信」になるからです。二つ目は、自分の現状をよく認識するためです。

毎回、その週をどう過ごすか、ミニ目標を設定します。その目標達成に必要な行動を3つ決めます。その行動ができたかどうかを振り返るのです。すべてできるに越したことはありませんが、できなかった場合にも、実はそこには貴重な情報があるのです。

行動ができなかったのには、必ず理由があります。その理由が実は、達成したい目標を妨げている原因だからです。それは、面倒くささだったり、時間がないということだったり、難しすぎたりするなど、いろいろ考えられます。普通なら言い訳だと否定されることかもしれませんが、単に否定しただけでは、次なるやる気になりません。行動できなかった理由をきちんとケアすることで、自分にあった目標達成までの行動計画が立てられようになるのです。そして、行動できた場合にも、次の目標をいきなり決めるのではなく「なぜうまくできたのか?」を振り返ります。そうすることで、自分自身の成長を感じ、そして強みを知ることができます。この振り返りが毎回積み重なって行くことで、自己肯定感が高まっていきます。これは、ちょっとやそっとではおれない強い心を育てることになります。また、目標毎回たてるなかで、時間の使い方がうまくなる、初めは3つだけだった行動を5、6つと増やすことができるようになります。無駄な時間の使い方をしなくなります。そして何よりも、目標設定を繰り返していくことで、徐々に「何のために」という目的意識も強まり、考える力が強化されます。

目的にかなった目標設定をする力は、将来の自己実現をグッと引き寄せることにもなるのです。

VCAの授業の中に社会に出て役立つ力が育まれる仕掛けがたくさんあります。身に付けてほしい能力は、難しいかもしれませんが、実際に生徒さんに取り組んでいただくことはとても簡単です。簡単なことを繰り返していくうちに身に付くことがたくさんあります。

VCAのカリキュラムは1年で1周りするように設計しております。

1年間、毎週80分を自分の未来のために充てることで、将来の充実はもちろん、今の学校生活にもやりがいを感じていただくことができるようになります。…

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