5月, 2023 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します

2023年5月

あなたの子どもとの絆を深め、不登校の壁を乗り越えるための声がけ集

あなたの子どもとの絆を深め、不登校の壁を乗り越えるための声がけ集

愛と理解の声がけで、子どもの心を開き、前向きな変化を実現

無料で声がけ集を入手する これまで10年以上不登校の支援をしてきて感じること

どんなに優秀な先生や医者、カウンセラーが関わっても、親子のコミュニケーションにはかないません。つまるところ、不登校の解決のキーパーソンは親なのです。その親を支えるのがわれわれカウンセラーなのだと実感します。今回の声がけ集はこれまでの関わりの中で、子どもが言われたいことを元に作成しています。また、後半にはNGなかかわり集も掲載しております。両方合わせて知っていただくだけで、親子のかかわりが変わります。この変化が不登校解決に向けた大事な一歩になります。

声がけ集を活用ください!

この声がけ集は、不登校のお子さんを抱える親御さんにとって有益なツールです。なぜなら、適切な声がけが子どもの心に深く響き、彼らの自尊心や自信を育み、新たな可能性を開拓するからです。親御さんが子どもとの絆を深めるための具体的な言葉を提供し、子どもが自分を受け入れ、成長することを支援します。また、親御さんは子どもの個別のペースや目標を尊重し、共に成長するためのサポートを受けることができます。悩みや困難に直面した時でも、この声がけ集は安心感と理解を提供し、親御さんが子どもの成長と幸福への道を切り拓く手助けをします。子どもの可能性を最大限に引き出し、共に輝く未来を築くために、この声がけ集は親御さんにとって不可欠なツールとなります。また、後半にあうNG集も

無料で提供する理由があります。

声がけ集を無料で提供する理由は、不登校の子どもを抱える親御さんに手軽にアクセスしていただくためです。私は、不登校は親子共に大きな心の負担となり、支援が必要な状況であると理解しています。そのため、声がけ集を無料で提供することで、より多くの親御さんに利用していただき、子どもとの関係を改善し、困難な状況を乗り越えていただきたいと考えています。

声がけ集の5つ利点 子どもとの絆を深める: この声がけ集は、子どもとのコミュニケーションを通じて、絆を深めるための具体的な言葉がけを提供します。 子どもの自尊心と自信の育成: 適切な声がけが子どもの自尊心と自信を育むことにつながります。 新たな可能性を開拓: 子どもの個別のペースや目標を尊重しながら、共に成長するためのサポートを提供します。 安心感と理解を提供: 悩みや困難に直面した時でも、あなたは支えと理解を得られることで安心感を得られます。 子どもの成長と幸福への道を切り拓く: 適切な声がけを通じて、子どもの成長と幸福への道を一緒に歩んでいくことができます。 声がけ集の入手方法は下記のボタンから

下記のボタンから無料の声がけ集を入手していただくことができます。返信メールにリンクがあるのでそちらからPDF形式で配布しております。

無料で声がけ集を入手する

親子のコミュニケーションが変われば子どもの変化が始まっていきます…

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学校に戻る以上に大切な不登校の解決とは!?

学校に戻る以上に大切な不登校の解決とは?!

不登校に悩むお子さんを抱えるお母さまへ

不登校しているお子さんの関わり方のキホンが分かるセミナー

お子さんとの関わり方を変える 不登校がなかなか解決しない3つ理由 1 不登校の解決が何かが不明確

不登校における解決というのは何か?実はこれは結構不明確なのです。学校に戻ることは一つの解決です。学校に戻ることが大事だということでそこを強調する学校の先生やカウンセラーもいらっしゃいます。確かに学校に戻るというのは、目に見えて「解決」ということが分かるのでそこを目指したくなる気持ちも分かります。しかし、実際にはそれでは根本的な解決になりません。また、解決ということが、進学や卒業でごまかされてしまうことも問題です。ここが不明確なまま、医療やカウンセリングを受けても状況が良くなるということがあまり見られません。不登校の解決を「自立」と定めることで、どういう関係を築き、適切なコミュニケーションが何かが明確になります。

2 子どもがなかなかカウンセリングを受けようとしない

「うちの子が不登校がだから息子のカウンセリングをお願いします」という問い合わせはあります。しかし、実際にお子さんがカウンセリングを受けてくれるケースは極めて稀です。実は、カウンセリングを無理に受けても効果は極めて薄いです。というのはカウンセラーとの信頼関係がないからです。むしろ、不登校対応で心身ともに疲れている親御さんが受けるほうが効果期待できます。それは、親御さんの精神的なストレスが軽減されることでお子さんへのかかわりが変わるからです。

3 なんと声をかけてよいか分からない

ベッドでふとんをかぶっている、部屋から出てこない、食事も満足にとらない。顔を見ても不機嫌そうで、「おはよう」と言っても特に返事がない。何を話しかけても反応が薄く、ちょっと質問すると「うるさい」とか「しらん」とかいう返事しか返ってこない。子どもに話しかけること自体が億劫になり、変に刺激して暴れられたり、家を出て行かれても困るのです。そこで特に声をかけずにそっとしておく、まるで腫れ物に触るような感じで恐る恐る過ごす。これでは子どもも良くなりようがありません。親が腹をくくって向き合えば子どもは答えてくれます。

不登校の解決はお子さんの「自立」

私が提供するカウンセリング・セミナーでは不登校の解決はお子さんの「自立」としています。自立と言っても、自分で稼いで食べていけるという経済的な自立をイメージされがちですが、ここでは精神的な自立を意味しております。

精神的な自立とは、自分で考えて、自分で選択して、自分で決めること

精神的な自立を自分で考えて、自分で選択して、自分で決めること としています。この結果、行動が生まれます。しかも、その行動には自分の責任が伴います。こうなってくると、不登校で過ごした時間があっても、それを取り戻すどころか、不登校したことで自分の未来を描くということができるようになり、さらにはどんどんと将来を切り開いていく力がつきます。

自分で進路を決めた元不登校女子

彼女が最初にカウンセリングにやってきたのは、中学2年生の秋。中学1年生の中間テスト以降、登校していない。その時はアイドルグループの追っかけをやっていて、まさに「オタク」常態。昼夜逆転し、親のカードを勝手に使って転売チケットを買ってアイドルグループのコンサートや舞台を見に行く日々。学校とは全く無縁だった。高校に行くことさえ考えていなかった彼女は通信高校の存在を知って「これならできそう」ということで進学。そして、高校の倫理の授業で哲学に出会い「私はこれをやりたい!」と言ってそのまま大学の哲学科に進学。自分で切り開いて進路を見つけていった。

今回のセミナーを受講すると不登校のお子さんと安心して話をすることができるようになります。 なぜ親がセミナーを受けると子どもが変わるのか?

不登校しているお子さんにもっとも接する時間があるのは親、特に母親です。その母親のメンタルが安定し、適切な関わり方ができると、子どもは変わらざるを得ません。カウンセラーを含めた外部の専門家が関われるのはわずかな時間です。もっとも関わりのあるお母さまが良いかかわりをしてくださればそれで十分な解決に向かうのです。

もちろんお子さん自身がカウンセリングを受けることも効果的ですが、お子さんにカウンセリングをすすめること自体が難しいです。それならば、親がカウンセリングを受けて心を楽にしてしまえばよいのです。

不登校の解決ー子どもの自立―に必要な親の関わり方とは 01 子どもの自己決定を尊重する態度

自立を促していくためには子どもさん自身が自己決定する場面を作り、その決定を尊重する姿勢が必要です。そのためには、親の決めつけや、指示する機会を極力減らす必要があります。

02 親子関係の適度な距離感

不登校のお子さんに対して全く関わらないのは良くないですが、関わりすぎもよくありません。どこを関わって何を任せるのか、その線引きは個人によって異なりますが、基準をつくることで親子ともども関わりが楽になります。

03 親子で対話する心のゆとり

親子の対話は不登校の解決に欠かせない要素です。対話を重ねると、互いに思いや考えを理解していくことができます。しかし、実際には対話ではなく、互いに要求を伝えるだけで、それはいつしか怒りのやり取りになりけんかになります。

不登校のお子さんへの関わり方のキホンが分かるセミナー 受講料 6600円 特典1「声がけ集」プレゼント

申込された方には「不登校のお子さんへの関わり方が分かる声がけ集」をプレゼントいたします。話しかけにくいお子さんとの会話の糸口がつかめます。

特典2 無料で復習動画を配布

セミナーのレクチャー部分の動画が視聴できます。何度も聴いて復習もできます。セミナーの再受講にも費用が掛かりますが、実質無料で再受講が可能になります。(動画は受講したセミナーのレクチャー部分のみになります)

セミナーにご満足いただけない場合は全額返金いたします。 セミナー日程

6月20日(火)午前10時~11時30分(最長12:00)

両方とも同じ内容です。

オンラインにて実施(ZOOMを使用)対象 不登校のお子さんへの関わり方を知りたい方

主な内容

・不登校の解決である「自立」とは何か・子どもが自立するための言葉のかけ方・親のメンタルを保つための秘訣

セミナーの申し込みは下記から

今回のセミナーは不登校のお子さんをもつ保護者が、子どもさんとの関わり方を変えて解決に近づけるためのものです。

お子さんとの関わり方を変える

返金保証つきです…

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不登校をする子は将来、大物になるぞ!

「不登校をする子は将来、大物になるぞ!」 かつて不登校した青年が今は海外で活躍!

「不登校」という言葉が使われる前は「登校拒否」という言葉が使われていました。

彼が不登校し始めたのはちょうどその言葉が置き換わるころです。だいたい25年くらい前でした。

3人兄妹の真ん中で生まれた彼は、親の言うことをよく聞く真面目な青年でした。自分で決めたことはきっちりこなす。

しかし、急な変更には対応できずオロオロすることもありました。

小学校、中学校と順調に育っていきましたが、高校生になった時に彼は自信を失う出来事に出会いました。

自分が考えた計画通りに勉強しても成績が取れない。バスケ部だった彼は真面目にクラブに励みますが、周りの生徒はそこまで真剣ではありません。

ちょうどスラムダンクが流行っていた時期でバスケ部は人気クラブでしたが、彼が通った学校ではクラブは「楽しむもの」でしかありませんでした。先生もそれほど熱心ではなく、彼はクラブのなかで孤立していきます。

勉強もクラブも楽しくない彼は、学校に面白みを見いだせず、だんだん無気力になっていきます。そして高校2年生の1学期にぱったりと学校に行けなくなりました。

それからしばらく、彼は家に引きこもります。母親は理解をしてくれましたが、父親の方は「息子はサボっている」といって厳しい態度を取ります。

兄も妹も普通に学校に行っており、彼だけが不登校をしています。兄妹は状況を察して、特に彼に声をかけることがなく、そのことがまた彼の気持ちを辛くさせました。

彼は「生きていても意味がない」と考えるようになり自殺を思い立ちます。

昼間に山中に出かけて行ったり、首をつるためのロープをさがしにホームセンターに出かけたり、散歩と称して飛び降りれる場所をさがしてる気回りました。

しかし、歩き回っているうちに、なんだかばかばかしくなって家に帰るのです。そしてまた翌日「生きていても意味がない」という気持ちが強くなり外に出ます。

これを繰り返して過ごしていました。

学校の先生からは「このまま出席できないと留年するか退学するかの選択を迫ることになります」ということを電話で言われ、そのことでますます学校に行きたくなくなります。スクールカウンセラーとの面談も学校で行われるため、2,3回で途絶えてしまいます。病院も進められるが「自分は病気ではない」と言い張って、生きませんでした。

家に居ても何もする気にならないで、過ごしているとある日、母親がカウンセラーの勉強会で買ってきた講演録のCDを聴いていました。隣の部屋から漏れてくるその声を聴くともなく聞いていると、その先生が「不登校する子は将来、大物になります!」と言っているのを耳にして、彼は隣の部屋から聞こえてくる講演CDに積極的に耳を傾けます。

そして、母親に「この先生に会いたい」というのです。母親はびっくりしたと同時に、嬉しそうに「じゃあ連絡とって見ましょう」と言って、その先生との面談を決めました。

全国を飛び回っている先生でしたが、幸いにも翌月に彼が住む町から車で1時間くらいの場所での講演があるというので、その講演の後に会うことになりました。

そしてそこで、彼はその先生から直接「君は特別大物になりそうだね」と声をかけられて、とても気分がよくなります。

その後彼は、通信制の高校を卒業し、アルバイトや福祉施設のボランティアなどを通じて社会とのつながりを回復させます。人懐っこいけど、繊細な彼を大事にする周りの大人たちの支援を受けて、留学もすることができました。

その出会いから20年が経ち、彼は今はフィリピンやブラジルといった国で、他人の助けになる仕事をすると慣れない英語を駆使しながら働いています。

もちろん、一足飛びにかれが元気になったわけではありません。

その後も、講演してくれた先生のカウンセリングや、その先生の教え子のカウンセリングなどを通じて、元気になったり、引っ込んだりを繰り返しました。

一度は就職して教育現場で働いたりもしました。しかし、彼の中にはもっと多くの人を助けたい、自分のように生き方に苦しんでいる人を助けたいという思いがあり、日本を飛び出すことになりました。

海外に行ったからえらくて、国内にとどまっているからダメだということではありません。同時に不登校したから人生が終わるということでもないです。彼はのちに「不登校したところから人生が始まったようなところがある」と、語ってくれました。

今日も世界のどこかで彼は明るい笑顔と、優しい気持ちとちょっとした好奇心を使って人を助けているんだと思います。

ご相談はこちらから。随時受付中です! お問合せはこちらから 不登校の解決のための情報発信をメルマガを通じて行っております。

いきなり問い合わせはちょっと抵抗があるなという方におすすめしております。不要だと思われたら解除もできますので、お気軽にご登録ください。すぐにお問合せしたい方はページの下方に問合せフォームのボタンがございますので、そちらからご連絡ください。

不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 (生物心理社会モデルでみる不登校の背景⑤/シリーズ記事)

本連載は、子どもの「しんどさ」を「生物・心理・社会」の三つの視点で読み解きます。

基本となる考え方(生物心理社会モデル)の解説は→ https://visionary-career-academy.com/archives/4178

「集中できない子」は、努力が足りないわけではない

授業中に立ち歩く、話を最後まで聞けない、宿題を忘れる。注意されたことをその場で謝っても、翌日にはまた同じことをしてしまう。

ADHD(注意欠如・多動症)は、集中のしにくさ(不注意)・落ち着きのなさ(多動性)・思いつくままに行動する(衝動性)という特徴を持つ、神経発達症(発達の特性)です。

ADHDの特徴と、「困り感」の実際

ADHDの子どもたちは、知的には平均的、場合によってはそれ以上の力を持ちながらも、「わかっているのにできない」ことで大きなストレスを抱えています。

本人の困り感

・授業で話を聞いていても、途中で頭が別のことを考え始めてしまう・宿題をやる気はあるのに、机につくまでに他のことに気を取られる・感情が急に高ぶって、後で「なんであんなこと言ったんだろう」と落ち込む・友達との会話で話を遮ってしまい、「うるさい」と言われる

本人は多くの場合、「やる気がない」と思われていることを苦しく感じています。

学校での困り感

・注意される回数が多く、教師からの評価が下がりやすい・授業中に立ち歩く・忘れ物が多いなど、集団のペースに合わない・テストではケアレスミスが多く、実力が正しく評価されない・叱責が続くことで、「自分はダメな子」という自己否定が強まる

家庭での困り感

・「何度言っても同じことを繰り返す」と親が疲弊する・宿題・片付け・時間管理などが日常的な衝突の原因になる・家族が緊張状態になり、親子関係が悪循環に陥る・兄弟姉妹との比較で、親自身が罪悪感を抱くこともある

こうした困難の背景には、脳の情報処理の特性があり、努力やしつけの問題ではありませ

生物・心理・社会 ― 三つの視点でとらえるADHD 生物(Biological)― 脳のネットワークの違い

ADHDでは、前頭前野(集中・計画)と線条体(報酬系)の働きのバランスに特徴があります。脳の「報酬系」が刺激に強く反応し、ドーパミンやノルアドレナリンの調整が不安定になります。

そのため、・興味があることには極端に集中できる(過集中)・興味のないことには集中が続かない

といった偏りが生まれます。これは意志ではなく、脳の情報処理のスタイルによるものです。

心理(Psychological)― 「わかっているのにできない」苦しさ

ADHDの子どもたちは、「自分が悪い」と思い込んでしまうことが多いです。何度も注意されるうちに、「また怒られる」「どうせ失敗する」と自己否定的な信念が強まります。

叱責よりも、行動の背景を理解し、仕組みで支えることが必要です。「集中が続かないからこそ、短時間で区切る」「忘れやすいから、視覚的にリスト化する」――そうした支援が心理的安心を生みます。

社会(Social)― 学校・社会の中で起こること

学校では、ADHDの子どもが「ルールを守れない」「空気が読めない」と見られがちです。

授業中の立ち歩き、提出忘れ、ミスの多さ。それは怠けではなく、注意の持続と実行機能の弱さによるものです。

特に、板書・作文・ノート取りなどの「書く作業」が苦手な場合、努力しても成果が見えにくく、学力が低く評価されがちです。

WISC-V(発達検査)でみるADHDの特徴  発達検査(WISC-V)では、ADHDの子どもに以下のような傾向が見られることが多いです。 指標 特徴 学習面への影響 言語理解(VCI) 会話力や語彙は比較的高い 話すのは得意だが、長い説明を聞き続けるのは苦手 視空間(VSI) 図形・位置関係の理解は得意 空間把握力はあるが、細部のミスが出やすい 流動性推論(FRI) パターン認識・推論に強み 抽象的思考はできるが、課題に集中が続かない ワーキングメモリ(WMI) 数字や情報を一時的に保持する力が弱い 「覚えておいて」が難しく、聞き漏らしが多い 処理速度(PSI) 作業のスピードが遅い傾向 テストや書字に時間がかかる/ケアレスミスが出やすい

このように、知的能力そのものは十分あっても、注意の持続・処理速度・記憶の一時保持の弱さが、学習上の困難につながることがあります。

DSM-5とICD-11による診断基準

ADHDは、DSM-5(米国精神医学会)とICD-11(世界保健機関)で以下のように定義されています。 ●DSM-5(2022) 不注意・多動性・衝動性のいずれかまたは両方の症状が12歳以前から持続し、社会的・学業的機能に支障をきたしている。 症状は少なくとも2つ以上の状況(例:家庭・学校)で認められる必要がある。   ●ICD-11(2023) 発達にそぐわない不注意・過活動・衝動性が持続的にみられ、学校・家庭・職場など複数の場面で機能障害をもたらしている。 神経発達症の一つとして分類。ADHDという名称をそのまま使用。   いずれの基準でも、「単に集中できない」だけではなく、 生活や学業に支障をきたすレベルで持続していることが診断の前提です。   また、発達検査だけで診断が確定するわけではありません。 臨床では、家庭・学校での行動観察面接による生活史の聴き取り 保護者・教師の評価質問票(例:Conners 3、ADHD-RS など)を総合して判断されます。

ADHDの服薬治療

薬物療法は、脳内の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)を調整し、集中・衝動性を安定させる目的で行われます。

代表的な薬剤:・メチルフェニデート(コンサータ):集中持続を助ける中枢刺激薬・アトモキセチン(ストラテラ):非刺激薬。不安や衝動性にも効果・グアンファシン(インチュニブ):落ち着き・睡眠リズムの改善・リスデキサンフェタミン(ビバンセ):朝の覚醒・持続的注意をサポート

薬の効果には個人差があり、医師の慎重な調整が必要です。「薬で性格を変える」のではなく、「本来の力を発揮しやすくする」ためのサポートと考えてください。

特性に合った支援と、早期支援の意義

ADHDの子どもは、環境が整えば力を発揮できます。

学校に求めたい支援

・座席は刺激の少ない前方・壁側へ・板書をプリントで補助、または写真撮影を許可・宿題は量を減らし、達成感を味わえる設計に・テストでは時間延長・口頭回答を検討・忘れ物防止のチェックリストやファイルの色分けを導入・教師間で共通理解をもち、「叱るより仕組みで支える」文化をつくる

家庭でできる工夫

・時間を「見える化」(タイマー・スケジュールボード)・成功体験を言葉で具体的にほめる・失敗しても、「どうしたらできるか」を一緒に考える

早期支援がもたらす長期的な効果

ADHDの支援は、早期に始めるほど、ソーシャルスキル(対人関係能力)と自己理解の発達が良好であることが研究で示されています。

早期に自分の特性を理解し、支援を受けながら成功体験を積むことで、・対人関係の衝突が減る・学習意欲が維持される・将来の進路選択や就職の幅が広がる・自分の「得意」と「苦手」を自覚した自己実現が可能になる

つまり、ADHDの支援は“治療”であると同時に、“成長支援”です。本人の人生の選択肢を広げるための、前向きな取り組みなのです。

発達の先にある希望 ― 成熟する脳

多動や衝動性は、脳の前頭前野が発達する20代にかけて徐々に落ち着きます。しかし、片付け・整理整頓・時間管理などの「実行機能の弱さ」は残る傾向があります。

成人後も、・スマホのリマインダーで時間を管理・チェックリスト・ToDoリストで可視化・物の定位置を決めるといった環境デザインの工夫が、一生の支えになります。

親の育て方の問題ではありません

ADHDは、親の接し方や性格で起こるものではありません。脳の働き方の個性です。

そして、この個性は支援によって「弱点」から「才能」へと変化します。創造的で、柔軟で、情熱的。そのエネルギーを社会で生かせるよう、私たち大人が仕組みで支えることが大切です。

今日のまなざし

「集中できない」は努力不足ではなく、脳の特性。叱るより、仕組みと理解で支えることが、子どもを伸ばす最良の方法です。

参考・参照

・American Psychiatric Association (2022).…

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不登校の回復に自己肯定感はいらない!?

不登校の回復に自己肯定感はいらない!? 不登校するお子さんの自己肯定感

不登校するお子さんは基本的に自己肯定感が低いです。自分自身には能力がない、努力できない怠け者で、他の人より劣っているという認識が強いです。自信がないいことを隠すために、学校では虚勢を張って、それで疲れるというケースもあります。その解決策として、自分自身への認識(セルフイメージ)をネガティブなものからポジティブなものに変えようということで、自己肯定感を上げようとう働きかかけることが始まります。実はこれが子どもにとっては辛いのです。

自己肯定感は上げようと無理に働きかけると自己否定が強まる

「自分のことをダメだ」と思っている人に対して「そうじゃない。あなたは素晴らしい人だ」といっても通じません。これはまずい料理を我慢して「おいしいと思って食べなさい」と言われているようなものです。どれだけ暗示をかけても料理はおいしくなりません。それを無理矢理おいしいと思って食べるときに「まずいと思っている自分」を否定することになります。さらにはまずいと思っている自分の考え方や感覚がおかしいと、自分自身を否定することにもつながっていきます。

自己肯定感を上げようとすると、否定感が強まるという逆説的なことが起きてしまいます。

大事なことは今の自分をそのまま認めること

自己肯定感よりも不登校の回復に効果的なのは自己受容です。今の自分をそのまま認めることです。自己肯定と違って自己受容には否定の要素がありません。

学校に行けないことを悪いととらえず、私は学校に行けていない。ただそれだけだ。だから自分の存在が悪いとか社会不適合だとか思わなくてよいのです。不味い料理を不味いと思いながら食べ続けるだけなのです。さらに言えば、不味いと思ったらその気持ちに素直になって食べないということを良しとすることでもあります。無理においしいと思わないことで無理も否定感もないのです。

自信がない自分で良いのです。自信をつけようとするから辛い思いになるのです。

自己受容するために必要なことは

自己受容のために必要なことは、自分を知ることです。自分自身が今何を考えていて、どういう思いでいるのかを知ることで何を認めればよいかが見えてきます。その時に大事なことは「評価しない」ことです。これが良いとか悪いとか評価すると、それを変えようとする思考が働きます。良い悪いをいったん脇に置いて、自分の考えや思いと素直に向き合うのです。

そのためには、頭や心にあることを言葉にすることが必要です。そこでカウンセリングが必要になると私は考えます。

カウンセリングの聴き手がうまければ、相手の良い悪いを評価せずにそのままを認めていくように働きかけることができます。症状ではなく人格への承認がもたらされることで、自己受容は進んでいきます。そのためには、途中でアドバイスしたり、忠告したりすることよりも、子ども自身も親自身もありのままのいまの現状を言葉にすることが必要です。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 (生物心理社会モデルでみる不登校の背景⑤/シリーズ記事)

本連載は、子どもの「しんどさ」を「生物・心理・社会」の三つの視点で読み解きます。

基本となる考え方(生物心理社会モデル)の解説は→ https://visionary-career-academy.com/archives/4178

「集中できない子」は、努力が足りないわけではない

授業中に立ち歩く、話を最後まで聞けない、宿題を忘れる。注意されたことをその場で謝っても、翌日にはまた同じことをしてしまう。

ADHD(注意欠如・多動症)は、集中のしにくさ(不注意)・落ち着きのなさ(多動性)・思いつくままに行動する(衝動性)という特徴を持つ、神経発達症(発達の特性)です。

ADHDの特徴と、「困り感」の実際

ADHDの子どもたちは、知的には平均的、場合によってはそれ以上の力を持ちながらも、「わかっているのにできない」ことで大きなストレスを抱えています。

本人の困り感

・授業で話を聞いていても、途中で頭が別のことを考え始めてしまう・宿題をやる気はあるのに、机につくまでに他のことに気を取られる・感情が急に高ぶって、後で「なんであんなこと言ったんだろう」と落ち込む・友達との会話で話を遮ってしまい、「うるさい」と言われる

本人は多くの場合、「やる気がない」と思われていることを苦しく感じています。

学校での困り感

・注意される回数が多く、教師からの評価が下がりやすい・授業中に立ち歩く・忘れ物が多いなど、集団のペースに合わない・テストではケアレスミスが多く、実力が正しく評価されない・叱責が続くことで、「自分はダメな子」という自己否定が強まる

家庭での困り感

・「何度言っても同じことを繰り返す」と親が疲弊する・宿題・片付け・時間管理などが日常的な衝突の原因になる・家族が緊張状態になり、親子関係が悪循環に陥る・兄弟姉妹との比較で、親自身が罪悪感を抱くこともある

こうした困難の背景には、脳の情報処理の特性があり、努力やしつけの問題ではありませ

生物・心理・社会 ― 三つの視点でとらえるADHD 生物(Biological)― 脳のネットワークの違い

ADHDでは、前頭前野(集中・計画)と線条体(報酬系)の働きのバランスに特徴があります。脳の「報酬系」が刺激に強く反応し、ドーパミンやノルアドレナリンの調整が不安定になります。

そのため、・興味があることには極端に集中できる(過集中)・興味のないことには集中が続かない

といった偏りが生まれます。これは意志ではなく、脳の情報処理のスタイルによるものです。

心理(Psychological)― 「わかっているのにできない」苦しさ

ADHDの子どもたちは、「自分が悪い」と思い込んでしまうことが多いです。何度も注意されるうちに、「また怒られる」「どうせ失敗する」と自己否定的な信念が強まります。

叱責よりも、行動の背景を理解し、仕組みで支えることが必要です。「集中が続かないからこそ、短時間で区切る」「忘れやすいから、視覚的にリスト化する」――そうした支援が心理的安心を生みます。

社会(Social)― 学校・社会の中で起こること

学校では、ADHDの子どもが「ルールを守れない」「空気が読めない」と見られがちです。

授業中の立ち歩き、提出忘れ、ミスの多さ。それは怠けではなく、注意の持続と実行機能の弱さによるものです。

特に、板書・作文・ノート取りなどの「書く作業」が苦手な場合、努力しても成果が見えにくく、学力が低く評価されがちです。

WISC-V(発達検査)でみるADHDの特徴  発達検査(WISC-V)では、ADHDの子どもに以下のような傾向が見られることが多いです。 指標 特徴 学習面への影響 言語理解(VCI) 会話力や語彙は比較的高い 話すのは得意だが、長い説明を聞き続けるのは苦手 視空間(VSI) 図形・位置関係の理解は得意 空間把握力はあるが、細部のミスが出やすい 流動性推論(FRI) パターン認識・推論に強み 抽象的思考はできるが、課題に集中が続かない ワーキングメモリ(WMI) 数字や情報を一時的に保持する力が弱い 「覚えておいて」が難しく、聞き漏らしが多い 処理速度(PSI) 作業のスピードが遅い傾向 テストや書字に時間がかかる/ケアレスミスが出やすい

このように、知的能力そのものは十分あっても、注意の持続・処理速度・記憶の一時保持の弱さが、学習上の困難につながることがあります。

DSM-5とICD-11による診断基準

ADHDは、DSM-5(米国精神医学会)とICD-11(世界保健機関)で以下のように定義されています。 ●DSM-5(2022) 不注意・多動性・衝動性のいずれかまたは両方の症状が12歳以前から持続し、社会的・学業的機能に支障をきたしている。 症状は少なくとも2つ以上の状況(例:家庭・学校)で認められる必要がある。   ●ICD-11(2023) 発達にそぐわない不注意・過活動・衝動性が持続的にみられ、学校・家庭・職場など複数の場面で機能障害をもたらしている。 神経発達症の一つとして分類。ADHDという名称をそのまま使用。   いずれの基準でも、「単に集中できない」だけではなく、 生活や学業に支障をきたすレベルで持続していることが診断の前提です。   また、発達検査だけで診断が確定するわけではありません。 臨床では、家庭・学校での行動観察面接による生活史の聴き取り 保護者・教師の評価質問票(例:Conners 3、ADHD-RS など)を総合して判断されます。

ADHDの服薬治療

薬物療法は、脳内の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)を調整し、集中・衝動性を安定させる目的で行われます。

代表的な薬剤:・メチルフェニデート(コンサータ):集中持続を助ける中枢刺激薬・アトモキセチン(ストラテラ):非刺激薬。不安や衝動性にも効果・グアンファシン(インチュニブ):落ち着き・睡眠リズムの改善・リスデキサンフェタミン(ビバンセ):朝の覚醒・持続的注意をサポート

薬の効果には個人差があり、医師の慎重な調整が必要です。「薬で性格を変える」のではなく、「本来の力を発揮しやすくする」ためのサポートと考えてください。

特性に合った支援と、早期支援の意義

ADHDの子どもは、環境が整えば力を発揮できます。

学校に求めたい支援

・座席は刺激の少ない前方・壁側へ・板書をプリントで補助、または写真撮影を許可・宿題は量を減らし、達成感を味わえる設計に・テストでは時間延長・口頭回答を検討・忘れ物防止のチェックリストやファイルの色分けを導入・教師間で共通理解をもち、「叱るより仕組みで支える」文化をつくる

家庭でできる工夫

・時間を「見える化」(タイマー・スケジュールボード)・成功体験を言葉で具体的にほめる・失敗しても、「どうしたらできるか」を一緒に考える

早期支援がもたらす長期的な効果

ADHDの支援は、早期に始めるほど、ソーシャルスキル(対人関係能力)と自己理解の発達が良好であることが研究で示されています。

早期に自分の特性を理解し、支援を受けながら成功体験を積むことで、・対人関係の衝突が減る・学習意欲が維持される・将来の進路選択や就職の幅が広がる・自分の「得意」と「苦手」を自覚した自己実現が可能になる

つまり、ADHDの支援は“治療”であると同時に、“成長支援”です。本人の人生の選択肢を広げるための、前向きな取り組みなのです。

発達の先にある希望 ― 成熟する脳

多動や衝動性は、脳の前頭前野が発達する20代にかけて徐々に落ち着きます。しかし、片付け・整理整頓・時間管理などの「実行機能の弱さ」は残る傾向があります。

成人後も、・スマホのリマインダーで時間を管理・チェックリスト・ToDoリストで可視化・物の定位置を決めるといった環境デザインの工夫が、一生の支えになります。

親の育て方の問題ではありません

ADHDは、親の接し方や性格で起こるものではありません。脳の働き方の個性です。

そして、この個性は支援によって「弱点」から「才能」へと変化します。創造的で、柔軟で、情熱的。そのエネルギーを社会で生かせるよう、私たち大人が仕組みで支えることが大切です。

今日のまなざし

「集中できない」は努力不足ではなく、脳の特性。叱るより、仕組みと理解で支えることが、子どもを伸ばす最良の方法です。

参考・参照

・American Psychiatric Association (2022). DSM-5-TR・World Health Organization (2023). ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics・厚生労働省「注意欠如・多動症(ADHD)に関する実態調査」(2020)・日本児童青年精神医学会『ADHDの診断と治療指針 第2版』(2021)・国立精神・神経医療研究センター「発達障害情報・支援センター」

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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連休後に起こりがちな行き渋り 不登校を防ぐためにできることとは?

行き渋りの段階で不登校を防ぐための3つの対応 5月の連休が終わると・・・

5月の連休が終わると一気に不登校が増えます。これは毎年のことです。4月は勢いで乗り切れるけど、疲れが出るのが5月です。そこに連休があってホッと一息つくと何か調子が変だということで、学校に行きづらくなる人が増えます。理由は様々です。

中学生の場合は5月の中旬から下旬にかけて定期考査を実施するところが多いです。その定期考査までは頑張れるけどそこで力尽きて休み出すというのも5月です。特に中学1年生は最も不登校になる人数が多い学年とされています。最初のテストで思うように結果が出なかったことや、めちゃくちゃ力入れて頑張りすぎたことで不登校が始まるケースにも対応したことがあります。

兆候としての行き渋り

いきなり不登校が始まることは珍しく、その全段階として「学校に行きたくない」ということを言い始めます。そして、なかなか学校に行こうとしなくなります。かろうじて遅刻していく、別室登校する、早退するなどが始まります。

朝起きてこない、朝食を食べないとう行動面。さえない表情、身支度がいい加減(髪を整えない、制服のボタンをしめないなど)という見た目。会話に対してそっけない応答などお子さんの様子の変化もあります。これはエネルギーが枯渇している状態です。

行き渋りの段階で不登校を防ぐ3つの対応

促せば学校に行く、行けばそれなりに楽しんでくるというのであれば不登校になることを回避できることができる可能性が高いです。その対応策は次の3つです。

1 生活のリズムを整える

睡眠をしっかりとって食事をする。夜更かしをしない。当たり前のことですが、当たり前のことができなくなるというのが精神的な疲れがある状態です。まずは形からでも生活が不規則ならないようにしていきたいところです。

2 学校に様子を伝えておく

どうも様子が変で、学校に行きたがらないということを伝えておいてください。遅刻したり、ぼーっとした表情をしていると「やる気がない」と捉えられてしまう可能性があります。中学・高校は教科担当制なのでいろんな先生が授業に来ます。担任だけでなく、学年や授業担当者への周知を学校にお願いしてください。生徒本人は疲れているところに「たるんどる」とか「気合が足らん」と言われてしまうとそれだけで学校に行く気を失います。

3 家の中で一緒にいる時間を増やす

本当は子どもさんに「どうしたの?」とか「悩みがあるなら言いなさい」といいたいところです。それで話をしてくれればよいのですが「別に」とか「特にない」という返答が返ってくることもあります。問いかけても応答が少ない場合は、あえて問いかけないで一緒にいるということをしてみてください。自分の部屋ではなく、リビングに居続けるなんていう時にはもしかしたら言いたいことがあるのかもしれません。無言で、何をするわけでもないときなんかは何かあります。そこでグッとこらえて、お子さんのタイミングで話が出るのを待ってみてください。1回ではうまくいかないかもしれませんが、一緒にいること自体が励ましになるということと、お子さん自身が話すタイミングで話し始めるように待ってみてください。本人の言葉で原因を話してくれれば、解決の道は早いです。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 集中できない子 ― ADHDと学びの工夫 (生物心理社会モデルでみる不登校の背景⑤/シリーズ記事)

本連載は、子どもの「しんどさ」を「生物・心理・社会」の三つの視点で読み解きます。

基本となる考え方(生物心理社会モデル)の解説は→ https://visionary-career-academy.com/archives/4178

「集中できない子」は、努力が足りないわけではない

授業中に立ち歩く、話を最後まで聞けない、宿題を忘れる。注意されたことをその場で謝っても、翌日にはまた同じことをしてしまう。

ADHD(注意欠如・多動症)は、集中のしにくさ(不注意)・落ち着きのなさ(多動性)・思いつくままに行動する(衝動性)という特徴を持つ、神経発達症(発達の特性)です。

ADHDの特徴と、「困り感」の実際

ADHDの子どもたちは、知的には平均的、場合によってはそれ以上の力を持ちながらも、「わかっているのにできない」ことで大きなストレスを抱えています。

本人の困り感

・授業で話を聞いていても、途中で頭が別のことを考え始めてしまう・宿題をやる気はあるのに、机につくまでに他のことに気を取られる・感情が急に高ぶって、後で「なんであんなこと言ったんだろう」と落ち込む・友達との会話で話を遮ってしまい、「うるさい」と言われる

本人は多くの場合、「やる気がない」と思われていることを苦しく感じています。

学校での困り感

・注意される回数が多く、教師からの評価が下がりやすい・授業中に立ち歩く・忘れ物が多いなど、集団のペースに合わない・テストではケアレスミスが多く、実力が正しく評価されない・叱責が続くことで、「自分はダメな子」という自己否定が強まる

家庭での困り感

・「何度言っても同じことを繰り返す」と親が疲弊する・宿題・片付け・時間管理などが日常的な衝突の原因になる・家族が緊張状態になり、親子関係が悪循環に陥る・兄弟姉妹との比較で、親自身が罪悪感を抱くこともある

こうした困難の背景には、脳の情報処理の特性があり、努力やしつけの問題ではありませ

生物・心理・社会 ― 三つの視点でとらえるADHD 生物(Biological)― 脳のネットワークの違い

ADHDでは、前頭前野(集中・計画)と線条体(報酬系)の働きのバランスに特徴があります。脳の「報酬系」が刺激に強く反応し、ドーパミンやノルアドレナリンの調整が不安定になります。

そのため、・興味があることには極端に集中できる(過集中)・興味のないことには集中が続かない

といった偏りが生まれます。これは意志ではなく、脳の情報処理のスタイルによるものです。

心理(Psychological)― 「わかっているのにできない」苦しさ

ADHDの子どもたちは、「自分が悪い」と思い込んでしまうことが多いです。何度も注意されるうちに、「また怒られる」「どうせ失敗する」と自己否定的な信念が強まります。

叱責よりも、行動の背景を理解し、仕組みで支えることが必要です。「集中が続かないからこそ、短時間で区切る」「忘れやすいから、視覚的にリスト化する」――そうした支援が心理的安心を生みます。

社会(Social)― 学校・社会の中で起こること

学校では、ADHDの子どもが「ルールを守れない」「空気が読めない」と見られがちです。

授業中の立ち歩き、提出忘れ、ミスの多さ。それは怠けではなく、注意の持続と実行機能の弱さによるものです。

特に、板書・作文・ノート取りなどの「書く作業」が苦手な場合、努力しても成果が見えにくく、学力が低く評価されがちです。

WISC-V(発達検査)でみるADHDの特徴  発達検査(WISC-V)では、ADHDの子どもに以下のような傾向が見られることが多いです。 指標 特徴 学習面への影響 言語理解(VCI) 会話力や語彙は比較的高い 話すのは得意だが、長い説明を聞き続けるのは苦手 視空間(VSI) 図形・位置関係の理解は得意 空間把握力はあるが、細部のミスが出やすい 流動性推論(FRI) パターン認識・推論に強み 抽象的思考はできるが、課題に集中が続かない ワーキングメモリ(WMI) 数字や情報を一時的に保持する力が弱い 「覚えておいて」が難しく、聞き漏らしが多い 処理速度(PSI) 作業のスピードが遅い傾向 テストや書字に時間がかかる/ケアレスミスが出やすい

このように、知的能力そのものは十分あっても、注意の持続・処理速度・記憶の一時保持の弱さが、学習上の困難につながることがあります。

DSM-5とICD-11による診断基準

ADHDは、DSM-5(米国精神医学会)とICD-11(世界保健機関)で以下のように定義されています。 ●DSM-5(2022) 不注意・多動性・衝動性のいずれかまたは両方の症状が12歳以前から持続し、社会的・学業的機能に支障をきたしている。 症状は少なくとも2つ以上の状況(例:家庭・学校)で認められる必要がある。   ●ICD-11(2023) 発達にそぐわない不注意・過活動・衝動性が持続的にみられ、学校・家庭・職場など複数の場面で機能障害をもたらしている。 神経発達症の一つとして分類。ADHDという名称をそのまま使用。   いずれの基準でも、「単に集中できない」だけではなく、 生活や学業に支障をきたすレベルで持続していることが診断の前提です。   また、発達検査だけで診断が確定するわけではありません。 臨床では、家庭・学校での行動観察面接による生活史の聴き取り 保護者・教師の評価質問票(例:Conners 3、ADHD-RS など)を総合して判断されます。

ADHDの服薬治療

薬物療法は、脳内の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)を調整し、集中・衝動性を安定させる目的で行われます。

代表的な薬剤:・メチルフェニデート(コンサータ):集中持続を助ける中枢刺激薬・アトモキセチン(ストラテラ):非刺激薬。不安や衝動性にも効果・グアンファシン(インチュニブ):落ち着き・睡眠リズムの改善・リスデキサンフェタミン(ビバンセ):朝の覚醒・持続的注意をサポート

薬の効果には個人差があり、医師の慎重な調整が必要です。「薬で性格を変える」のではなく、「本来の力を発揮しやすくする」ためのサポートと考えてください。

特性に合った支援と、早期支援の意義

ADHDの子どもは、環境が整えば力を発揮できます。

学校に求めたい支援

・座席は刺激の少ない前方・壁側へ・板書をプリントで補助、または写真撮影を許可・宿題は量を減らし、達成感を味わえる設計に・テストでは時間延長・口頭回答を検討・忘れ物防止のチェックリストやファイルの色分けを導入・教師間で共通理解をもち、「叱るより仕組みで支える」文化をつくる

家庭でできる工夫

・時間を「見える化」(タイマー・スケジュールボード)・成功体験を言葉で具体的にほめる・失敗しても、「どうしたらできるか」を一緒に考える

早期支援がもたらす長期的な効果

ADHDの支援は、早期に始めるほど、ソーシャルスキル(対人関係能力)と自己理解の発達が良好であることが研究で示されています。

早期に自分の特性を理解し、支援を受けながら成功体験を積むことで、・対人関係の衝突が減る・学習意欲が維持される・将来の進路選択や就職の幅が広がる・自分の「得意」と「苦手」を自覚した自己実現が可能になる

つまり、ADHDの支援は“治療”であると同時に、“成長支援”です。本人の人生の選択肢を広げるための、前向きな取り組みなのです。

発達の先にある希望 ― 成熟する脳

多動や衝動性は、脳の前頭前野が発達する20代にかけて徐々に落ち着きます。しかし、片付け・整理整頓・時間管理などの「実行機能の弱さ」は残る傾向があります。

成人後も、・スマホのリマインダーで時間を管理・チェックリスト・ToDoリストで可視化・物の定位置を決めるといった環境デザインの工夫が、一生の支えになります。

親の育て方の問題ではありません

ADHDは、親の接し方や性格で起こるものではありません。脳の働き方の個性です。

そして、この個性は支援によって「弱点」から「才能」へと変化します。創造的で、柔軟で、情熱的。そのエネルギーを社会で生かせるよう、私たち大人が仕組みで支えることが大切です。

今日のまなざし

「集中できない」は努力不足ではなく、脳の特性。叱るより、仕組みと理解で支えることが、子どもを伸ばす最良の方法です。

参考・参照

・American Psychiatric Association (2022). DSM-5-TR・World Health Organization (2023). ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics・厚生労働省「注意欠如・多動症(ADHD)に関する実態調査」(2020)・日本児童青年精神医学会『ADHDの診断と治療指針 第2版』(2021)・国立精神・神経医療研究センター「発達障害情報・支援センター」

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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