親子コミュニケーション | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します - Part 2

親子コミュニケーション

親子の会話、親子の信頼関係づくりのための情報をまとめています。小学生のころとは違ったコミュニケーション、距離の取り方が重要になります。

2学期からお子さんの不登校が始まった親御さんへ 不登校の子どもさんに伝えてほしい3つのこと

1 不登校が始まると・・・

不登校が始まった段階では、、早く学校に戻って欲しいという願いが強いです。頼る相手も学校の先生やスクールカウンセラーになります。この対応自体は間違っていません。

高校1年生や中学1年生の生徒さんが2学期になって不登校になるというケースは珍しくありません。1学期は新しい環境に慣れようと必死に頑張っていて、夏休みにそこから離れてはホッとした。

そして、再びあの学校に行かないといけない・・・と思うと緊張が高まりおなかが痛くなったり、頭痛がしたり。または朝起きれなかったりと何らかの不調を訴えて休みます。

2 見守りましょうと言われても・・・

そして、休むことが決まると、体調は回復して普通に過ごせます。

親としては「こんなに元気なら学校に行けばよいのに」という思いにもなります。

家に居ても勉強するわけでもなく、スマホをいじったり、ゲームをしたりとだらだら過ごす。大事な2学期を無駄に過ごしているように思えて、イライラすることもあります。

しかし、担任の先生や、スクールカウンセラーに相談しても「今は無理をさせないで様子を見ましょう」と言われて、具体的に何か対応策があるわけではないと、いつまでこの状況が続くのか、不登校している本人以上にお母さんが気をもんでしまいます。

だから、不登校の相談の最初はお母さまから頂くことがほとんどです。

3 3つのことを伝えてください

不登校の初期にはどのような対応をするのがよいのでしょうか?

様子を見るということ以外にできることとして、まずは、学校の様子を尋ねることです。

不登校の原因は複雑で、本人だけが悪いとか、学校に何か原因がある場合もありますが、多くは学校と本人の関係性にあります。

勉強が難しいとかクラスの雰囲気になじめないとか、クラブの指導が厳しいとか・・・

そういったことがあります。原因を探しに行くというよりも、学校の状況を聴き取ることが必要になります。

初期の段階の子どもの心情としては、学校に行かない自分を責めています。この自責を外すのはカウンセラーの仕事になります。それも時に必要ですが、まずは、親御さんからこの3つを伝えてください。

1度だけでなく何度も言葉を変えて伝えて差し上げてください。そうすると子どもさんの気持ちが緩み、学校の状況を伝えてくれるようになります。

家庭が安心できる場になると不登校が長引くと考える人もいますが、家が安心基地になると学校に再び登校し始めるということも起こり得ます。

不登校の初めに子どもにも親にも必要なのは安心感なのです。

4 不登校しても進学はできる

不登校しても進学はできます。VCAでも中学で不登校した子が高校に進学、高校で不登校した子が大学に進学、大学で単位不足で退学の危機だった学生が卒業単位を満たして無事に卒業ということもありました。

不登校はその渦中にいるとマイナスで出口のない状況に見えますが、必ずしもすべてが終わりというわけではありません。相談したり、行動することで必ず活路が見いだせます。…

2学期からお子さんの不登校が始まった親御さんへ 不登校の子どもさんに伝えてほしい3つのこと Read More »

昼夜逆転生活の中3の娘が口をきいてくれません。どうしたら話ができるでしょうか?

Q中学3年の娘がいます。不登校になってから昼夜逆転の生活が続いています。夜は動画を見たり、友達と電話をしているようです。食事も不規則になっており、部屋も全然片付けず、ごみ屋敷みたいで不潔です。私(母)が掃除をすると「勝手に入るな」とめちゃくちゃ怒鳴ってきます。進路のことも考えないといけないのですが、家族からの声がけにはほぼ反応しません。仕方なくLINEでメッセージをしますが、なかなか既読になりません。返事もありません。何を考えているかもわからないし、本当にどうしていいか分かりません。

間に入ってくれる人が必要です

A不登校というよりも引きこもっているというほうが正しいかもしれないですね。家族との会話もなく、自分の世界だけにとじこもっている。しかも昼夜逆転していて不規則な食事、散らかった部屋となると健康面も心配になりますね。すぐに話ができるようになるかというとそれは難しいところがあります。コミュニケーションが取れない原因は誤解にあります。同居する家族に対しては「学校に行かない自分を責めている」という思い込みがあるかもしれません。それは、学校に行かないで食事をし、学校に行かないのにお風呂やトイレを使い、学校に行かないのに部屋を占拠している。そんな自分が認められるはずがないという思いがあります。同居家族に対しては強い抵抗がありますので、第三者の介入をおすすめします。そこで互いに伝えたいことを伝えていくことが必要かと思います。第三者は娘さんが仲の良い人ならだれでも良いのですが、親御さんとも信頼関係がある人が良いです。まずは、祖父母や叔父叔母、いとこなどを頼って間に入ってもらうということがよいかと思います。そうしていきながら、徐々に誤解を解いていく、さらには間に入ってもらった人に対話の場をセットしてもらうことが必要かと思います。

娘さんの中の矛盾を認める

本人も中学3年であることは知っているし、高校受験が控えていることも自覚しているはずです。ですから進路のことを考えることは本人なりにやっていると思います。しかしながら、その話題に触れたいような触れたくないような思いがあります。それは、不登校している自分が将来のことを語るなんておこがましいという気持ちがあります。今やるべきことをできてない自分が将来何かをやりたいなんていうことを認めてもらえるなんていうことを思っていないのです。反応はないかもしれませんが、あいさつや食事をすすめるなどの言葉がけは続けることは大切です。それがなくなるとつながりがなくなってしまいます。自分の部屋に引きこもっていて昼夜逆転ということは、夜中の自分の部屋だけが唯一の安心の場になっています。こちらはそのつもりはなくても、家族という存在が娘さんにとっては緊張する要因になってしまっています。とはいえ、つながりが消えるのもさみしい状況にあります。矛盾していますが、その矛盾で苦しんでいるのが娘さんの内面世界です。

親の方が見捨てたり放置したりしない 忍耐と根気が必要

親御さんにできることはその矛盾があることを知っているということです。そのことを言葉にして伝える必要はありません。言葉がけもLINEのメッセージも、「あなたのことは大切な存在でかけがえのない私の娘なの」という思いを伝えているんだと思って発してあげてください。(鍵かっこのことばをそのまま伝える必要はありません)

今すぐ何かをしようとするよりも、雪解けをまつ必要があります。中学3年生であり、いつまでも悠長に構えるわけにはいけないという思いもあるかもしれませんが、こういう時こそ「うちの子は大丈夫」という信頼をもって接してあげることが大切です。

特に何かをするというわけではなくて、親御さんが不安を持たずに大丈夫だと思って接していくことが決め手です。無視されても反応がなくても、親御さんは子どもを見捨てていないということを忍耐強く発信していくことです。

これ以上無理と思ったら・・・

忍耐と根気が必要と書いておきながら、これまでもすでに、いろいろなアプローチを試されてきていると思います。親御さんも人間ですから、いつまでも同じ状況が続くと当然滅入ってきてしまいます。疲れたら疲れたことや、しばらく声をかけませんという情報をそのまま娘さんに伝えてみてください。何も言わずに突然、言葉がけやメッセージが途絶えると、見捨てられたと思って余計心をとざしてしまいます。そうならないためにも、親御さん側の情報を伝えておくことが必要です。そして元気になったら「今日からまた声かけていくからね」と仕切り直すことを伝えてください。何も言わないで突然はじめてしまうと変に勘ぐったりします。堂々と、声をかける、疲れた、しばらく休むなど、こちらの状況を伝えてみてください。親御さんが無理しすぎると、娘さん以上に深刻なうつ的な状況に陥る可能性もあります。そこを未然に防ぐためにも、無理は禁物です。…

昼夜逆転生活の中3の娘が口をきいてくれません。どうしたら話ができるでしょうか? Read More »

不登校のお子さんとのコミュニケーションが回復する3つのステップ

不登校が起きるのは子どもの中に何らかの言葉にならない言葉が生まれてしまったからです。その言葉を聞き出すことができれば、解決が早いのですが、事態はそう単純ではありません、むしろ、子どもとの会話自体ができなくなっている親子もたくさんいます。この状況が長く続くと当然不登校の状況も改善しません。仮に学校に行き出しても親子の関係性が悪いというのはその後も問題として残るのです。ではどうすれば子どもとコミュニケーションが取れるようになるのか。ここでは具体的な3つの方法をお勧めします。

コミュニケーションを取り戻す ステップ1 声がけ—あいさつと体調を気遣う言葉

不登校の初期はなかなか言葉を発することさえありません。部屋にこもったまま、食事も別々。声をかけてもそっけない返事が返ってくればいいほうで、人によっては2週間くらい息子の声を聴いていないという方もありました。言葉を発しない理由は、親と話をすると「学校に行け」とか「勉強しなさい」と言われるのではないかという思いがあります。また、学校に行けていない自分が家でご飯を食べてもよいのかということも疑問に思い、自分の情けなさと、親への申し訳なさとが入り混じる中、それでも頑張ることができない自分を責めているのです。そんな状態だからこそ言葉を発しないのではなく、発したくても発せないのです。

ではどうやって子どもコミュニケーションをとるのか。最初はあいさつと、体調を気遣う言葉です。上にも書きましたが、食事することすら罪悪感を感じているので「ご飯食べる?」も最初は結構きつかったりします。反応があってもなくても、声をかける。それで反応があればよいですが、反応がなければせいぜい2回くらいにしておかないと、親御さんの気も滅入ってしまいます。初めのうちは、お互いにびくついてなかなかよそよそしくなるとおもいます。でもそこから始めましょう。それまでの日常とは異なるのですから、それは仕方のないことなのです。新たに関係を創り直すくらいの気持ちでちょうど良いところです。

体調を気遣う言葉をかけるのは、子どもに対して「あなたのことを心配しているんですよ」というメッセージになります。不登校している子どもにしてみれば、そういう言葉がけに助けられているところがあります。

コミュニケーションを取り戻す ステップ2 話題を広げる—何気ないニュース 昔話

少しずつ言葉が出てくるようになると、話題を少し広げます。最近のニュースの話など、第三者の話をします。無理に子どもさんの興味関心に合わせるようなことをはしないで、お母さんの趣味だったり気になることだったりを話します。「そんなのどうでもいい」と思いそうな話題をお勧めします。なぜならどうでもいいような話じゃないと付き合ってくれないからです。「なんで不登校したの?」「部屋にこもって1日なにしているの」「いつになったら学校に行くの?」なんていう話題は本人にとってはどうでもよくない話題で、そういったところに触れてほしくないから黙っている側面があります。ちょっと話ができるようになったからと言って、学校や勉強、今後のことについて話題を振るとまただんまりを決め込まれてしまいます。もちろん、子どもさんのほうから振ってきたのであれば話をすることはアリですが。

あとは、昔話です。これは家族の昔の話だったり、お母さんやお父さんの昔の話などです。本人が小さかったころの話などです。自分が話題に出てくると意外と食いついてきて「あのときは」と話しだしたりもします。ニュースなどの表面的な話題ばかりでははなしが深まりません。とはいえ、一番ききたいところを話題にもできないとなった時に、家族の昔話は有効な話題の一つです。うまくいくと、笑いながら話しができます。

コミュニケーションを取り戻す ステップ3 話を聴く

不登校のことで相談に行くと「お母さんがお説教したりしないで、お子さんの話を聴いて差し上げてください」なんていうアドバイスをもらいます。確かに話を聴くことは効果的です。本当に話すべきことを話す相手というのは「信頼できる」存在です。小さい子どもは無条件に親を信頼しますが、思春期になると親を一度疑います。一人の人間として見るわけです。その時に信頼できるかどうかを見定めています。生みの親であっても信頼できないと子どもが判断したら、子どもは大事なことを話しません。話が聴けるというのは信頼関係が気づけているからこそできる芸当なのです。

では、信頼関係を築くために必要なことは何かと申しますと、それが雑談なのです。えー?と思われるかもしれませんが、雑談できるかどうかが信頼できる相手になるかどうかの分かれ目なのです。これまで不登校の親子に関わってきて、うまくいくケースは親子で雑談できるケースです。これがない場合は、話題がないのでいきなり本題に入るか、話をしないのどちらかしかありません。多くの子どもは話をしない選択をします。そうやってコミュニケーションが断絶をすると解決には向かいません。

ステップ2で「家族の昔話」をすると良いと申し上げたのは、雑談の話題になりうるからです。共通の趣味がなくても、子どもさんと好みが違っても、家族の昔話は共通の経験ですから、話として成り立ちやすいのです。この雑談ができると、話を聴くことに足る存在として子どもが親を認めます。するとあとは、子どもが話をしてくるのを待つと良いでしょう。雑談ができるようになれば、向こうから話をしてくることも珍しくなくなります。そして「あのね・・・」と意を決して話をしてくれるようになります。

雑談ができ親を信頼するようになると、子どもの行動が変化します。それは学校に行くこと以外は普通に家で生活するようになるということです。生活リズムも朝起きて夜寝ること、食事もとる、場合によっては家の手伝いや勉強しだしたりするのです。ここまでの行動が見られると親を信頼することができているので、話してくるのを待たずしても、「学校に行けなくなったことの話してもいいかな?」と話題を持ち出すこともできます。

親御さんに自分の辛さやさみしさを受け止めてほしいというのが子どもさんの本音です。しかしそれができないで苦しんでいるのです。言葉をかけ続けること、そして雑談することを通して、子どもさんの気持ちに寄り添うことができれば、不登校の状況は確実に改善していきます。

不登校したお子さんになぜコミュニケーションが必要か?

それは自己肯定感との関係があります。不登校をすると学校に行けない自分を責めて自己肯定感がさがります。不登校する理由は様々ありますが、人間関係で起こることも少なくありません。いじめやイジリ、ちょっとバカにされたりする、そんなことが積み重なっていけなくなるのです。バカにされないように、文句言われないようにと気を付けながら学校に行くことから緊張感が生まれ精神的に疲弊して学校にけなくなるということが考えられます。不要な緊張ほど人を不幸にするものはありません。不登校になったことでも肯定感が下がるし、場合によってはそこに至るプロセスで自己肯定感が下がっているということもあります。もともと、下がっていた肯定感が不登校をすることでさらに下がってしまいます。このネガティブな決めつけは不登校が長引くと、自身のセルフイメージとなってしまいます。そうなると、「自分のダメさ」を集めるようになります。言い換えると悪いところばかりに目が行くようになるということでもあります。自己肯定感を低下させるのは自分を責めることです。ネガティブな決めつけによるセルフイメージが出来上がってしまうと、その子はできない自分ばかりを見ようとしてしまいます。しかし、自己肯定感が低いままで不登校が解決することはありません。不登校の解決は学校に戻ることにとどまらず、自分が自分で在ることを良しとして、自立して前に進んでいくことにあります。単に学校に戻すだけでは解決に至るどころか、余計に悪化する(再度不登校になる、のちに引きこもるなど)ことさえ考えられます。不登校になった児童・生徒の肯定感を高めることは、その後の人生においても重要なことです。

自己肯定感の回復にとって最も有効なのが会話なのです。何気ない会話ができる存在がそばにいることで「自分がここにいていいんだな」という存在にたいする肯定が強まります。何かができるからすごい、学校行くから良くていかないからダメ、ではなくて、自分自身はそのままでいいんだということを身に染みて感じてもらうことで、自己肯定感が回復し、自立の道を歩んでいくことができるようになるのです。…

不登校のお子さんとのコミュニケーションが回復する3つのステップ Read More »

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント

子どもが不登校になってしまった。このまま学校に行かない日々を過ごしたらどうなるだろうか。でも何からしたらよいのだろうか・・・不安は募るばかりです。以下の4つのポイントを気を付けてみてください。

1 学校に行くことがよいこと、行かないことは悪いこという思いで接し続ける 

1つ目は学校に行くことを善として、不登校を悪と捉える考え方です。無理に学校に行かせようとするのは逆効果です。学校に行かないことを責め続けるのもよくありません。一番苦しんでいるのは不登校している子どもさん本人です。不登校し始めてすぐは、学校に行かない自分はダメな存在だと自分を責めています。

近年の不登校生への対応は、「様子を見る」です。不登校をする生徒の数は平成25年以降増えています。(図)

特に平成21年以降は不登校への対応としてスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置などが推進されました。無理に学校に登校させないという対応が一般的になりました。

また、フリースクール等で過ごした時間も出席扱いや単位認定にもつながるようになるなど、支援が充実してきたこともあります。

学校に行かないことで他の同世代の子どもと比べて、勉強は遅れ、進路も定まらないという問題があります。しかし、だからと言ってそれ以降の人生がすべてダメになるというわけでもありません。「学校に行かないことは悪いこと」ではなく、「学校に行かない時期がある」という認識と、不登校自体も成長のプロセスだという認識が必要です。

2 本人の意思を無視して何かをやらせる

カウンセリングを受けさせる、心療内科を受診させるの、家の手伝いをさせる、勉強させるの「させる」が問題になります。

不登校の対応でよくありがちなのが、不登校している本人にカウンセリングや病院を受けさせようとするものです。もちろん、子どもさん本人が望むのであれば、効果的です。しかし、無理にカウンセリングに引きつれていっても成果は出ません。

不登校の初期段階は精神的な疲れがります。そこに、初めての行く場所で初対面の大人に会うのはかなりのハードルです。気を遣って話をすることはあるかもしれませんが、もともとない元気さがなくなってしまうのです。

1~2回通って効果がなかったら別のところにいくなど、ドクターショッピング的に回ってしまうと、子どもは疲弊するばかりです。カウンセラーが変わるたびに子どもは同じ話をさせられ、同じようなことをさせられるのです。

いずれにしても、本人の意向を待ったく無視して、問題解決にあたっていてもよくなることはほぼありません。本人がカウンセリングを受けたくないのであれば、母親や父親が受けることをお勧めします。

不登校に限らず心の課題の多くは関係性のが変わることで改善します。本人ではなくても、親自身の意識や不登校に対するとらえ方が変わることで、子どもへの接し方が変わります。その結果、子どもが前向きな思考を取り戻して元気になっていくという筋書きです。

ただし、中には無理にでも医療につなげたほうがよいこともあります。たとえば、 過食嘔吐が激しい、自殺企図があるなど命にかかわる場合です。そのような場合は、本人の意志はいったん脇において、守っていく必要があります。アディクションの場合は本人が悪いことをしている自覚はありつつもそれを人に知られることを恐れます。ですから医療(公的)につながるとこれまでの悪行がばれるという恐れから、受診を拒否します。強い抵抗にあうかもしれません。

しかし、このような場合は後からでも「あなたを守るためにやったのだ」ということ伝えれば、その時の気持ちをなだめることはできます。

文部科学省では不登校に対する認識を下記のように表明しています。

不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって、起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要があること

不登校は誰にでも起こりうるし特別なことではなありません。当然ながら、不登校にならないに越したことはありません。しかしそうなってしまったからと言ってすべてがダメだというわけでもないのです。

3 父親の接し方は適切だろうか

子どもさんが不登校になったとき、その対処に当たるのはほぼ母親です。私のところに寄せられる問い合わせも、まずはお母さま。そして、本人というのが次に多いです。お父様からの問い合わせというのは非常にまれです。

実は、長期化する家庭の多くが父親の介入が少ないです。「お前の育て方が悪いからだ!」と奥さんに子どもさんの不登校の責任を負わせて、その話題に触れようとしないことがあります。その上、医療機関や勉強会、カウンセリングなどにも理解を示せない。かといって、子どもに何か言葉をかけたりもしない。不登校の原因というのは子どもさん本人に起因しますが、親の理解のない態度が余計に問題をこじらせてしまいます。

また、母親一人で対処してしまうと、母親自身がいろんなストレスを抱え込んでしまいます。子どもさんの問題に加えて、家族の不和を気にしつつ、仕事や家事にも追われる。兄弟がいるのならその世話もしないといけない。すると、いくら医療機関やカウンセリングを受けても、お母さま自体がやるべきことをできない状況が続いてしまうのです。父親の非協力は不登校を悪い状況にしてしまう要素の一つです。

一方で、母親だけでなく父親も一緒に解決にあたるようになると、事態がどんどん良くなっていくというケースもありました。それは、両親で解決にあたることで、家庭の中の雰囲気が明るくなります。なにより、それまで一人で対処していたお母さまのストレスがかなり軽くなります。本気で解決を目指すのであれば、ご両親でタッグを組んで当たる必要があります。

4 子どもに謝るのはNG

「不登校をする子どもは幼少期のさみしい思いが残っている。だから、そのことを子ども詫びなさい」というアドバイスをされることがあります。あるお母さまは思い当たることがあって「さみしい思いをさせてごめんなさい」と謝ったそうです。しかし、事態は改善しませんでした。子どもにしてみれば、こちらの気持ちを理解しないで、自分の都合で詫びをいれて「なんとか学校に行ってください」と聞こえてしまうからです。また、別のお母さまは「私の育て方が悪かった」という謝り方をしたそうです。これはもっとNGです。

それは「あなたは失敗作だ」というメッセージになってしまうからです。そしてますます自信を失い、学校から遠ざかってしまいます。家族とも遠ざかってしまうかもしれません。

謝ること自体が不要というわけではありません。しかし、親御さんが「学校に行ってほしい」という気持ちがあるまま、手段として謝ることはかえって子どもを傷つけてしまいます。相手の気持ちが分かって、これは謝って済まされないかもしれない。でも、謝るしかないというときに、ようやく、心からの謝罪の言葉が出てくるのです。手段として、そして親御さんが子どもさんに対して操作的な意図をもっての謝罪はかえって関係性を悪くします。

さいごに 本人のカウンセリングの前に、親のカウンセリングが必要

不登校への対応に正解はありません。しかしながら、放っておいてよくなるということも稀です。何かしら動いて、情報を集めたり相談すること自体、大切なことです。もちろん、その中に一時的にまずい対応や逆効果なことをしてしまう恐れもあります。ただ、そのようなプロセスも糧にすることで、よりよい対応、より子どもさんの気持ちに寄り添うことができるとも言えます。不登校が長期化することは確かに避けたいところです。

子どもさんが不登校すると、その対処をしている親が参ってしまうことがあります。そうなってしまっては支えられるものも支えられなくなってしまいます。

カウンセリングは困っている人が受けることが最も効果的な成果をあげます。お子さん自身がカウンセリングを受けたがらないのであれば、お母さま自身、お父様自身、またはご夫婦で受けられるというのも、対応としては効果的です。

不登校のお子さんをお持ちの保護者様むけセミナー募集中 セミナー申込はこちらから 不登校の親が持つべき心構えや考え方が分かるメルマガ 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

.cta-buttons { display: flex; flex-wrap: wrap; justify-content: center; gap: 16px; margin-top: 32px; } .cta-button { background-color: #f98c5f; color: #fff; padding: 12px 24px; border-radius: 30px; text-decoration: none; font-weight: bold; transition: 0.3s; } .cta-button:hover { background-color: #e67646; } .cta-button.secondary { background-color: #eee; color: #333; }

無料相談してみる メルマガを受け取る

こちらの記事もおすすめです

もっと読む 2025年4月22日 勉強・進路と将来の不安 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話

2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

こちらの記事もおすすめです .cta-buttons…

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント Read More »

逆効果?!ほめるときにやって欲しくないこと。

ほめるときにやってはいけないのは、比較することです。ありがちなのが、下をほめるために、上を比較対象とすることです。たとえば、

兄弟間での比較です。

「お兄ちゃんより上手だね」「お姉ちゃんより早く覚えたね」

など、特に、下の子どもが頑張っているときについ、上の子と比較してほめてしまいますが、これは逆効果です。その時は良いかもしれませんが、下の子が上の子をバカにするようになります。特に年齢が近いと、余計にライバル心を持って頑張ります。かわいそうなのは上の子です。下が頑張ってほめられているのをみて、余計に頑張ればまだいいほうで、やる気をなくしたり、卑屈になったりして「どーせ僕なんて」とか「私より妹の方がかわいいんでしょ」とか拗ねてしまいます。

これは、職場や学校でも同じです。新人や後輩をほめるために、上司や先輩を比較対象にする。実はこれ、ほめられたほうも気分がよくないのです。自分が敬意を払うべき相手より、上に用いられるのはあまり気分がよくないのです。この場合受け取りづらいほめ言葉になってしまうのです。

他にも比較はあります。

それは友達との比較です。

「○○くんよりすごい」など特に名指しで比較するのはやってはいけないことです。友達のことをよく思っていなければ、そのままバカにするような態度を促してしまいますし、一方で比べた友達のことが好きであれば、これも居心地が悪く、あまり良い気分がしません。

そして、もっともやってはいけないのが、

親との比較です。

「お母さんよりできるじゃない」とか「お父さんよりも頭がいい」などと、子どもの成長うれしさに、親自身が自分と比較して子どもをほめることはやってはいけません。それは、子どもにとって親はもっとも尊敬する大人、大切な大人である存在です。その存在よりも優れているというのを子どもはどう受け取るでしょうか?

1つの受け取り方は、親を見下すようになる。また別の受け取り方は「自分をいい気分にさせるために言っているな」と疑う。また、もう一つの可能性としては、親を超えたからもう頑張らなくていいと思う。です。いずれにしろ、子ども自身がよい受け止め方をすることは考えにくいです。

そもそも比較から出てきたほめ言葉はほめではありません。

何かと比べないと良いところが見つからないようであれば、ほめない方がよっぽどましなのです。

ほめるうえで大切なのは、その人自身への関心です。唯一比較すべきなのは相手の過去との比較です。前より上手になった、昔に比べて早くできるようになったなど、その人の成長が分かるからです。

そもそも、誰かと比べなくても、必ず、その人自身の良いところ、優れているところはほめポイントとしてあります。例えば、性格をほめる、ファッションセンスをほめる、知識をほめる、考え方をほめる、努力をほめるなど、相手に関心さえあれば必ず見つかります。

比較のほめ言葉から脱して、相手の存在に向けたほめ言葉が世の中に増えていくことを切に願っています。

最後までお読みくださりありがとうございます。…

逆効果?!ほめるときにやって欲しくないこと。 Read More »

勉強するやる気をなくしてしまう、使ってはいけない3つの言葉

中学生 高校生が勉強するやる気をなくしてしまう、使ってはいけない3つの言葉 勉強しないといけないという焦りから出てくるネガティブな言葉

勉強しないといけないという思い中学生、高校生であれば多くの人がもっています。中間テストや期末テストの答案が返却されて、思ったほど点数が取れていないとき「よし、次こそはやるぞ」とそのときにはやる気になります。

家に帰るまでの道のりで、勉強の対策を立てる。そして、いよいよ勉強ができる環境が整うと、急にやる気がなくなってしまう。机に向かって問題集を開く代わりにスマホを触ってしまう。

勉強に取り掛かろうとしてもなかなか行動できない。

やる気にはなるし、やらないと分かっている。でも行動できない。

これは実は普段つかっている言葉の中に原因があります。

ここでは行動力をあげるために使うのをやめることをお勧める3つの言葉を紹介します。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉その1 面倒くさい

英語の宿題が面倒くさい

学校に行くのが面倒くさい

部活めんどくさい

結構いろんな場面でこの言葉に触れているはずです。「面倒くさい」という言葉を1日使わずに過ごすことはあるでしょうか?言葉にしないまでも、心の中でつぶやいていたりする可能性もあります。意識しないレベルでの心のつぶやきです。

面倒くさいという言葉を放ったあと、自分がやるべきことに行動が向くでしょうか?勉強しないといけないと思って家に帰っても、この言葉が出てきた瞬間に、「まあいいや」とか「後でやろう」ということになり、マンガ本を読んだり、スマホを触ったり、テレビを見たりしてしまいます。

面倒くさいという言葉の扱いはかなり面倒くさいです。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉その2 無理 ムリ

わたしには無理

それ無理

マジ無理

これは教師時代の経験ですが、勉強の仕方に関するアドバイスを求めてくる生徒がいました。しかし、どんなアドバイスをしても「それ無理」「ムリムリ」と言われました。「そんなに無理って言われたら、アドバイスのしようがないよ」というと「え~、無理~」と・・・

とにかく何をいっても「無理」と言ってくる。そこで「難しい」とか「なんとかなりそう」とか「ここまではできるけど、残りは後にする」など、断ったり、譲歩したりする言葉はあります。でも「無理」の一言で全否定すると、そのあとの可能性がすべてゼロになってしまいます。

「無理」という言葉は自分の可能性を否定するだけでなく、思考もストップしてしまいます。つまり、この言葉を使った時点で、考えることすら放棄してしまいます。

勉強しようと思っていても心の中に「やっぱ無理」という言葉が出てきて、そのあと勉強する気持ちを起こすには結構な手間と時間がかかります。「無理」という言葉を使うことは控えましょう。

やる気をなくさないために使うのをやめたほうが良い言葉 その3「どーせ・・・」

どーせ私なんて、どーせオレなんて

どーせ無理、どーせできないし

頑張ったってどーせうまくいかないし

「どーせ○○」というのは自分のことを自分以下に見ている言葉です。とてももったいないです。若い人は可能性を秘めています。確かに今の自分はできないこともあるかもしれません。でも、これからが勝負なのです。私はアラフォーですが、アラフォーのおじさんと10代の若い人、そりゃ知識や経験はおじさんの方があります。でも可能性に関しては、10代には絶対に勝てないんです。でも、残念ながら、進路の相談にしろ、勉強の相談にしろ、話をしていると、なかなか素敵な考え方や将来を考えているにもかかわらずどこかで「でも、どーせ私が頑張っても・・・」とか「どーせ、うまくいかないからやらない」という言葉を聞くことがあります。もったいないことです。

まだまだ未来のある若い人には、ちょっとオーバーなくらいご自身の可能性を認めて、前に進んでもらいたいものです。

だからこそ使ってほしくない言葉が「どーせ」ということです。

日常使っている言葉は私たちの気持ちや行動に影響を及ぼします。つらいとき、しんどいときは、つらくなる言葉や、しんどくなる言葉を使いがちです。気持ちや行動を変えるには言葉を変えることも一つの手段です。

私たちの心の中は絶えず、何らかの言葉が発せられています。意識しないレベルでの言葉のやり取りもあります。それをセルフトークと言います。このセルフトークを変えていくことができれば、やる気に満ちた行動力を得ることができます。ただ、これは一朝一夕ではできるものではなく、ある程度、自分の言葉の癖を知る必要があります。

今回紹介した「面倒くさい」「無理」「どーせ○○」という言葉はいずれも、中学生や高校生と接していて、よく耳にする言葉でした。そして、これらの言葉から引き出されるのは積極的な行動ではないのです。

使うのをやめることが一つの目標ではありますが、実際にはそれは難しいことです。自分のセルフトークからこれらの言葉を無くすことは不可能に近いです。しかし、言葉として口から発しないように意識することはできます。

その最初のプロセスが「あっ、言ってしまった」という気づきです。最初の気づきが大きな一歩となり、セルフトークの変化につながります。

やる気をなくしてしまう言葉、気を付けてみてください。

不登校のお子様への声がけのヒントを無料でお送りしております。 不登校のお子さんへの声がけ集を入手する

不登校のお子さんへの声がけ集と、不登校対応のヒントとなる情報をメールにて配信しております。

不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

.cta-buttons { display: flex; flex-wrap: wrap; justify-content: center; gap: 16px; margin-top: 32px; } .cta-button { background-color: #f98c5f; color: #fff; padding: 12px 24px; border-radius: 30px; text-decoration: none; font-weight: bold; transition: 0.3s; } .cta-button:hover { background-color: #e67646; } .cta-button.secondary { background-color: #eee; color: #333; }

無料相談してみる メルマガを受け取る

こちらの記事もおすすめです

もっと読む 2025年4月22日 勉強・進路と将来の不安 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話

2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

こちらの記事もおすすめです .cta-buttons…

勉強するやる気をなくしてしまう、使ってはいけない3つの言葉 Read More »

ビジョンを啓くカギ

VCAの授業で大切にしているものの一つが自己表現です。

自分の思いを言葉にして、他人に聴いてもらうのです。

黙っていると、だれもそこに対して情報をくれません。しかし、言葉にして話していると、情報をくれる人、人を紹介してくれる人、後押ししてくれる人などがいます。もちろん、ネガティブなことを言う人もいます。でも、自分の思いが強ければ強いほど、他人は、その人を応援しようと力になってくれることのほうが多いようです。

 

留学したいという思いのあるAさん高校生がいました。

彼女は思いはあるものの、「どうせ親には反対されるだろうし、先生にもお前の成績では無理だといわれる」と勝手に決めてなかなか話せずにいました。しかし、ある時のテレビ番組で日本の高校生が、カナダに留学して奮闘している姿を目にしました。そのことがきっかけで、思い切って学校の担任の先生に話をしました。すると、

「2年生の英語のY先生が以前カナダに留学されていたよ」とその先生を紹介してもらいました。

そこから話がどんどん進みました。

向こうでの暮らしのこと、初めは短めの留学から始めてみるとか、留学をあっせんしている団体、奨学金のことなど、その先生は丁寧に教えてくださいました。

そういう情報が集まると、今度は親にも話せます。

お金のことや、向こうでの暮らしが安全であることが分かれば納得してもらえると思ったからです。

しかし、父親に「なんで行きたいの?」と言われて彼女は言葉に窮してしまいました。

留学したい理由はなんだろう?

単に海外での生活にあこがれていたというのが正直なところでした。

考えてもなかなか出てこない彼女はY先生に相談に行きました。

「Y先生が留学したのはどうしてですか?」

するとY先生はこう答えました。

「英語を使った仕事をしたいと思っていたの。でも、日本にいたら英語を使った生活ってできないから、やっぱり英語ばっかりのところに住むしかないと思って留学したの。そして、そこで出会った先生が素晴らしかったから、私も学校の先生になろうと思ったの」と。

さらに先生はこう付け加えました。

「本当は、外国で先生をしたいと思っているの。だからいずれは外国に行こうと思ってるの。Aさんはどうして留学したいの?」

「単に海外の生活にあこがれて、なんとなくいいなーと思っただけなんです」と正直に答えました。

するとY先生は笑いながら

「私も初めはそうだったのよ。それで、あこがれだけで留学はさせられないって親に言われた。でも、あこがれって大事だと思うの。他の子はあこがれてないんだからね。あこがれていてもわざわざこんな風に相談に来ないんだから。そこにはきっと、Aさんなりの理由があるはずなのよ。海外の生活のどんなところが良いと思ったの?」

「なんか、日本とは全然違うんですよね。住んでいる家の大きさとか、家具もおしゃれだし、街並みもきれいだし。英語の勉強もしたいという思いもあるんですけど、それよりも、なんか家とか街とかそういうのを見てみたいんです。実際に。」

「それも立派な動機なんじゃないの?住んでみないとわからないことだってあるし。内装とかインテリアとか好きなの?」

「そうなんです。私、自分の部屋に置くものとか、色とか結構こだわっていて。妹の部屋も、コーディネートしたりしたんです。親にはそんなことばかりしないで、勉強しなさいと言われますが、やりだすと止まらないんです。」

「それでいいんじゃないの?好きなことをやるために留学するっていうのも立派な理由でしょう」

AさんはY先生と話しているうちに、どうして自分がそこまで留学したいのかが分かりました。

翌年、Aさんはまず1か月のホームステイを経験します。そして、大学受験をせずに、カナダに留学しました。

 

Aさんのビジョンが前に進んだのは、言葉にして人に伝えたからなのです。

そりゃ、黙っていれば否定されることはありません。でも、前にも進まないのです。

今はネットでいろいろなことを調べられます。でも、そこには有益な情報だけではなく、古くなった情報や、ネガティブな情報、誤った情報もあります。情報の選択をまちがうと、行動も間違ってしまい、ビジョン達成とは遠のいてしまいます。

思いを言葉にする。

これが、ビジョンを啓くカギです。

 

 …

ビジョンを啓くカギ Read More »