不登校している中学生を立ち直らせる
反抗期を活用したヤバイ方法
不登校の対応として休ませるの次が見えていない
子どもが不登校になってしまいました。まずは担任の先生、学年主任、そしてスクールカウンセラーなど学校に相談に行きます。するとひとまずは無理に登校させずに休ませるということになります。しかし、この後どうしたらいいかが、分からないのです。「様子を見ましょう」は時に必要なことです。本当に様子を見ることが必要な場面はあります。しかし、どういう状況になってもこれしか言わない専門家は逃げているか、アイディアがない、というのが正直なところです。いろいろな対処法はあります。今日ご紹介するのは、荒療治的な側面のある「逆説的アプローチ(逆説療法というのが一般的かもしれません)」ヤバイ方法です。逆説的アプローチというのは、文字通り、世間の常識とは逆の方向への促しをすることです。前回のコラム(不登校している中学生 ずっとゲームをしているやめさせた方がよい?)でも紹介しましたが、子どもがゲームやネットをやっていて、あえてそれをどんどんやらせるということで、いずれ飽きさせてしまうというものです。この逆説的アプローチ(逆説療法)は、フレデリック・パールズ(ゲシュタルト心理学)やアルバート・エリス(論理療法)など、多くの心理学者が活用した方法でもあります。
反抗期と逆説的アプローチ
もう少し詳しく説明します。中学生くらいの思春期世代は「反抗期」です。接しにくい時期ですが、反抗期の「反抗」の目的は「反抗すること」です。自分の考えと同じことを親が言っても「うるさい」「関係ない」といって反抗します。この反抗期の心理メカニズムとこの逆説的アプローチは相性が良いです。
ゲームを例に考えると、親への反抗として学校に行かずにゲームに没頭している場合、親が「ゲーム頑張っているね?」とか「どんどんゲームをやったらいいよ」と言われると、なんだかいらだってきます。「ゲームをしたい」という気持ちと親に反抗したいという気持ちがぶつかって、「ゲームなんかくだらない」といって辞めることさえあります。反抗期は自立のプロセスです。親の支配下にあることを嫌います。「ゲームをやめなさい」と言われるとその反抗としてゲームをやりますが、「ゲームをやりなさい」といわれると、ゲームをやることが犯行にならず、親の指示に従うことになるので、なんだか気持ちが落ち着かないのです。
逆説的アプローチをとことんやったお母さん
この方法を本気でやったお母さまがこれまでに何名かいらっしゃいます。そのお一人がAさん。この方の息子さんが不登校になりました。その時このお母さまが問った行動が、「自分も仕事を休む」ということでした。そして息子さんと、「せっかく私も休んだから旅行にいこう」と二人で車に乗って、遠出をします。温泉に入り、観光名所をめぐり、テーマパークで1日中遊び、おいしいものをたべ、息子さんがほしいといったお土産は何でも買ってあげました。そして、4日ほどして帰宅しました。Aさんは息子さんに「来週はどこにいこうか?」と尋ねると息子さんが「おれ学校行くわ。お母さんと遊んでいたら身が持たない」といってきました。しかしAさんは譲りません。「今回は西方面だったから、今度は東に行こう」と誘います。すると息子さんが「お母さん、仕事こんなに休んで大丈夫なの?」と逆に心配されてしまいました。そういうわけで旅行は無しになりましたが、Aさんは「せめてディズニーランドだけはつきあってよ」と言って、翌々週に2人でディズニーランドに行ったそうです。当然、息子さんはその後学校に行くようになりました。
「学校を休む」ということをネガティブにとらえず「親子で過ごす貴重な時間」と捉えて、待ってましたとばかりに一緒に出掛けたことで、本来反抗としてとった「学校を休む」行動が、むしろ「親を喜ばせる」ことにつながったので反抗としての不登校が止んだ、と捉えることができます。
子どもが今やっていることを認めることにもつながる
逆説的アプローチには「今子どもがやっていること」への承認が含まれます。結果として認められたお子さんの肯定感がもどって、立ち直っていくものと考えられます。このお方法を用いる際に、二つの注意点があります。一つは「はかりごととしてやらない」ということです。「こうすればうまくいくだろう」という意図をもってやるのではなく、自分もその世界に一緒に入っていくということです。
前述のお母さまのように、本気で旅行に行きたい、という思いをもっているからこそ、子どもが引いた(冷静になった)面があります。
もう一つが、万能な方法ではないということです。特に、過食や拒食、ドラッグや飲酒、リストカットなど身体に影響を及ぼすような行動がある場合は、そのことをどんどんやらせることは危険です。もちろん専門家の中にはそういう方にも、逆説的に関わる方もいらっしゃいますが、家庭では辞めたほうが良いです。心理的には満たされても体の健康を損ない、かえって自分を責めたり、生きる気力を失ったりすらします。
また、認知に特性がある(特にASD傾向)の場合も使用しない方が良いです。ASD傾向のお子さんは、言われたことを字義通りに受け止めます。「やっていい、どんどんやりなさい」と言われると、そのままやり続けてしまい、やめさせること自体が難しくなります。
家庭で実践する場合には、子どもの反抗的な行動をうまくとらえて、そこにたいして逆説的に関わっていくことです。もっともやりやすいのが、子どもが楽しんでいることを応援する、一緒に楽しむ、親の方がそのこと(ゲームなど)に卓越するなどがあります。
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