親 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します

不登校のお子さんにかかわるときに 親が持つべき最も必要な心構え​

不登校のお子さんにかかわるときに親が持つべき最も必要な心構え 言葉のかけ方よりも大切な心構え

不登校のお子さんを持つ保護者の方から受ける質問の中にある、「なんと言葉をかけたらよいでしょうか?」というものがあります。状況に応じていろんな言葉をかけることができます。しかし、お子さんへの優しく、受容的な言葉のかけ方をいくつ暗記してもあまり意味はありません。それ以上に大切なのは、どういう思いで言葉をかけたり、接したりしているか、ということです。

親の思いはすぐに見破られてしまう

子どもさんにたいして、学校に行かせたい、勉強させたい、という思いがあるままで「学校に行かなくても大丈夫」とか「学校に行っても行かなくても私にとって大事なこども」という言葉をかけても、子どもはその言葉の背後にある思いを見破ります。

不登校しているお子さんは、感受性がするどく、表情や言葉のトーンなんかを敏感に察知します。察知しすぎるからこそ、しんどい思いをして学校に行きつづけて、休まざるを得ないくらい消耗しているとも言えます。言葉だけを変えてもうまくいきません。

大切なのは、子どもへの信頼

不登校しているお子さんは、心配な存在です。勉強もしない、人ともつながりがない、進路も決まらないとなると、どこから心配して良いのかすら分からないくらい辛い気持ちになります。そして、あれこれと手をまわして、教材をあてがったり、塾を提案したり、カウンセラーや医者に引き合わせようとしたりします。それ自体は決して悪いことではありません。進めてもらっても大丈夫です。ただしその根本においてほしいのは「心配」ではなく「信頼」です。

お子さんに対する信頼、「今は不登校して家にいるけど、必ず自分で立ち上がって、次のステップに進むことができる」という確信をもって接して差し上げることです。

言葉がけよりも、信頼されている気持ちが嬉しい

子どもにしてみれば心配されることは、「自分はダメな人間だ」とネガティブにとらえてしまう可能性があります。それとは逆に「あなたは大丈夫だもんね」と言葉にはしない思いをいだいて、日々接していくことで、子どもさんの心根にエネルギーを与えることになり、結果として、立ち上がって何らかの行動を起こすきっかけになります。無理に引き起こさなくても、必ずお子さんは立ち上がります。そこへの信頼を持ち続ける忍耐は確かに大変です。しかし、お子さんにして見れば、その忍耐こそが自分が抱える不登校という重荷を一緒に背負ってもらえている気持ちになり、心強いサポートを感じることになります。

不登校の解決のための情報発信をメルマガを通じて行っております。

いきなり問い合わせはちょっと抵抗があるなという方におすすめしております。不要だと思われたら解除もできますので、お気軽にご登録ください。すぐにお問合せしたい方はページの下方に問合せフォームのボタンがございますので、そちらからご連絡ください。

不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

.cta-buttons { display: flex; flex-wrap: wrap; justify-content: center; gap: 16px; margin-top: 32px; } .cta-button { background-color: #f98c5f; color: #fff; padding: 12px 24px; border-radius: 30px; text-decoration: none; font-weight: bold; transition: 0.3s; } .cta-button:hover { background-color: #e67646; } .cta-button.secondary { background-color: #eee; color: #333; }

無料相談してみる メルマガを受け取る

こちらの記事もおすすめです

もっと読む 2025年4月22日 勉強・進路と将来の不安 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話

2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

こちらの記事もおすすめです .cta-buttons { display: flex; flex-wrap: wrap; justify-content: center; gap: 16px; margin-top: 32px; } .cta-button…

不登校のお子さんにかかわるときに 親が持つべき最も必要な心構え​ Read More »

子どもが不登校になった。勉強の遅れが心配だけど・・・

お子さんが不登校になっての心配事は実は「勉強」です。親としては、勉強が遅れる、ただでさえ勉強してなかったのにこのままではどうなるのか?高校であれば、単位がとれるのか?進級できるのか?受験に間に合うのか?などなどがグルグルと頭名の中を回って悩んでしまうわけです。

しかし、不登校している子どもを見ると、勉強のことなんか言えないくらいに弱り果てている。それどころか日常の会話さえ成り立たない場合もあります。そんななかで、勉強のことなんか到底聞けないという思いでいらっしゃると思います。

言いたいことを言うべき相手に言えないときにストレスはたまります

不登校している子どもに対して、

なんで学校に行かないのか?

勉強はしているのか?

進路については考えているのか?いつ頃復帰するのか?

いろいろとききたいことはあるでしょう。そして、実際に聴いてみて「うるせえな!」とか「分かっているよ」など逆ギレされてしまった経験がおありの方もいらっしゃると思います。

この逆ギレの背後にある気持ちは、「今はきいてくれるな」、「親には言いたくない」など話をしたくないという思いがあります。

とはいえ、逆ギレでは親が知りたいことは分からないし、問題の解決には向かいません。親の不安は募るばかりです。

ただ、この逆ギレの反応も大切なのです。それは、子ども本人も気にしているからそういう反応が来るわけです。少なくともその話題に触れるタイミングではいというところかもしれません。この反応は人によってさまざまで、「実は勉強について不安だ」と気持ちを吐露する場合もあります。

勉強を強制するのは不味い場合がありますが、そのことについて尋ねることは大切です。どんな反応が返ってくるかで子どもの勉強に対する考えを読み取ることができます。

確かにこれでは親の不安は払拭されません。反応が返ってきたところで、子どもが勉強するようになったり、学校に戻るわけではないからです。

大切なのは「うちの子は大丈夫!」という子どもに対する信頼です。

不登校が親の愛情不足から来ているという考え方もありますが、子育てをパーフェクトにできる親なんていません。不登校になったから失敗したという考えは捨ててください。むしろ、そんな考えのまま子どもに接していたら「あなたは失敗作なのよ」というメッセージが伝わり、余計に自信を無くしてしまいます。

子どもさんがカウンセリングなどの支援を受けることも大切ですが、親御さんもカウンセリングを受けて、心を育み、お子さんに対する「大丈夫」のまなざしを向けてみてください。…

子どもが不登校になった。勉強の遅れが心配だけど・・・ Read More »

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント

子どもが不登校になってしまった。このまま学校に行かない日々を過ごしたらどうなるだろうか。でも何からしたらよいのだろうか・・・不安は募るばかりです。以下の4つのポイントを気を付けてみてください。

1 学校に行くことがよいこと、行かないことは悪いこという思いで接し続ける 

1つ目は学校に行くことを善として、不登校を悪と捉える考え方です。無理に学校に行かせようとするのは逆効果です。学校に行かないことを責め続けるのもよくありません。一番苦しんでいるのは不登校している子どもさん本人です。不登校し始めてすぐは、学校に行かない自分はダメな存在だと自分を責めています。

近年の不登校生への対応は、「様子を見る」です。不登校をする生徒の数は平成25年以降増えています。(図)

特に平成21年以降は不登校への対応としてスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置などが推進されました。無理に学校に登校させないという対応が一般的になりました。

また、フリースクール等で過ごした時間も出席扱いや単位認定にもつながるようになるなど、支援が充実してきたこともあります。

学校に行かないことで他の同世代の子どもと比べて、勉強は遅れ、進路も定まらないという問題があります。しかし、だからと言ってそれ以降の人生がすべてダメになるというわけでもありません。「学校に行かないことは悪いこと」ではなく、「学校に行かない時期がある」という認識と、不登校自体も成長のプロセスだという認識が必要です。

2 本人の意思を無視して何かをやらせる

カウンセリングを受けさせる、心療内科を受診させるの、家の手伝いをさせる、勉強させるの「させる」が問題になります。

不登校の対応でよくありがちなのが、不登校している本人にカウンセリングや病院を受けさせようとするものです。もちろん、子どもさん本人が望むのであれば、効果的です。しかし、無理にカウンセリングに引きつれていっても成果は出ません。

不登校の初期段階は精神的な疲れがります。そこに、初めての行く場所で初対面の大人に会うのはかなりのハードルです。気を遣って話をすることはあるかもしれませんが、もともとない元気さがなくなってしまうのです。

1~2回通って効果がなかったら別のところにいくなど、ドクターショッピング的に回ってしまうと、子どもは疲弊するばかりです。カウンセラーが変わるたびに子どもは同じ話をさせられ、同じようなことをさせられるのです。

いずれにしても、本人の意向を待ったく無視して、問題解決にあたっていてもよくなることはほぼありません。本人がカウンセリングを受けたくないのであれば、母親や父親が受けることをお勧めします。

不登校に限らず心の課題の多くは関係性のが変わることで改善します。本人ではなくても、親自身の意識や不登校に対するとらえ方が変わることで、子どもへの接し方が変わります。その結果、子どもが前向きな思考を取り戻して元気になっていくという筋書きです。

ただし、中には無理にでも医療につなげたほうがよいこともあります。たとえば、 過食嘔吐が激しい、自殺企図があるなど命にかかわる場合です。そのような場合は、本人の意志はいったん脇において、守っていく必要があります。アディクションの場合は本人が悪いことをしている自覚はありつつもそれを人に知られることを恐れます。ですから医療(公的)につながるとこれまでの悪行がばれるという恐れから、受診を拒否します。強い抵抗にあうかもしれません。

しかし、このような場合は後からでも「あなたを守るためにやったのだ」ということ伝えれば、その時の気持ちをなだめることはできます。

文部科学省では不登校に対する認識を下記のように表明しています。

不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって、起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要があること

不登校は誰にでも起こりうるし特別なことではなありません。当然ながら、不登校にならないに越したことはありません。しかしそうなってしまったからと言ってすべてがダメだというわけでもないのです。

3 父親の接し方は適切だろうか

子どもさんが不登校になったとき、その対処に当たるのはほぼ母親です。私のところに寄せられる問い合わせも、まずはお母さま。そして、本人というのが次に多いです。お父様からの問い合わせというのは非常にまれです。

実は、長期化する家庭の多くが父親の介入が少ないです。「お前の育て方が悪いからだ!」と奥さんに子どもさんの不登校の責任を負わせて、その話題に触れようとしないことがあります。その上、医療機関や勉強会、カウンセリングなどにも理解を示せない。かといって、子どもに何か言葉をかけたりもしない。不登校の原因というのは子どもさん本人に起因しますが、親の理解のない態度が余計に問題をこじらせてしまいます。

また、母親一人で対処してしまうと、母親自身がいろんなストレスを抱え込んでしまいます。子どもさんの問題に加えて、家族の不和を気にしつつ、仕事や家事にも追われる。兄弟がいるのならその世話もしないといけない。すると、いくら医療機関やカウンセリングを受けても、お母さま自体がやるべきことをできない状況が続いてしまうのです。父親の非協力は不登校を悪い状況にしてしまう要素の一つです。

一方で、母親だけでなく父親も一緒に解決にあたるようになると、事態がどんどん良くなっていくというケースもありました。それは、両親で解決にあたることで、家庭の中の雰囲気が明るくなります。なにより、それまで一人で対処していたお母さまのストレスがかなり軽くなります。本気で解決を目指すのであれば、ご両親でタッグを組んで当たる必要があります。

4 子どもに謝るのはNG

「不登校をする子どもは幼少期のさみしい思いが残っている。だから、そのことを子ども詫びなさい」というアドバイスをされることがあります。あるお母さまは思い当たることがあって「さみしい思いをさせてごめんなさい」と謝ったそうです。しかし、事態は改善しませんでした。子どもにしてみれば、こちらの気持ちを理解しないで、自分の都合で詫びをいれて「なんとか学校に行ってください」と聞こえてしまうからです。また、別のお母さまは「私の育て方が悪かった」という謝り方をしたそうです。これはもっとNGです。

それは「あなたは失敗作だ」というメッセージになってしまうからです。そしてますます自信を失い、学校から遠ざかってしまいます。家族とも遠ざかってしまうかもしれません。

謝ること自体が不要というわけではありません。しかし、親御さんが「学校に行ってほしい」という気持ちがあるまま、手段として謝ることはかえって子どもを傷つけてしまいます。相手の気持ちが分かって、これは謝って済まされないかもしれない。でも、謝るしかないというときに、ようやく、心からの謝罪の言葉が出てくるのです。手段として、そして親御さんが子どもさんに対して操作的な意図をもっての謝罪はかえって関係性を悪くします。

さいごに 本人のカウンセリングの前に、親のカウンセリングが必要

不登校への対応に正解はありません。しかしながら、放っておいてよくなるということも稀です。何かしら動いて、情報を集めたり相談すること自体、大切なことです。もちろん、その中に一時的にまずい対応や逆効果なことをしてしまう恐れもあります。ただ、そのようなプロセスも糧にすることで、よりよい対応、より子どもさんの気持ちに寄り添うことができるとも言えます。不登校が長期化することは確かに避けたいところです。

子どもさんが不登校すると、その対処をしている親が参ってしまうことがあります。そうなってしまっては支えられるものも支えられなくなってしまいます。

カウンセリングは困っている人が受けることが最も効果的な成果をあげます。お子さん自身がカウンセリングを受けたがらないのであれば、お母さま自身、お父様自身、またはご夫婦で受けられるというのも、対応としては効果的です。

不登校のお子さんをお持ちの保護者様むけセミナー募集中 セミナー申込はこちらから 不登校の親が持つべき心構えや考え方が分かるメルマガ 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

.cta-buttons { display: flex; flex-wrap: wrap; justify-content: center; gap: 16px; margin-top: 32px; } .cta-button { background-color: #f98c5f; color: #fff; padding: 12px 24px; border-radius: 30px; text-decoration: none; font-weight: bold; transition: 0.3s; } .cta-button:hover { background-color: #e67646; } .cta-button.secondary { background-color: #eee; color: #333; }

無料相談してみる メルマガを受け取る

こちらの記事もおすすめです

もっと読む 2025年4月22日 勉強・進路と将来の不安 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話 親として、どこまで関わるべき?春の“ちょうどいい距離”の話

2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

こちらの記事もおすすめです .cta-buttons…

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント Read More »

僕が引きこもりにならなかったのは○○があったから

不登校を経験した大人は思いのほかたくさんいます。また、不登校たくても、我慢して学校に生き続けた人もいます。このコラムでは後者に当たる人のお話をします。

彼は、おとなしい性格であり、集団の中にいるのが苦痛でした。それでも学校に通い続けました。一部の気の合う友人と理解ある先生のおかげで、不登校にならずに卒業し、大学まで行きました。しかし、心の中に「なんか違うな」という気持ちはありました。

そして中学3年生の時に本気で学校に行きたくないと思い、数日休みました。しかし、なんか知らないけど家にいても落ち着かないので学校に行くことにしたそうです。

大学卒業後、就職。そのころには心の中にあった「なんか違うな」という感覚はなくなっていました。そして、順調を続けることができていました。

しかし、働き始めて2年が過ぎたあたりで、これまで何でもなかった資料の整理であったり成果報告などができなくなりました。やろうとしても体が動かない、やっとの思いでパソコンに向かっても頭が真っ白になってしまいました。そして、休職。そのまま体調はもどることなく退職となりました。

それは、彼にとってとても衝撃的なことでした。まさか仕事を辞めることになるとは思ってもみなかったのです。社員寮を引き払い自宅に帰る。親になんと言われるだろう、弟にはふがいない兄の姿を見せたくないな。そんな思いがあり家に着きました。

母親が普通に「お帰り」と迎えてくれたそうです。そして、普段と変わらず家族と食卓を囲みました。食後に彼が「仕事を辞めてしまって申し訳ない」と話すと、母親が「仕事をしていてもしていなくてもあなたは私の子なの。謝る必要はないですよ」と言い、続けて父親が「ここはお前の家でもある。だから居ていい」と言いました。

彼はその言葉に救われました。社会人になり、しっかり働いていた会社を辞めても、自分の存在を受け止めてくれる存在。「これがあったから僕は引きこもらなかった」と彼は話してくれました。

その後、彼はアルバイトをはじめ、非常勤の仕事に就きました。正社員への復帰を目指しつつ、励んでいらっしゃいます。

実はこの「自分の存在を受け止めてくれる存在」というのは不登校の回復にも必要なことです。学校に行くいかないではなく、生きているあなたそのものが大切な存在であるという姿勢です。言葉で伝えることも大切ですが、その背後の態度が大切です。…

僕が引きこもりにならなかったのは○○があったから Read More »