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不登校生の夏休み

不登校生の夏休み 夏休みになっても

夏休みは不登校している中学生、高校生にとってはホッとできるひと時になります。「みんなが学校に行っているのに自分は家にいる・・・」という自責の念が緩むからです。かといって何かが変わるというわけではありません。朝はなかなか起きてこない、特に勉強するというわけでもないのです。1学期に学校に行かずに家にいるときと同じです。むしろ、表面的には同じであるということが大事だと考えます。1学期の終わり、区切りだからといって、「2学期から頑張る」と気負いすぎないで淡々とおなじ日々が過ぎるほうが、メンタル面においては安定してるといえます。

 

どう過ごしたらよいか?

表面的に同じように過ごしていますが、内面はすこしゆとりがあります。普段よりも雑談を多くしてみたり、出かける用事をつくって一緒に出掛けてみるとよいかもしれません。

「夏休みに何かしたいことはある?」と本人に尋ねてみるのもありです。普段は学校に行っていない負い目を感じていて言えないことも、この時期なら言えるかもしれません。お金がかかりすぎたり、現実的に不可能なことでなければ、予定を組んで一緒に出掛けてみるのもよいです。そのこと自体は直接不登校の解決にはつながらないかもしれません。しかし、「自分の要望を伝えた」「それを叶えてくれた」ということ、そして「一緒に」というあたりも含めて、本人には肯定的な経験として残ります。

ただ、お盆などで親戚で集まる場合なんかはあまり積極的ではないかもしれません。お正月も同じですが、親戚であつまると事情を知らない親類から「どうだ学校は?」とか「受験だろ?」なんていう心無い質問が飛び交う可能性があります。気を付ける必要があります。

あくまでも普通に接する

夏休みだから特別な働きかけが必要ということなどはありません。

もちろん、二学期から復帰するかもしれないという期待や、もしかしたら、1学期にちょっとずつ登校のペースをつかんできているという場合もあります。これに関しては夏休みはブラックボックスで、2学期になってみないとわからないところがあります。おそらくお子さん本人としては前向きな気持ちはあると思います。その気持ちは「親に口を出されると萎える」というのが思春期のお子さんの傾向としてあります。2学期からの登校については、お子さんにゆだねて、学校のことはわきに置いて普段どおり過ごしていただければと思います。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 空気が読めない子 ― ASD(自閉スペクトラム)の理解 感じ方がちがう子 ― ASD(自閉スペクトラム症)の世界を知る (シリーズ:子どもの「しんどさ」を生物心理社会モデルで理解する 第6回) 感覚過敏/コミュニケーションのズレ

「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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不登校のお子さんと進路の話はしづらい?

不登校のお子さんと進路の話はしづらい? うちの子が不登校になるなんて・・・

我が子を不登校になるかも、と思って学校に送り出している親御さんはいらっしゃらないと思います。自分の子が不登校になるとは考えても見ないことなのです。親御さんご自身が、小学校も中学校、高校もとくに病気で休む以外は登校するのが普通であったわけですし、学校に行かないという選択肢がそもそもありません。不登校は増え続け、全国の小中学校で30日以上欠席した児童・生徒は30万人とも言われています。実際にはもっと多いのだろうとも言われています。その要因は様々ですが、これだけ数が増えており、適切な対処もなされないとなると、どのお子さんも不登校にならないとは言い切れない面があります。

不登校の課題は進路?

不登校が長引くと将来のことが心配になって不安が増大します。勉強しない、家から出ない、誰とも交流しない、昼夜逆転、という状況において将来社会に出られるのか?ということを不安に感じるのは当然です。本人は何も考えていないような様子で毎日過ごしていて、イライラすることさえあります。

不安が大きくなるのは、どういうルートがあるかという情報が不足しているからだと言えます。不登校経験者すべてが引きこもりになっているとは言えません。不登校を経験したからこそ、早めに支援の手が入って、先々のことを早くから考えて行くことができる、という面もあります。

進路選択の一つの原則

将来が不安だからと、親御さんが情報収集を一生懸命してしまった結果、子どもが全くもって動かないということが起きてきます。進路に関する情報収集を子ども一人でやらせるのは酷ですが、あくまでも進路については親を始めとした周りの大人は「お手伝い」というスタンスにする必要があります。

その理由は進路選択では最終的に自己決定が求められるからです。本人も情報収集に努めるから最終的な決定も自分でできるようになります。与えられた選択肢だけではなく、自分で見つけた選択肢も含めて検討して、最終的な決断を本人がやる。これさえできれば自立の道を歩んでいくことができます。

不登校しているお子さんと進路の話はしづらい?

学校に行っていない現状でお子さんと進路の話はしづらいと思っている親御さんがいらっしゃいます。しかし、学校に行っていないからこそしんろの話をする必要があると考えます。そもそもが、本人が学校に行かないという意志を示していること自体、自己決定なのです。すると、不登校しているお子さんの方が、より自分自身のことを考えて、ものごとを決めているとも考えることができます。

実際に不登校しているお子さんで進路のことで悩んでいない子にはこれまで出会ったことがありません。逆に進路のことが不安だから不登校になったというケースがほとんどです。進路のことはタブーではありません。むしろ、オープンに話題にして本人の意識を現状の負の部分ではなく、将来に向けさせる必要があります。

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「空気が読めない」と言われる子がいます。集団の中で浮いてしまったり、場の雰囲気が変わっても気づかない。でもその背景には、「感じ方がちがう」世界の存在があります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、理解力や努力の問題ではなく、情報の受け取り方・感じ方・構造のとらえ方が異なる発達特性。今回は、感覚のちがいと認知のスタイル、そして支援の考え方を、生物心理社会モデルを軸に整理していきます。

🔗 参考:シリーズ第1回「子どもの“しんどさ”をどう理解するか」https://visionary-career-academy.com/archives/4178

ASDとは何か ― 世界の感じ方が違う子どもたち

ASDは Autism Spectrum Disorder の略で、日本語では自閉スペクトラム症と呼ばれます。「スペクトラム(spectrum)」とは、光のように連続した幅のある性質という意味。その名の通り、ASDには重い・軽いといった線引きではなく、**社会性・コミュニケーション・感覚処理などの特性が人によって異なる“グラデーション”**があります。

ASDの子どもたちは、他者の気持ちや意図、文脈を読み取る脳の働き方が独特です。それは「理解力の欠如」ではなく、「認知スタイルのちがい」。世界を構造的・規則的にとらえる一方で、人の心やあいまいな社会ルールを把握することが難しいのです。

感覚過敏の世界 ― 五感のチューニングが異なる

ASDの子どもたちは、私たちが当たり前に受け取っている感覚情報を、まったく違う強さで感じています。

聴覚過敏:教室のざわめき、蛍光灯の「ジーッ」という音、鉛筆のカリカリ音などが、痛いほど響く。

視覚過敏:蛍光灯の光や人の動きが刺激になり、目をそらす。

触覚過敏:洋服のタグや靴下のゴム、人との接触が苦痛に感じられる。

嗅覚・味覚のこだわり:におい・食感・温度への過敏さから偏食が起こることも。

こうした過敏さは「わがまま」ではなく、脳が感覚刺激をうまくフィルタリングできないために起こります。外界の情報が“全開のボリューム”で流れ込んでくるため、本人にとって世界はしばしば「うるさい」「まぶしい」「痛い」場所なのです。

💡 支援のヒント「静かな場所で話す」「光をやわらげる」「触れずに声で伝える」――環境を一段階“静かにする”だけでも、本人の安心感は大きく変わります。

認知特性とWISC-Ⅴで見えるASDの特徴

発達検査(WISC-Ⅴ:Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition)では、ASDの子どもたちの“感じ方のちがい”が、認知プロファイルとして明確に表れます。

指標 内容 ASDで見られやすい傾向 言語理解(VCI) 言葉の意味理解・常識・表現力 語彙は豊富でも、比喩・冗談・曖昧な表現の理解が苦手 視覚的推論(VSI) 図形・パターンの処理 強み。構造や規則を見抜く力が高い ワーキングメモリ(WMI) 聴覚的短期記憶・思考保持 聴覚過敏などで集中が途切れやすい 処理速度(PSI) 単純作業のスピード 感覚刺激への敏感さ・慎重さから低く出やすい 流動的推論(FRI) 新しい課題への柔軟対応 パターンの理解は得意だが、曖昧な課題は苦手

ASDの子は、構造化された課題に強く、曖昧な状況に弱いという特徴があります。この特性が、学校生活や人間関係で「空気が読めない」「急な変化に弱い」と見られる背景にあります。

🔍 ADHDとの比較ADHDでは「注意の持続」や「衝動の制御」の難しさが中心で、WISCではワーキングメモリや処理速度が低めに出やすい。ASDでは「意味づけ・構造化」の弱さが中心という違いがあります。

生物・心理・社会モデルでみるASD 生物的側面

脳の情報処理ネットワーク(前頭葉―側頭葉―小脳連関など)に特性があり、光・音・触覚への感覚過敏・鈍麻も見られます。こうした感覚処理の違いが、日常の不安や混乱のもとになることがあります。

心理的側面

ASDの発達は、「認知発達(考える力)」と「関係発達(他者とつながる力)」が非対称に進みます。物事のルールや法則を理解する力は高いのに、人との関係づくり(社会的参照・共同注意・模倣)には時間がかかるのです。

社会的側面

ASDの子は、社会の“暗黙の了解”や“空気”といった非言語的な文脈を読み取るのが苦手です。社会の側が「わかりやすい構造」を示してあげることが、適応の第一歩になります。

幼児期に現れる兆し ― 社会的参照の困難

ASDの特徴は、幼児期から現れます。赤ちゃんは通常、親の表情や声を“参照”して行動を決めます(社会的参照)。しかしASDの子は、その参照がうまく働きません。

親の表情を見ない

名前を呼んでも反応が鈍い

一人遊びが多い

こうした様子が、3歳児健診などで指摘されることもあります。「関係発達の遅れ」が、後のコミュニケーションの土台に影響していきます。

構造を愛する ― ルーティンとこだわりの世界

ASDの子どもたちは、世界を“変化”ではなく“規則”で理解します。朝の支度の順番、登校ルート、食事の配置――その子なりの“ルーティン”があり、崩れると大きなストレスになります。

💡 ルーティンは安心の構造ASDの子にとって、こだわりや決まりごとは安心の拠り所。「なくす」ではなく、「理解し、活かす」視点が大切です。

また、規則性への敏感さがあるため、鉄道・時刻表・カレンダー・数字・天気など、明確なパターンを持つものを好む傾向があります。これは「構造を通して世界を理解したい」という自然な表れです。

男性に多い理由とカモフラージュASD

ASDは、男性が女性の約4倍といわれます。生物学的には胎児期のテストステロン量が社会的認知の発達に影響しているという説があり、社会的には女子が模倣・観察によって特性を隠しやすいことも関係しています。

「カモフラージュASD」と呼ばれるタイプは、周囲に合わせようとしすぎて思春期以降にうつや不安症を併発することもあります。

ADHDとの違い ― 「調整」と「構造」 観点 ADHD ASD 主な困難 注意・感情の調整 状況の構造理解 困りごとの原因 「わかっていても抑えられない」 「何が起きているのかわからない」 支援の方向性 刺激を減らす 環境を明確にし見通しを与える

ADHDでは環境の刺激を調整し、ASDでは環境の構造を明示することが支援の鍵になります。

支援のキーワード ― 「見通し」と「安心」

ASD支援の本質は、「次に何が起こるか」がわかること。予測可能な環境が、最大の安心を生みます。

スケジュールを見える化する

状況の変化を事前に予告する

ルールや手順を言語化・明文化する

🧩 柔軟性は“学ぶ”もの安心できる構造の中で、少しずつ変化に慣れていく――それがASD支援の第一歩です。

家庭でできるASD支援のポイント

説明は具体的に、順序立てて 「ちゃんとして」ではなく、「まず〇〇して、次に〇〇してね」と段階を示す。

感情ではなく構造で伝える 「どうしてそんなことするの!」ではなく、「それをすると〇〇になるよ」と結果で伝える。

変化を予告する 「明日は時間割が変わるよ」「お客さんが来るよ」と事前に知らせて安心をつくる。

まとめ ― 「空気を翻訳する社会」へ

ASDの子どもたちは、「空気を読まない」のではなく、**“空気があいまいすぎて読み取れない”**だけ。

社会の側が「空気をわかりやすく伝える」工夫をすれば、彼らは自分の力を安心して発揮できます。

🌱 ASD支援とは、「空気を読む力」を求めるのではなく、「空気を翻訳する力」を社会全体で育てること。

参考資料・引用

American Psychiatric Association (2022).……

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不登校の克服にどれくらい時間がかかるのか?

不登校のお子さんをもつ親御さんの心配の一つが、いつまでこの状況が続くのかということです。

学校の先生と話をして、「しばらくは様子を見ましょう」となりますが、実際は様子を見ていても何も変わった様子はなかったりします。むしろ、ちょっと元気になっていて「こんなに元気なら学校に行けるのではないか?」とさえ思ったりもします。

しかし、そのことを問うと、お子さんは黙ったり、機嫌が悪くなったりします。学校に行くからOKで学校に行かない自分はダメだという思いをお子さんが持っている可能性があります。

普段一緒に生活していると、心の変化は見えにくいところがあります。この変化は近しい存在に見て取ることは難しいところがあります。

たとえば、一緒に住んんでいる親が、子どもの身長が伸びたり、顔つきが徐々に大人びてきていることには気づかず、久しぶりに会った親せきなんかが「大きくなったね」とか「大人っぽくなったね」と変化を見ることができるようなもので、第三者の介入がないとできません。

不登校の対応で一番よくないのが「焦り」です。それはお子さんを焦らせることも問題ですが、お子さんに、学校のことや将来のことを尋ねることが難しい、親御さんの方が抱えやすいです。

不登校のお子さん自身も不安を抱えていますが、実は、親御さんの不安の方が大きく、その不安を敏感に感じ取って、子ども自身がさらにプレッシャー受けるという悪循環を生み出すことさえあります。

焦って解決することが、不登校の期間を短くすることはあまり考えられません。一時的に復帰したとしても、また不登校にならないとも言い切れないのです。

いつまで続くかという不安を解消することも大切ですが、「いつまで続いても大丈夫」と心の根をしっかり持つことをお勧めします。…

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