11月, 2022 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します

2022年11月

不登校対応で一番やってはいけないこと

不登校対応で一番やってはいけないこと 「あなたの育て方が悪い」とカウンセラーに言われた

お嬢様が小学校の高学年から学校に行かなくなったというお母さまからの相談。

これまで、スクールカウンセラーや医者に行っても改善せず、不登校の親の会で紹介されたカウンセラーのところに行きました。有名な先生で数か月待ってのカウンセリングだったそうです。

そこで言われたのが「あなたの育て方が悪い」ということでした。お母さまはこの言葉にショックを受けてしばらく落ち込んでいらっしゃいました。私と出会ったのはそのきついことを言われたカウンセリングから半年後でした。

その時に、このカウンセリングで話されたことを同じように話してくださいました。比較的裕福な家庭で、都心にしまれている方です。お子さんも優秀で、塾に通い、中学受験目前というところでの不登校だったそうです。その経緯を伺いながら私は「なるほど。そのカウンセラー先生がおっしゃられることも一理あるな」と思いました。

やってはいけないことは「比較」

それはお子さんを、比べていたことです。学校のクラスメイト、塾での点数、受験する学校、あらゆるところに比較の視点がありました。しかも、お嬢さんがどれだけ良い成績をとっても「さらに上の人がいる」というような言葉がけでした。お母さまとしては鼓舞するつもりだったそうです。

さて、もうお分かりだと思いますが、やってはいけないことは「比較」なのです。他人と比べる成績や学校での役割、受賞や資格、運動能力、音楽や美術の能力、コミュニケーション能力、身長、体重・・・

比べる視点は子育ての段階でかなりたくさんあります。親は鼓舞するつもりでも子どもには「ダメだしされている」ようにしか聞こえません。

比較が生み出す自責

さらに、不登校しているお子さんはどうでしょうか?

学校に行っていない自分、勉強していない自分、友達付き合いのない自分、

親に迷惑をかけている自分、親に言われる前に自分と他人(同世代のこどもたち)を比べているのです。そしてそれは自分を責めることにつながります。比較することが行けない理由は「自分を責める」という状況に陥ってしまうからです。その状況を作らないためにも、他人との比較はやめていただきたいところです。

とはいえ、「あなたの育て方が悪い」と断言するカウンセラーもちょっと考えものですね。

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不登校をしている中高生が得ていること

不登校している中高生が得ていること 不登校で得ているものはたくさんある

1自分という存在の確立

2精神的な強さ

3これからの生き方への真剣な問い

4自分と向き合う力です。

学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、次から次へのタスクをこなしているだけで、自分と向き合う暇がありません。

そして卒業が近づいてくると、突然、進路について考えるように言われます。そこで指標となるのが学力です。ただこれは試験をパスするための一つの要素にすぎません。大切なのは何のための進路選択なのか。自分にとってどういう意味があるのか?を明確にしておくことです。ここがあいまいな考えのまま、学力、偏差値だけをみて進路を選ぶことは、不登校するよりもリスクが高いと私は考えております。

1つずつを見ていきます。

1 自分という存在の確立

これが何を意味するかというと、他人の評価を気にしない、顔色を窺わないとうことです。自分の判断で自分の行く先を決めていくことが大事になります。そのためには、自分が自分であっていいという肯定感が必要です。

「自己肯定感」という言葉が最近よく用いられますが、不登校は自己肯定感が下がっているように見えますが、よくよく話を伺うとこれは違います。学校に行かない選択をした自分を認めたい気持ちが強いのです。その一方で学校に行かないことで自分が否定されているのではないか?という思いをもっています。そして、何よりも自分自身が自分を責めています。この自責はとても辛いです。ここを通らずに不登校をすることはほぼありません。ただ、このプロセスが自分が自分であっていいという自分の存在に対する肯定感をもたらしてくれます。この辺りは丁寧に話を聴くことで解きほぐすことができます。解きほぐされた先にあるのは、自分を認めたいという強い自己肯定に対する願望です。ここに気づけたらネガティブな雰囲気を払しょくすることができます。

2 精神的な強さ

上記の項目にも書きましたが、不登校しているお子さんは自責の念が強いです。まじめで、本当は学校に行くべきなのに、それができない自分、みんなが当たり前にできていることができていない自分を無能な人間だと勘違いしています。

決してそんなことはないのですが、他人の言うこと以上に、学校に行っていないという事実が自信を責めさせます。これを毎日やっています。学校に行くと、忙しさにかまけてこんなに自分を責めることはありません。

毎日自分を責めてはへこみ、疲れるという日々を過ごします。時に死にたい気持ちにもなります。そういうことを夢想しだすとより暗い気持ちになってしまいます。

ここに他人の視点を加えます。医者や学校の先生、カウンセラーなどが入ってきて、全く違う考え方をすると目が開かれたように責めることを辞めてしまうことさえあります。または、卒業する、退学するなど「不登校」という状況を何らかの形で終えるとこの日々は終わります。この自責の日々を通り抜けたお子さんの精神力は強く、タフなメンタルを創ります。同時に、自責をもたらしそうな状況を回避する知恵も身につきます。自責はいつか終わります。その時に鍛えられた精神力を得ています。

3 これからの生き方への真剣な問い

不登校して得られる最大のプラス要因がこれです。自分の人生を問うのです。

生きている意味、自分の存在価値、これからの生き方・・・答えの出ないこの問いは誰も答えてくれず、一人で悩むしかない。そして、一人で答えを出すにはあまりにも材料が少なすぎる。そういう中で自責のサイクルに入っていきます。

ただ、生き方を考えているとその問いに対して考える機会が増えるので、アンテナが張られます。結果として自分の興味関心や生き方に影響する情報をキャッチする力が鋭くなります。逆に「これは違う」と棄却できる力も身につきます。自己が確立され、精神的にタフになるとこの真剣な問いにも向き合うことができます。

不登校のお子さんの最大の悩みは進路のことだというのは私の経験から出ていることです。ここさえ解決する、つまり本人が進みたい道を見いだしてくれれば、学力も受験も頑張れます。1人で見いだすことができる場合もありますが、ここでの寄り添いこそ、必要なことでカウンセラーの力が必要になるところであると確信しています。

4 自分と向き合う力

不登校していると話し相手がいません。声には出さなくても人は会話をしています。それが自分自身です。話し相手がいないと自ずと自分と会話する時間が増えます。これが自分と向かう力です。上述の1~3を経ることで意図せずに身につくる力です。

自分と向き合う力は自分をメタ化してとらえる力となります。これはリフレクションする力とも言い換えられます。リフレクションは自分の良いところ、悪いところを改めて見直すことで、次の成長に活かすことができます。この力は客観的で、理性的なものの見方を育みます。特に不登校しているお子さんは感受性が強く、このあたりの感性がするどく、大人が驚くような本質的な話をすることもあります。

ただ、不登校しているお子さんが一人で考えているとネガティブな面にばかり目が行きます。これが過ぎると、うつ病になる恐れもあります。ですから、別の視点を入れて、思考の方向性を変えていく作用が必要になります。

不登校は損ばかりしているわけではない

不登校で得ているものは、社会に出て働く際に、求められる精神力につながるものばかりです。同時に、学校での勉強だけでは得難い、人に対する視点を多用に持つ機会でもあります。不登校しないとこれらが得られないわけではありません。ただ、不登校しているお子さんに関わってきた結果、こういう力をもって、私のもとを巣立っているということを感じています。ここで必要なのは、第三者の介入です。詳しい事情を知らない第三者が話をすることで、今の自分が置かれている状況を冷静に見つめることから始まります。親御さんでもできますが、多くの場合は一緒にネガティブになっている場合がおおく、子どもに関わる心のゆとりがないという場合も珍しくありません。

不登校を親御さんだけで解決するのは荷が重いことであると思います。人の手を借りることで解決に向かうことはたくさんあります。親御さんが抱えている重荷を引き受けるのが私の仕事だと考えております。

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不登校で得られなくなる4つの経験

不登校で得られなくなる4つの経験 不登校をすることで何ができなくなってしまうのか?

子どもさんが学校に行かないという選択をしたことで得られなくなってしまうことがあります。1.勉強 2.友達との交流 3.行事等の共有体験 4.外出しないこと。

この4つです。これら一つずつについて考えていきたいと思います。

1 勉強

多くの保護者の方が一番心配するのがここです。学校に行かないことで遅れてしまいます。中学生、高校生が進路選択をするうえで、一番必要になるのが学力です。その学力を身につける機会が減ることは確かに心配です。ただ、4つの課題点のうち、個人の力で一番何とかなるのが学力です。また、進路選択をすることができれば明確な目標ができます。すると、それまで何もしなかった子どもが、徐々に勉強し始めます。ペースもつかめてきます。もちろん、傍で見ていると全然足りないということも親御さんは感じられるかもしれません。そこをグッとこらえて、本人のペースを守ってあげることができれば、遅れを取り戻す、または受験に必要な学力を備えるための行動がとれるようになります。

2 友達との交流

学校に行かないと友達と会いません。クラブにも行きづらくなります。そうすると友達と会う機会が減ります。特に、不登校を恥ずかしいこと、やってはいけないことという自覚強い生徒さんは交流をしたがりません。SNSやオンラインゲームで連絡とり合うことはあっても、なかなか対面で人に会うというのは不登校しているお子さんにとってはハードルが高い。一方で、友達との関係(時に恋愛)が原因で学校に行かないという選択をしているのであれば、友達付き合いがなくなることで心の調子が整ってきます。これに関しては無理にすすめたり、質問したりしないことが良いです。勉強については実際に取り組むかどうかは別として「やらないといけない」というのは分かっていますが、友達付き合いに関しては、どうしてよいか分からないことも多く、悩んでいるケースが見受けられます。不登校していなくても、中高生にとっては勉強以上に触れてほしくないところでもあります。

3 行事等の共有体験

不登校で失うものとして大きなものがこの共有体験です。これはあとからもう一回というわけにはいきません。運動会、文化祭、郊外研修、修学旅行などです。この経験をしないことは学校での思い出を棄てているといっても過言ではありません。しかし、これは学校に行かせたい側の人間の想いです。実際に不登校しているお子さんにとっては学校行事は面倒臭いものでしかありません。通信制高校などはこれらの行事が任意での参加(参加しない人は別途課題がだされる)などもあります。実際に私が関わっている高校生はコロナで修学旅行がなくなって喜んでさえいました。

同級生との共有体験がないというのは大人から見ればさみしいことではありますが、本人にしてみれば、周りと合わせるストレスから解放されていて意外とスッキリしていることもあります。

不登校しているお子さんの多くは感受性が強く、他人の気持ちが分かります。学校行事は子どもたちだけで企画・準備を進めます。そこでの取り組み方の差に辟易している可能性もあります。行事後に不登校になる生徒さんもいらっしゃるくらいです。本人が出たいという気持ちがあれば良いですが、そうでなければ無理強いする必要はありません。

不登校生が嫌う言葉の一つに「みんなやっているんだから」というのがあります。すでに「みんな」がやっている学校に行くということをしていないお子さんにとっては心に刺さる辛い言葉になります。この点はお気をつけていただきたい点です。

4 外出

不登校をすると、不登校していることを見られたくないので外出が減ります。

親せきや近所の人にも会いたがりません。散髪や歯医者なども行きたがらない。自分の部屋から出てくることも少なくなったりもします。特に不登校の初期段階では人に見られるのが恥ずかしい、学校に行っていないことがばれたら嫌だという思いから外出したがりません。

最近の学校には教室に入りづらい生徒さん向けの教室なども用意されていたりもしますが、登校する時間が違ったり、クラスメイトに会うのが嫌だからなかなか登校しません。ただ、徐々に外出ができるようになってきます。それは本人が自分は不登校であるということを受け入れてきた結果です。もちろん、勉強しないといけない、学校に行くべきだという思いはあるかもしれませんが、「不登校している自分、それでいい」となると外出を厭わなくなります。外出できるかどうかが、不登校の回復の一つのバロメーターになります。

不登校の中では失っているばかりではない

ここまで4つについて考えてきました。ちょっと暗い話になってしまいました。失っているばかりではありません。不登校しているお子さんはこれら4つを棄てでも自分を守ろうと思ったのです。そして、得ているものが確実にあります。

それは1自分という存在の確立、2精神的な強さ、3これからの生き方への真剣な問い、4自分と向き合う力です。学校に行きながらこれらを考えることもできますが、正直いまの中学生や高校生が置かれている状況はとっても忙しいです。宿題やクラブに追われています。友達との付き合いもあります。定期テストもあれば学校の行事もあります。課されていることが多すぎるのです。自分のことを考えるまもなく、進路を突き付けられるのです。あいまいな考えのもとの進路選択の方が不登校よりもリスクが高いと私は考えております。

この4つは今の世界を生きていく上でとても重要な力です。この4つについては別のコラムで解説します。

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不登校している中学生の進路選択 通信制高校で大丈夫か?

不登校している中学生の進路選択通信制高校で大丈夫か? 不登校する子どもの奥には進路の悩みが

不登校をすると、学校に行くのがやっとで、将来のことを考えるということが難しいと思われます。その話題に触れることすらなかなか難しく、子どもが何を考えているか分からないという声を保護者の方から伺います。ただ、多くの保護者の方が察している通り何を考えているかは分からないのですが、まったく何も考えていないというわけではありません。むしろ、そこを深く考えているから気分が沈んでいるということも珍しくないのです。

不登校している中学3年生はどうしたらよい?

中学3年生になると進路のことを考え始めます。公立中の場合は高校受験があります。また、公立・私立問わず、一貫校であっても、進学の規定に引っかかったり、在籍していても高校生になって通いだせるような状態でなければ進路選択に迫られます。

不登校の原因が人間関係であれば、全日制の高校に進学することも可能かもしれませんが、原因はよくわからない、または自己肯定感の低下や集団が苦手などの理由であればすぐに全日制に入って、勉強もクラブ活動もというのは難しいと思います。そうなってくると進学先が通信制になることが多いですし、実際にその選択をする人はけっこういらっしゃいます。

通信制高校の特徴

通信制高校の特徴は日常的に通学する必要がない点です。家に居て、与えられた授業(多くの場合は動画)を受けて、決められた期日までに課題を提出する。そして学期の区切りに、期末のレポート、考査を受けて単位認定をされるということになります。

通学する必要がないとはいえ、年に数日(学校によってさまざま)はスクーリングといって学校に通わなければなりません。場合によっては合宿のような形で実施している学校もあります。これは文部科学省の規定で決まっているので、スクーリングが全くない高校というのはありません。

担任の先生は必ず付きます。勉強の進め方、進路相談、その他学校生活における悩み事や相談事は話しあうことができます。課題が出てない場合は催促してくれます。不登校をしているお子さんを多く預かる通信制高校の先生は基本的に優しく受容的です。

 

通信制高校のその先は?

信制高校は学校に通学しないというだけで、普通の高校です。卒業後は就職も進学も可能です。ただ、通信制高校は高校卒業認定のための単位取得を目指しています。大学進学となると、必要な単位を自分で多めに取得したり、大学受験対策の講座を追加で取る必要があります。

今年も通信制高校に通いながら大学に合格した生徒を何人か知っています。文学部や経営学部、中には薬学部に合格した生徒もいます。今の時点(11月上旬)では総合型選抜(旧AO)入試の結果しか出ていませんが、一般入試でも合格している生徒も例年おります。

また、就職に関しても、通信高校にも求人はあるのでそこで調べて就職試験を受けることができます。最近は通信制高校も増えてきており、学校ごとに特色を出しています。お子さんの特徴にあった学校を見つけるためには結構な下調べが必要になりますが、選択肢が多い分、選ぶことができるとも考えられます。

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不登校からの大学合格

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