これは失敗ー不登校親子カウンセリング

不登校の親子カウンセリングの失敗

不登校の親子カウンセリングをすることがあります。親御さんからお問い合わせをいただいて、親子でカウンセリングに来られます。この時に気を付けていることがあります。それは、親は親、子どもは子どもでそれぞれに話を聴くことです。それはカウンセラー側がきちんと初めに進め方を説明してから始めればよいのですが、うまくいかない場合があります。

かつてお母さまと大学生の息子さんがカウンセリングに来られました。その時も同じように進め方を説明して、まずはお問合せいただいた母さまから話していただき、その次に息子さんという順番で話すことにしました。お母さまが話した後に、息子さんに話しかけてもあまり応答ががありません。そして気が付くと「ほら、あなたあの時のこと話しなさいよ」と促されて学校でのできごとを話します。そして、だんだんと「そうじゃないでしょ!先生あの時は、この子がこれこれこうで・・・」とお母さまが話し始めます。すると息子さんが「ちがうよ」といって割って入ります。私の目の前で親子喧嘩がはじまります。そこはいったん制して、話す順番を確認して再開しますが、息子さんが話をしている途中にもお母さんが「先生、それでですね・・・・」と話を始めます。なかなか息子さんが話を始めてくれません。

結局こんな調子で、息子さんの話を満足に聞くことができず、これは1回きりで終わりということになりました。帰り際にお母さまが駐車場に車を取りに行くのを待っている間、息子さんがボソッと私だけに「あんな母親なんですよ。僕が心病んで大学行けなくなるのわかるでしょ?母の方がカウンセリングが必要なんです」と言って去っていきました。

ほかにも、親子ではないですが、あるお母さまを紹介してくださったその方のご友人がカウンセリングに同席したいというので、一緒にお越しくださったさいにも似たようなことがありました。

言いたいことを代弁されては困る

上で起きている現象は「代弁」というものです。本人がカウンセリングに来ないで親御さんのカウンセリングをする場合はもんだありません。また、隣にいても、「あの話をした方がいいよ」と促すことも悪くありません。問題なのは子どもさん(その時の話し手)が話しているのに途中で遮って話をしてしまうことです。

不登校カウンセリングの草分けでもある東山紘久先生は「代弁とは、他の人の気持ちに成り代わって発言することである。代弁されると、聞かされた方は相手の真意がはっきりしないばかりでなく、代弁している人に対し反感を持ち、代弁させた人に対しても否定的感情を持つようになる」と述べられています。

これはコミュニケーションのゆがみであるとも示されています。カウンセリング場面ではなくても、兄弟げんかに親が介入する際に本人ではなく、弟の代わりに「お兄ちゃん、ゲームかしてあげなよ」と弟の代弁をしたり、「あのゲームはお兄ちゃんがお小遣い貯めて買ったんだからお兄ちゃんのでしょ」と兄の代弁をしていると、実は仲裁にはならず余計に関係がこじれます。

カウンセリング場面で代弁があるということは、本人の意思表示を通り越して、親が子の代弁を生活の中でしている可能性があります。

代弁をやめると自立がはじまる

代弁をやめるために大切なことは、本人が言葉を発することを大切にすることです。相手の発言を待つ、最後まで聞き切るということです。兄弟げんかの仲裁の場合は、本人に語らせることです。「お兄ちゃんはどうしたいの」とか「あなた(弟)はお兄ちゃんになにをおねがいしたいの」など発言を促しても、代わりに気持ちを話さないことです。

自分のことを自分で話すことが習慣になると、子どもの中にも内省が起きます。この内省が起きることが「自分と向き合う」ことになります。思春期の場合はこの内省で「自分とは何か」、「自分はどういう生き方をするのか」「人生とはなにか」など深い問いが繰り返されえて、ネガティブになることもあります。しかし、ここを通り抜けると、不登校していようがしていまいが、自立への道を歩んでいくことになります。

カウンセリングは自立を促すことができる

カウンセリングが自立を促せるのは、自分の意思を言語化するからです。その言語化のプロセスで必ず内省をします。内省は確かにつらいこともあります。何よりも思春期世代の内省は子どもの自分の価値観を否定して、自分自身の価値観を構築していく時期でもあります。エリクソンが青年期の発達課題を自己の確立としているのも、価値観の再構築の上に、自立が始まっていくことを予見しているともとらえることができます。

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