「うちの子が不登校になりました。子育ての何が良くなかったのでしょうか?」
不登校と子育ての関係
お子さんが不登校になったというお問合せで、以前よく受けていたご質問が、不登校と子育ての関係です。
すごく落ち込んで、暗い表情をした女性が相談にやってきました。お子さんが中学生になってからぱったりと学校に行かなくなった、というのでお困りでした。学校から紹介されたカウンセラー(スクールカウンセラーとは別の方のようでした)に事情を話すと、過去の子育てを振り返りました。その女性は、不登校になったお子さんが2歳のときに、2か月ほど病気で入院され、退院された後もリハビリ等の関係で、彼女の実家にお子さんを預けていたというのです。紹介されたそのカウンセラーは「そのとき一人になったさみしさがあるから、お子さんは不登校になったんですよ。その時のことをお子さんに謝りなさい」と助言されて、その通りにお子さんに「一人にさせて悪かった、ごめんなさい」と謝罪したそうです。しかし、当のお子さんは「何のこと?」というくらいきょとんとした表情で、お母さんを見つめていました。お子さんが言うには、2歳の頃のことはよく覚えていないけど、おじいちゃんとおばあちゃん、当時はお母さんの妹さんもい結婚前で家にいらっしゃって随分とかわいがられた楽しいじきだった、と記憶しているというのです。
子育てのこと、しかも幼少期のことを詫びることは、不登校の対応としては全く意味がありません。そもそも私は、不登校になった要因を子育てに見ること自体それほど重要だとは考えません。効果のないアドバイスを受けて、これからどうしようかということで困られて相談に来られたのです。
子育てに負け組はいない
私も、私の先輩のカウンセラーも講演なんかで話をするのは「子育てに負け組はいない」ということです。前出の女性も、やりたくて子どもを一人にして実家に預けたわけではなく、病気となり入院せざるを得ないという状況があったからやむなくそうしたわけではありません。虐待ではないのです。子育てを振り返ればもっとかまってやればよかった、と思うことはあります。しかし、そこを一緒に過ごして子どもにかまってあげたから、不登校にならないかというとそういうわけではありません。
その時その時で全力でお子さんのことを想って育ててきたのであればそれで十分なのです。子育てには勝ちも負けも、成功も失敗もないのです。単にお子さんが安心、安全を覚えて育ち、あとは自分で人生を切り開いていきます。
不登校の原因は子育てよりももっと別なところにあります
不登校の原因は人によって様々ですが、子育てだけにその原因を求めると、前述のようなとんちんかんなアドバイスをすることになります。親でなく、子に焦点を当てることが大事です。
不登校しているお子さんは自分の生き方や将来に関する、深くて重い問いと戦うことになります。自立のプロセスとして、学校に行かないとできないくらい自分というものを見つめることになるのです。学校に行きながら、または学校に行くことで自分と向き合えるお子さんもいらっしゃいますが、不登校しているお子さんの多くは感受性が強く、外からの情報がない環境で、「自分」を見ていきたいと無意識的に選択しているところがあります。言い換えれば不登校はお子さんが自立するプロセスとしてあらわれる一つの現象です。
もしここで子育てを不登校の解決に持ってくると子どもの自立を阻むことになります。お気づきかとお思いますが、子育ては「親が子に対する関わり」です。この要素は言い換えれば子どもへの支配ともなります。この親の支配から逃れる手続きとして不登校を選択しているお子さんにたいしては、「子どもの人生は子どものものである」という認識と、「あなたの選択を尊重する」という一人の人格にたいする敬意が必要になります。
何が愛情かは子どもが決める
愛情不足だから不登校になった、という考え方はあまり建設的ではありません。もちろん、子どもさんが家にいて何もしないでいるのを見れば心配ですし、これからどうなるんだろうかという不安もあります。だから一緒にいて、寄り添うということは大切です。しかし、その際に「子育てのやり直し」と考えるのではなく、自立のサポートとして接していくことが重要です。愛情不足だから愛情を示すということはそれほど考えなくてよいです。
日本屈指の愛着障害の専門家の米澤好史先生は「愛情とは与えるものではなく、こどもが『大人とのかかわりから、感じ取るもの』」と書籍に記されています。
お子さんに対する信頼、将来の自立に向けた寄り添いが、結果として、お子さんにとっては愛情として伝わるのです。何を愛情として受け取るか。そこさえもお子さんに委ねて接して差し上げてください。不登校はプロセスで、結果ではありません。必ず終わりがきます。
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不登校の親だからこそ揺れる心、そのままで大丈夫――揺れを受けとめるまなざし
不登校の親だからこそ揺れる心、そのままで大丈夫――揺れを受けとめるまなざし
不登校の子を前に「期待」と「落胆」を繰り返す親心
不登校の子どもと向き合う日々では、親の心は大きく揺れます。
「今日は行けるかも」と子どもが言ったとき、「もしかして、このまま復帰できるかも」と希望が湧いたとき、気づけば気持ちは上向きに高まっていく。
それもまた、「揺れ」のひとつです。
その後、やっぱり動けなかったとき、子どもが寝て過ごす日が続いたとき、一気に気持ちは落ち込むこともあります。
「信じてたのに…」という落胆は、その前に抱いていた“期待”があったからこその反動なのです。
不登校の子に期待してしまうのは自然なこと
期待することは、決して悪いことではありません。「この子なら、また動き出せるかもしれない」「今度こそ、きっかけになるかも」
そんなふうに、子どもの変化や回復を願う気持ちは、ごく自然な親心です。
でも、その期待が強くなるほど、うまくいかなかったときの“落差”も大きくなります。この落差に、自分がどっと疲れたり、子どもに対してイライラしてしまったりすることもあるでしょう。
親の心が揺れるのは、向き合っている証拠
落ち込むのも、浮かれるのも、どちらも「揺れ」。そして、揺れるのは、心を子どもに向けている証です。
「振り回されてしまった」と感じても、「ちゃんと向き合っている」からこそ起きることでもあります。
あなたの心が揺れるたびに、「それだけ一生懸命に関わってきたんだな」と、自分をいたわる視点を忘れないでください。
不登校の子に「できないこと」ばかりが目につくとき
子どもが何かに挑戦したあと、失敗したとき、「またダメだった」と思うのは自然な反応です。
人は、「できたこと」より「できなかったこと」のほうを強く記憶しがちです。だから、「また…」「結局…」と、がっかりするのも無理はありません。
でも、「今日は声をかけてくれた」「自分から話しかけてきた」そんな小さな変化に、意識して目を向けてみてください。揺れのなかにも、少しずつ前に進んでいるサインがあるかもしれません。
親の焦りが消えないときは、自分の心をケアする
「このままで大丈夫?」「何かしなきゃいけないのでは?」
そんな焦りや不安が心から離れないときは、カウンセリングで気持ちを整理する時間をとるのもおすすめです。
人に話すことで、自分がどんな「期待」や「思い込み」を持っていたかに気づくことがあります。そして、「揺れてもいい」と自分をゆるせるようになると、子どもとの関わり方も変わってきます。
「木が風に揺れるように、人の心も揺れる。その揺れを受け入れるとき、根はより深く育つ。」
文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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2025年9月14日
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