5月, 2020 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します

2020年5月

不登校の長期化を防ぐために、気を付けたい親の接し方4つのポイント

子どもが不登校になってしまった。このまま学校に行かない日々を過ごしたらどうなるだろうか。でも何からしたらよいのだろうか・・・不安は募るばかりです。以下の4つのポイントを気を付けてみてください。

1 学校に行くことがよいこと、行かないことは悪いこという思いで接し続ける 

1つ目は学校に行くことを善として、不登校を悪と捉える考え方です。無理に学校に行かせようとするのは逆効果です。学校に行かないことを責め続けるのもよくありません。一番苦しんでいるのは不登校している子どもさん本人です。不登校し始めてすぐは、学校に行かない自分はダメな存在だと自分を責めています。

近年の不登校生への対応は、「様子を見る」です。不登校をする生徒の数は平成25年以降増えています。(図)

特に平成21年以降は不登校への対応としてスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置などが推進されました。無理に学校に登校させないという対応が一般的になりました。

また、フリースクール等で過ごした時間も出席扱いや単位認定にもつながるようになるなど、支援が充実してきたこともあります。

学校に行かないことで他の同世代の子どもと比べて、勉強は遅れ、進路も定まらないという問題があります。しかし、だからと言ってそれ以降の人生がすべてダメになるというわけでもありません。「学校に行かないことは悪いこと」ではなく、「学校に行かない時期がある」という認識と、不登校自体も成長のプロセスだという認識が必要です。

2 本人の意思を無視して何かをやらせる

カウンセリングを受けさせる、心療内科を受診させるの、家の手伝いをさせる、勉強させるの「させる」が問題になります。

不登校の対応でよくありがちなのが、不登校している本人にカウンセリングや病院を受けさせようとするものです。もちろん、子どもさん本人が望むのであれば、効果的です。しかし、無理にカウンセリングに引きつれていっても成果は出ません。

不登校の初期段階は精神的な疲れがります。そこに、初めての行く場所で初対面の大人に会うのはかなりのハードルです。気を遣って話をすることはあるかもしれませんが、もともとない元気さがなくなってしまうのです。

1~2回通って効果がなかったら別のところにいくなど、ドクターショッピング的に回ってしまうと、子どもは疲弊するばかりです。カウンセラーが変わるたびに子どもは同じ話をさせられ、同じようなことをさせられるのです。

いずれにしても、本人の意向を待ったく無視して、問題解決にあたっていてもよくなることはほぼありません。本人がカウンセリングを受けたくないのであれば、母親や父親が受けることをお勧めします。

不登校に限らず心の課題の多くは関係性のが変わることで改善します。本人ではなくても、親自身の意識や不登校に対するとらえ方が変わることで、子どもへの接し方が変わります。その結果、子どもが前向きな思考を取り戻して元気になっていくという筋書きです。

ただし、中には無理にでも医療につなげたほうがよいこともあります。たとえば、 過食嘔吐が激しい、自殺企図があるなど命にかかわる場合です。そのような場合は、本人の意志はいったん脇において、守っていく必要があります。アディクションの場合は本人が悪いことをしている自覚はありつつもそれを人に知られることを恐れます。ですから医療(公的)につながるとこれまでの悪行がばれるという恐れから、受診を拒否します。強い抵抗にあうかもしれません。

しかし、このような場合は後からでも「あなたを守るためにやったのだ」ということ伝えれば、その時の気持ちをなだめることはできます。

文部科学省では不登校に対する認識を下記のように表明しています。

不登校については、特定の子どもに特有の問題があることによって、起こることではなく、どの子どもにも起こりうることとしてとらえ、当事者への理解を深める必要があること

不登校は誰にでも起こりうるし特別なことではなありません。当然ながら、不登校にならないに越したことはありません。しかしそうなってしまったからと言ってすべてがダメだというわけでもないのです。

3 父親の接し方は適切だろうか

子どもさんが不登校になったとき、その対処に当たるのはほぼ母親です。私のところに寄せられる問い合わせも、まずはお母さま。そして、本人というのが次に多いです。お父様からの問い合わせというのは非常にまれです。

実は、長期化する家庭の多くが父親の介入が少ないです。「お前の育て方が悪いからだ!」と奥さんに子どもさんの不登校の責任を負わせて、その話題に触れようとしないことがあります。その上、医療機関や勉強会、カウンセリングなどにも理解を示せない。かといって、子どもに何か言葉をかけたりもしない。不登校の原因というのは子どもさん本人に起因しますが、親の理解のない態度が余計に問題をこじらせてしまいます。

また、母親一人で対処してしまうと、母親自身がいろんなストレスを抱え込んでしまいます。子どもさんの問題に加えて、家族の不和を気にしつつ、仕事や家事にも追われる。兄弟がいるのならその世話もしないといけない。すると、いくら医療機関やカウンセリングを受けても、お母さま自体がやるべきことをできない状況が続いてしまうのです。父親の非協力は不登校を悪い状況にしてしまう要素の一つです。

一方で、母親だけでなく父親も一緒に解決にあたるようになると、事態がどんどん良くなっていくというケースもありました。それは、両親で解決にあたることで、家庭の中の雰囲気が明るくなります。なにより、それまで一人で対処していたお母さまのストレスがかなり軽くなります。本気で解決を目指すのであれば、ご両親でタッグを組んで当たる必要があります。

4 子どもに謝るのはNG

「不登校をする子どもは幼少期のさみしい思いが残っている。だから、そのことを子ども詫びなさい」というアドバイスをされることがあります。あるお母さまは思い当たることがあって「さみしい思いをさせてごめんなさい」と謝ったそうです。しかし、事態は改善しませんでした。子どもにしてみれば、こちらの気持ちを理解しないで、自分の都合で詫びをいれて「なんとか学校に行ってください」と聞こえてしまうからです。また、別のお母さまは「私の育て方が悪かった」という謝り方をしたそうです。これはもっとNGです。

それは「あなたは失敗作だ」というメッセージになってしまうからです。そしてますます自信を失い、学校から遠ざかってしまいます。家族とも遠ざかってしまうかもしれません。

謝ること自体が不要というわけではありません。しかし、親御さんが「学校に行ってほしい」という気持ちがあるまま、手段として謝ることはかえって子どもを傷つけてしまいます。相手の気持ちが分かって、これは謝って済まされないかもしれない。でも、謝るしかないというときに、ようやく、心からの謝罪の言葉が出てくるのです。手段として、そして親御さんが子どもさんに対して操作的な意図をもっての謝罪はかえって関係性を悪くします。

さいごに 本人のカウンセリングの前に、親のカウンセリングが必要

不登校への対応に正解はありません。しかしながら、放っておいてよくなるということも稀です。何かしら動いて、情報を集めたり相談すること自体、大切なことです。もちろん、その中に一時的にまずい対応や逆効果なことをしてしまう恐れもあります。ただ、そのようなプロセスも糧にすることで、よりよい対応、より子どもさんの気持ちに寄り添うことができるとも言えます。不登校が長期化することは確かに避けたいところです。

子どもさんが不登校すると、その対処をしている親が参ってしまうことがあります。そうなってしまっては支えられるものも支えられなくなってしまいます。

カウンセリングは困っている人が受けることが最も効果的な成果をあげます。お子さん自身がカウンセリングを受けたがらないのであれば、お母さま自身、お父様自身、またはご夫婦で受けられるというのも、対応としては効果的です。

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こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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不登校カウンセリングの最初の一手

不登校のカウンセリングでよくあるのが、「子どもに受けさせたいのだけれど、受けたくないって言っているんです」という相談です。怪我や病気であれば本人が医者にいって治療すべきですが、カウンセリングの場合は心のケアが中心ですので、本人じゃなくてもよい場合が多いです。「困っている人」が受けることをお勧めします。ですから、不登校の場合は、不登校の生徒さん本人よりも、親御さんに受けてもらうということをお勧めしています。子どもを無理に受けさせないほうがよい理由が2つ、親御さんが受けたほうがよい理由が2つあります。

子どもを無理にカウンセリングを受けさせないほうがよいのは? 1 見ず知らずの人と話すのはこわい

まず、子ども自身はカウンセリングを受けたいとは自ら思いません。見ず知らずの人に自分の内面を根ほり葉ほりきかれるということはこわいことという印象も与えかねません。さらに、心が弱っているときに、知らない人と会って話をすることは、普段以上にエネルギーが必要なことですので、受けたくない、仮に受けても話したくないという状況になります。そもそも、カウンセリングというものがどんなものかというイメージもないので、余計にストレスを感じて縮こまってしまう恐れがあります。

ある高校生はカウンセリングはこっぴどく叱られるという思いを持っていました。それは、クラスでもかなりのトラブルメーカーがカウンセリング受けたあと、すっかりおとなしくなってしまったというのです。「あの○○ですら黙らせるんだからよっぽどひどいことをされるに違いない」と思ったそうです。これは極端な例ですが、カウンセリングに対してあまり良いイメージがないというが実情かと思います。

2 無理矢理子どもにカウンセリングを受けさせることは自尊心を傷つける

カウンセリングの目的は、その人自身が自分を大切な存在と思えるようになり、自発的に行動の変容をもたらすことです。入り口は、親や養育者や先生などからの紹介もあるかと思いますが、そのときにどのような思いでカウンセリングを受けに来ているかが大切です。ちょっとでも受けようかなという気持ちがあればよいのですが、本人が「受けたくない」と言うのに無理やりつれていくと、逆効果になります。それは「自分の気持ちは分かってもらえない」とか「親は自分のことをダメな存在だと思っている」とか「大人は信頼できない」ということさえ起りえます。

かつて、親御さんに無理矢理つれてこられた中学生がいましたが、カウンセリングの時間中、まったく車から降りてきませんでした。他のケースでもカウンセリングルームまで来たものの「別に話すことないっす」ということで15分もせずに帰っていったりしました。当然、どちらのケースも2回目はありませんでした。無理矢理連れて行かれるのは、それがカウンセリングであれ学校であれ「あなたには自分で決める権利はない」というメッセージを暗に送っていることになります。親御さんにそういう意図がなかったとしても、子どもがそう受け取ってしまいます。

カウンセリングに良いイメージを持たないまま連れて行かれると二度目のカウンセリングというのは、カウンセラーを変えたとしても難しいことです。

カウンセリングを受けるのは親御さんがいい理由 1 行動の変容をもたらすのは困っている人の不安を取り除くことから

一方で親御さんが受けるメリットは大きいです。不登校のお子さん最も多くかかわるのが、一緒に生活している親です。どれだけ有能なカウンセラーが子ども関わっても、親御さんの不安があるままで、子どもの不登校が改善するということは考えにくいです。ですから、親御さんがまずカウンセリングをうけて、親としての自信を取り戻す必要があります。不登校になったのは育て方が悪かったわけでは決してありません。これは子どもさん本人が自分の人生と真剣に向き合った結果によるものです。とはいえ、学校に行かない、勉強がおくれる、受験にひびく、進路が決まらないということなど不安は数多くあるはずです。その親御さんの不安を解消していくことが、実は不登校の状況を改善することに非常に役に立つのです。

不登校が長期化すると、子どもがわがままになったり、場合によっては暴れたりすることがあります。それは親御さんが抱える「負い目」とか「不安」があることを察して、そこをついてやってきます。そうならないためにも、親御さん自身が子どもにスキを見せないことが大事です。そのためには「私の子は学校に行っていないけど大丈夫」「私の子育ては完ぺきではないけど、そのときそのとき精いっぱいやってきたんだ」と自信を持つことです。この親御さんの自信が、子どもさんの心を落ち着かせ、結果として何らかの行動変容をもたらします。

不登校対応の最初の一手は親御さんの不安を取り除き、自信を取り戻してもらうところから始まります。

2 子どもに関わる保護者が「大丈夫」という感覚をもって接することが重要

親御さんが大丈夫という感覚をもって子どもに接していくと、子どもにもその感覚は伝わります。不登校するお子さんの多くは感受性が豊かで、気遣いができる人です。ですので、親御さんが抱える内面の変化にはとても敏感です。言葉の上では「学校行かなくてもいいよ」と言っても、内面には「早く行ってほしいなー」という思いがあると、そっちのほうが伝わって「親は嘘をついている」「私のことを信用していない」という思いになります。心の底から「学校行っても行かなくても、あなたは大切な私の子である」という思いがあって初めて、子どもは安心して過ごせます。その安心感があると、カウンセリングを受けてみようとか、勉強してみようとか、学校にちょっと行ってみようとか変容が見られます。

行動変容をもたらすには、子どもだけを変えようとするよりも、親御さんも一緒に変わっていく姿勢が大切です。心の不調は関係性の病と言われています。であれば、関係性を改善することで、状況を変えることも可能なのです。

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コロナの休校で昼夜逆転―中学生 高校生が生活のリズムを取り戻のために

コロナの休校があり、その後夏休み。不登校になってしまった上に、昼夜逆転した生活が戻らない

そんなことでご相談を受けることがありました。この状態がいつまで続くのかと心配になるというご相談です。

昼夜逆転は徐々に回復する

3月ごろからコロナウイルスによる影響で、学校が休校になりました。

6月になり、分散登校や午前中だけの授業名で徐々に学校の授業が再開されました。中学生や高校生のお子さんをお持ちのお母さま方から、子どもの生活が昼夜逆転してしまっていて、生活が乱れているというご相談を受けることが増えました。また、本人も「昼夜逆転しているんだ」ということで少々困っているような様子もありました。

学校が再開してしばらく時間がたちます。昼夜逆転していた中学生や高校生の生徒さんも、最初の数日は大変だったようですが、徐々にペースをつかみ始めて、そのまま不登校になることはなかったようです。

ちょっと前に 下記のように記しました。

乱れた生活をどうやって戻すか。→多くの場合、学校が再開したら戻ると思います。登校することで、朝から体を動かすことになります。すると、自律神経のリズムが徐々に戻っていきます。昼夜逆転する場合は、交感神経(起きているとき)と副交感神経(寝ているとき)が逆転しているとも言えます。最初はこの辺りが乱れた状態での登校になりますが、朝から運動すること(登校)でこのリズムが徐々に整うと言われます。また、外に出て動くことで運動にもなりますので、適度に体が疲れ、夜の睡眠も入りやすいということになります。

ただの身体的な要因であれば、最初はめんどくさいとか気分が乗らないという気持ちがあれど、時間と共にこの昼夜逆転が解消していきます。

その一方で、昼夜逆転がなかなか戻らないで、生活のリズムが乱れたままの場合は注意が必要です。

昼夜逆転がもどらないのには3つの理由が考えられます。

昼夜逆転が戻らない理由その1 心の問題を抱えてしまった

約3か月の休校期間は、単に学校が休みになったわけではありません。クラブ活動もできない。塾やバイトにも行けない。社会全体が自粛ということを徹底しました。家には家族が全員います。

しかしながら、中学生や高校生の思春期真っただ中のお子さんにすれば、家族と話をするのは何となく照れくさい。できればちょっと距離を置きたいのですが、毎日家族が全員いるのなかで、なんとかうまく振舞おうとする。

その一方で、反抗期に特有のなんかイライラする感じというのもあって、全然うまくいっていない感じを味わいます。学校から出された課題も今一つ手が付かない。しかし気分転換しようにも外にも出られないし、友達にも会えない。そんななかで、心の調子を崩してしまい、うつうつとした状態になっている可能性があります。

そして家族と顔を合わせたくない結果、家族が寝静まってから行動を開始します。そして家族が起きるころに眠るのです。

終始家族といることがストレスん感じられてそれを回避しようとした結果、昼夜逆転しているほうが、都合がよかったのです。

ところが、心の方はなんだか分からないけど辛い気持ちがあるので、いままでのように朝起きて学校に行こうとすると、おなかが痛かったり、眠気が採れていなかったり、頭痛がしたりします。

コロナによる休校がなければ味わう必要がなかった、ストレスにより心が疲弊している可能性があります。この場合は、しばらくの休息が必要です。可能であれば遅刻してでも、一コマだけでも学校に行けるようなら言って、友達と話したり、外の空気を吸うことで、変化がはじまります。

昼夜逆転が戻らない理由その2 学校に行く意味を問うている

長いところでは3か月も休校になってしまいました。

そしてその間、課題やオンラインの授業、場合によっては教育系のウェブサイトで自分で学ぶことを強いられてきたわけです。そうすると本人の中に「学校行く意味あるの?」という疑問が浮かんできます。

しかも、クラブを頑張っていた生徒であれば、インターハイをはじめとした大会がことごとく中止になる中、学校へ行く意味を見失っている可能性があります。

そういうメンタリティの場合、そこから不登校になる可能性があります。でもそれは本人が弱いわけでも生活のリズムが崩れているからでもありません。そのような思考になってしまった、環境があるので仕方がないところがあります。

この問題の解決方法は「何のために学校に行くのか」を自身で見出す必要があります。もしかしたらこの答えを見つけるのには時間がかかるかもしれません。

しかしながら、この問いに対して自分で答えを見つけることができた生徒は、その後の学校生活だけでなく、人生そのものを前向きに、そして大切に生きることができるようになります。

昼夜逆転が戻らない理由その3 ゲーム依存で夜中にゲームをしている

上の二つが、メンタル的なものであるのに対して、この3つめの理由は厄介です。

オンラインゲームは不特定多数の人とコミュニケーションをとりながら進めていきます。直接顔を知らない相手と仲良くなったり、戦ったりしています。

休校期間の間にゲーム依存になる生徒は増えたと言われています。とは言え、多くは、一緒にプレイする友達が学校に行くので、深夜に一緒にプレイする人がいなくなったことで、徐々に解消していくということも考えられます。しかし、そのゲームの中にはキャラとしての存在感があります。

しかもプレイすればするほど上達して強くなるので、自信もつきます。現実の世界よりゲームの世界の方が、多くの承認が得られるし、容易に自分の能力を高められるので楽しいのです。この世界にハマった場合、積極的に昼夜逆転をする可能性が多いので、なかなか治らないのです。

ではどうやってゲーム依存から抜け出すのかということです。かつてゲーム依存の小学生に関わった時は、一週間でどれくらいの時間をゲームに充てているのかを、本人の証言をもとに図示しました。

多い時には1日15時間やっていました。寝る時間を8時間としてその時間を除いて、どれくらいの時間をゲームに充てているかを計算しました。そして、1週間の時間のうち57%をゲームに充てているということが分かりました。

思った以上にゲームに充てていることに気づき、そこから時間をコントロールするようになりました。

まずは夜のイベントへの参加を辞めることから始めました。そして起きている時間で、サッカーをする時間を増やしました。ゲームに依存して昼夜逆転している間は不登校でしたが、夜のゲームの時間が減ると、学校にもどって行きました。

今でもゲームはしているそうですが、毎日昼夜逆転するほどのことはないとのことです。

依存している状態を客観的に見ることで、自分の異常さに気づけたのがこのケースの良かったところです。この方法が誰にでも当てはまるわけではありませんが、困っている場合は試してみる価値はあると思います。

以上見てきたように、昼夜逆転が休校明けにも治らないのには理由があります。

もし、コロナによる休校が明けてなかなか学校に行けないようだったとしても、

サボりだとか、心が弱いとか決めつけないで、もしかしたら学校に行く意味を見失っているのではと思って接していただけるとお子さんは、学校に行けなくなっている状況に向き合う力を得て、時間はかかっても自ら解決する道を選びだせるでしょう。

昼夜逆転を治すための初めの一歩

では、昼夜逆転を元の生活に戻すにはどうしたらよいか。

朝起きられる人は、起きる。それが無理なら、夕方、散歩やジョギングに行って、夜に眠るように体をもっていく。

それでも無理な場合は、何時に起きてきても服を着替えることです。家着ではなく、外に出る服、制服でもいいです。

不登校、引きこもりの回復のための要素が、朝起きる、服を着替える、夜眠ることなのです。そのいずれか一つでもできると変わってきます。

荒療治はリバウンド(もとどおり)になる可能性が大いにあります。スモールステップで、確実に歩める方法をお勧めします。…

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