思春期世代との親子のコミュニケーションが難しくなるのはなぜ?
「息子が何を考えているかわかりません・・・」
不登校のお子さんとのコミュニケーションに悩むご相談をよく受けます。あるご家庭の話です。
家の中にいるけど家族と一緒にいるのを拒むようで、家族が寝静まってから、台所で何かを食べていたり、一方で家族がリビングにいると絶対に部屋から出てこない、ということもあります。「ごはんできたよ」とか「ちょっと出かけてくるね」という言葉がけでも、返事が返ってくれば良いほうで無反応です。しかし、自分が欲しいゲームを買ってほしいとか、見たいテレビを録画しておけなど、要求だけはしてきます。食べたいお菓子やジュースがないと「なんでないんだ!」と大声で文句を言われたこともある、ということです。息子が何を考えているかわかりません。学校の話をすると、特に不機嫌になります。「うるさい」とか「学校なんかどうでもいい」というのです。
放っておいたらおいたで不機嫌になるし、言葉をかけても反応が今一つ。そして自分の要求だけは求めてくるという状況に、どうコミュニケーションをとってよいかを悩まれているというのです。今回のご相談にはないですが、うそをついたり、隠し事をしたり、することもあります。思春期世代のコミュニケーションはこれまでのコミュニが通じなくなる時期でもあります。そこでは親子の関係性を再構築する必要があります。
思春期世代のコミュニケーションが難しい理由
思春期世代の頭の中は混乱しているという前提にしておくのがよいと思います。これまで直感的にとらえていたもの、うのみにしてきたものが「正しいのか?」という疑いを持つようになります。これが幼少期との違いです。しかも、深い内省ができるようになるので、自分自身を知ることと同時に、自分はこういう人間であるという枠組みもできてきます。自己認識(セルフイメージ)の変容が起きているのです。単純化すると、幼い自分と大人になろうとする自分の対立が起きており混乱をします。さらには心身の急激な変化がおこり、自分のアイデンティティをいやでも意識するようになります。レフ・ヴィゴツキーは思春期の思考の変化について「思考形式の変化を前提とする必要がある」と述べています。つまり今まで同じように接していても相手(子ども)の思考が変わってきているので、親の言い分が通じなくなる、またはこれまでと同じように受け止めてもらえなくなる、ということが起きてくるのです。
これは子ども自身が意識するしないにかかわらず起きてきていることです。「自分でもよくわからない」というのが実際の子どもの声としてもあります。自分が何を考えているか、物事をどうとらえているのかは子ども自身もわかっていないところがあるのです。子どもと大人を行ったり来たりしながら、混乱しているのが思春期です。
接し方の心構えを変えていく
子どもの思考形式が変容している以上、接し方を変えていくことが大切になります。接し方を接するといっても、日々、かける言葉を一言一句変える必要はありません。子どもさんに接する態度を「子ども」として接する場面と、一人の「大人」として接する場面を作ることです。
「子ども」として接する場面は子どもが「甘え」を示してきた時です。何か要求してきたり、わがままを言ってきたときは「子ども」として接する。特に不登校しているお子さんに関してはできるだけその甘えを許容してあげることが大切です。ただし、条件を付けてはいけません。「新しいゲームを買ったら学校に行くのよね」というのでは子どもは「甘えさせてもらった」とは感じません。「甘えられた」という実感を得るには条件があってはいけないのです。
一方で、大人として接するというのは、これからのことを話したり、勉強のことを話したりするときです。特に高校生で不登校になると、出席している時数や、定期考査の成績などが、留年等にもかかわってくるので、話す機会は増えると思います。中学生でも進路は考えないといけません。そういう時は、「あなたは子どもで考えが足りない」ということで接しているとお子さん自身は「自分が認められていない」と感じてしまいます。こういう場合は一人の大人として子どもさん本人の意見を尊重すると同時に、本人に意見をするときも、親としてではなく一人の大人として意見を述べることが求められます。言葉を変える必要はありません。親御さん自身の内面、心構えが変われば適切な言葉と態度が出てきます。
不登校のお子さんのことは心配ですが・・・
確かに不登校のお子さんのことは心配で、これからどうなるんだろうという不安が親の中には常にあります。そういう心配を全く感じていないような傍若無人な振る舞いに、時折腹が立つこともあります。怒りをぶつけたご経験がある方も少なからずいらっしゃいます。現状を見ていれば心配はたくさんありますが、その心配を信頼に変えることができたらどうでしょうか。「うちの子はきっとこの状況を乗り越えることができる」と思っているほうが「この子大丈夫かな」と心配して見ているより、日々のコミュニケーションや態度で伝わるものが全然違ってきます。お子さんへの「信頼」があれば、相手に対する経緯が生まれ、お子さん自身の考えを尊重できるようになります。「信頼してほしい」とおもいつつも、学校にかない現状、勉強していない現状があってなかなか言い出せません。しかし、どんな状況になっても、無条件で子どもを信頼できるのは親だけです。
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不登校の親だからこそ揺れる心、そのままで大丈夫――揺れを受けとめるまなざし
不登校の親だからこそ揺れる心、そのままで大丈夫――揺れを受けとめるまなざし
不登校の子を前に「期待」と「落胆」を繰り返す親心
不登校の子どもと向き合う日々では、親の心は大きく揺れます。
「今日は行けるかも」と子どもが言ったとき、「もしかして、このまま復帰できるかも」と希望が湧いたとき、気づけば気持ちは上向きに高まっていく。
それもまた、「揺れ」のひとつです。
その後、やっぱり動けなかったとき、子どもが寝て過ごす日が続いたとき、一気に気持ちは落ち込むこともあります。
「信じてたのに…」という落胆は、その前に抱いていた“期待”があったからこその反動なのです。
不登校の子に期待してしまうのは自然なこと
期待することは、決して悪いことではありません。「この子なら、また動き出せるかもしれない」「今度こそ、きっかけになるかも」
そんなふうに、子どもの変化や回復を願う気持ちは、ごく自然な親心です。
でも、その期待が強くなるほど、うまくいかなかったときの“落差”も大きくなります。この落差に、自分がどっと疲れたり、子どもに対してイライラしてしまったりすることもあるでしょう。
親の心が揺れるのは、向き合っている証拠
落ち込むのも、浮かれるのも、どちらも「揺れ」。そして、揺れるのは、心を子どもに向けている証です。
「振り回されてしまった」と感じても、「ちゃんと向き合っている」からこそ起きることでもあります。
あなたの心が揺れるたびに、「それだけ一生懸命に関わってきたんだな」と、自分をいたわる視点を忘れないでください。
不登校の子に「できないこと」ばかりが目につくとき
子どもが何かに挑戦したあと、失敗したとき、「またダメだった」と思うのは自然な反応です。
人は、「できたこと」より「できなかったこと」のほうを強く記憶しがちです。だから、「また…」「結局…」と、がっかりするのも無理はありません。
でも、「今日は声をかけてくれた」「自分から話しかけてきた」そんな小さな変化に、意識して目を向けてみてください。揺れのなかにも、少しずつ前に進んでいるサインがあるかもしれません。
親の焦りが消えないときは、自分の心をケアする
「このままで大丈夫?」「何かしなきゃいけないのでは?」
そんな焦りや不安が心から離れないときは、カウンセリングで気持ちを整理する時間をとるのもおすすめです。
人に話すことで、自分がどんな「期待」や「思い込み」を持っていたかに気づくことがあります。そして、「揺れてもいい」と自分をゆるせるようになると、子どもとの関わり方も変わってきます。
「木が風に揺れるように、人の心も揺れる。その揺れを受け入れるとき、根はより深く育つ。」
文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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2025年9月14日
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