5月, 2024 | 不登校サポート | 家庭と子どもの再スタートを応援します

2024年5月

不登校の中学生の勉強嫌いから脱するために必要な関わり方

不登校の中学生の勉強嫌いから脱するために必要な関わり方 どうして勉強嫌いになってしまうのか?

中学生になって勉強が嫌いになるということは、不登校しているお子さんに限らず起こることです。この「嫌い」というのは正確には、「面倒くさい」「時間がかかりすぎる」「分からない」などを内包しています。小学校の時に出る宿題はそれほど多くありません。テストも、単元ごとに学校で実施するので、記憶は鮮明ですから「テスト勉強」なんていうことはしなくてもある程度は点数が取れます。ところが、中学になると定期考査になり、テストのために勉強をしないといけなくなります。また、宿題の量も増えます。部活や習い事が終わって家に帰ってから宿題をするとなると、一日の中に一人の時間や、息抜きの時間が無くなります。ここで「面倒くさい」という思いが強まります。これの積み重なりが「分からない」をうみだします。

分からないことは好きにならないですから、「嫌い」という言葉でくくられます。ただ、ここで「分からない」というと、塾や家庭教師をつけられたりして余計に「面倒くさい」ことになることや、また勉強が分からないことで自分がバカだと思われることを嫌がって「嫌い」という言葉で自身のプライドを保とうとすることにもなります。中学生くらいになってしまうと、勉強しろと強く言うと余計に反発されて関係が悪くなります。不登校していると、部屋にこもってしまうことさえあります。さて、これをどうやって克服して勉強に向かわせるのか?ということです。

子どもがやっていることに関心を示す

不登校の中学生が家にいてやるのは他だいたいが、ゲームやネットです。お子さんが、どんなゲームをしたり、ネット(主に動画)を見ているかご存知でしょうか?意外とこれを把握していない親御さんが多いです。ゲームやネットは生産性が上がるものとは考えにくいですし、その時間を勉強してくれたらどれだけ有益か、と思われるかもしれません。時間を浪費しているようにも見えて、うんざりします。彼ら・彼女らがなぜゲームやネットの世界に居座るかというと、勉強と違って親や先生にに「評価されない」からです。勉強での優劣=自分の価値という思い込みが強いと、勉強からの逃避につながります。だからと言って親が無関心でありつづけることをさみしく思っている面もあります。特にゲームなんかは頑張っている可能性があります。何をしているか関心をもたれることで、ちょっとだけ関係が和みます。その和んだところで、子どもがやっていることがどんなことか説明してもらうと良いでしょう。そうすると、見えてくるものがあります。

勉強できる素養があることを見いだす

ネットやゲームの中には勉強のために必要な素養がたくさんあります。思考力、集中力、記憶力、最近は課題発見能力や課題解決力なども挙げられます。こういった素養が自分にもある、と思ってもらうことが大事なのです。ゲームをしているときは集中しています。ゲームを遂行するためには考えたり、覚えたりすることができます。そこには確かに勉強するために必要な素養がたくさんあるのです。だからどんどんゲームをすべきというわけではありません。そのゲームを話題にしながら、「どうしてそんなに集中できるのか?」とか「なんでそんなに覚えられるの?」ということを尋ねます。すると「すきだから」とか「おもしろいから」と応えてきます。この言葉が出てきたらしめたもので、「すきなことやおもしろいことなら、集中したり覚えたり、考えたりできるんだね」という旨の言葉をかけます。

そして、もし余裕があるなら、その世界(ゲームの世界)で何を頑張っているか、なども尋ねます。自分がやっていることに興味を持たれると、意気揚々と話してくれます。そこでも「そんなくだらないことばっかりやらないで」と卑下せずに、「それは大変だ」とか「よくそんなに頑張れるね」という対応をします。つまり、「ゲーム」を勉強に見立ててほめちぎってみるということです。ネットの場合は少し問いを変えて「どうしてその動画に興味があるのか?」とか「なんでそんなに多くの人が見ているのか?」などを尋ねます。ネットの場合は考えさせる契機とします。目の前の子どもさんがやっていること自体のなかに勉強に必要な要素があることを繰り返し確認していくのですが、一つ注意です。その時に「その力を勉強に活かせればいいね」というちょっと皮肉めいたことは言わないで「そういう力があれば、大丈夫だね」と勉強ではなく、もうちょっと将来的に漠然と肯定していくことも大事です。「勉強させたいから言っているんだな」と子どもに策略としてとられると、功を奏しません。

子どもは勉強しないといけないということは分かっている

子ども自身は自分が勉強をしないといけないということは分かっています。不登校していることで焦りや、やっていない自分を否定するような面もあります。「勉強しなさい」というと「わかっている」「うるさいな」という言葉が返ってきますが、それは本当です。ただ、わかっているのにやらないから腹が立つわけです。やらないといけないのにやりたくないこと、面倒くさいことを「やれ」と言われると嫌気がさします。大人だって分かっている仕事を「早く取り掛かれ」とか「いつまでにできるの?」なんて急かされるとやる気がなくなります。最終的には子どもの主体性を信頼していくことです。

おそらく、こういうコラムを読んでくださる親御さんは「うちの子はやればできる子なのにもったいない。何とかしてあげたい」というお気持ちがおありだと思います。その思いがあればすでに大丈夫です。子どもへの信頼へのアプローチがすでに始まっています。ただ、大事なのは「やらせよう」という働きかけよりも「必ずやる」と信じて待つ忍耐力です。この忍耐力が、お子さんが社会に出ていくために必要な土台をつくります。すぐには伝わらないかもしれませんが、いずれ不登校状態が何らかの形で改善した時に「親はこんなに見守ってくれていたんだ」ということに気が付く日が来ます。その時に親への感謝がうまれ、自分自身が大事にされているという感覚が育まれます。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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不登校は実は長年研究されているのにどうして子どもへの関わり方が見えにくいのか?

不登校は実は長年研究されているのにどうして子どもへの関わり方が見えにくいのか? 不登校は最近の問題ではない

ある本の冒頭に記されている文を引用してみました。

『登校拒否が社会問題になってから、かなりの年月が経った。その間、医師、教師、カウンセラー達が、いろいろな側面からこの問題にアプローチし、治療、教育してきた。また多くん研究がなされ、有意義な知見が得られている』

さて、この本はいつ書かれたものだと思われますか?「登校拒否」という言葉が使われているので最近のものではないということは分かると思います。この本は東山紘久先生の『登校拒否』という本からの引用で、初版が1984年となっています。なんと40年前に書かれたものなのです。この時すでに「かなりの年月」が経っているとあるので、不登校という問題はかなり昔からあったことがうかがえます。「登校拒否」と呼ばれるまえは「学校恐怖症」なんていう言葉も使われていた時代があります。この不登校の問題、こんなに長く研究されていながら、家族の対応の仕方やケアの仕方が今一つ不明確な状態が続いているのはなぜなのか?という疑問がわいてきます。その理由は大きく二つの考えられます。1つは、個別性が高い問題ということです。2つ目は、不登校している当事者へのケアが難しいということ挙げられます。確かに40年前と時代が違う、というのはあると思いますが、40年前の書籍に習うところが多いことを考えると、本質的な関わり方というのは、受容的に、見えない気持ちを理解しつつ、寄り添いながら本人の考えを引き出していくというところでは変わらないところがあると思います。

不登校のケースは個別性が高い

不登校というのはなかなか受け入れがたく、体調も悪くないのに学校を休むなんて、という思いもあり、初めは怠けだったり、いじめがあるんじゃないかと疑ったりします。「不登校」になりたくないのは、親御さんも本人も一緒で、何とか頑張ろうとします。そして頑張れる場合もあるので、いちいち不登校にはどう対応したらいいのか?なんて調べたり、考えたりせず、極力日常生活を維持しようとします。これで立ち直っていけるようになる人もいるので、間違った対応とは一概には言い切れません。

その一方で、ここで無理をしたことで、余計に学校への足が遠のくということもあります。また、兄弟姉妹でも上の子はちょっと休んだら行けるようになったけど、下の子はちょっと休んだことがきっかけで長く休みが続く、なんていうこともあり、一人ひとりその対応の仕方を検討しないといけません。

不登校は誰にでも起こりうるということは、文部科学省も謳っていることですが、それぞれのケースは個別性が高く、一般的な方法論が確立しにくい、というところがあるのです。

不登校当事者になかなか会えない

長く不登校のお子さんやそのご家族のカウンセリングを続けていると、様々なことが起きます。まず本人に会えないケースというのがこれまでかなりありました。いろいろなケースがありますが、本人がカウンセリングを受けたがらない、というのは珍しいことではありません。または、カウンセリングを学校や医療機関で受けたけど、その時の対応がひどかった結果、カウンセリングを受けることを拒む、と言うこともあるようです。私のように個人でやっているカウンセラーのところにいきなり来る前にいろいろなところに出向かれている人も多くお会いしてきました。

確かに、本人がカウンセリングを受けて、自分が抱えている悩みや不安を言葉にしていき、自分自身をメタ認知していくプロセスは重要です。これまで関わったお子さんたちは、それが積み重なって、「不登校したけどこれからもなんとか生きていけそうだ」とか「自分は将来こうなりたいんだ」という思いを持って私のもとを巣立っていったいきました。しかし、現実には当事者であるお子さん自身と会うことができないケースもしばしばあります。本人がカウンセリングを受けないから、意味がない、ということでカウンセリング等の不登校に対するケアがなされないと、長期化する確率が上がってしまいます。不登校のケアは当事者だけでなく、家族(とくに親御さん)が受けることでも功を奏することがたくさんあります。本人に合わずに学校に戻ったり、つぎなるステップに一歩お子さんが踏み出したケースもあります。それは親御さんのカウンセリングを続けた結果でもあります。

なぜ親のカウンセリングが成果をだせるのか?

不登校に限らず、受験や発達、学校での人間関係など、お子さんの問題で親御さんがカウンセリングを受けることは効果的であると私は考えています。もっとも身近でお子さんに関わる親御さんのストレスを軽減することは一つ大事です。不登校のお子さんには受容的に関わるのが基本ですが、受容的な関わりは、不安や心配でいっぱいいっぱいな状態ではできません。そういう状態だとかえって、イライラをぶつけてしまい家庭の中が重い空気になってしまいます。私は本人とカウンセリングができた場合でも、親御さんへのフィードバック必ず入れるようにしています。カウンセラーといっても関われる時間はほんのわずかです。大半の時間は親御さんや家族と過ごします。その家族(特に親御さん)がお子さんにケア的な関わりができると、お子さんの状態が良くなります。(この「良い」状態についても個別性が高く、何が良いかは状況によるところがあります。これも親御さんと話をしてくことで、共通理解が生まれます)

親御さんのカウンセリングは子どもさんに出会うよりハードルが低いです。お子さんの状態はもちろん、それにたいして親としてどうお思うか、またこの関わり方が適切なのかどうか、親御さん自身も疑問がたくさんあると思います。その疑問にお応えするのもカウンセラーの仕事です。

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ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

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雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

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勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

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まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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不登校になりはじめの中学生の苦しみの根っこにあることとは?

不登校になりはじめの中学生の苦しみの根っこにあることとは? 不登校する中学生は根が真面目なお子さんが多い

これまで、10年以上不登校になってしまった中学生、高校生にカウンセラーとして関わってきました。その多くは真面目なお子さんが多いです。それゆえにうまくいかないこと、できないことが許せないでストレスをため込んでしまいます。しかも、他人のせいにするのではなく、自分のせいでうまくいかないから、自分を責めることも多く、かなり心は傷ついています。

特に中学生になったばかりの頃は、小学校とのギャップに苦しむことが多いようです。勉強も難しくなり、クラブ活動や塾などやらないといけないことが一気に増えます。また、別の学校からやってくる子どもたちとの関係づくりにも悩んでしまいます。公立中学校の場合、近隣の小学校2~3校が一つの中学にまとめられます。もし、もともと通ってた小学校が小規模で先生の目が行き届くような学校であれば、中学になった途端、突然大人数の中に与まれてしまい、面倒を見てくれる先生もおらず頼る相手がいないことから不安になったりもします。また、他の小学校からきたちょっとやんちゃな生徒たちとの距離の取り方がつかめなかったり、まじめさゆえに、「ちゃんとやろうよ」なんて声をかけて、「なに真面目にやってるの?」なんて言い返されて、そこでも傷つきます。もともと同じ小学校だった仲間も、そういうやんちゃな生徒に流されてしまって、付き合いづらくなります。

真面目な中学生が抱える二つの苦しみ

真面目でいい人の苦しさは二つあります。一つが完璧主義です。

完璧主義はできない自分を責めます。周りから見てもう十分頑張っているのに、本人が納得する基準が高いので苦しい思いをします。小学生の時には、自分の納得できるレベルまで持っていくことはできても、中学の勉強や課題はそうとはいきません。要領のいいお子さんであれば適当にごまかしたり、ある程度のところでケリをつけますが、完璧主義のお子さんはやりきるまで、やめません。そのがんばりが続いているうちは良いのですが、いずれエネルギーが切れてしまいます。完璧主義の人の最大の弱点は「完璧にできないことはやらない」と言うことです。これは認知行動療法の認知の歪みの一つである「全か無か思考」とも呼ばれるもので、やるなら100、100できないならゼロという思考パターンです。また、完璧主義の人に置きがちなのは、他人にも完璧を求めてしまうところもあります。完璧にできていない人を非難して人間関係がこじれることもあります。

もう一つの苦しみが「いい人でなければならない」ということです。真面目な人は、他人に対していい人であろうとします。他人にたいしていい人をやり続けるのは、大人子ども関係なく至難の業です。自分にとって苦手な相手に対してもいい人であろうとすると、気を遣って、相手の機嫌を損ねないようにして、「好かれよう」とします。小学校と中学校とが決定的に違ってくるのは人間関係において、うまくいかないことが増えるということです。異性を意識しだすこともそうですし、お互いに自立の道を歩み始めるので、「みんな一緒に」という枠組みに入りたがらない人も出てきます。小学生の時に培った「いい人」戦略は「みんな一緒に」が前提になっているので、無理が生じます。また、他人にたいしていい人としてふるまうことは、自分の気持ちや意思を抑圧して犠牲にするので、エネルギーを使い果たして破綻します。そして「いい人」としてふるまえない自分を責めると同時に、「いい人」ではない自分を見せられないから、外に出ることをやめて学校に行きづらくなります。

 

真面目な中学生が不登校になったらどう言葉をかけると良いのか?

真面目な中学生が不登校になると、自分を責めて余計に気持ちが沈みがちになります。学校に行かないといけないのに行けない自分、みんなができていることをできない自分、また親の期待を裏切った(という思い込み)から親に対してもどう接して良いか分からないままの生活をします。初めは心配かけまいと、気丈にふるまいますが、それも長く続かない可能性もあります。もともと元気がなくて学校に行けていないのです。しかし、「ゆっくり休みたい」ということも言えないでいます。

お子さんがこういう状態になったら親は何と声をかけるべきか相当に迷うところです。頑張れとは言いづらいです。すでに頑張っているし、無理していることが透けて見えます。かといって「頑張りたい」と思っている相手に「休んでいい」というのも何か違う気がします。下手すると「休む」ことを後押しする言葉がけは、落ち込んでいる状態の時にかけると「学校にいくな」とも受け取りかねません。

私がおすすめするのは、黙って一緒にいるということです。否定も肯定もしない、そして大人の常識や親の価値観をいったん脇において、お子さんがどういう気持ちだろうか、どういう苦しみを持っているだろうか?と言うところに焦点をあてて、言葉を発せずに寄り添うことです。お子さんが話しかけてきたら、話の腰を折らずに聴く、と言うことです。とはいえ、親からは何も話さないというわけではありません。「食べたいものはある?」とか「掃除するから手伝ってほしい」とか、ごくごく普通のことは話してもらってよいです。あいさつももちろん大切です。というのは、学校に行かなくても親から普通に扱ってもらえるというのが子どもにとって一番エネルギーになることだからです。

真面目な中学生が不登校から脱するために必要なこと

不登校しているお子さんが不登校の状態から脱するために必要なことは、完璧主義といい人をやめさせることです。正確に言うと、その考え方を緩める必要があります。特に完璧主義が残っていると、仮に学校に行くようになっても、完璧にできない自分に幻滅して余計にダメージを追う可能性があります。

完璧主義といい人をやめるためには、自分の本音を言葉にする力が必要です。この場合の本音はネガティブな言葉であることが多いです。「あいつが嫌いだ」とか「あのことにたいして腹が立っている」とかです。ただ、こういうことを言ってはいけないという思い込みが強いので、その緊張を緩めるところから始めなければなりません。だからこそカウンセリングをはじめとした言葉を用いるケアが必要になります。親にたいして言えればよいのですが、中学生や高校生のお子さんが親に本音を言うということは珍しいです。第三者の介入が必要な理由は、親ではない、信頼できる大人がいることで、自分の本音を少しずつ語り、お子さん自身の緊張感を緩めることができるようになります。完璧主義といい人から脱していくことは、不登校から脱する以上に、その先の人生にとってもストレスをためにくくしたり、人間関係のトラブルを回避したりすることに大いに役立ちます。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

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まとめとひとこと

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💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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不登校の子どもに どうやったら前向きに接することができるのか?

不登校の子どもにどうやったら前向きに接することができるのか? 前向きなかかわりを妨げるもの?

子どもを前向きにしようと働きかけたいのに、なかなかできないで、気が付いたら注意ばかりしている。そんなことございませんか?実はこれは私たちの中に根を下ろしている、減点法の思想から脱する必要があるのです。

学校でのテストは100点満点から始まる減点法が基本です。できていないところに✕がつけられて、その分の点数が引かれて、残ったところが得点となります。これを小学校からずっとやっているので、この減点法というのが物事を評価するときに一つの基準となってしまいます。これが一つの思想とすらなっている面もあります。

お子さんが不登校する前のことを考えてみてください。テストの点に限らず、生活習慣や、日々の細かい言動などを注意するときに「○○しないで」とか「○○は禁止です」、または「□□ができないなら△△はやってはいけません」というような条件付けの注意をしていませんでしたでしょうか?じつはこういう考え方は先に挙げた減点法からでてきているものなのです。親の方に一定の基準があってそこに到達するか否かで、評価がされます。基準を超えるのが当たり前、基準を下回ると注意する、ということになります。その結果なにが起こるのか?

減点法の思想で出てくる言葉とは?

減点法の思想が濃いと、子どもにたいして発する言葉は、注意や不満ばかりになります。こういうネガティブな言葉は、子どもにたいして、自己肯定感を下げたり、自信を失わせたりします。その結果として、人前に出ることを恐れたり、自分の意思表示をすることを避けるようになります。

不登校になったお子さんはこの減点法的な言葉を自分にかけています。「学校行かない俺はダメなやつだ」「どうせ社会に出ても役に立たない」「私なんか生まれてこなければよかった」など、ネガティブな言葉を、ほぼ無意識的にかけています。

特に、不登校してしばらくたって、部屋から出てこないとき、顔色が良くないとき、表情がさえないときなどは本人が意識するとしないとにかかわらず、こういう言葉を自分にかけています。ネガティブな言葉の暗示とも言えます。

減点法から脱するために

お子さんをネガティブな言葉の暗示から解放するためには、ポジティブな言葉を入れていくしかありません。できないところばかり見るのではなく、できているところを見るわけです。減点法の逆で、加点法のかかわりが必要です。

これは「あたりまえ」とか「普通」という概念を取り払うところから始まります。

「普通、中学3年生なら高校進学を考えるよね」とか、「普通、高校1年の女子ならもっと身だしなみに気を遣うよね」とか、「学校行かないのにアルバイトしているなんて普通ありえないよね」ということです。既存の「普通」「あたりまえ」にとらわれている状態からの脱却が必要になります。

不登校のお子さんの場合は、「学校に行ってあたりまえ」という「普通」にたいして自分が見合わないので責めています。普通のことが出来ない人間という、自分に「社会不適応者」の烙印押されたような気分になります。決してそんなことはありません。学校に行った人間が全て「普通」の人間で「社会に適応」できているわけではありません。そもそも不登校だからと言って、「社会不適応者」と決めつけるには若すぎます。

加点法の枠組みでかかわる

子どもに一番関わる親御さんが、加点法の枠組みで子どもさんにかかわれるようになると、変容が生まれます。そのためには、親御さん自身の中にどういう「普通」や「あたりまえ」があるかを知る必要があります。ここが分かってくると、親基準ではなく、こども基準で物事を考えることができるようになり、結果としてできているところに目が向きやすくなります。

加点法の関わりを増やすためには、相手の存在に目を向けることが肝要になります。存在=命、とらえると伝わりやすいかもしれません。できる―できないの「行為」に目が行くと減点法になりがちですが、お子さんの命そのものに目が向けば、できるーできない、という枠組みとは違ってお子さんに関わることができます。同時にこのかかわりは子どもにたいして、一人の人間としての敬意をもった接し方にもなり、お子さんの心にエネルギーを注いでいくことにもつながります。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

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特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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