以前、高校でスクールカウンセラーをしているときの話です。
高校2年生の男子が相談室にやってきました。入ってくる様子でおびえている様子が分かりました。その生徒は、友達とトラブルを起こしてしまい、謹慎中でした。学校に出てくるのも久しぶりということで怖がっているのだろうと思いました。
今回のトラブルの経緯を話してもらいながら彼の精神的な安定を目指していくことがそのカウンセリングの目的でした。
話をするうちに徐々に緊張は緩み、時折笑顔も見せてくれました。
そして、カウンセリングの最後には「今日、カウンセリングに来るのは怖かったのかな?」と尋ねると「はい。めちゃくちゃ怖かったです」というのです。
彼が言うには、中学生の時に、学校で一番のワルだった生徒が、カウンセリングに行くとその後は落ち着いて授業を受けていたそうです。その様子を見ていた彼は「あいつがあんなに黙ってしまうんだからカウンセリングってのはよっぽど怖い指導を受けるところなんだろうな」と思ったそうです。そのイメージがあったから、「今日はめちゃくちゃ怒られる」と思って部屋に入ってきたそうです。
幸い、彼がもっていたカウンセリングのイメージは払拭されました。
人は未知なるものにはどちらかと言うとネガティブなイメージを持ってしまいがちです。
安全なのだろうか、だまされていないだろうか、効果があるのだろうか・・・
ネガティブな思いが先行しすぎると、未知なものに飛び込むということはできません。
やはりそこにはリスクをとる勇気がどうしても必要になります。
ただし、未知なるものに飛び込むリスクをとらないということも、今の状態を続けるというリスクであることも事実です
変化に向けたチャレンジも、チャレンジせずにとどまることも、実はリスクなのです。
スクールカウンセリングの場合は、学校の制度なので半強制的にカウンセリングに連れてこられてしまいます。しかし、社会に出てしまえば一歩踏み出す勇気は自身の決断によるところが大きくなります。
最初の恐れや緊張感。これを乗り越えてでも自分が変わりたいという思いがあれば、その選択は正しい方向に作用します。
実はこのコラムを読んでくださっていること自体も変化の一歩目を歩み始めている証拠ですね。
最後までお読みくださりありがとうございました。