不登校の中学生の悩みの根っこにあるもの
不登校の悩みの根っこにあること
これまで多くの不登校をしてる中学生、高校生のカウンセリングをしてきました。はじめは学校の愚痴や親への文句などが出てきます。そういうことを一つ一つ聴いていき、親御さんにもフォローをいれて、徐々に家族の関係性が変わってきます。
しかし、学校に行かない、勉強しないという状況は変わらないままであることがあります。
「どうして勉強しないのか?」とは直接訪ねませんが、学校や勉強のことをちょっとずつ尋ねていくと、最終的には自分の進路の話にたどり着きます。ここが悩みの根っこです。中学生はまだまだ社会のことがわからないことと、さらには「高校に行けなかったらどうしよう」という思いもあり、高校生以上にこの進路の悩みを重く受け止めているケースが多いです。
将来を考えるうえで大事なこと
「進路」というとその先の進学や就職のことになりますが、実はまだこの言葉も表層です。進路の問題の奥にあるのは、自分自身の存在や生き方の問題です。不登校している状態に至るにあたって、自己肯定感が下がり、将来に対する悲観的な考えや、自分自身の存在に対する不安を抱えています。「私は生きていてよいのか?」「ここにいてよいのか?」という答えの出ない問いを延々考えます。しかも、お子さん自身もこの問いを言語化することができずに苦しんでいます。このネガティブな思考のループを言語化できると抜けだすことができますが、そうじゃない場合は、なんだかわからない重苦しい気持ちのまま、どんよりとして、不機嫌そうに生活します。話しかけてもそっけない応答しかありません。特に中学生はここの言語化はなかなかできません。
こういう状態の時は、最低限のコミュニケーションにして、放っておくのが一番です。このようにアドバイスるすると「でも、本当に何もしないんですよ」と親御さんの心配な声が聞こえてきます。確かにその通りなんですが、ここがポイントで親御さんの心配を子どもの行動で解決しようとしないことが大事です。親御さんがお子さんのことを心配するのは当然です。しかし、その心配は親御さんご自身が解決する必要があります。
親御さんの不安の解消法
親御さんの不安の解消をするためには、ご自身がどんな不安を感じているかを言語化することです。ご夫婦やご自身の親に話を聴いてもらうのが良いです。
しかし、話を聴いてもらうだけで、アドバイスや意見は求めないことです。これは弱さをさらけ出した人をさらに鞭打つようなことになり、悩みを打ち明けてアドバイスや意見されることで余計に傷ついてしまいます。子育て論や話を聴いた相談相手の成功談など、説教されるのは論外です。ここが家族や友人の相談とカウンセリングの違いでもあります。
カウンセリングであれば、守秘義務も守られたうえで話をして、否定も肯定も、意見もされずにただ話しっぱなしということができます。余計なアドバイスもありません。ご夫婦でカウンセリングを受けられたり、親子で一緒にカウンセリングを受けられるケースもあります。ご家族の誰かが不安を一手に引き受けるのではなく、家族で共有してしまうと、不安を引き起こしている問題自体はすぐに解決しなくても、その重さや深刻さはかなり解消されます。
まずは心の土台づくりから
不登校のお子さんの悩みが「進路」にあるからといって、学校に行かなくなってすぐにその話題を振ることは、子どもにとって非常に重荷になります。まずは、今日明日、今現在の自分のことで精いっぱいで、将来のことなんか考えることはできません。まずは、漠然とした不安・不満を解消するべく、休むことが大事になります。そもそも、お子さん自身も進路や自分の生き方で悩んでいるということ自体を意識していません。
下手に話題をふると、お子さんがプレッシャーを感じてしまい、思いついたかのように、目標を述べて学校に通いだしたり、勉強しだしたりします。しかし、心が重苦しい気分のまま将来を考えて、何か行動しても長続きしません。むしろ、これをやられると、不登校・引きこもりが長期化する恐れもあります。
心の土台ができるまでには時間がかかるかもしれません。休んだり、ちょっと出歩いたり、医療やカウンセリングにつながったりして、先が見えない不安をかかえることもしかりです。しかし、その状況は結果ではなくて、次に向けたプロセスなのです。
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沈黙もまた、親子の大切な対話のかたち──子どもが話さない時間にできること
沈黙もまた、親子の大切な対話のかたち──子どもが話さない時間にできること
子どもが学校から帰ってきて、「おかえり」と声をかける。でも返ってくるのは、目も合わせずにボソッと「あー…」。表情が暗くて気になり、「何かあったの?」と聞いても、「別に」。それでもやっぱり心配になって、「なんか、表情が険しいけど…」と重ねて聞くと、「うるさいな!」と強い口調で返されてしまう──。
こんなとき、親の胸の中には不安が広がります。「私、嫌われたのかな」「何か地雷を踏んじゃったのかな」と戸惑ってしまう方も多いでしょう。
でも実は、子ども自身も、自分の中にあるモヤモヤをまだうまく言葉にできていないことがあります。学校でのちょっとしたストレス、人間関係の複雑さ、なんとなくうまくいかなかった一日。それらを一から説明するのも面倒で、気づけば感情だけが先に溢れてしまう──その矛先が、いちばん近くて安心できる親に向いてしまうのです。
決して、親が嫌いになったわけではありません。むしろ、“話せない気持ちごと受けとめてくれる存在”だと信じているからこそ、不機嫌や反発という形で感情が出てくるのかもしれません。
今回は、そんな沈黙や反発の奥にある子どもの気持ちに、親としてどう寄り添えばいいのかを、一緒に考えてみたいと思います。
子どもとの沈黙が不安に感じるとき
言葉が返ってこない、目も合わせてくれない、なんとなく不機嫌。そんな子どもの態度に、親は「今、私どう接するのが正解なんだろう?」と迷ってしまうことがあります。
特に、学校で何を感じてきたかなんて、親には見えません。でも、子どもにとっては「いちいち全部説明するのも面倒」「細かいことを話す気力もない」そんな気持ちで口数が減っていることもあります。
親に悪気があるわけでも、子どもに敵意があるわけでもないのに、「話す気になれない空気」と「心配して深く聞く空気」がぶつかってしまうこともあるのです。
沈黙の中にも、関係はちゃんと育っている
思春期や心が揺れているとき、子どもは「話したいけど、うまく言えない」「伝えたいけど、まとまらない」――そんなもどかしさを抱えていることがあります。
親が無理に引き出そうとすると、かえって子どもは心を閉ざしてしまうことも。でも、沈黙は関係が壊れている証拠ではありません。むしろ、「今は話せないけど、ここにいてくれることが安心」という、信頼の表れでもあるのです。
話すことより、「話せる空気」をつくる
親子のコミュニケーションは、言葉のキャッチボールだけではありません。大切なのは、**「何を言うか」より「どんな空気でそこにいるか」**です。
話しかけても反応がなくても、そばで静かに一緒にいる。ごはんを並べて「おかえり」とだけ言う。そんなふうに、**沈黙に寄り添う“まなざし”**が、子どもにとって何よりも安心になることがあります。
沈黙を信じられる親でいるために
子どもの沈黙に耐えるには、親にも心の余裕が必要です。「今は話せないときなんだ」「言葉にならない気持ちがあるんだ」と思える安心感。それは、親自身が自分の不安にも優しくできているときに生まれます。
「話してくれない=うまくいっていない」と決めつけず、「きっと話してくれる時が来る」と信じて、日常を丁寧に過ごしていく。その姿勢こそが、子どもとの信頼をゆっくりと育んでいきます。
「沈黙もまた、親子の大切な対話のかたち。」― トマス・ゴードン(臨床心理学者、『親業』より)
文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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2025年5月24日
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