不登校は実は長年研究されているのにどうして子どもへの関わり方が見えにくいのか?

不登校は実は長年研究されているのにどうして子どもへの関わり方が見えにくいのか? 不登校は最近の問題ではない

ある本の冒頭に記されている文を引用してみました。

『登校拒否が社会問題になってから、かなりの年月が経った。その間、医師、教師、カウンセラー達が、いろいろな側面からこの問題にアプローチし、治療、教育してきた。また多くん研究がなされ、有意義な知見が得られている』

さて、この本はいつ書かれたものだと思われますか?「登校拒否」という言葉が使われているので最近のものではないということは分かると思います。この本は東山紘久先生の『登校拒否』という本からの引用で、初版が1984年となっています。なんと40年前に書かれたものなのです。この時すでに「かなりの年月」が経っているとあるので、不登校という問題はかなり昔からあったことがうかがえます。「登校拒否」と呼ばれるまえは「学校恐怖症」なんていう言葉も使われていた時代があります。この不登校の問題、こんなに長く研究されていながら、家族の対応の仕方やケアの仕方が今一つ不明確な状態が続いているのはなぜなのか?という疑問がわいてきます。その理由は大きく二つの考えられます。1つは、個別性が高い問題ということです。2つ目は、不登校している当事者へのケアが難しいということ挙げられます。確かに40年前と時代が違う、というのはあると思いますが、40年前の書籍に習うところが多いことを考えると、本質的な関わり方というのは、受容的に、見えない気持ちを理解しつつ、寄り添いながら本人の考えを引き出していくというところでは変わらないところがあると思います。

不登校のケースは個別性が高い

不登校というのはなかなか受け入れがたく、体調も悪くないのに学校を休むなんて、という思いもあり、初めは怠けだったり、いじめがあるんじゃないかと疑ったりします。「不登校」になりたくないのは、親御さんも本人も一緒で、何とか頑張ろうとします。そして頑張れる場合もあるので、いちいち不登校にはどう対応したらいいのか?なんて調べたり、考えたりせず、極力日常生活を維持しようとします。これで立ち直っていけるようになる人もいるので、間違った対応とは一概には言い切れません。

その一方で、ここで無理をしたことで、余計に学校への足が遠のくということもあります。また、兄弟姉妹でも上の子はちょっと休んだら行けるようになったけど、下の子はちょっと休んだことがきっかけで長く休みが続く、なんていうこともあり、一人ひとりその対応の仕方を検討しないといけません。

不登校は誰にでも起こりうるということは、文部科学省も謳っていることですが、それぞれのケースは個別性が高く、一般的な方法論が確立しにくい、というところがあるのです。

不登校当事者になかなか会えない

長く不登校のお子さんやそのご家族のカウンセリングを続けていると、様々なことが起きます。まず本人に会えないケースというのがこれまでかなりありました。いろいろなケースがありますが、本人がカウンセリングを受けたがらない、というのは珍しいことではありません。または、カウンセリングを学校や医療機関で受けたけど、その時の対応がひどかった結果、カウンセリングを受けることを拒む、と言うこともあるようです。私のように個人でやっているカウンセラーのところにいきなり来る前にいろいろなところに出向かれている人も多くお会いしてきました。

確かに、本人がカウンセリングを受けて、自分が抱えている悩みや不安を言葉にしていき、自分自身をメタ認知していくプロセスは重要です。これまで関わったお子さんたちは、それが積み重なって、「不登校したけどこれからもなんとか生きていけそうだ」とか「自分は将来こうなりたいんだ」という思いを持って私のもとを巣立っていったいきました。しかし、現実には当事者であるお子さん自身と会うことができないケースもしばしばあります。本人がカウンセリングを受けないから、意味がない、ということでカウンセリング等の不登校に対するケアがなされないと、長期化する確率が上がってしまいます。不登校のケアは当事者だけでなく、家族(とくに親御さん)が受けることでも功を奏することがたくさんあります。本人に合わずに学校に戻ったり、つぎなるステップに一歩お子さんが踏み出したケースもあります。それは親御さんのカウンセリングを続けた結果でもあります。

なぜ親のカウンセリングが成果をだせるのか?

不登校に限らず、受験や発達、学校での人間関係など、お子さんの問題で親御さんがカウンセリングを受けることは効果的であると私は考えています。もっとも身近でお子さんに関わる親御さんのストレスを軽減することは一つ大事です。不登校のお子さんには受容的に関わるのが基本ですが、受容的な関わりは、不安や心配でいっぱいいっぱいな状態ではできません。そういう状態だとかえって、イライラをぶつけてしまい家庭の中が重い空気になってしまいます。私は本人とカウンセリングができた場合でも、親御さんへのフィードバック必ず入れるようにしています。カウンセラーといっても関われる時間はほんのわずかです。大半の時間は親御さんや家族と過ごします。その家族(特に親御さん)がお子さんにケア的な関わりができると、お子さんの状態が良くなります。(この「良い」状態についても個別性が高く、何が良いかは状況によるところがあります。これも親御さんと話をしてくことで、共通理解が生まれます)

親御さんのカウンセリングは子どもさんに出会うよりハードルが低いです。お子さんの状態はもちろん、それにたいして親としてどうお思うか、またこの関わり方が適切なのかどうか、親御さん自身も疑問がたくさんあると思います。その疑問にお応えするのもカウンセラーの仕事です。

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不登校の子どもと向き合う日々では、親の心は大きく揺れます。

「今日は行けるかも」と子どもが言ったとき、「もしかして、このまま復帰できるかも」と希望が湧いたとき、気づけば気持ちは上向きに高まっていく。

それもまた、「揺れ」のひとつです。

その後、やっぱり動けなかったとき、子どもが寝て過ごす日が続いたとき、一気に気持ちは落ち込むこともあります。

「信じてたのに…」という落胆は、その前に抱いていた“期待”があったからこその反動なのです。

不登校の子に期待してしまうのは自然なこと

期待することは、決して悪いことではありません。「この子なら、また動き出せるかもしれない」「今度こそ、きっかけになるかも」

そんなふうに、子どもの変化や回復を願う気持ちは、ごく自然な親心です。

でも、その期待が強くなるほど、うまくいかなかったときの“落差”も大きくなります。この落差に、自分がどっと疲れたり、子どもに対してイライラしてしまったりすることもあるでしょう。

親の心が揺れるのは、向き合っている証拠

落ち込むのも、浮かれるのも、どちらも「揺れ」。そして、揺れるのは、心を子どもに向けている証です。

「振り回されてしまった」と感じても、「ちゃんと向き合っている」からこそ起きることでもあります。

あなたの心が揺れるたびに、「それだけ一生懸命に関わってきたんだな」と、自分をいたわる視点を忘れないでください。

不登校の子に「できないこと」ばかりが目につくとき

子どもが何かに挑戦したあと、失敗したとき、「またダメだった」と思うのは自然な反応です。

人は、「できたこと」より「できなかったこと」のほうを強く記憶しがちです。だから、「また…」「結局…」と、がっかりするのも無理はありません。

でも、「今日は声をかけてくれた」「自分から話しかけてきた」そんな小さな変化に、意識して目を向けてみてください。揺れのなかにも、少しずつ前に進んでいるサインがあるかもしれません。

親の焦りが消えないときは、自分の心をケアする

「このままで大丈夫?」「何かしなきゃいけないのでは?」

そんな焦りや不安が心から離れないときは、カウンセリングで気持ちを整理する時間をとるのもおすすめです。

人に話すことで、自分がどんな「期待」や「思い込み」を持っていたかに気づくことがあります。そして、「揺れてもいい」と自分をゆるせるようになると、子どもとの関わり方も変わってきます。

「木が風に揺れるように、人の心も揺れる。その揺れを受け入れるとき、根はより深く育つ。」

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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