不登校の中学生の勉強嫌いから脱するために必要な関わり方
どうして勉強嫌いになってしまうのか?
中学生になって勉強が嫌いになるということは、不登校しているお子さんに限らず起こることです。この「嫌い」というのは正確には、「面倒くさい」「時間がかかりすぎる」「分からない」などを内包しています。小学校の時に出る宿題はそれほど多くありません。テストも、単元ごとに学校で実施するので、記憶は鮮明ですから「テスト勉強」なんていうことはしなくてもある程度は点数が取れます。ところが、中学になると定期考査になり、テストのために勉強をしないといけなくなります。また、宿題の量も増えます。部活や習い事が終わって家に帰ってから宿題をするとなると、一日の中に一人の時間や、息抜きの時間が無くなります。ここで「面倒くさい」という思いが強まります。これの積み重なりが「分からない」をうみだします。
分からないことは好きにならないですから、「嫌い」という言葉でくくられます。ただ、ここで「分からない」というと、塾や家庭教師をつけられたりして余計に「面倒くさい」ことになることや、また勉強が分からないことで自分がバカだと思われることを嫌がって「嫌い」という言葉で自身のプライドを保とうとすることにもなります。中学生くらいになってしまうと、勉強しろと強く言うと余計に反発されて関係が悪くなります。不登校していると、部屋にこもってしまうことさえあります。さて、これをどうやって克服して勉強に向かわせるのか?ということです。
子どもがやっていることに関心を示す
不登校の中学生が家にいてやるのは他だいたいが、ゲームやネットです。お子さんが、どんなゲームをしたり、ネット(主に動画)を見ているかご存知でしょうか?意外とこれを把握していない親御さんが多いです。ゲームやネットは生産性が上がるものとは考えにくいですし、その時間を勉強してくれたらどれだけ有益か、と思われるかもしれません。時間を浪費しているようにも見えて、うんざりします。彼ら・彼女らがなぜゲームやネットの世界に居座るかというと、勉強と違って親や先生にに「評価されない」からです。勉強での優劣=自分の価値という思い込みが強いと、勉強からの逃避につながります。だからと言って親が無関心でありつづけることをさみしく思っている面もあります。特にゲームなんかは頑張っている可能性があります。何をしているか関心をもたれることで、ちょっとだけ関係が和みます。その和んだところで、子どもがやっていることがどんなことか説明してもらうと良いでしょう。そうすると、見えてくるものがあります。
勉強できる素養があることを見いだす
ネットやゲームの中には勉強のために必要な素養がたくさんあります。思考力、集中力、記憶力、最近は課題発見能力や課題解決力なども挙げられます。こういった素養が自分にもある、と思ってもらうことが大事なのです。ゲームをしているときは集中しています。ゲームを遂行するためには考えたり、覚えたりすることができます。そこには確かに勉強するために必要な素養がたくさんあるのです。だからどんどんゲームをすべきというわけではありません。そのゲームを話題にしながら、「どうしてそんなに集中できるのか?」とか「なんでそんなに覚えられるの?」ということを尋ねます。すると「すきだから」とか「おもしろいから」と応えてきます。この言葉が出てきたらしめたもので、「すきなことやおもしろいことなら、集中したり覚えたり、考えたりできるんだね」という旨の言葉をかけます。
そして、もし余裕があるなら、その世界(ゲームの世界)で何を頑張っているか、なども尋ねます。自分がやっていることに興味を持たれると、意気揚々と話してくれます。そこでも「そんなくだらないことばっかりやらないで」と卑下せずに、「それは大変だ」とか「よくそんなに頑張れるね」という対応をします。つまり、「ゲーム」を勉強に見立ててほめちぎってみるということです。ネットの場合は少し問いを変えて「どうしてその動画に興味があるのか?」とか「なんでそんなに多くの人が見ているのか?」などを尋ねます。ネットの場合は考えさせる契機とします。目の前の子どもさんがやっていること自体のなかに勉強に必要な要素があることを繰り返し確認していくのですが、一つ注意です。その時に「その力を勉強に活かせればいいね」というちょっと皮肉めいたことは言わないで「そういう力があれば、大丈夫だね」と勉強ではなく、もうちょっと将来的に漠然と肯定していくことも大事です。「勉強させたいから言っているんだな」と子どもに策略としてとられると、功を奏しません。
子どもは勉強しないといけないということは分かっている
子ども自身は自分が勉強をしないといけないということは分かっています。不登校していることで焦りや、やっていない自分を否定するような面もあります。「勉強しなさい」というと「わかっている」「うるさいな」という言葉が返ってきますが、それは本当です。ただ、わかっているのにやらないから腹が立つわけです。やらないといけないのにやりたくないこと、面倒くさいことを「やれ」と言われると嫌気がさします。大人だって分かっている仕事を「早く取り掛かれ」とか「いつまでにできるの?」なんて急かされるとやる気がなくなります。最終的には子どもの主体性を信頼していくことです。
おそらく、こういうコラムを読んでくださる親御さんは「うちの子はやればできる子なのにもったいない。何とかしてあげたい」というお気持ちがおありだと思います。その思いがあればすでに大丈夫です。子どもへの信頼へのアプローチがすでに始まっています。ただ、大事なのは「やらせよう」という働きかけよりも「必ずやる」と信じて待つ忍耐力です。この忍耐力が、お子さんが社会に出ていくために必要な土台をつくります。すぐには伝わらないかもしれませんが、いずれ不登校状態が何らかの形で改善した時に「親はこんなに見守ってくれていたんだ」ということに気が付く日が来ます。その時に親への感謝がうまれ、自分自身が大事にされているという感覚が育まれます。
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不登校の親だからこそ揺れる心、そのままで大丈夫――揺れを受けとめるまなざし
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不登校の子を前に「期待」と「落胆」を繰り返す親心
不登校の子どもと向き合う日々では、親の心は大きく揺れます。
「今日は行けるかも」と子どもが言ったとき、「もしかして、このまま復帰できるかも」と希望が湧いたとき、気づけば気持ちは上向きに高まっていく。
それもまた、「揺れ」のひとつです。
その後、やっぱり動けなかったとき、子どもが寝て過ごす日が続いたとき、一気に気持ちは落ち込むこともあります。
「信じてたのに…」という落胆は、その前に抱いていた“期待”があったからこその反動なのです。
不登校の子に期待してしまうのは自然なこと
期待することは、決して悪いことではありません。「この子なら、また動き出せるかもしれない」「今度こそ、きっかけになるかも」
そんなふうに、子どもの変化や回復を願う気持ちは、ごく自然な親心です。
でも、その期待が強くなるほど、うまくいかなかったときの“落差”も大きくなります。この落差に、自分がどっと疲れたり、子どもに対してイライラしてしまったりすることもあるでしょう。
親の心が揺れるのは、向き合っている証拠
落ち込むのも、浮かれるのも、どちらも「揺れ」。そして、揺れるのは、心を子どもに向けている証です。
「振り回されてしまった」と感じても、「ちゃんと向き合っている」からこそ起きることでもあります。
あなたの心が揺れるたびに、「それだけ一生懸命に関わってきたんだな」と、自分をいたわる視点を忘れないでください。
不登校の子に「できないこと」ばかりが目につくとき
子どもが何かに挑戦したあと、失敗したとき、「またダメだった」と思うのは自然な反応です。
人は、「できたこと」より「できなかったこと」のほうを強く記憶しがちです。だから、「また…」「結局…」と、がっかりするのも無理はありません。
でも、「今日は声をかけてくれた」「自分から話しかけてきた」そんな小さな変化に、意識して目を向けてみてください。揺れのなかにも、少しずつ前に進んでいるサインがあるかもしれません。
親の焦りが消えないときは、自分の心をケアする
「このままで大丈夫?」「何かしなきゃいけないのでは?」
そんな焦りや不安が心から離れないときは、カウンセリングで気持ちを整理する時間をとるのもおすすめです。
人に話すことで、自分がどんな「期待」や「思い込み」を持っていたかに気づくことがあります。そして、「揺れてもいい」と自分をゆるせるようになると、子どもとの関わり方も変わってきます。
「木が風に揺れるように、人の心も揺れる。その揺れを受け入れるとき、根はより深く育つ。」
文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。
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2025年9月14日
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