不登校対応は「様子を見る」だけでは足りない

不登校対応は「様子を見る」だけでは足りない スクールカウンセラーが設置されて30年近くたちます

文部科学省がスクールカウンセラーを設置するということを決めたのが1995年とされています。私立の学校や都道府県によってはそれ以前から独自の取り組みとして設置されている学校もあったようです。もうすぐ30年になろうとしています。いまではスクールカウンセラー(以下SC)のいない学校はなく、非常勤ではあるけれども週に1回以上は勤務されているので、つながりやすくなっています。学校によっては加配されて2名以上のSCが勤務されているところもあります。以前は、学校の先生を退職された元校長先生などがなさっていましたが、近年は専門教育を受けた、有資格者が多く、高圧的な面談をするカウンセラーは減ってきたという印象です。

不登校対応とスクールカウンセラー

不登校の対応として、学校はまずスクールカウンセラーとの面談をすすめます。おそらくこの記事を読まれている方も、SCと面談した経験のある人もいらっしゃると思います。SCとの面談が効果的なのは、学校に居ながら第三者という立場をとることができる点にあります。客観的な目でお子さんの状況をとらえてくださいます。これが担任や学年主任だと児童・生徒への先入観があったり、どうしても教師でかばい合うようなところがあり、なかなか客観的とは言えない対応になりがちです。

SCとの面談で担任とは別の視点での情報が入り、不登校の方策が講じられていきます。この方策が当たって状況が改善して、学校に戻るということも起こります。一方で何度も面談を重ねても「様子を見ましょう」といわれるばかりで不登校に向けた方策が立てられない場合もあります。

「様子を見る」以外の不登校対応

状況によっては様子を見るということは必要になりますが、いつまでも様子を見ていても何も変わりません。実際に私のところに問い合わせいただいた保護者の方からも「様子を見る」ことしか言われないためにそれが不満で学校への信頼を失ったというお話もありました。

では、具体的に何をするのが良いのかというと、対応の仕方を変えることです。

たとえば、毎朝、朝ご飯のために声をかけているならやめてみる。逆に声をかけていないならかけてみる。そしてそれをしばらく続けてみる。今までと対応のを変えると相手の反応が変わります。おなじパターンで生活をしないようなリズムをつくっていくことが大切です。

不登校対応で一番大事なことは

一番大事なことは、子どもさん自身に決める機会を多く作るということです。対応を変えて「うるさい」とか「なんで言ってくれないんだ」と言われたら、「お母さんはどう対応したらいいの?」ということでお子さんの要望を聴きます。朝起こすかどうか、食事を用意すべきかどうか、など、お子さん自身がどうしたいかということを尋ねて決めてもらうことです。

不登校解決にとって大事なことは精神的な自立です。ここを目指していくために押したり引いたりしながら、お子さん一人ひとりにあった対応を考えて行きます。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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2025年4月21日配信

新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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