不登校したお子さんが自立するプロセスで起きている心の葛藤

不登校のお子さんが自立するプロセスで心の中で起きていること 不登校の解決は自立であると述べてきました

私は不登校の解決は自立であるということを述べてまいりました。ここでいう自立とは自分の意志表示をして自分で決定することを促すことが自立であるという認識です。この自立を促すカウンセリングをしていくことで、徐々に自己肯定感が回復し、自己卑下や自信のなさが解消していきます。そして結果として行動が生み出されて行きます。

自立のプロセスで起きる心の葛藤

お子さんが、自分の意志で決定していく上では、必ず葛藤が起きます。自立する前のお子さんは依存している状態です。(これは必要な依存ですので無理に辞める必要はありません。)この依存状態にあるときは、親に甘えているので、親が決めることに従順に従います。また自分で決めているようでも親の顔色を窺っている様子や、最終的な判断を親にゆだねるということもあります。

しかし、自立するとなると誰かの顔色や他人に判断をゆだねるわけにもいかないのです。そこには自分で決めたという責任を全うする必要が出てきます。この時に恐怖心や自信のなさが出てきます。

考えることを面倒くさいという感じで放置する人も出てきます。また、親の意に反する決定をすることに葛藤を覚える人もいます。

こういう心の中で起きているさまざまな感情の渦が子どもさんを押しつぶすくらいのプレッシャーになることもあります。不登校のお子さんはこういう複雑なプロセスが非常に重いケースがほとんどです。

葛藤しているお子さんにどう対応したらよいのか?

葛藤しているお子さんはとげとげしていて、ザ・反抗期という態度をとるお子さんも少なくありません。口数は減り、聴きたいことにも応えてくれず、何を考えているかわからないという状態です。実際本人も何をどう考えたらよいか分からない状態です。その時に「どうするの?」なんて尋ねられたら腹が立ちます。

葛藤しているお子さんに親御さんができることは本人が答えをだすことを待つこと、そしてたわいもない話で関係をつなぐこと、この二つです。

待つことは信じて待つことですので、「今は何もしていないけどきっと大丈夫」お子さんにたいして温かいまなざしを持つことです。たわいもない話は雑談程度で大丈夫です。この雑談は関係を維持するうえで重要です。ここでつんけんした態度に負けてしまうと、お子さんの不安が非常に強くなります。

親に求められる忍耐力

ここで親に求められるのは忍耐力です。ただしどんな人間にも忍耐力には限界があります。お子さんには温かいまなざしを持ちつつも、どこかで不安や不満を吐き出す必要があります。それが夫婦やご自身の親御さんとの会話で解消できると良いです。それが難しければ、不登校の親の会やカウンセリングを受けることで、忍耐力を回復させると同時に関わり方の具体的な知恵を得ることができます。

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不登校の解決に向けたメルマガを読む 不登校やキャリア教育に関するコラム 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス 📘 勉強嫌いの不登校の子が「勉強したい」と思うまでのプロセス

こんにちは。ビジョナリーキャリアアカデミーのカウンセラー、大久保です。このコラムでは、不登校になり勉強に関心を失っていた中学生が、どうやって再び「勉強したい」と思えるようになったのか。その変化の背景を、カウンセラーの立場からわかりやすくお伝えします。

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

不登校になると、なぜ勉強が嫌いになるのか?

不登校の子どもたちの多くは、「勉強が嫌い」「やる意味がわからない」と口にします。でも実は、「やらなければいけないと思っているのに、できない自分がつらい」という葛藤を抱えていることが少なくありません。

中学校に上がると、授業の難しさ、スピード、周囲との比較などで「分からない」が積み重なっていきます。その結果、「できない自分」に対して自己肯定感を失い、勉強への苦手意識が強まっていくのです。

変化のきっかけは、「勉強を押しつけない」こと

ある中学生の男の子も、当初は勉強を完全に拒否していました。小学校ではリーダータイプだった彼ですが、頑張り続けて疲れたのか、中学に入って不登校に。勉強の話になると表情が曇り、話題にするのも避ける状態でした。

でも、家庭ではあえて勉強のことを問い詰めず、「まずは本人の安心感を回復すること」を大切にしました。結果として、徐々に生活リズムが整い、自分の興味を話すようになってきたのです。

雑談の中に見つけた「やってみたい」の芽

きっかけは、ふとした雑談でした。テレビで英語が流れたとき、「なんて言ってるか分かる人ってかっこいいよな…」とポツリ。そのとき、「じゃあ、ちょっとだけ勉強してみる?」とは言わず、「ほんとそうだね〜」と受け止めただけでした。

でも数日後、自分から英語のアプリを開いていたのです。無理に勉強をさせようとしなかったからこそ、「やってみようかな」という芽が出てきた瞬間でした。

勉強への意欲は、安心の土台の上に育つ

「勉強しなさい」と言われるほど、やる気がなくなる──これは思春期のあるあるです。けれど、自分の気持ちを受け入れてもらい、自分のペースで過ごせる安心感があると、子どもは自然と前を向こうとします。

「やらされる勉強」から「やってみたい勉強」へ。その変化の出発点は、親やまわりの大人の「関わり方」だったのです。

まとめとひとこと

勉強嫌いの不登校の子どもも、自分なりのペースで、再び「やってみようかな」と思えるようになります。無理に引っ張るのではなく、「いまここで安心できる関係性」を築いていくことが、次の一歩を支える力になります。

💬 今日のひとこと(格言)

「子どもは、“安心”の中でしか前を向けない。」

― 精神科医・毛利子来(もうりたねき)

文・大久保智弘 公認心理師/キャリアコンサルタント・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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新学期が始まり、生活のリズムが少しずつ整ってきた頃。でも、なんとなく不安定な子どもの様子に、つい心がざわついてしまう。そんな今だからこそ、あらためて“親子の距離感”について考えてみませんか?

春の始まり、親の心は揺れやすい

新学期が始まり、少しずつ日常のペースが戻ってくる頃。その一方で、子どもの様子に一喜一憂し、

「ちゃんと学校に行けるのかな」「このままで大丈夫かな」と、心がざわつく日もあるかもしれません。

距離を詰めてしまうのは、”心配”の裏返し

そんなとき、親はつい距離を詰めてしまいがちです。

「今日はどうだった?」「勉強はしてる?」と声をかけるのも、

本当は心配だからこそ。「見守りたい」ではなく「見逃したくない」という想いがあるのだと思います。

でも、その距離の詰め方が、子どもにとってはプレッシャーになることもあります。

子どもは親の気持ちを敏感に感じ取ります。

だから、何も言われなくても「ちゃんとしなきゃ」と無言の期待を背負ってしまうことがあるのです。

まずは自分の「心配」をやさしく見つめる

カウンセラーとして多くのご家庭と関わってきましたが、

“距離の取り方”に悩まない親はいないのではないかと感じています。

私も2人の娘の父親であり、わが子たちとの距離の取り方は日々悩まされます。

特に上の娘が思春期に差し掛かる時期なので、いろいろと考えさせられます。

近づきすぎれば干渉になり、離れすぎれば無関心に見えてしまう。

そのちょうどいい距離は、いつも手探りです。

今、親として何かしてあげたい気持ちがあったら、

まずはご自身の気持ちをノートに書いてみたり、信頼できる人に話してみたりするのも一つの方法です。

不安が少し軽くなると、子どもに向けるまなざしにも、ふっと余白が生まれます。

ちょうどいい距離は、自分の中にある

近づきすぎず、離れすぎず。

親子の距離は「正解」があるわけではありません。

でも、自分自身の心の状態に気づいてあげることで、自然とその距離感が見えてくるものです。

そして、こんな言葉もあります。

“子どもは、放っておいても育つ。でも、見ていないと育たない。” ― 小児科医・毛利子来

文・大久保智弘 公認心理師・スクールカウンセラー/2児の父。 不登校や思春期の親子支援を専門に活動中。

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