キャリア教育の視点は、未来を見に行く

 不登校をすると、学校の勉強についていけない、課題が出せない、テストを受けるかどうか、学校行事に出るか出ないかなど、目の前の問題に対して悩んだり、判断したりとかなり疲れます。そういったことをいったんわきにおいて、将来何がしたいのかに目を向けます。目の前の勉強もしないで、将来の夢がかなうのか?と思われがちですが、実はここをじっくり考えることができるのは不登校の強みでもあるのです。中学生、高校生のうちに自分とは何者かを自問し、その上で自分の将来を考えることができるというのはちょっと特別な体験です。必要な勉強や経験は後からでも代替え可能なことが多いのですが、将来への思索の時間というのはかなり貴重です。そこにキャリアの理論を重ねると非常に強力に未来を見に行くことができます。
 同時に、今の社会やこれからの世界がどのように変化していくかも一緒に考えていきます。そうすると、自分がやるべきことが見えてきます。キャリア教育は社会を知るだけでなく、自分自身という存在も探っていくことになります。そして、自分と社会をマッチさせたところに、生徒本人にとってのベストなキャリアが見えてきます。

キャリア教育は考え方を前向きにします

不登校する原因の一つに思考のネガティブさがあります。よく言えば慎重でミスをなくそうとする思いがあるのですが、その思いが強い余り、自分のダメなところばかりに目が行ってしまい、自信を失い学校に行けなくなってしまいます。実は、キャリア教育というのは未来から物事を考えていくので、今の自分を一度脇において考えることができます。そして、自分がやりたいことに向けて、これから何を頑張ればよいのかが明確になります。やりたいことが見つかると、何かを努力することにたいして意味付けができ、自然とモチベーションが上がります。そして努力をし始めることで、徐々に前向きさを取り戻していきます。また、キャリア教育をするうえで避けられないのが自己探求です。自分のことを知っていくプロセスで、これまで自分の弱みであったり欠点であったりしたところを、認めるプロセスをへることにます。ここを通過すると、これまで「ダメだ」と思っていた自分が実は「すごい」ということに気づきます。この気づきの変化が前向きな思考をつくっていきます。

社会に出てから必要となす資質を学べるのがキャリア教育

学校でもキャリア教育は行われますが、それは職業教育にとどまっています。キャリア教育は自身が何が好きで、何が得意でどんなことをしていきたいのかを考える自分軸へ向かう問いと、社会が何を求めていて、どんな問題解決が今後必要になるかを考える社会の軸の二つをすり合わせていく学びです。そこをつなぐものとして、キャリア理論なるものがあります。生まれてから死ぬまで人がどのようなライフステージを歩み、どのような危機を乗り越えて成長していくのかがすでに、多くの学者たちによって理論化されています。この理論を学ぶ機会が、中学生、高校生には皆無であり、大学生も学ぶ人はわずかしかいません。キャリアに対する学びの薄さが、ドロップアウトや引きこもりを生み出します。不登校を契機に生徒さん自身が自分と向き合う時間をとってくれると、それだけでも価値のある不登校にすることができます。

大切なのは生徒本人のペース

不登校をし始めたころは、自己否定の塊のようなものです。「みんな」が「当たり前」にできていることができないわけですから自分を否定しておかないと落ち着かないのです。そうやって心を傷つけたまま、学校に戻っても何も変わりません。本人のペースがありますのでそこを大事にしてあげる必要があります。ここで大切なのが自己肯定感です。自分のありのままをどれだけ認められるかが、不登校生活とその後の解決を左右します。まず最初にすべきなのは不登校を悪いことじゃないと認めること。さらには自分は不登校してこんな良いことがあったと、不登校の肯定的な側面にも目を向けることです。ここを肯定できると、徐々に、自分も自分で認めて、心が楽になります。この楽になったあたりで、行動が変わります。学校に戻る方、家の手伝いをする方、学校には行かないけど、自分の好きなことをするなど、時間の有効活用ができるようになります。ここまでくると、あとは学校に行く、行かないを越えて、自分はどう生きるかを考えることができるようになります。不登校を前向きにとらえるのは割と最初の段階でやってしまいます。

不登校している中学生、高校生が学ぶとどうなるか?

すでに実績はあり、やりたいことが見つかって、それまで見えていなかった進路が明確になったり、中学で不登校をしてそのあとどうするか全く分からなかった生徒が、自ら高校のオープンキャンパスに出かけていき、受験をして合格を勝ち取ったりしています。これまでにない内容を、これまでにない「対話」を使った方法で学ぶので、本人が納得するまで一緒に話しあいます。そして、無理に押し出すのではなく、自身が行動したいという時期まで待つことになります。もちろんその間、親御さんにも忍耐していただかなければなりませんが、親御さんの不安もカウンセリングでフォローしております。

通常の不登校支援とは異なるアプローチ

現在の不登校への対応は、無理に学校に活かせないで、生徒本人にストレスを与えないようにするのが主流です。最初はそういう対応も必要ですが、長期化すると、本人も力が有り余るし、保護者の方も「このままでいいのかしら」と思って再び不安になってしまいます。「学校に行く―行かない」という軸であれば元気になれば戻ってよと思うのが当然ですが、そこを強調すると子どもは拗ねてしまいます。しかし、VCAは不登校の解決を学校に戻ることだけとはとらえていません。それも一つの解決ですが、実際には、別の学校に行ったり、ふと校を利用して自分のやりたいことに没頭したり、または家に居ながら資格の取得を目指したりと、不登校の解決も様々です。個人的な思いとしては、将来、何か仕事をするということができれば、学校に行くいかないは大した問題ではないと考えております。必要な勉強は後から取り返せます。